アバン


あれは幼い頃の記憶
ふとした事から私は父に連れられてあの場所に行った。
パパがどう思ってそこに連れて行ってくれたかはわからない。
色々いざこざがあったけど、多分リョーコさんがパパをあそこまで引っ張っていったのは、そこに何があったのか知りたかったのだと後になって得心した。

そう、あそこは何もない場所
でも私にだけは見えた。
だからこそ、そこに何もないのがおかしかった。

そして私は遺跡に心を奪われるのだった・・・

ああ、これって一応黒プリの続編だったりそうでなかったりしますのでよろしく〜



2215年・アマリリス格納庫


あれからプラント・タナトスに着くまで私は退屈しなかった。
むしろ、時間が足りないくらいだった。

「おい、もう座席の調整をしてやってくれよ」
「は〜い」

リョーコさんが整備員の人にお願いした。私を座席に座らせて開口一番である。
・・・まぁ確かに調整してもらわないといけないかなぁ

「座席は前に出せたとしてもフットペダルは踏めませんよ」
「あ、やっぱり大人用のシートじゃ無理かぁ〜」

あ、大丈夫。そのぐらいならプログラムを調整してIFSでフォローするから

「お、そんな事出来るのか?シオンちゃんは」

まぁそのぐらいはルリママ達に鍛えられているから。
ひょんな事から役に立ったプログラミング技能。
基本的にエステバリス系はIFSのコネクターさえあれば他の操作装置は補助機器・・・まぁイメージングをやりやすくする為のオマケに過ぎない。
だから、それらのコントロールを全てコネクターを通じての操作に切り替えれば事実上は全ての動きをIFSだけでも出来る事になる。

まぁ、それはそれなりにIFSでの負担が大きくなって調整が難しいんだけどね。

いくつかのウインドウを周りにクルクルさせながら私は与えられたアルストロメリアの調整に余念がなかった。

でも、リョーコさん。今回のタナトスの肝試しのルートやトラップに関しての情報はわかってるの?

「まぁこれまでチャレンジした小隊の記録なんかはあるぜ。
 ただ位置とか種類とか結構まちまちだから参考程度だな」

参考程度?

「みんな行き当たりばったりってことさ」

・・・でも、見せて。傾向を分析してセッティングを合わせてみるから。

「偉いねぇ〜うちのバカな部下達に聞かせてやりたいねぇ」

いやまぁ、ふりかけ定食はゴメンだから。

「あはは、そんなに根を詰めるなよ」

リョーコさんは手を振って去っていった。
確かに、あの副隊長さん達はそれなりに今回のタナトスの分析はしているみたいだけど、ステルンクーゲルの性能を信じているのか、結構余裕だ。定時上がりが当たり前みたい。
リョーコさんは既に手慣れているのか、調整もそこそこだ。
まぁ、アルストロメリアがオールラウンドな機体だからどんなことにも対応出来ると全幅の信頼を寄せているのかもしれない。

そして一番不可解なのはパパだった。
パパは一回オンボロなエステに乗り込んで動きを見た後、それ以降は何の調整もしなかったみたい。食堂で黙々とコックのお仕事をしている。

自信があるからなのか、
はたまたやる気がないからなのか、
私にはパパの心は推し量れなかった。

「ちょっとお嬢ちゃん、お尻をあげてくれるかい。
 座席をもう少し前に出す・・・ってこれで目一杯だなぁ」

それでもパネルに手が届かない〜

「お〜い、座椅子持ってきてくれ。
 いや、それよりも自転車の補助席の方が良いか?」

そ、それはイヤ〜

結局、私のコックピットには座布団が何枚も敷かれ、操作パネルは数センチ前に出されるのでした。
トホホ〜〜



NadesicoNG(Next Generation)
第10話 Tale of A.D.2215「仄暗き闇の奥で見たもの」



2215年・プラント・タナトス周辺


「野郎ども、絶対新兵なんかに負けるな!」
「・・・」
お〜〜

「・・・元気ないなぁ〜腹の底から声を出せよ」
リョーコさんはそんな風に言うけど、やる気のないパパにそんなこと言っても無理。
「まったく、これで勝てるのか心配になってきた〜」

まぁリョーコさんの嘆きはともかく、私達はアマリリスから機動兵器に乗って一路プラント・タナトスへ向かう最中である。
リョーコさんチームがリョーコさんにパパに私。
副隊長さんチームは副隊長さんに熊さんにタヌキさん

「「おい!」」
あ、熊さんとタヌキさんに怒られちった。
まぁ機体は言わなくてもわかるようにアルストロメリアvs.ステルンクーゲルだったりする。

私は初めての機動兵器操縦で宇宙も初めてなんだけど、結構余裕だったりする。ママ達の特訓のおかげ?
まぁそれはどうでも良いんだけど・・・私達の武器はラピットライフル。対する副隊長さんチームはレールガン・・・こちらの武器はパパがチョイスしたんだけど、どう考えても・・・

「そりゃそうですよねぇ〜レールガンなんかエネルギー消費の激しい武器を使ったらあっと言う間にバッテリーが干上がっちゃいますよねぇ〜
 でも今時バッタだってマシなフィールドを作るんですよ?
 そんな豆鉄砲でどうするつもりですか?」

副隊長さんが嫌みったらしく言うのを無視無視!
でも彼の言うことは一理ある。猫も杓子もディストーションフィールドを使える現状、ラピットライフルの様な火器はフィールドに弾かれて決定打にはならない。フィールドを突き破るには高速で射出された実体弾か、機動兵器の体当たりぐらいしかない。
ということでレールガンが現在の武装で一番有効なの。
でも、いくらレールガンの消費電力が高いって言ってもラピットライフルなんて・・・

「まぁそう言うな。アキトはそれなりに考えがあってのことだからさ」

そうなのかなぁ〜

「そうだって」

・・・でもさぁ、どうしてアルストロメリアって寂れちゃったの?

「寂れたって言うな!あたいがまだ乗ってるだろ!」

でもステルンクーゲルが全盛だし・・・

「まぁそれは平和だからってのも一因かもな」

平和・・・だから?

「この十数年、戦争をやってない。するとどうなるかというと」

戦争のやり方を忘れちゃう?

「ん〜そうじゃなくて、傷つかないことが当たり前になっちまう。
 戦争は全てスクリーンの向こう側、計算と想像の世界。
 訓練で傷つきたいバカはいないし、傷つかなくても勝てる方法を探したくなる」

それでステルンクーゲル?

「努力しなくても動かせる。
 敵が近づく前にレールガン掃射で一網打尽。
 だから接近戦なんて不要。
 傷つかなくても勝てる算段しかしなくなる・・・」

それもこれも平和だから?

「まぁそんなところだな」

ふぅ〜ん
まぁ戦争の歴史なんてそんなものかなぁ〜
敵の死者が何万人になろうと鈍感なのに味方の犠牲者が数百人でも出ようものならヒステリックに戦争反対を騒ぎ出すぐらいだし

「でも、この肝試し、結構難しいんだぜ?」

そうなの?

「やってみればわかるさ。アキトが何でエステを選んだか、イヤって程わかるさ」

え?単にリョーコさんが可哀想だから付き合いでエステに乗るだけなんじゃ・・・

「おい、シオンちゃん!」

キャ♪

「それよりもシオンちゃん、アキトのこと見て戦闘技術を盗めるだけ盗んでおけよ」

技術を・・・盗む?

「そうだ。本当はウチの阿呆な部下どもにこそ見習って欲しいんだけどなぁ」

それは無理だと思うけど、っていうか向こうでバカ笑いしてるんだけど・・・

「さて、何機戻ってこれるかな?」

リョーコさんはニヤリと笑って前方を巡航中のパパのエステを眺めていた。
木連にあるプラントよりもやや小振りなタナトスが私達の眼前に近づいてきた・・・



2215年・プラント・タナトス第一回廊


素潜り開始〜〜♪

そこは鉄骨で組み上げられた回廊みたいな場所だった。
まるで普通に巨人さん達が生活していたみたいに回廊がまっすぐどこまでも奥へ奥へ続いているのが少し薄気味悪い。

これからアルストロメリアとエステバリスは母艦からの重力波ビームが届かなくなるので内蔵バッテリーだけで動作を余儀なくされる。
なんか携帯の電池マークが右端に点灯し始めた。
一応満タン♪

さて、ここからは動きを最小限に抑えないとバッテリーがあがってゲームオーバー
無駄のない動作をしないと。

「アハハハ、エステ組は早速ケチケチ作戦ですか♪
 じゃ、こちらは先に行かせてもらいますよ〜♪」

ムカ!
副隊長さん達のステルンクーゲルは自分たちのエネルギーは余裕とばかりにさっさと先に進んでいった。
良いの?先に行かせて〜

「放っておけ」

パパったら愛想なしでそう答えた。
ぶ〜〜!

「おい、シオンちゃん」

あ、なに?リョーコさん。

「アキトのエステのデータ、覗けるだろう?ルリちゃんの娘だし」

覗けるけど・・・

「面白い物が見られるぜ」

面白いって・・・
ごめんなさい、パパのエステ、ハッキングさせてもらいます〜
どれどれ?

・・・え?なんでオートバランサー切ってるの?

「アハハハ♪でもあの動きなんだぜ」

オートバランサーはエステの姿勢を制御する重要な機能で、私みたいな素人が切ったらまず間違いなくあっち行ったりこっち行ったりしちゃう。リョーコさん曰く、こんなものを切ってまっすぐ進めるパイロットは一握りだそうだ。

どのぐらい難しいかというと初代バイオハザードぐらい難しいらしい。

「いや、その例えもどんなものかと・・・」

でも、パパは私達の先頭を進むがコーナーを曲がるときなんかもまるでオートバランサーを使っているみたいスムーズだ〜♪

「なんでかわかるか?」

なんで?

「データ、見れるだろ?」

・・・オートバランサーを使ったときと同じ制御パターンをしている。
むしろ、こっちの方が無駄がない?

「どうしてだかわかるか?」

AIの方がバカってこと?
人間に勝てないってこと?

「そうじゃない。ほとんどの場合は下手に人間が制御するよりもずっと正確に制御できる。それがAIの仕事だ。人間にはムラがあるしな」

なら何で・・・

「人間が操縦しているからさ」

リョーコさんはウインクして言うけど私にはさっぱりわからなかった。
そんなことを言っている間に前方から発砲音が響いてきた。
(真空なのに聞こえるのか?というツッコミは却下)

ドーン!
ダンダンダン!

「お、さっそく罠に引っかかったか」
リョーコさんがにんまりと笑った。
その証拠かのようにスピーカーから副隊長さん達のパニックを起こした声が聞こえてきた。

『おい、そっちにまわったぞ!』
『ど、どこですか!?』
『左だ左!』
『うわぁ!むやみに発砲するな!こっちに当たる!』
『でも〜』
『フォーメーションが崩れている!体制を立て直せ!』

いきなり飛びかかられて混乱しているようだ。

「シオンちゃん、あいつらのデータをハッキングしてみな」

リョーコさんに促されるまま、私はステルンクーゲルの制御データをハッキングしてみた。

だるまさんが転んだ、
だるまさんが転んだ、
だるまさんが転んだ・・・

えっと、これは・・・

「面白いだろ?」

うん、確かにステルンクーゲルのEOSは理想に近い形で機体を制御している。向かってくる目標に対して最短の距離で照準を合わせてロックオンのサインを出し、パイロットがトリガーを引くのを待っている。
けれど実際の動きはその理想の曲線を蛇行しながらふらついていた。

なぜ?

「人間が操縦しているからだよ」

リョーコさんはヒントをくれた。
でも私にはさっぱりわからなかった。
それって一体どういう事?

「操縦しているのは人間。
 人間の曖昧さがEOSがはじき出した動きにブレを生み出している。
 ほら、パイロットが怖がって機体の動きに過剰反応しているぜ」

そう言われてみれば・・・

向かってきた目標に対し、EOSは即座に照準を合わせようとする。けれどパイロットは思わずのけぞって機体を後方にステップバックしようとした。
当然照準を合わせようとした動きは無駄になる。
機体は新たに指示された動きに合わせようと、今までの動作に制動をかけつつ新たな動きに移行しようとする。
そしてまたパイロットはEOSが一つの動きを完結させようとする前に慌てて次の指示を出そうとする。
今度は射撃だ。
EOSはさっきベストのタイミングでロックオンしたのに、パイロットがチャラにしてまたロックオンをさせられるのだ。

パイロットとEOSは全然ユニゾンしていない。

「ほらほら、エネルギー消費が理想値の3倍に跳ね上がっている。
 無駄な動作をしすぎだ」

これってEOSのせい?

「そうじゃない。けれど何もかもEOSが上手くやってくれるならそこに人間のパイロットが乗っている必要はない。それじゃ無人兵器と一緒だろ?」

まぁそうだけど・・・

「だからEOSってのは所詮は補助なんだよ。
 で、補助である以上、人間の動きをサポートするしかない。
 人間のどんなイレギュラーもサポートしてくれるシステムなんてあり得ない。
 ただある限られた状況にのみ人間をサポートするようにしか動作しないんだ。
 EOSはその間口が広いから素人でも戦闘出来るんだとあいつらは思っているけどそんなモノは錯覚だって思い知ってもらわないといけないんだよ」

だからあんなにパニックを起こしたパイロットをサポートしきれないってわけ?

「まぁそれだけって事はないけど。ああいうシステムだってわかって人間がそれに身の丈を合わせるかどうかだよなぁ」

う〜ん、よくわからない。

「技術は道具を『ただの』道具から『便利な』道具に変えてくれる。
 でも、技術はやっぱり『便利な』ってカッコ付きな便利しか提供してくれないんだよ。だからその『便利な』の範囲内であれば誰でもその便利さを享受できる。
 けれどそれ以上の便利さを得ようと思った場合、途端に融通が利かなくなる。
 もちろんちゃんと技能を持っている奴が扱えば『便利な』道具だろうが、ただの道具だろうが問題なく望む能力を引き出せる。
 だが、技能を持たない奴が『便利な』道具の『便利な』以上の力を欲した場合、最悪道具に振り回される可能性すらあるんだぜ」

わかるような、わからないような・・・
で、振り回されているのが副隊長さん達って事?

「おい、お前達!
 人のことをとやかく言っている場合か?
 そろそろこちらもトラップに引っかかるぞ」

パパが怒ったように通信を入れてきた。
あやや、もうそんなところまで進んだの!?

「さてさて、あたい達も道具に振り回されないようにしないとなぁ」

リョーコさんがボソッと呟いたことが、まさか我が身に降りかかろうとはこの時私は思いもしなかった。



2215年・プラント・タナトス第二回廊


さてさて、タナトス第一回廊を突破してようやく第二回廊を突入した。
全く、他人事じゃなかった。
迂闊に人のことは笑えない。

「おいおい、あいつら大丈夫なのかねぇ〜」

リョーコさんが呆れているのは副隊長さんチームの方々。
第一回廊を突破するのにレールガンの弾頭のほとんどを使い果たしている。
焦燥感もすごく漂ってくる。
とてもじゃないけど、これ以上先へ進んでいけるのか心配になる。
大丈夫なのかなぁ〜

「シオンちゃん、他人の心配よりも自分の心配をした方が・・・」

自分の心配って・・・
ウインドウの中のリョーコさんが指さした先にあるのは例の電池マーク
うわぁ、結構減ってる〜!

「アハハハ♪まだまだだな」

う、そういうリョーコさんだって・・・って、え?ほんのちょっぴりしか減ってない!?

「アキトなんかすごいぜ」

え?リョーコさんと同じぐらいしか・・・

「あたいとアキトは乗っている機体が違うだろ?」

あ、そうか、パパは私達のアルストロメリアと違ってエステバリスなんだ。
ってことはバッテリー容量は5分の1だから・・・
え?ってことは私達の5分の1で動いてるってこと?
いやいや、それよりももっと省電力で動いているかも知れない。
エネルギー消費を示すグラフはパパのエステバリスが断然少なかった。

なんで!?

「シオンちゃん、姿勢制御を重力波スラスターでやってるだろう?」

え?そ、そういえば・・・

「上手なパイロットは手足の動きで姿勢を制御できるんだよ」

それってどういう事?

「作用と反作用の法則。無重力空間では腕を動かしただけで体の方も動くだろ?」

あ、なるほど

「けれどそれでバランスを取るのは難しいからついついスラスターを多用してしまう。でも重力波スラスターはかなり電力を食う。
 アキトはわずかな手振り足振りで姿勢を制御してしまう。しかもその動きには一部の無駄もない。
 あたい達より断然エネルギー消費が低いのはそういう理由さ」

なるほど

「アキトがオートバランサーを切っているのはそういう理由さ。
 あいつにとってAIのサポートはかえって邪魔なんだ」

そうなんだ。だから自信を持ってエステを選んだんだ〜

「まぁ、今でこそベテランパイロットだけど、18年前に初めて宇宙へ出たコイツもあっと言う間にバッテリー切れを起こしたんだぜ♪」
「リョーコ、うるさい!」

ケラケラ笑うリョーコさんに真っ赤になって怒るパパ。
あ、少し可愛い。
ふてくされたようにウインドウの向こうで横に向いたパパはぶっきらぼうに呟いた。

「そろそろ次のトラップが来るぞ」

その言葉が、私達のおしゃべりの時間が終わった事への合図でした。



2215年・プラント・タナトス第三回廊


はぁはぁはぁ・・・何とか乗り切った・・・

「シオン、すぐに残弾数を確認しろ」

は、はい!
パパに少し恐い声で言われたので私は大急ぎで調べた。
さっきのトラップを突破するのにライフルの弾を半分ぐらい使っちゃった・・・

パパはどのぐらい・・・
うわぁ〜あまり減ってない〜
でもただ弾を使っていないだけならまだしも、撃墜数はパパがトップだぁ〜
ビリは私!?
ってことは私はたくさん撃ってるのにちっとも当たってないって事!?

「まぁ、そういうことだな」

リョーコさん、あっさり頷かないでよ〜〜!

「リョーコちゃん、あいつら大丈夫か?」
「まぁ全弾撃ち尽くしてるし、ここらへんでギブアップだろうな」
「保った方か・・・」
「機体の性能も良かったしな」

パパとリョーコさんは副隊長さんチームの状況を分析していた。

「お?あいつ、まだ先に進むつもりだぞ?」
「意固地になってるなぁ」
「どうする?助けに行くか?」
「遭難されたらかなわん」

リョーコさんの問いにパパは溜息をついて答えた。
でも、こっちだってあまり余裕はないよ

「見捨てたら寝覚めが悪い」

うう、あんなに酷いことを言われたのに助けてあげる必要なんて・・・
私はそう思ったけどパパ達は構わずに副隊長さん達がいるところまで機体を進めた。

数十秒後・・・

副隊長さん達はトラップに引っかかっていた。
このタナトスのトラップ、それはバッタの大群だった。
後から後から出てくるバッタの群、いわゆる巣に突っ込んじゃったのだ。
一度彼らの巣に突っ込んじゃったが最後、バッタが雲霞のように群がってくるのだ。

バッタそのものはそれほど強くはない。
けれど数が多い。
副隊長さん達は出会う度にバッタ達を殲滅し、そして消耗していったのだ。

『た、隊長、もう弾がありません!』
『持ちこたえろ!』
『どうやってですか!?』
『接近戦だ!』
『ステルンクーゲルは接近戦を得意としていません!
 それに射撃戦を優先して、格闘戦のプログラムはほとんど手つかずで・・・』
『バカ野郎!レールガンでも振りかぶれ!
 囲みを破ったら全力で突破するぞ!』
『しかし・・・』
『しかしもかかしもない!』

スピーカーから漏れてくる彼らの会話はほとんどパニック寸前だった。
パパは溜息をついてラピットライフルの照準を合わせた。

ダダダダダ!!!

後方から撃たれて、何機かバッタが火だるまになった。
それを感知してか、バッタ達は一斉にこちらへ振り向いた。
数が数だけに恐いよぉ〜

「さて、そろそろアキトの撃墜数を追い越さないとな♪」
「張り切るのはいいけど、バッテリーの残量を考えて戦えよ」

張り切るリョーコさんに対して、パパは相変わらずやる気が無さそう。
でも、それは全然錯覚な事に気づいた。

リョーコさんのアルストロメリアは左腕にだけ付けたクローを引き出して飛びかかってきたバッタを思いっきりぶん殴った。吹っ飛ぶバッタさん。
対するパパは飛びかかってきたバッタに掌底をかましてそのまま敵のバッタの群に放り投げた。そこをラピットライフルで掃射する。

ドゴォ!

バッタは何機も何機も巻き込まれるように爆発した。

「よし、戦略的撤退」

え?

パパ達は反転してこっちに向かってきた。どういう事?

「つまり逃げろって事だよ」

ひえぇぇぇぇ〜
パパ達、怒り狂ったバッタさん達を引き連れてきた〜〜

「シオン、あいつらに脱出ルートを教えてやれ。
 多分、巣を潰すことばかりに気を取られて巣のないルートなんか調べもしなかったろうから」

あ、うん。わかった。
データを送ると早速副隊長さんから怒りの抗議が撒き起こった。

『何のつもりだ、テンカワ・アキト!』
「バッタ達は引きつけておくからさっさと撤退しろ」
『貴様!俺達を愚弄する気か!』
「愚弄するも何も、弾も切れてもう戦闘維持は無理だろう」
『無理じゃない!まだこの二の腕が・・・』
「ステルンクーゲルで格闘戦は無理だ。それを一番良く知っているのは他ならぬお前だろ?」
『う・・・』

ステルンクーゲルを一番上手く使えると豪語する彼のことである。
どれだけ持ちこたえられるかは既に計算し終えているはず。それでも虚勢を張るのはひとえにパパへの対抗意識なのかな?

『卑怯な貴様に負けるわけにはいかない!』

愚弄の次は卑怯か・・・どこをどうこねくり回したらそんな風に言えるのか・・・

「意味がわからん」
『我々を先に行かせてトラップの場所を見極め、自らはそれを巧みに避けて通り、弾薬とエネルギーを温存してきた。それが卑怯でなくてなんだというのだ!』

先を進んだのはあなた達が勝手にしたことであってパパのせいじゃないでしょ!
それに・・・

「ゲームじゃあるまいし、現れた敵をことごとく殲滅する必要がどこにある?
 今回の目的は単に奥まで行って来て戻ってくる、ただそれだけだぞ。
 それともお前のスクリーンにはスコアゲージでもついているのか?」

確かに、ゲームならそれこそ出てきた敵を全て潰さないとゲームオーバーになっちゃうけど、これはゲームじゃないんだから。
撃墜数を競うのではない。
ただ行って帰ってくるだけ。
それが目的なのだ。
そんな正論を言われても副隊長さんはなおも食い下がった。

『しかし、敵をそのままにしておけば背後から挟み撃ちにされる可能性がある!
 退路を確保するためにも背後の憂いは元から絶たねば!』
「あいつらが一定の範囲内に近づかない限り、決して襲ってこないというのは観察すればすぐにわかることだ。敵地で不必要に相手を刺激しないことは戦闘のイロハだと思っていたが?」
『うぐぅ!』

タナトスは本来どんな機動兵器で突入してもクリアが難しいらしい。

アルストロメリアは要塞戦の様な格闘戦が多くなる戦闘に向いているけど、重力波ビームが受けられないから活動時間が限られる。

ステルンクーゲルは活動時間は問題ないけど少し大きめな機体と格闘戦に向かないアーキテクチャーからトラップの突破は難しい

赤光はエンジン内蔵で格闘戦向きなので一見最適に見えるけど、プロペラントの搭載量の都合でこんなウネウネくねった回廊を突破するのは案外向かなかったりする。

一長一短

誰が考えたかしらないけど、この肝試しを最初に思いついた人は機動兵器の訓練に精通している人なんじゃないかなぁ?と思う。
この肝試しの最大のポイントは如何に消耗せずに先に進むか?
それは潜入戦を行う場合の必修スキルなのだと後でリョーコさんに教わった。

「わかったらさっさと退却しろ」
『・・・』

副隊長さんは無言で通信を切り、レーダーは彼らの機動兵器が引き返していくのを表示した。

さて、一件落着・・・ってことは全然なかった。

「アキト!そんな悠長な事を言ってる場合か!
 後ろに迫ってくるバッタの大群をどうするつもりだ!」

あ、しまった。確か、副隊長さん達を助けるためにバッタをこっちに引きつけたままだった〜〜しかもいつの間にか倍以上に増えている〜〜!

「心配するな」

心配するなって言われても〜

「シオン、そっちじゃない」

そっちじゃないって?

「左だ、次の角を左に曲がれ」

でも左に曲がったら遺跡の最深部に・・・

「もちろん少しのエネルギーも無駄にはしない。
 このまま奥に進むに決まってるだろう」

でもこれだけの大軍を相手にしたらあっという間にガス欠に・・・

「だからこれだけのバッタ達を引き連れてるんだ。
 一気に叩かないと効率が悪いだろう?」

ひえぇぇぇぇ〜パパ、あれだけの大軍をやるつもりだぁ〜〜
リョーコさん、パパを止めて〜

「まぁここまで来たら腹をくくるか」

そんな〜

それからの戦闘はすごいの一言に尽きた。
普通に攻撃したらラピットライフルの威力ではなかなかバッタに対して有効打にならない。けれどこれまでのトラップを突破したようにパパはライフルを直接バッタに向けなかった。

まずは回廊の外壁や鉄骨を撃った。
こちらには普通にダメージを与えられる。
飛び散った鉄骨やら外壁材などの残骸が次々とバッタ達に降り注いだ。
車は急には止まらない。
私達を追いかけて突進中のバッタさん達はそれにもろに突っ込んだ。
爆発する回廊
そこに後続のバッタ達が突っ込んでさらに大きな爆発になった。

それでも屍を乗り越えてくるバッタさん達
そこにリョーコさんのアルストロメリアが襲いかかって次々とバッタさん達を殴り返した。
パパ達は瞬く間にタナトスにおける撃墜数の最高記録を塗り替えていくのであった。



2215年・数分後、タナトス第三回廊


あれから数分の戦闘でバッタさん達の残骸は次第に雪だるま式に通路を塞いでいった。
しかもバッテリーやライフルの弾は余り減っていないからすごい。
でも通路の向こうにはまだかなりのバッタさん達が蠢いているのがレーダーを見ていてもわかった。

「まぁこんな物か」
「そうだな、さっさと奥に行くか」

え?でもまだ後ろの方にバッタさん達が・・・

「この通路はしばらく通行止めだ。
 他の通路を迂回までしては来ない。
 そして一番大事なのはあいつらが巣からあまり離れないって事だ」

パパ、どういう事?

「あいつらはただこの場所を守ってるんだよ。
 既に守るモノすらなくなったこの場所を」
「お、それは新しい解釈だな。詳しく教えろよアキト」

リョーコさんはパパの意味ありげな台詞に早速噛みついた。

「深い意味はない」
「だからあいつらが守ろうとしたモノが何だって聞いてるんだよ。
 12年前、お前はあの奥底でそれを見たんだろ?」
「知らないな。何もなかった・・・前にも言ったろ?」
「おいおい、あの時何があったかその場に居合わせなかったあたいには伺い知ることは出来ないけど、あの事件以降のおまえらの変わり様を見たら、いくらあたいでも何もなかったなんて思わないぜ」

珍しくリョーコさんが声を荒げて言う。
12年前、パパはここに来たことがあるの?
道理でタナトスの探索に手慣れていると思った。

「・・・頼むよ、そっとして置いてくれ」
「誤魔化すのかよ、そんなにあたいは頼りないか?」
「そういう問題じゃないんだ」
「なら、お前がシオンちゃんに素っ気ないのも同じ理由か?」

え?それってどういう事・・・

「リョーコちゃん!」
「10年も経ったんだ、もう良いだろう?」
「・・・俺にとっては現在進行形なんだよ」
「わかってやりたいけど、何も言ってくれなきゃわからないぜ?」
「それでも・・・頼むから」

リョーコさんは溜息をついて首をすくめた。
12年前に何かあったらしくて、
それは多分私に絡むことで、
そしてパパはまだそのことと戦っているらしくて、

何がなんだかわからなくなってきた。

と、その時・・・

私の瞳には確かにそれは映った。
回廊の奥、そこにはあり得ない光景があった。

・・・人?

そう、人影だった。
黒いマントを羽織った女性・・・
今にも消え去りそうな、まるで幻のような存在
幽霊という言葉が一番ピッタリくる。
そんなはずはない!ここは真空、宇宙服も着ずにあんな姿で生きていられるはずはない!

私は声を荒げた。
あそこに誰かがいる!って。
でも、リョーコさんからの答えは同意ではなかった。

「人?んなもん、何も見えないぞ?」

パパには見えるでしょ!?
私は同意を求めるように聞いた。
でも答えはまたも否定だった。

「いや、何も見えないな」

そんなはずない!
自分が見たモノを肯定しようとして私はモニターを見た。

・・・そんなバカな!

センサーには反応はない。
アクティブセンサーも熱紋センサーにも全くの反応がない。
機械はその人影の存在を全く検知していなかったのだ。

パパも見えていない
リョーコさんも見えていない
でも私には見えるのに!

私は自分の目を疑って何度も目をこすった。
けれど彼女は見える。
私は心を奪われるように彼女を見つめた。

彼女は亜麻の長髪をたなびかせてこちらを振り向いた。
憂いを秘めた、それでいて悲しげな顔をしていた。

あの顔は・・・どこかで見た覚えがある・・・

どこだろう?
それは遠い記憶
失われた楽園
抱かれていた記憶
遠い、遠い、遙か遠い、物心つく前の頃・・・

あれはいつ?
あれはいつ?
あれは・・・私の記憶の奥底にある光景・・・

聞こえてくる子守歌
私は幼い手を必死に振り上げて何かを掴もうとした。
何を掴もうとしたのだろう?
それはもう覚えていないけど、誰かが手を握り返してくれた。
私を覗き込む顔

『シオンちゃん、お目覚めですか?』

ああ、その声に私は安堵する。
それは幼き頃の夢
まだ赤ちゃんだった頃のおぼろげな記憶

マ・・・マ・・・

自然とついて出た言葉に私の記憶は急速に鮮明になった。
ママだ!
あれが私の本当のママだ!

「おい、シオンちゃん、どこに行くんだ!」

ママが通路の奥に進んでいった。
追いかけなきゃ、ママがいなくなっちゃう!
ママ!!!

私はリョーコさんの制止も振り切ってアルストロメリアのスラスターを全開にした。



2215年・プラント・タナトス最深部


私は夢中で彼女を追いかけた。
見失ったと思ったらまた姿を現す。
近づいたと思ったらまた消える。
そんな追いかけっこを繰り返した。

途中、バッタの群に突っ込んだ。
邪魔だったから攻撃しようかと思ったんだけど、不思議とバッタ達は何も攻撃してこなかったので、私は人影を追うことに専念した。

アレはママだ。
本当のママだ。
なぜ私に5人もママがいるのかわからない。
けれどアレが私の本当のママだ!
だから私には5人もママがいるのだ。

後で改めて考えればその論法も結構おかしいんだけど、その時の私を突き動かしていた思いはそれだけだった。

今捕まえなければ、私は楽園を失ったまんまだ。
ここが自分の居場所じゃないなんて違和感を感じたまま生きることになる!

だから追いつきたかった。
会って話を聞きたかった。
なぜこんな所にいるのか?
なぜ10年以上、私をほったらかしにしたのか、
なぜ私には5人もママがいるのか、
なぜパパは私を突き放すようにしか育ててくれなかったのか、

聞きたかった。
私は愛されていたのか、
捨てられたわけじゃないのか、
何のために私は生まれてきたのか!




追いかけた。追いかけた、追いかけて追いかけた・・・



いつの間にか場所は遺跡の最深部、もう少しで折り返し地点、肝試しで言うところのお札を置いてくる場所だった。
事前に見せてもらった資料だと大聖堂という名前が書かれていた。
あの人影はそこに向かおうというのか、それとも私をそこに導こうというのか、
でも私にとってそんなことは関係なかった。
私はママを捕まえることだけを考えていた。

あともう少しでママに手が届く!
私はアルストロメリアのスラスターを全開にし、右腕を思いっきり前に差し出した。
人影は逃げるけどもう少しで捕まえられそうだった。

あと10m
あと9m
8m、7m、6、5、4・・・

人影は光の溢れる通路に飛び込もうとした。
多分あそこが大聖堂なのだろう。
でも逃げ込む前に捕まえられる!
私はそう確信した!

3m、2m、1m・・・

アルストロメリアはその人影を捕まえたかに見えた。




けれど・・・



ピーーーーーーーーー!

私は自分の耳を疑った。
その音と同時にアルストロメリアはガクンとつんのめる、
あと少しで掴めていたのに、人影はアルストロメリアの手をすり抜けて光の中に消えていった。

どうして!?

私はコンソールを叩いた。
モニターを眺めるとそこには無情の表示がされていたのだ。
そこには簡潔にこう書かれていた。

『残念、バッテリー切れ♪
 以降生命維持装置のみ動作します。
 早く充電してね♪』

私はこんなふざけたメッセージをインプットしたアルストロメリアの設計者を本気で恨んだ。

バカ!バカ!
なんで後もう少し頑張ってくれなかったの!
あともうちょっとだったのに!!!

私はコンソールをバンバン叩いた。
それこそ壊れるぐらいに。

何で!
何で!
何で!

けれど、私は冷水を浴びせられた。

「アルストロメリアは今までお前の無茶に頑張って答えてくれたんだ。
 もうそのぐらいで許してやれ」

驚いて振り向くとそこには一機のエステバリス、
そして声の主はパパだった。

「あんな無茶な動きをしたらあっという間にバッテリーが切れる。
 むしろ、今の今までお前の望みに答えて保ってくれたんだ。
 それなのにお前はまだ自分の乗機を責めるのか?」

あんなに興奮していた頭はあっという間に冷えた。

そして冷静に考えられるようになった。
さっきの操縦データを見返したら酷いモノだった。
あんなに重力波スラスターを全開して保つはずがない。
しかもコーナリングも力任せでメチャメチャ
もう少し上手く操縦したらバッテリーはあと数分は保っていたかもしれない。

頭に血が上って、冷静さを欠き、むちゃくちゃをしたのに、アルストロメリアに当たるなんて・・・

私は自分の未熟さに思わず項垂れた。

けれど・・・
もうちょっとだったのに、
もうちょっとだったのに、
もうちょっとだったのに、
もうちょっとだったのに、
もうちょっとだったのに、
私はママへの未練でいっぱいだった。

けれどどんなに悔しくても仕方がない。
追いかけたくても私のアルストロメリアはもう動かないのだから。

するとパパがこう言った。

「行ってみるか?あの奥に」

え?行きたい!

「どうせあともう少しだ。幸いこっちはバッテリーに余裕がある。
 俺のエステで引っ張って行ってやるぐらいなら問題はない。
 だが・・・」

だが、なに?

「そこにはお前の望んでいるモノは何もないかもしれないぞ?
 ここで引き返せば希望だけは残るかもしれない。
 それでも見たいか?」

うん、見たい!

「・・・そうか」

パパは溜息をついた。



2215年・プラント・タナトス大聖堂


私のアルストロメリアはパパのエステバリスに手を引かれて肝試しの目的地、いわゆる大聖堂に到着した。

ママが逃げ込んだ先
そこにママはいるはずだった。

けれど・・・

そこは私の考えていたような場所ではなかった。

空洞・・・

そう、ただの空洞なのだ。
他に何もない。
ただの空洞で出口は他にない。
入り口も今私達の入ってきたところしかなかった。
空洞は何かを安置していた形跡はあるものの、今は全く何もない空間だった。

私は思いっきり落胆した。

やっぱりあれは幻だったのかな・・・
それとも幽霊だったの?
冷静に考えれば考えるほどその方が正しいように思えてきた。
だってリョーコさんも見てないし、ここは真空だし、センサーすら捉えていないんだから・・・

「やっぱり何もないなぁ〜」

遅れてやってきたリョーコさんがそう呟いた。
やっぱり私の見間違えだったのかなぁ・・・

するとパパは心配したのか、声をかけてくれた。

「まぁ落胆するな。
 お前にしか見えなかったというのなら、何かの意味があるのだろう」

意味って?

「少なくとも肝試しを誰の力も借りずに行って帰ってくることが出来たら・・・
 その時は何かわかるかも知れないな」

多分、私の見たモノの真実をパパは知っているんだろうとは思ったけど、私はそれを聞く気にならなかった。
自力でこの場所にたどり着けるぐらいの力がなければ聞いてはいけないことなんだと、私は勝手に納得したからだった・・・

私はパパの心が少しだけ透けて見えた気がした。
少なくともパパを嫌いではなくなっていた。
むしろ好きになっていたかもしれない・・・



ポストスプリクト


ということでナデシコNG第10話をお届けしました。

さて、謎の人影は誰でしょう?(っていうか何(笑))
多分答えは皆さんの想像している人とは違いますので、念のため。
そんなにストレートな答えじゃないッス。
もし自信があるという方はご報告を(笑)

それはともかく、10年後の世界を想像するのは難しいですねぇ。
エステバリスやアルストロメリアが廃れているのは一番の理由はやはりIFSでしょうか?アレを付けなければいけないエステとかアルストロメリアとかはパイロットが少なくなって廃れていったという・・・なんてこと考えてああしました。
TV版でもナノマシーンを注入するのを躊躇っていますし、劇ナデでも遺伝子操作には抵抗感がありますから、攻殻みたいに体をサイボーグにしたりなんかはないと思います。
まぁそういう時流に乗っちゃったというか、平和がそれを後押ししたというか、そんな世界を少し考えてました。

で、あと数年したらどうなるかというと、やっぱりまたエステバリスシリーズが持ち直していたりします。行き過ぎた方向性には揺り戻しがあるというか。

ってな訳で次回は回想編エピローグってことで2222年頃のお話、シオンが過去に旅立つまでのお話をちらっとしようかなぁ〜とか考えております。

ということでおもしろかったなら感想をお願いします。

では!

Special Thanks!!
・YSKRB 様
・戸豚 様
・kakikaki 様