みんなで行こうと決めた木星プラント調査団
けれど我らが主人公は一人抜け駆けを決めてしまいました。
それが良かったのかどうかは後世の歴史家の判断を待つとして、
無理と無茶を通して飛び立ったナデシコCの残したものは後始末に追われる人達の顛末が一束のエピソードとして残りました。
冒険に逸る気持ちを少し抑えて、幕間の座興にそちらの方へスポットライトを当ててみましょう。
ああ、これって一応黒プリの続編だったりそうでなかったりしますのでよろしく〜
ちょうどナデシコCが飛び立つ頃、一人の少年がビルの屋上に立ってその光景を眺めていた。
「遺跡に愛されし娘が飛び立ったか・・・」
彼の瞳は燃える紅玉。
風にたなびく惣髪は白銀
年格好は10代前半に見える。
白乳色のコートは何故か暗闇の中でもその存在を目立たせてはいなかった。
「約束の日は近い。
にも関わらず、彼らはあえてあの娘に自らの真実を調べさせるつもりなのか」
ナデシコは見る見るうちに小さくなり、そして星の瞬きの一つと化す。
「けれど・・・あの娘はそれに立ち向かえるのかな?
ともあれ・・・」
少年は懐から蒼い貴石を取り出す。
それはチューリップクリスタルであった。
「僕も行くか。向こうで待っているよ、遺跡に愛されし娘・・・いや、MARTIAN SUCCESSOR・・・」
少年はCCを宙に放り投げるとその場からキラメキを残して消え去った・・・
さてさて、青い水の天体がやや小さく見える頃、半ば脱走に近い行為で地球を出発してきたナデシコCも落ち着いた頃であった。
そこで彼女達は改めてクルーに挨拶をした。
「テンカワ・シオンです〜♪パイロット兼コックを務めます〜♪」
「ラピと申します。シオン様の専属メイドですがよろしくお願いします♪」
「・・・テンカワ・アキトだ」
朗らかに挨拶する二人に、少し黒百合時代に戻った口調で挨拶するアキト。
だからではないだろうが、みんなの視線が新入り3人に注がれた。
ただし、半分歓迎ムード、半分こそこそと内緒話を始める。
「質問♪」
「なんですか?スリーサイズとか恋人はいるか?とか以外なら何でもどうぞ♪」
「料理は何が得意ですか!」
「和洋中なんでもOKよ♪」
「やった♪」
さすがに愛想のいい、美人で明るいシオンはみんなのウケも良い。加えて今までの食堂の料理に辟易していたのか、コックが替わるというだけでこの喜びよう。
彼女は完全にウェルカム状態であった。
しかし、である。
コソコソ
コソコソ
『おい、テンカワ・アキトだぜ』
『確かヒサゴプランのコロニーを沈めた奴だぜ』
『そういえば恩赦があったらしいけど、大丈夫なのか?』
中には第3次火星極冠事変・・・つまり東郷の乱の時にこのナデシコCに乗艦していなかったクルーもいる。ましてや乗艦していたとしてもあの頃のアキトはかなり取っつきにくかった。
多くのクルーにとってアキトはアマテラスコロニー襲撃犯、そして敵味方を葬ってきた『闇の王子』の人物像が焼き付いたままだったのだ。
「えっと、テンカワさんもパイロット兼シェフを努めていただきま・・・」
ケンが空気をまずさを察してか、ことさら明るい声でアキトの紹介を行う。
しかし、それをアキトがすぐに修正した。
「コックはする。だがパイロットはやらない」
「え?でも・・・」
「そうじゃなければ俺はこの艦を降りる」
「でももう宇宙に出ちゃってますし〜」
「連絡艇を奪ってでも降りる」
「そんなぁ〜今回新人パイロットばかりでぜひ隊長になって鍛えてもらいたかったんですけど〜」
「お前がやれ。前だってやってたろ」
「ですから、前回は残業がべらぼうになって〜ようやく楽できると思っていたのに〜」
「知ったことか。無理強いされるなら何が何でも降りる!」
テンクウ・ケン、説得失敗。
『アキさんのうそつき〜』
『まぁまぁ、実戦になったらなんだかんだで助けてくれるから』
ルルル〜と涙を流すケンの肩をシオンがよしよしと叩いた。
「だいたい、新人パイロットだけで旅立とうという方がおかしい」
「いや、ベテランもいるにはいるんですが・・・」
「なんだ?言い難そうに」
「そのベテランパイロットだよ〜ん」
ひときわ通る声でブリッジに入ってきた人物が二人。
もちろんベテランパイロットである。
「アマノ・ヒカルです〜♪好きなものは湿気たセンベイのはじっこです♪」
「マキ・イズミ、心の師匠は牧シンジ・・・間違いない」
シュタ!と手を挙げて入ってきた二人の顔を見るや、硬直するアキト。
「・・・乗ってたのか?」
「人を存在感薄そうに言わないでよ」
「いや、あれだけの騒動で野次馬に来なかったからてっきり乗っていないのかと」
「徹夜明けで乗り込んでそのままバタンキューだったから♪」
「右に同じ」
ヒカルとイズミはまるで双子かのようにテヘへという格好をする。
もちろんイズミの方は似合っていなかったが。
「ヒカルちゃんは漫画家に戻ったんじゃ」
「・・・原稿落としたから逃げて来ちゃった♪」
「イズミちゃんは?」
「ぬらりひょん様のお告げ」
「お告げって・・・」
良いのか?そんな理由でやってきたクルーをあっさり受け入れてしまう宇宙軍って・・・
そう苦笑したアキトであるが、なんかこう物足りなさを感じてキョロキョロ辺りを見回した。
なんかこう、例えるなら某アイドルグループのメンバーの一人が不祥事を起こしたあとの初めてのステージの様な・・・
「あ、リョーコなら来てないよ」
「え?そうなの?」
そう、三人娘として彼女達とワンセットで称されてきたスバル・リョーコがいなかったのだ。
「あの子、サブちゃんとラブラブだからアマリリスに配属されているよ」
「あいつら、付き合ってるのか!?」
「そうだよ」
「いつの間に・・・」
「アキト君、すっかり浦島太郎状態だねぇ〜」
よしよしと慰められるアキトであった。
「でも、この二人のどちらかに隊長をしてもらえばいいじゃないか」
「いや、それは無理なんですよ」
「なんで?」
二人の腕は文句なしだ。彼女達をエステバリス隊の隊長へと薦めるアキトであるが、ケンは首を振った。
「あ、私原稿を書かなければいけないから、ダメだよ♪」
「キン肉マン音頭を覚えないといけないから」
「・・・やる気なしかよ」
「ええ・・・」
ヒカルとイズミはただの現実逃避&観光見物のつもりでナデシコに乗艦したらしい。
「なら、私が隊長をやってあげようか♪」
「え!?良いんですか♪」
シオンが隊長志願をすると喜んで彼女の手を握るケン。
しかしアキトが割って入った。
「調子に乗るな!」
「え〜なんでよ〜」
「十年早い」
「早くないもん!実力だってあるもん!」
「はん!俺から言わせればまだまだひよっこだ」
「そんなことを言うならパパが隊長をやればいいじゃないの!」
「あの〜どちらでも構わないので、隊長を引き受けて下さると助かるのですが〜」
親子喧嘩をする二人の間を取りなそうとオロオロするケン
しかしその様子を微笑ましいとは思わずに眺める女性が一人
『私の艦長になんて馴れ馴れしい!あの小娘、一体何者なの!』
ナデシコCの主席通信士カザマツリ・コトネ軍曹はメラメラと嫉妬の炎を燃やすのであった。
「あの〜僕たちもいるんだけど・・・多分無視だよね〜」
「ルリさ〜ん」
隅っこでジュンとハーリーが呟いていたが、影の薄い彼らの声がその喧噪の中で届くはずもなかった。
その頃、地球では飛び出したナデシコCの後始末をする人達が大わらわで対応に当たっていた。
「やぁユリカ君、久しぶり〜」
『久しぶりじゃありません、ムネタケ参謀!
お父様を出して下さい!』
「それは公団理事長ミスマル・ユリカとしてかね?
それとも彼の娘ミスマル・ユリカとしてかね?」
『どちらでも構いません!!!』
バン!
ウインドウの向こうで机を叩く音に、対応に出たムネタケは首をすくめた。
ウインドウの主、ユリカは完全にお冠状態だ。
『お父様を出して下さい!』
「いや、入院中なんだよ」
『・・・仮病でしょ』
「いや、日々の過労が貯まってね」
『嘘に決まってます!』
「その間、代行としてアタシが全権委任されてるわ。まぁ体の良い後始末役だけどね」
『狸寝入りですか・・・』
「まぁこれだけのことをやらかしたらね」
頭の痛い問題だ。
せっかく各国足並み揃えて発見したプラントへの調査団を出発させようとした矢先、その調停役となった公団と宇宙軍の中から抜け駆け的にナデシコCが発進した。
当然怒るのは各国の調査団だろう。わざわざ足止めされてまで意に従わされていたのにその親玉が抜け駆けするのだから怒らないはずがない。
『まったくお父様は何を考えているんですか!』
「まぁ退院したら本人を締め上げてくれたまえ。っていうか、アタシに詰め寄られても困るし〜」
『孫に頼まれたからってあっさり出港許可を出しちゃうって!
下手をしたら国際問題なんですよ!』
「あ、それは多分うやむやになるから」
『え?』
ユリカはキョトンとする。
だって、宇宙軍が抜け駆けしたことにより公平に調査しようという不文律は事実上崩壊したのだ。ならば今まで足止めを食らっていた国は怒って叱るべきだろう。
だが、ムネタケは難しい大人の世界の話をする。
「まぁ表向きはそうなんだけどね。ただ裏では内心小躍りしているはずよ」
『小躍りって・・・』
「これで大手を振って公団に気兼ねせずに調査団を送れる。
早い者勝ちだから力のある国はむしろ好都合。切り取り次第だから、下手に各国足並み揃えて行くより実入りが良いし」
『そんなぁ〜』
「まぁ表向きは怒ったポーズをしているけど、協定破棄の口実が出来たって喜んでるわね。そして宇宙軍も破ったことに対する処分はしてみせないといけないから総司令が病気な事を理由に一時更迭って事でシャンシャン。
ほとぼりが冷めた頃に退院して現職復帰・・・ってシナリオかしら」
『そんな〜それじゃ強者の論理じゃないですか〜』
「まぁ、それなりに圧力はあったのよ。危ういバランスの上にあったと言っても良いし。こちらもナデシコCを送るっていうのが最大限の譲歩ね」
ユリカは臍を噛む。
単なる孫に甘いお爺ちゃんの暴走に見えて、水面下ではそんな政治的駆け引きがあったなんて・・・
強国の論理はまかり通って弱小国の意見は無視ですか。
でもそれにしたって・・・
『大体なんでアキトまでナデシコCに乗ってるんですか』
「そんな事アタシに言われてもわからないわよ。
でも乗員名簿には予め登録されているらしいわよ」
『どうしてですか!』
「さぁ、あなたのその自称『娘』って子が色々やったんでしょ?」
『そうだと思うんですけど〜』
シオンがこの件に一枚噛んでいるのは確かだろうが・・・
この状況を上手く立ち回って利用したのか、はたまた彼女によるマッチポンプだったのか。後者だとは思いたくないが・・・
「ということなんだけど、どうする?ルリちゃん」
「・・・こうなったら宇宙軍にも責任をとってもらいましょう」
「責任って?」
ユリカはそばで一部始終を聞いていたルリに相談すると、ルリは憮然とした顔でそう宣言した。
「ナデシコを追う戦艦に私達を乗せてもらいます」
「それはさすがに無理じゃ・・・」
責任を取らせるといっても、宇宙軍はあの通りナデシコCを送り出して無茶出来ない状況にいる。さすがにムネタケ参謀も首を縦に振らないだろう。
「あまり取りたくない手段ですが・・・」
ルリはコミュニケを操作するとある人物を呼び出した。
「あ、アララギ中佐ですか?
・・・ええ、ナデシコを追う艦を出して欲しいのです。
・・・無理なのはわかってます。ですから、こうしてお願いしているのです。
・・・理由ですか?暴走したナデシコを連れ戻すでも、小国の調査船の護衛でもなんとでもなりますよ。
・・・そうですか、仕方ありません。
もし艦に乗せて頂けるのでしたら、以前お願いされていた件をお引き受けしようかと思っていたのですが・・・
ええ、かまいませんよ。水着ですよね?
スクール水着は名札付きですか?マニアですねぇ・・・かまいませんよ。
その代わり、撮影会の写真は絶対部外秘でお願いしますよ。
ええ、わかりました。それで手を打ちますから是非艦隊の編成をお願いします。
では」
しばらくウインドウの向こうの人物と話し込んでルリは通信を切った。
・・・はぁ〜〜〜
すごい長い溜息。
「ルリちゃん・・・捨て身だねぇ〜」
「ええ、今回だけは背に腹は代えられませんから・・・」
自分を切り売りした事に心の中で慟哭の涙を流すルリであった。
さてさて、奥さん'sの一人、メグミ・レイナードが目を覚ましたのは病院のベットであるが、目覚めたときには全てが手遅れであった。
「というわけで君は病院にかつぎ込まれたんだ。
幸いただの貧血なので少し休んで行かれればすぐに退院出来ますよ」
『次のニュースです。昨夜、東京のXX地方にて暴れ牛の大群が民家に突入して全壊させたという事件がありました。
被害にあった家はテンカワ・・・』
病院の先生の話と新聞、それにTVのニュースが自分が何故気絶してこんな所にいるかを教えてくれた。
「夢じゃなかったんだ・・・」
クラァ〜〜
「大丈夫ですか、レイナードさん!?」
もう一度卒倒しそうなメグミを医者は大慌てで介抱すると、預かっていた手紙を渡した。
「手紙・・・ですか?」
「ええ、あなた宛の郵便です」
「・・・私がここに入院したのって偶然ですよね?」
「多分」
「なら、誰がこの手紙を?」
「さぁ」
医者も首を傾げるが。他にメグミ・レイナードという人物に心当たりがない以上、医者はその手紙を彼女に渡す他なかった。
メグミはビリビリと手紙の封を切ると中の便せんを取り出して読んだ。
一瞬、メグミは凍り付く。
だが、その顔はすぐに真っ赤になった。
『パパと一緒に木星のプラントを探検してきます♪
by.シオン♪』
折しも、そばにあるTVだけが淡々と今日のニュースを伝えていた。
『次のニュースです。本日平塚行きの高速道路にて、暴れ牛とフライングフィッシュの戦闘があったとの市民からの通報がありました。
ホームビデオに撮られたその様子からはその子細を確認できませんでしたが、一部で住居を薙ぎ倒すという報告もありますが幸い怪我人はいませんでした。
警察及び軍関係はその事実を確認しておらず、暴れ牛説を支持しております。
続きまして・・・』
クシャ!
TVの音はメグミが手紙を握りしめた音でかき消された。
ただならぬ雰囲気に冷や汗をかく医者。
と、ちょうどその時、タイミングがいいのか悪いのか、所属する芸能事務所のマネージャーさんが彼女の見舞いにやってきた。
「メグちゃん〜♪
どう、木星プラントのレポーターをやる気になっ・・・!?」
罪もなく、朗らかに最大限愛想良く入ってきたマネージャーさんだが、彼女を迎えたメグミが振り返って見せた顔は思わず生まれてきたことを後悔させるような形相であった。
「マ〜ネー〜ジャー〜さ〜ん!」
「は、はい!何でしょうか!?」
「ちょっとこっちに来〜て〜下〜さ〜い!」
「でも、私これから別の打ち合わせが〜」
「いいから!」
「はい!」
般若の面でゆらりと近づいてくるメグミに、回れ右して逃げ出したい気持ちでいっぱいだったが、しっかり両肩を掴まれては逃げようがなかった。
「それでは私はこれで〜」
「あ、ドクター!?そんなゆっくりなさって構わないんですよ〜
というか一人にしないで〜〜」
そそくさと退場するお医者さん。
一人メグミの殺気を浴び続ける哀れなマネージャーさん。
しかしそのメグミの口から着いて出たのは意外な、いや彼女にとってはある意味望んでいた言葉であった。
「マネージャーさん!」
「な、なんでしょう〜〜」
「レポーター、引き受けますよ!」
「はい!?」
「さぁ、一刻も早くプラントに行きましょう!
さっさと行きましょう!」
「でもいろいろと準備が・・・」
「スクープが逃げますよ!ほら急いで!」
メグミはマネージャーさんを引き連れてさっさと退院してしまった。
同じ病院にかつぎ込まれたあと二人の女性はというと・・・
やはり同じ手紙を渡されており、怒り心頭状態であった。
「アカツキ君!これは一体どういうことなの!」
『いやぁ〜どういう事って僕に言われても〜』
「知ってたんでしょ!この事!」
『さぁ〜何の事かな〜』
「知ってたのね!
知ってて私に無駄な事務処理を手伝わせたのね!
キーーーー!!!」
『落ち着け、エリナ君。僕は本当に知らないんだってば〜』
「うちも戦艦を出しなさいよ!」
『出しなさいよ、って君ねぇ〜それは無理ってものだよ』
「いいから出しなさい!」
『でも適当な戦艦もないし・・・』
「ロベリアがあるでしょ!」
『あれはいろんな意味でやばくて・・・』
「い・い・か・ら・出しなさい!」
『はい!』
とか、
「・・・ルリ姉」
『なんですか?』
「行くんでしょ?プラント」
『行きますけど』
「私も連れてって、というか連れてけ」
『あなたはお家でお留守番をして・・・』
「家、なくなった」
『え!?なくなったって・・・』
「暴れ牛に蹂躙されたらしい」
『蹂躙って・・・』
「だから一緒に行く」
『でもあなたは試験が・・・』
「アキトを取り戻す」
『ラピス・・・』
「行くったら行く!」
『・・・わかったわ、じゃ宇宙軍まで来なさい』
「うん」
ってな感じでそれぞれ独自のツテを頼って木星プラントへ向かうことにするのであった。
「済みません、アクア様。ご期待に添えずに」
「あらあら、良いんですよ〜♪」
「良いで済ますな!」
サクラがアキ捕獲失敗の報告を申し訳なさそうにしたが、アクアは寛大に許した。
けれどシャロンはくたびれた様子で辟易していた。
「うわぁ〜すごい♪」
「まるで豪華ホテルみたい♪」
「すごい、このベッド、トランポリンみたいだよ〜うめっちもやってみなよ♪」
「わぁい、本当だ〜♪」
「こら、あなた達、はしゃぐのはやめなさい!」
「そうですわ。サクラ姉さまじゃあるまいし、お里が知れますわよ」
病室の中をはしゃぎまわるお子達。もちろん六人衆娘。である。
シャロンは既に彼女達の保母さんと化していた。
「ほらほら、あなた達、ケーキがありますよ〜♪」
「「「「「「わ〜い♪」」」」」」
アクアの手招きにケーキに群がる六人衆娘。達。
「シャロンちゃんも子供達の扱いを上手くならないと将来お嫁さんになれませんよ」
「子守が上手くなりたくてこんな所にいるわけじゃないのよ!
っていうか、私はこんな事を問題にしているわけじゃなくて!」
シャロンは机をバンバン叩いてアクアに詰め寄る。
「昨日の騒動は一体なに!」
「何って・・・黒百合のお姫様捕獲大作戦♪」
「だからって堂々と市街地に機動兵器を繰り出すな!!!」
非常識な姉の行動にまたもや机をバンバン叩くシャロン。
「あのねぇ、私がそのフォローをするのにどれだけ苦労したと思ってるのよ!
付近の警察や駐屯軍には圧力をかけて出動させないようにしたり・・・」
「さすが、シャロンちゃん♪」
「報道管制を敷いて事を公にしないようにしたり・・・」
「さすがに暴れ牛とチュパカブラはないわよねぇ」
「いや、スカイフィッシュかと」
「あら、そうだったわね♪」
「どっちにしてもセンスないわよねぇ〜♪」
「そうですわね♪」
「アハハハハハ♪」
「笑うな!」
アクア達に嘲笑われるシャロン。
・・・というかお前か?あの苦しい言い訳を考えたのは?
「まったく、私が何でこんな苦労をしなければいけないのよ〜」
「まぁ気にしない方がいいですわ」
「ダメな妹たちを持った気持ちはわかります」
「ファイトですよ♪」
「サクラ姉さまも負け組ですけど、立派に生活できてますし」
「や〜い、負け組、負け組♪・・・って負け組ってなに?」
「落ち込んじゃダメよ」
項垂れているところを六人衆娘。らに肩をポンポン叩かれる。
「負け組負け組ってうるさい!
っていうかケーキ手づかみでクリームベタベタになった手で触るな!!!」
「「「「「「わぁ〜シャロン様が怒った〜♪」」」」」」
まるでトムとジェリーの追いかけっこのように部屋の中を走り始めるシャロン達。
「済みません、妾の部下達が・・・」
「いいですわよ〜♪シャロンちゃんを元気づけてくれて嬉しいですわ♪」
「いえ、あれはおちょくっているだけですが・・・」
「それよりも、私達もそろそろ出かけましょうか♪」
「出かけ・・・る?」
サクラはアクアの言葉に首を傾げる。
するとアクアはごく当然のようにこう答えた。
「もちろん、木星のプラントに決まってますわ♪」
「ちょっと待て!行くって!?」
さっきまで六人衆娘。達を追いかけていたシャロンがアクアに掴みかかった。
「ええ。もう既に戦艦も用意しているの。
もちろん艦長さんはシャロンちゃん♪」
「なんですって!!!」
「あの〜アクア様〜妾は〜」
「もちろん、サクラさんには引き続き黒百合のお姫様を捕縛して頂くためにも一緒に乗船していただきますよ♪」
「あ、ありがとうございます!」
「こら!勝手に話を進めるな!」
アクアの中ではナデシコを追って木星プラントに出かけることは決定事項のようであった。解雇を言い渡されると思っていたサクラは引き続き雇われて、しかもアキお姉さまを追いかけられるとあって感涙を流していた。
しかし一番貧乏くじをひいているのはシャロンであった。
木星に行く気など更々ないにも関わらず、アクアの中では木星行き決定の様子だ。
「私は行かないわよ!なんで私が!」
「だって、紅薔薇さま役がいなくなるわけにはいかないじゃないの♪」
「はぁ?」
「元紅薔薇さま役の小笠原幸子さんも乗り込んでるのよ〜」
「おい」
「あと白薔薇様とその妹のキャストは追々話すとして〜」
「こら」
「サクラさん、黒百合のお姫様との決闘シーン、期待してますからね♪」
「は、はい!わかりました!」
「だから一体どういうつもり!まさか・・・」
そのまさかのようである。
「もちろん、黒百合のお姫様をスカウトしたら、その場で現地ロケを行うにきまってるじゃないの〜♪
だってせっかく本物の『逆さまの城』だってあるのに」
「撮影する気なの!?」
本気だったのか、『学園革命エルドラドレリルレル』の映画化、しかも今話題騒然、下手したら戦場になりかねないその場で映画撮影してしまおうなんて・・・
「もちろん、本気ですわ♪」
アクアはカメラ目線でニッコリそう宣言するのであった。
さてさてさて、一方場面は変わって、ナデシコC。
アキトとシオンの挨拶が終わって二人が退室したあと、一人廊下を歩いているシオンに迫り来る影が!
「ちょっとお待ちなさい!」
「ん?なに?」
振り返ったシオンが見た者は、見覚えのない女性クルーの一団であった。
「見覚えがないって失礼ね!先ほどブリッジで挨拶したでしょう!!!」
「・・・覚えてない」
「覚えてないですって!ムキ〜!!!」
「まぁまぁコトネ先輩〜」
後輩のミカ・ハッキネンに羽交い締めになって取り押さえられるカザマツリ・コトネ。
そう、シオンを取り囲んでいるのはコトネ率いる女子クルーの面々であった。
「いや、マジで覚えがないんですけど。っていうか、何か用ですか?」
シオンはマジで尋ねる。
ナデシコCの一般クルーと対面するのは今回が初めてだ。なのにあれだけの短期間にこれだけの不機嫌な女子クルーに囲まれる覚えなどなかった。
「まぁこの子はしらばっくれて!
本当に心当たりがないとでも仰るの?」
「ええ、全然」
「まぁ、聞きました、皆さん!」
「聞きましたとも!」
「なんて不貞不貞しいんでしょ!」
口々に非難がましい声を上げる女子クルー達。
しかし、シオンには全くわからなかった。自分がなんで詰め寄られているのか。
「私たちの艦長をどうやって誑かしたの!」
「はぁ?」
「どうせ色目を使ったに決まってますわ!」
「そうよそうよ!」
「艦長の純情無垢な性格につけ込んで・・・何てふしだら!」
「いや・・・あの・・・」
ちょっと待て、今なんと言った?
誑かした?
色目を使った?
それって・・・
「あなたが私たちの艦長を色仕掛けで操っていることは先刻承知なのよ!」
コトネがそう叫びながらシオンににじり寄った。
そう言われてシオンの頭の中で主語と述語、誰が誰にという空欄が埋まっていった。
「アハハハハ!」
「なにがおかしいんですの!」
「いやぁ〜マジありえないから、それ♪」
あまりにも予想外のことを言われてシオンは爆笑した。彼女達はシオンとケンがデキていると思っているようだ。あまりにも分かり易すぎる反応である。
「それで、あなた達はなに?私の艦長を取らないでって?」
「悪いんですの!?」
「っていうか、何でテンクウ少佐なわけ?」
シオンにとってケンはいい人ではあるが、それだけである。
彼女の理想はもっと高い。まぁ一番身近にそういう男性がいるのだから仕方がないが、彼は父親アキトと比べても全然ときめかない。
人間、自分の興味を持っていない相手を好きになる人の気持ちなどわかろうはずもなかった。
「なんでって・・・」
「あんな人畜無害な人のどこが良いの?」
「人畜無害ですって!?」
「コトネ先輩、誉められてるんですって」
いや、そのフォローもどうかと思うぞ、ミカ君。
「艦長は宇宙軍唯一のオアシス、プリンスなのよ!」
「はぁ?」
コトネは拳を振り上げて主張し、他の者もウンウンと頷く。
「はぁ?」
「あなたにはわからないでしょうけど、宇宙軍の男子将校が如何に不作か」
「はぁ・・・」
「カイゼル髭!」
「おかっぱのオカマ!」
「角刈り!」
「ロン毛なナンパ!」
「影の薄い彼女持ち!」
「ショタ萌えかと思ったら美少女ゲーオタだったし〜」
「唯一まともだと思ったのにロリコンだったの〜〜」
「どこにまともな男子将校がいるって言うの!」
「いやぁ〜私に言われても〜」
いちいち指折り数えて言われ、不思議と名前と顔が浮かび上がるから不思議だ。
つまり、今の宇宙軍には彼女達女子クルーをときめかせる男性クルーは皆無のようである。
「だからってテンクウ少佐なんて・・・」
天空ケン似だろうと続けることは叶わなかった。女子クルー達の視線が刺すようであったからだ。
「私達ケン艦長親衛隊に断りもなしに艦長にベタベタして欲しくないのよ!」
「そうよそうよ!」
「もしどうしてもというのなら、私達の親衛隊に入って許可を取ってからにしてもらいます」
し、親衛隊・・・
シオンはくの字になって大声で笑いたい衝動に駆られたが、刺すような視線を浴びてどうにか堪えた。
とはいえ、素直に親衛隊に入って彼女達にお伺いを立ててからケンに接触していては、計画遂行に置いて何かと支障が出て仕方がない。
「で、嫌だと言ったら?」
「・・・親睦を深めるために一緒にお手洗いにでも行きませんか?」
「うわぁ〜ベタすぎ・・・」
「では、ご同行いただけると思ってよろしいのね?」
「はいはい、それで気が済むというのなら行きましょう」
シオンは女子クルーの一団に囲まれるように女子トイレへと向かった。
数分後、何事もなかったようにトイレから出てくるシオン。
「さてと、そろそろ食堂に行かないとパパに怒られちゃう〜」
さっさとその場を立ち去ろうとするシオンをトイレの中から這い出した人物が呼び止めた。
「ま、待ちな・・・さい・・・」
「おお、私の攻めに耐えられるなんて」
「う、うるさい!」
這い出してきたのはコトネであった。
息は絶え絶え、頬は上気していた。
・・・一体なにがあった?
「し、知らなかった・・・あなたがバイだったなんて・・・」
「失礼ね!私はノーマルよ!!!」
「イヤァ〜ン!」
足腰の立たないコトネの腰を思いっきり踏んづける。
しかし踏まれた本人は何故か悶える。
「私はねぇ、生まれてこの方、こういう境遇で育ったのよ」
「S?」
「違う!」
「イヤァ〜ン!」
あ、また踏まれて嬌声をあげた。
「私を取り囲んでどうにかしようって奴が多かったってこと。
まぁそのおかげでそんな奴らのあしらい方だけは上手くなったけどね」
「そ、そんな・・・」
「そんなことより、早く食堂に行かなきゃ。パパに怒られる〜」
力つきるコトネを後目にシオンはさっさと立ち去った。
「テンカワ・シオン・・・侮り難し・・・パタリ!」
コトネが息絶えたあと、トイレの中から『お姉さま♪』とか『女王様♪』とかもだえ声が聞こえたとか聞こえなかったとか。
その日を限りに『テンクウ・ケン親衛隊』が解散し、新たに『テンカワ・シオン親衛隊』が出来ることは余談である(笑)
「送れてごめんなさい〜」
食堂ではコックの服を着たアキトが黙々と明日の朝食の下拵えをしていた。
その顔はムスーっとしており、遅れてやってきたシオンを一瞥すると言葉も交わさなかった。
「パパ、やっぱり怒ってる?」
「・・・」
うわぁ、無言だ。怒ってる怒ってる。
隣でラピがアキトの下拵えを手伝っているが、さすがAI、微動だにせず黙々と仕事をこなしている。普通の人間だったら気まずくて耐えられないだろう。
「じゃ、私も手伝います・・・」
シオンはそそくさとコックの服に着替えてアキトの手伝いをする。
シャリシャリ・・・
ジャガイモを剥く音だけが静かに食堂に響きわたる。
「やっぱり怒ってる?」
「・・・」
「そりゃ怒ってるわよね・・・無理矢理宇宙まで引っ張ってきたんだから・・・」
しおらしく尋ねるシオンにアキトは溜息をついてシオンの手を握る。
「包丁を持ち方が微妙に悪い。こうだ」
「あ、ありがとう・・・」
「・・・別に怒ってない。が、相談はして欲しかった」
「ごめんなさい・・・」
180度意味の違う返事を次々とするシオン。
やはり父親の前では調子が違うようだ。
「それよりもどうしてなんだ?」
「なにが?」
「新プラントに行きたいだけだったら一人で行けるだろう」
「え?」
「聞いたよ。Sクラスのジャンパーだって?
直接新プラントまで跳躍できるだろうに、こんな面倒くさいことしなくても」
「ああ、無制限じゃないのよ。ポイント制だし」
「はぁ?」
「この前時間移動に大分使っちゃったし、いざというときのためにいくらか残しておきたいからなるべく既存のチューリップやゲートを利用して節約しないと」
「???」
彼女にもボソンジャンプは無制限に使えるわけではないらしい。
「それに・・・」
彼女にとってそれは大した意味はないみたいな口振りであった。
「パパと一緒に行きたかったの・・・」
「俺と一緒に?なぜだ?」
「だってあのプラントは私がパパと始めて行った場所・・・
そして初めてパパを好きになった場所だから」
「俺を好きに?」
「そうよ。私って初めはパパのこと大嫌いだったのよ」
「え?」
伏し目がちに言うシオンの表情はそれが真実であることを物語っていた・・・
そこには既に出発寸前の戦艦がゴロゴロしていた、
辺りは出航準備で騒然とし、関係者が走り回っていた。
港には入りきれない戦艦は上空で待機するなどという光景は滅多に見れるものではない。
物珍しいのか、野次馬は大勢集まり、反対団体はシュプレヒコールをあげる。
はたまた自分の国の戦艦を応援する団体まで現れる始末。
そしてそれをおもしろおかしく伝える報道陣の姿でごった返していた。
もう既にお祭り騒ぎである。
そんな中、一際大きめのプレスボートの上にレポーターが現場の状況を生中継で伝えていた。
「はい、こちら現地レポーターのメグミ・レイナードです!
ご覧の通り、木星惑星軌道上に発見された新プラントの調査団はその規模をどんどん膨らませながらその出発を今や遅しと待っている最中です。
今入った未確認情報によれば、宇宙軍の抜け駆けにより事前協定のほとんどは破棄され、戦闘の禁止、救難者の救出協定以外は完全に自由競争という事となったようです。
現在皆様に見ていただいているように各国の調査隊は大急ぎで出航の準備を整え、他国を出し抜こうと懸命の努力が続いております」
そう、直前まで協定により一緒に飛び立つはずだった各国の調査船は一旦場所替えを行ったあと、この場で自国の追加船籍を待つもの、宇宙で合流する手はずにして一刻も早く飛び立とうとするもの、はたまた自国のもっと足の速い戦艦に乗り換えようとするものなど対応で大わらわであった。
そんな中をメグミは必死にレポートしていた。
「さぁこのように各国が血眼になって探索しようとする新プラント。
さてそこになにがあるのか?どんなものを我々人類にもたらすのか!
興味が尽きません!」
と、言ったそばから戦艦の一団が出発を開始した様子で、それを見ていた群衆がどよめいた。当然実況生中継のレポーター陣は色めき立った。
「おっと、早速行動を起こしたのはヨーロッパ連合の艦隊です!
では私達も早速彼らの艦隊に密着取材を敢行したいと思います!!!」
レポーターのメグミは大急ぎで中継用の宇宙艇に乗り込んで、映像は船外カメラの映像に切り替わるのであった。
「にしても・・・みんなどうしてそこまでして新プラントに行きたいんだ?」
アキトはばつが悪そうに敢えて話題を外す。
つけてみたTVのニュースはどこもナデシコの後追いをしようとする艦隊の話題でいっぱいだった。
「ここまで血眼になってまで欲しいモノがこれから向かうところにあるって言うのか?」
アキトははぐらかしついでにシオンに尋ねる。
まぁ、ひょっとしたら火星極冠遺跡と同じぐらいインパクトのある新技術でもあるというのなら、各国とも血眼にもなるだろうが・・・
少なくとも、あの場所の事に関して今一番詳しいのは未来から来たシオンであろう。
その彼女に聞くのが一番手っ取り早かった。
しかし、彼女の口から出たのは意外な言葉であった。
「何もないよ」
「そうか、何もないのか・・・え?」
待て待て待て、ナデシコCがこれだけの大立ち回りを演じて飛び出して、これからもっと大きな騒動に発展しそうな事件の元が何もないだって!?
「何もないってどういう事だ!」
「だから何もないのよ。まぁトラップとか色々あるけど、みんなが欲しがるようなモノは全然」
「おいおい、それはシャレにならないだろう・・・」
確かにシャレにならない。
が、それはアキトが拙速すぎたのかもしれない。
「パパ早合点しすぎ」
「早合点?」
「何もないとは言ったけど、それは私があのプラントに行った時の話。
2215年の事だもの」
「そ、そうか・・・そうだよなぁ」
今から12年後の話だ。確かにそれぐらい未来になったら何もかも運び出されているかもしれない・・・
「いや、それはないわよ」
「それはないって・・・」
考えている事を見透かされているのか、シオンに否定されてしまった。
では一体なんだというのだ?
「確かに2215年には何もなかった。
そして公式発表でも何もなかった事になっているの」
「やっぱり何もなかったんじゃないか」
「だから、公式発表って言ってるでしょ」
「あ、そういう事か」
どこかの国がプラントに一番乗りして全てを隠匿・・・
公式発表は何もなかった事にされたという事か・・・
「だから君はそこに何があるのか知りたいわけか」
「半分は当たり」
「半分?」
「一番乗りをしたのは誰だと思う?」
「誰って・・・」
「プラントに一番乗りしたテンカワ・アキトさんの証言によればプラントには何もなかったそうです。実際その証言を信じなかった各国はプラントの隅々まで調査しましたが何も出てきませんでした・・・」
「おい、ちょっと待て・・・」
シオンはレポーター風に言うが、アキトにそんなことを楽しんでいる余裕はなかった。
第一発見者は俺って事か?
アキトはその事実に内心驚いた。
しかし・・・
「本当になかったのかもしれないじゃないか」
「だから知りたいんだよ。2215年、私が見たパパのあの表情が何だったのか。
そして本当にあの場所には何もなかったのか・・・」
シオンは切なそうに言う。
それでもアキトにはシオンがそこまであのプラントにこだわる理由がわからなかった。
そんなアキトの顔色を察したのか、シオンは口を開いた。
「それじゃ、どうして私がパパを嫌いだったのか、どうしてパパを好きになったのか、あの時の事を話しちゃおうかな・・・」
シオンは重い口を開き始めた。
それはシオンがようやく物心付いた頃
彼女がまだ10歳にも満たない年齢の話、
時は2215年、場所はこれから向かう新プラント
父の背中だけを見つめていた娘の物語でもあった・・・
「妖精万歳!」
「「「「「妖精万歳!」」」」」
「ビバ!スク水!」
「「「「「ビバ!スク水!」」」」」
会場は興奮のるつぼであった。
フラッシュはバチバチ焚かれ、スポットライトは主役を照らしていた。
「ルリ姉!これは一体何なの!」
「いやぁ良かったです。一時は私が水着のモデルにならなければいけないかと思ってました〜」
「だから一体何の事なの!」
「・・・ルリちゃん、悪だねぇ」
ルリはやれやれとハンカチで頬を拭いていたが、ラピスはアララギ以下妖精愛好倶楽部のメンバーに囲まれてスクール水着を着させられた後、写真撮影をされていた。
ユリカはラピスに同情するのであった。
まぁそのおかげでアララギのライラックに乗艦できることになったのであるが(笑)
ということでナデシコNG第8話をお届けしました。
一応場つなぎという事で特別何があるお話では無かったのですが、
タイトルも直前まで間奏とかinterrudeとか、そういうのを付けようとか思っていたんですけどね。
次回からは少し寄り道して2215年当時のお話を数話ほどしようかと思っています。
何故、シオンが過去に戻ってまでアキトとプラントの調査に行きたかったのか、上手く書いていきたいと思います。
ちなみにアキトはちょっとだけトゲトゲモードに戻ってます。ちょっぴり劇ナデ状態に戻っているのかな?あと、エステにも乗りません。
あと、シオンは明るいように見えて実は色々陰で苦労しているところを徐々に触れていきます(今回も少し触れてますが)
まぁそろそろシリアスな感じで行きたいかなぁ〜とか思っております。
ということでおもしろかったなら感想をお願いします。
では!
Special Thanks!!
・戸豚 様
・あめつち 様
・YSKRB 様