アバン


時は2203年
一人の少女がこの地に降り立ちました。
彼女は未来からの来訪者。
母を捜して三千里

折しも時は古代火星文明遺跡の発掘ラッシュ
戦争が終わって一段落した人達が目を向けたのは未開の新天地
そんな最中にやってきた彼女がどんな騒動を巻き起こすのか・・・

ああ、これって一応黒プリの続編だったりそうでなかったりしますのでよろしく〜



君が望む悪夢


彼は自分の主治医に言う。
この非常識な事態は一体何なのだ?と。

「で、結局ナノマシーンのスタンピードでまた元の女性の体に戻ってしまうと?」
「まぁそういう事ね」
「んな、むちゃくちゃな!
 短時間でDNAを書き換えて姿が変わるなんて!
 いくら何でも科学考証無視しすぎですよ!」
「・・・気にしちゃ負けよ!」
「いや、負けとかそういう問題じゃ・・・」
「遺跡の力を舐めちゃいけないわよ」
「そんな理由で納得して良いんですか!?」
「良いのよ」

言い切る主治医。
しかし本当に良いのか?科学者として。
これじゃSF(サイエンスフィクション)じゃなくてただのフィクションだぞ?
彼はそう突っ込みたい気持ちを抑えるので精一杯だった。

・・・とはいえ、こういう状態になってしまった以上、この体と付き合って生きていかなければいけないし、治療法も見つけなければいけない。

「で、一体どういう周期で変身するんですか?」
「放って置くと1週間に一回ぐらいかしら?だけどある程度意図的にスタンピードを起こすことによってコントロール出来るわ」
「意図的に・・・スタンピードを起こす?」
「そうよ。大体1週間に一回ぐらい自分の都合の良いときに変身すればそれ以外の時に変身することはないわ」
「はぁ・・・」

まぁ、何にせよ変身するタイミングをコントロールできるのはありがたい。

「で、どうやってコントロールするんですか?」
「これよ」

ちゃららちゃっちゃちゃ〜

定番の音楽とともに机の上に置かれたのは・・・

「・・・これ、おもちゃ?」
「失礼ね!これでもハイテクの粋を極めたアイテムなのよ」

彼はこれ呼ばわりするが、主治医は憤慨して胸を張る。
しかし、机に置かれたモノといえばハイテクには程遠い。
そう、これと同じモノを良くおもちゃ屋で見かける。しかもどちらかといえば幼児向け、それも女の子向けのコーナーで。

「・・・なんか魔女少女が持つ変身スティックみたいに見えますが?」
「もちろん、魔法のバトン風に作ってみたわ♪」
「・・・こういう形にしなければいけない必然性でもあるんですか?」
「いいえ、私の個人的な趣味♪」
「余計なことしないで下さい!!!」
「ああ〜ん〜」

ガッシャン!

彼は卓袱台返しを主治医に見舞う。
そりゃ怒るだろう(笑)

「ちなみに変身の呪文はピピルマピピルマプリリンパパパレホパパレホ・・・」
「あなたがその呪文を空で言える年代だっていうのはわかりましたから」
「ちょっとどういう意味!?」
「その呪文ももちろん個人的な趣味ですよね?」
「だって魔法少女には呪文がつきものじゃないの」
「魔法少女から離れて下さい!」
「だって婦人警官さんになあれぇ〜とかするでしょ?」
「しません!」

これは機動戦艦ナデシコです。魔法少女モノにしないで下さい(笑)

「しかたがないわね。地味目で面白味がないのも作ったんだけど・・・」
「いや、こういうモノは地味で目立たない方が良いですけど・・・」

そりゃそうだ。変身している最中を見られて正体がばれないのはアニメの中のお約束だけである。
主治医が取り出したものはというと・・・

「赤い眼鏡?」
「そうよ、こう目に当てて・・・」
「ジュワ!とか言うんですか?」
「あら、よくわかったわねぇ♪」
「魔法少女の次はウルトラマンですか!!!」
「あら、ウルトラセブンよ」
「大して違いませんよ!」
「全然違うわ。ウルトラセブンはウルトラマンじゃないのよ?だってウルトラとセブンの間にマンがないでしょ?」

マニアにはこだわりがあるらしい。彼は頭を抱える。

「仕方がないわねぇ・・・じゃいつものバイザーに仕込んだわ」
まともなのがあるならさっさと出して下さいよ、これだから60年代生まれの人は・・・
「何か言った?」
「いいえ、それよりもこれを使うとどのぐらい変身しているのですか?」
「このカラータイマーが点滅するぐらいかな?」

・・・またまた取り出したのは某ウルトラマンの胸に付いていたモノと同じやつだ。

「だからウルトラマンから離れて下さいって言ってるじゃないですか!!!」
「冗談よ。大体10分ぐらい」
「最初からそう言って下さいよ・・・」

アキトは試しにバイザーを装着する。
すると体が熱くなり、眩い光に包まれる・・・

「・・・変身派手っすね」
「シクシク・・・呪文を唱えてポーズを決めて欲しかった〜」
「そんなことで泣かないで下さい!!!」
「まぁそんなことは置いておくとして」
「立ち直り早!」

泣いたと思ったらあっさりと復活して真剣な顔になる主治医。

「どう?調子良い?」
「良いですよ」
「でしょうね」
「でしょうね?」
「ええ、いまスーパーサイヤ人状態だから」
「はい!?」
久しぶりに女性に戻った感触を確かめる彼に主治医はとんでもない事を告げる。

「だから普段の3倍のパワーがでるから」
「・・・本当ですか?」
「ウソ」
「ウソなんかい!」

相変わらずこの人の相手をすると疲れる。しかし主治医はまた真顔で言う。
けれど今度こそマジの忠告の様だった。

「一つだけ忠告しておくけど、あまり短い間隔で変身しないように」
「何でです?」
「DNAが定着しちゃうから」
「定着・・・ですか?」
「そうよ」
「で、定着するとどうなるんですか?」
「もちろん、一生女性のまま♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・・
 そんな恐ろしいことをにこやかに言わないで下さい!!!

つまり変身は多用するなということだ。
言われなくてもするつもりはないのだが・・・

「良いこと聞いちゃった♪」

背後から黄色い声が聞こえてきた。
彼は静かに首を後ろに向ける。
そこにいたのは・・・

「やっぱりパパがママだったのね♪」
「これは違うんだ〜!」

現れたのは彼の娘、しかも変身して女性になっているところをバッチリ見られてしまっていた。

「ずっと変身し続けるとママのままでいられるのよね?」
「もしかしてギャグですか!?」
「いいえ、もしかしなくて本気です♪」
「どうするつもりだ〜!」
「もちろん、パパにずっとママになってもらうの♪」
「うわぁぁぁぁぁ!」



テンカワ・アキトの自宅


毛布をがばっとはねのけて起きあがるアキト。

良かった、夢だ・・・

しかしリアルな夢だったなぁ〜
・・・って思い出した。少なくとも夢の前半部分は確かに数日前イネスに言われたことだ。
なぜならそこのテーブルの上にバイザーとともに魔法のバトンと赤い眼鏡とカラータイマーが置かれていたからだ(笑)



NadesicoNG(Next Generation)
第1話 お父さんと一緒



テンカワ家アキトの自室


はぁぁぁぁぁ〜〜〜

アキトは深い溜息をつく。
せっかく男に戻ったというのに、娘がやってきたり、女性の体に変身したり・・・
おまけに娘には女だとバレないように生活しろと?
漫画じゃあるまいし・・・
ほとんどナデシコを逸脱していると思うのは気のせいだろうか?

アキトは気落ちしながらベットから起きあがった。
まだ朝の6時。
退院後、新居に移って数日経過した。
誰が手配したか知らないが、部屋数も多い一軒家だ。
その家にはアキトと5人の奥さん・・・

『アキト〜朝御飯出来たわよ♪』
『アキトさん、ご飯が出来ましたよ♪』
『アキト、ご飯、起きて』
『アキトさん、朝御飯ですよ〜』
『アキト〜ご飯よ』
朝食を作ってくれる奥さん達を想像してみるが・・・

ドンガラガッシャン!
チュドーン!
バリバリバリ!

朝からキッチンが壊滅的破壊を起こしている光景しか思い浮かべることが出来ない。
仕方がない、朝食でも作るか・・・

アキトはもっそりと起きあがってキッチンに降りていこうとした。
すると、キッチンからいい匂いがしてきた。

「ん?キッチンに誰かいるのか?」
「あ、パパ、おはよう〜」

キッチンから声が聞こえてくる。
そうか、我が家の住人は自分と5人の奥さんだけじゃなかった。

「パパ、もう少し待っててね♪すぐに美味しい朝御飯を食べさせてあげるからね♪」
「アキト様はそこに腰をかけて待っていて下さいね」

キッチンには娘であるシオンとメイド姿のラピが朝御飯の用意をしていた。



テンカワ家キッチン


料理をしているシオンを眺めるアキト。
最初はハラハラドキドキしようと身構えていたのだが、観察を開始してから30秒でそれは杞憂だとわかった。

トントントン
シャーーーシャーーー

手際は悪くない。むしろ良い方だ。
どのぐらいかというと2197年ぐらいのアキトぐらいだ。
所々で独学っぽい動きをしているが、ちゃんとしたコックに従事すればかなりの線まで行くのではないか?

さすが自分の娘とウンウン頷く親バカアキト(笑)

「どこで料理を覚えたんだ?」
「ん?独学だよ。パパのを見様見真似で♪」
「見様見真似・・・」

シオンはあっけらかんと答える。
ふぅ〜ん、見様見真似ねぇ・・・
それでここまでの腕になるというのは大変な努力をしたのだろう。
でも、見様見真似ということは・・・

「未来の俺は君に料理を教えなかったの?」
「え?」
「いや、なんで見様見真似なのかなぁ〜と思って」
「パパは厨房に私達を入れなかったし」
「私達?」
「ママ達も含めて」
「あ、なるほど・・・」

確かに一人の侵入を許せばどんな騒動になるか想像に難くない。

「ふぅ〜ん・・・なら少しだけコツを教えてやろう」
「え?良いの♪」
「ああ」

アキトは腕まくりをしてシオンの横に立った。
シオンから包丁を受け取るとトントンと千切りを行う。

「どうだ?」
「へぇ〜〜早い〜〜なるほどなるほど」
「わかるか?」
「わかるわよ」

さすがに聡い子らしい。一を聞いて十を知るようだ。
この努力する精神をなぜあの5人が持ってくれない・・・とアキトは愚痴をこぼす。

「あとあと、味付けも教えて欲しいの♪」
「味付け?」
「そう、お味噌汁。合わせミソなんだけど・・・」
「ん・・・煮干しを煮すぎだな。もう少し早く引き上げた方が良い」
「だし入りに慣れちゃってて〜この家、だし入りミソないんだもの〜」
「料理人が手を抜くな」

コツン

「えへへ♪ごめんなさい♪」

アキトはシオンの頭を小突くが、本人は嫌がるそぶりなど見せずむしろ満面の笑みを浮かべて喜んだ。

「まぁまぁ、シオン様ったらお父様に甘えちゃって♪」
「ら、ラピったら冷やかさないでよぉ〜」
「未来のアキト様はなかなかシオン様を甘やかさなかったんですけどね♪」
「ラピったらもう!」
「あはははは・・・」

キッチンにはほのぼのとしたホームコメディーのような雰囲気が漂っていた。



キッチンの入り口付近


キッチンの入り口では甘いムードが漂う室内に入れない乙女達が悔し涙を流していた。

ユリカ「うじゅぅぅぅ〜私がアキトの奥さんなのにぃ〜」
メグミ「でもさすがにあの雰囲気の中に割って入るのは・・・」
ルリ「料理さえ出来ればこうまで出し抜かれませんでしたのに・・・」
ラピス「やっぱり小娘は敵!」
エリナ「ど、どうせあんな朝食不味いに決まってるわよ。
 私の娘だし」
ルリ「エリナさん、自分で言ってて空しくありませんか?」
エリナ「む、空しくなんかないわよ!」
メグミ「自己矛盾に陥ってますねぇ」
ユリカ「大丈夫、シオンちゃんは私の娘だから料理は美味しいわよ♪」
ラピス「その根拠のない自信はどこから出てくる」
ユリカ「根拠のない自信なんかじゃないもん!本当に私は料理がうまいもん!」
ルリ「とかなんとかもめている間に、あんな事やこんな事を・・・」
一同「ああああああ!」

キッチンの中の様子に歯ぎしりをし、壁に爪を立て、ハンカチを噛みしめて悔しがったそうな(笑)



テンカワ家ダイニングルーム


テーブルには質素ながらも美味しそうな朝食が並んでいる。
その朝食を囲むのはひぃふぅみぃ・・・合計7人だ。
もちろんアキトの横はシオンで、対面が5人の奥さん達。
ちなみにメイド姿のラピは横に控えて番茶など入れていたりする。ラピは機械のボディーだから食事など摂らないのだが・・・英国メイド風なのに日本茶とはこれ如何に?

さてさてテーブルにはご飯にお味噌汁、塩ジャケ

「和食ですね」
「ママ達って和食は嫌い?」
「嫌いじゃないけど・・・」
「まぁママ達はせいぜいトーストに目玉焼きぐらいが関の山でしょうけどね」
「!!!」

シオンの挑発に奥さん達は激怒した。そう、シオンは明らかに挑発している。

エリナ「わ、私はスクランブルエッグを作れるわ!」
ルリ「アレは目玉焼きの出来損ないでは?」
エリナ「う、うるさいわねぇ!」
ユリカ「私、ビーフストロガノフ作れるよ〜♪」
メグミ「あれはチャーシューじゃないんですか?」
ラピス「牛肉でチャーシューを作れるのも一種の才能か・・・」
シオン「やっぱりママ達は相変わらずね♪」
一同「なんですって!」

足の引っ張り合いをするママ達を鼻で笑うシオン。
あ〜メラメラと嫉妬の炎が燃え上がる(笑)

「まぁまぁママ達、食べてみてよ♪」
「どうせ不味いに決まって・・・」

はむはむ・・・ゴックン

「く、悔しいけど・・・」
「美味しい・・・」
「ああ、懐かしきコンビニ弁当の日々にバイバイ♪」
「アキト君の料理には及ばないけど、これはこれで・・・」
「でもユリカにはまだまだ敵わないかな♪」

シオンちゃんのお料理、絶賛賞味中

「まぁキッチンでラブラブしたかったらママ達もこのぐらいの腕になることね」
「何ですって!」

あ〜また挑発ですか、シオンちゃん(笑)

「ふむふむ木星の惑星軌道上に新たなプラント発見か・・・」

ガサゴソガサゴソ

アキトはわざとらしく新聞を広げる。

エリナ「あんたも食事中に新聞を広げないの!」
メグミ「というか、今の時代コミュニケで情報が配信されてくるのに、紙の新聞をとっている家庭なんかないですよねぇ」
ルリ「それは自分は関わり合いたくないというジェスチャーですか?」
アキト「・・・」
ユリカ「ああ、これって姑にいびられているのを夫は助けてくれないお嫁さんって感じで良いかも♪」
ラピス「ユリカって案外マゾ?」
ユリカ「マゾじゃないもん!可愛いお嫁さんだもん!」

『はいはい』とユリカに心の中で突っ込むも、新聞に逃避するのもどうかと思うぞ?とアキトを睨む一同。

しかし、一人だけ違う反応をした少女がいた。

「あら、あのプラント、ようやく発見されたんだ」
「ん?シオンちゃん、知ってるの?」
「もちろん。知ってるよ」

シオンの表情は複雑だった。
まるで懐かしいような、好奇心満々のような、そんな顔であった。

「第一次古代遺跡発掘ラッシュの始まりだからね」
「遺跡発掘ラッシュ?」
「そう、未来じゃ木星の近くにあるプラント以外にも色々プラントが見つかってるの。
 色々な無人兵器とかテクノロジーとかにわかトレジャーハンターがタケノコのように生えてきたのよ」
「ふぅ〜ん」

未来はそんなことになってるんだ〜
と一同は感心する。
確かに戦争も粗方ケリが着いたから、人々の目も別のモノに向いたのだろう。

「しかし、古代火星人の遺産って夢幻城に木星のプラントと火星極冠遺跡だけじゃなかったのねぇ〜」
「ってユリカママ、そんなに呑気にしていて良いの?」
「え?」

ほのぼのとしていたのをシオンに指摘されるユリカ。
全然気づいていないようだ。

シオン「ユリカママの職業は?」
ユリカ「アキトの奥さん♪」
シオン「じゃなくて」
ユリカ「ん・・・」
ルリ「ユリカさん、古代火星テクノロジー管理公団の理事長じゃないですか」
ユリカ「え?そうだっけ?」
エリナ「そうだっけじゃないでしょう・・・」

古代火星テクノロジー管理公団とは第三次火星極冠事変(通称東郷の乱)後に設立された団体である。誰もが欲しがり、それ故に国家間のもめ事のタネにもなる古代火星文明を管理するために設立された公的機関である。
名目上はボソンジャンプの管理が役割であるが、実体は古代火星遺跡と名の付くもの全てを管理している。そんなことが出来るのも夢幻城から大幅な権限を移譲されたユリカの威光のおかげでどろどろとした利権争いの中でも各国と渡り合えている。
ボソンジャンプにおけるパブリックゲートの管理は昔の海路を牛耳っているのに等しいほどの権力が発生するのだ。

とはいえ、その長であるユリカがこんな調子でいるということははある意味平和な証拠なのだろうが・・・

ユリカ「じょ、冗談だよ。忘れるわけないじゃない♪(汗)」
ラピス「忘れてたね」
メグミ「多分ね」
ルリ「というか絶対ですね」
ユリカ「でもそれが何か?」

ユリカは首を傾げる。まだわかっていないようだ。

シオン「だから、発生するでしょう?
 発見した人の所有権とか、国への帰属権とか」
ユリカ「あ・・・」
ルリ「下手したら戦争ですからね」
アキト「なるほど、それを調停するのが管理公団ってことか」

噂をすれば影、
早速ユリカのコミュニケがけたたましく鳴り響く!

「はい、ユリカで・・・」
『理事長!何のんびりされているのですか!』
「あやや、あなたは秘書さん!」

えっと黒プリ14話に登場のユリカさんの秘書です。
幸か不幸かまだユリカの秘書です(笑)

『忘れていただいていないようで光栄です』
「いえ、どういたしまして(汗)」
『どういたしましてじゃありません!さっさと公団まで出勤して下さい!』
「へ?」
『へ?じゃありません!
 理事長はニュースを見てないんですか!
 新たなプラントが見つかったんですよ!
 どこかの国が既成事実を作ってしまう前に公団の管理下に置かないと!』
「で、でも・・・私お飾りだし・・・」
『理事長以外に誰が新しいプラントを公団の管理下に置くって厚かましい交渉が出来ると思ってるんですか!
 あなたの非常識な能力と押しが強く厚かましい性格はこういうときに発揮されるべきなんですよ!』
「私、そんなに非常識じゃないもん〜」
『問答無用です!すぐに迎えに行きます!』
「そ、そんなぁ〜」
「というか、もう到着しました!」

秘書さんはコミュニケに話しかけながら家に乱入してきた。

「さぁ理事長、行きますわよ!」
「そんなぁ〜」
「お話は車の中でします!その足で連合評議会に跳びますわ」
「せ、せっかくアキトとスウィートでラブラブな生活が始まるはずが〜」
「しばらく泊まり込みですからそのつもりで!」
「そんなの泊まり込みの用意なんて出来てないもん〜」
「ああ、ご家族の方、後で着替えなど取りに戻らせていただきますのでその際はよろしくお願いします」
「はぁ・・・」
「ちなみに今までサボっていたお仕事も全部こなしてもらいますからね!」
アキト〜浮気しちゃダメだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

取る物もとりあえず、ユリカは拉致られてしまった。
遠ざかるユリカの捨てゼリフ・・・もとい遺言、いやいや悲鳴が周りの笑いを誘った。

エリナ「自業自得ね」
ルリ「まぁ普段の行いが悪いですからね」
メグミ「その通りですね。ライバルが一人減りました♪
ラピス「哀れね」
シオン「でも、ママ達もそんなに呑気にしていて良いの?」
一同「え?」

ライバルが一人減ったことをほくそ笑む四人。
しかし人を呪わば穴二つ、明日は我が身、同じ悲劇が彼女達を襲った。

「ラピラピ〜学校に行くわよ〜!」
「み、ミナト!?」

ドカドカドカ

ミナトがキッチンに乱入してきてラピスの前に仁王立ちになった。

「ラピラピ、あんた出席日数足りなくて落第寸前なのよ!」
「え?落第って?」
「あんた、高校に通っているのを覚えてないの!?」
「・・・そんな設定もあったっけ」←同じく黒プリ14話参照

ちなみにミナトさんはラピスの学校の数学教師でもある。
第二子をご出産後、産休明けで学校に出てみればラピスの落第スレスレを発見したらしい。

「まったく私がお産で休んでなければこんな事態にはしなかったのに!
 わかったわ!しばらく私のお家に泊まり込みでみっちり補習してあげるから来なさい!」
「え、でも私は別に高校なんかもうどうでも・・・」
「アキト君、ラピラピが留年するなんて嫌よね?」
「あ、ああ・・・」
「ということだからラピラピ連れて行くわよ?」
「お願いします・・・」
「アキト〜私を捨てないで〜」

ミナトの気迫に気圧されるアキトはあっさりと承諾した。ミナトは早速ラピスを連れていった。フェードアウトするラピスの泣き声がみんなの耳にこびりついた。

被害者はそれだけでは済まなかった。

「メグミさん、帰ってきてたんですね!」
「あ、あなたはマネージャさん!?」

部屋にドカドカと入ってきたのは初登場、メグミが所属しているプロダクションのマネージャーさんだった。

「今までどこに行っていたんですか!」
「いや、まぁその・・・なんですか・・・」
「『メグミ・レイナード失踪か!?』なんて芸能雑誌を飾るのを必死に押さえ込んでいるんですよ!さっさと溜まっているお仕事を消化して下さい!」
「え〜〜そんな〜〜」
「そんな〜〜じゃありません!既に影武者じゃ限界なんです。
 これからCM撮影が2本、アフレコが春の特番にレギュラーが3本、シングルCDにアルバム用の撮り直し、グラビア撮影に雑誌のインタビューが両手で数えられないぐらいあるんです!
 しばらくは不眠不休ですよ!」
「嫌〜〜!」

メグミも拉致監禁された。
被害者は続く。

「あ〜もしもしエリナくんかい?」
『あ、ロン毛1号』
「君までそう言うかい(泣)」
『な、なによ、アカツキ君・・・』

今度エリナのコミュニケに現れたのはネルガル会長アカツキ・ナガレである。

『お願いしたいことがあるんだが』
「私はもうあなたの秘書じゃないでしょ?」
『そうなんだが・・・月臣君が逃げた』
「はぁ?」
『さすがにこれだけ仕事が溜まると逃げ出したくなるらしい』

映し出される背景には堆く積み上がった書類の山であった。
さすがのエリナも絶句する。

「・・・何をどうやったらそこまで溜まるのよ」
『いやぁ〜月臣君に任せっきりだったから〜』
「って彼はシークレットサービスの人で秘書じゃないでしょ!」
『あれ?そうだっけ?』
「私が秘書だった時は全企業でネルガルが一番決済の滞りがない事が自慢だったのに!!!」
『そういう事なんで・・・助けると思ってお願い!』

画面の向こうのアカツキは拝むように両手を合わせて頭を下げた。
やれやれと溜息をつきながらエリナは渋々ネルガル本社に向かう事にした。




そして奥さん'sの中ではルリだけが最後に残った・・・



「私はどこにも行きませんよ」
「多分無理だと思うけど」
「行きませんったら行きません」
「だから無理だと思うって」
「それでも私は行きません。
 あなたとアキトさんを二人っきりにするなんて、今まで討ち死にしたユリカさん達の遺志を受け継ぐ為にも私はここに残る必要があるんです」
「でも、ルリママ、後ろ・・・」

必死に見ないふりをするルリに指摘するシオン。
彼女はひたすら無視するも、ルリの周りにはコミュニケが飛び回り必死にアピールしている。もちろん、そのコミュニケに映っている人物はというと・・・

『ルリさ〜ん〜!オモイカネが〜オモイカネが〜』
「・・・」
『ルリさ〜ん、無視しないで下さいよ〜』
「ハーリー君、私はもうあなたの上司ではないんです。ましてや同じ軍人でもないんですよ」

情けないの代名詞、マキビ・ハリである(笑)

『わかってます〜〜でもルリさんしか頼れる人が〜〜』
「私は行きませんよ」
『そんな事言わないで下さいよぉ〜
 オモイカネがグレちゃったんですよ〜』
「・・・グレた?」

思いもかけぬハーリーの発言に驚くルリ
オモイカネがグレる?

「そうなんです。実は・・・」

聞いていくと馬鹿馬鹿しくなるが、某女子高生育成シミュレーションゲームのごとくオモイカネの特定のパラメータを伸ばしていったらパラメータが偏ってグレてしまったという事らしい。

『やっぱり門限を7時にしたというのが良くなかったんでしょうか?』
「・・・」
『それともパパ大好きって言わせたのがまずかったんでしょうか?』
「・・・」
『それともオモイカネの日記をこっそり覗き見したのがいけないんでしょうか?』
「オモイカネをグレさせる事が出来るのはあなたぐらいです!」
『ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!』

心底怒った様子のルリに怯えるハーリーだが、今の事態をどうにかする事の方が先だ。
確かにナデシコCのメインスクリーンにサングラスに長ランで不良座りをしているイラストを掲げたウインドウが浮かんでいるのは問題だろう。

チラリとアキトを見たルリだったが、ふぅと溜息をつくと出かける準備をした。

「アキトさん・・・」
「なんだい?ルリちゃん」
「私、信じてますからね」
「何を一体心配してるんだ、君は(苦笑)」
「ルリママ行ってらっしゃい〜」
「行ってきます・・・」

アキトの腕を組んで行ってらっしゃいの挨拶をするシオンを見たルリの後ろ姿をアキトは忘れない。
紅蓮に燃え上がる怒りのオーラが見えた気がした。
多分、この後ハーリー君はシゴかれるんだろうなぁ〜と他人事のように同情しする。

もちろん、彼女達が帰ってきたら自分も厄介な事になるんだろうなぁ〜と憂鬱になりながら再び溜息をつく。




さてさて、ユリカ達がいなくなったキッチン。
残ったのはアキトにシオンにラピである。



「あいつら朝食食べ残したままで行っちゃったなぁ〜」
「そうそう、パパ、食後の運動に付き合って欲しいんだけど」
「食後の運動?」

娘からのお願いに眉をひそめるアキト

「あのなぁ、まずは朝食の片づけをしてからだ」
「えぇ〜片づけはラピがしてくれるよ〜」
「ダメだ!自分の分は自分で片づける!」

父親ぶりたいのか、それとも料理人の性なのか、他人任せにしようというシオンを叱るアキト。なるほど、こういう甘やかされたっぽいところがあるから未来のアキトは厨房に入れようとしなかったのかもしれない。

けれどそれも無理からぬ事かもしれない。

「あら、それでしたら私が片づけさせて頂きますが」
「ラピ・・・さん」
「ラピでかまいませんわ♪
 それよりも片づけは私がさせて頂きます」
「でも・・・」
「私はテンカワ家のメイドですから♪」

それが当たり前の日常だったのなら、こういう事を言う娘になってしまうのだろう。
ちょっぴり頭をかくアキト。

「それよりもパパ、食後の運動に付き合ってくれる?」
「ん・・・付き合うって一体何を?」
「もちろん、これ♪」

シオンは礼をする。
礼は礼でもある特有の人達に通じる礼だ。
そう、木連式柔で組み手を始める前に行う礼である。

「稽古を付けて、パパ」
「・・・結構使えるんだったなぁ」

そんなところまでアマガワ・アキに似なくても良いだろうに・・・とちょっぴり困るアキトであった。



テンカワ家・トレーニングルーム


誰が気を回して作ったのか、どこにそんなにお金があったのか、
テンカワ家の地下には立派なトレーニングルームがあった。
トレーニングルームといってもほとんど剣道場のような板張りである。
もちろん、掛け軸なんかかかっているわけもない。

ただ何もないだだっ広い空間だった。
けれど防音設備もしっかりしているようだ。
武術の訓練するには十分の環境だ。

さてさてそのトレーニングルームに二人の人物が入ってきた。

一人はテンカワ・アキトだ。
半袖の黒いシャツに下は黒のスウェット、足は素足だった。

「うわぁぁぁ、パパの体、引き締まってるぅ〜♪」

もう一人の人物は黄色い歓声を上げる。
確かに胸板も厚いし、半袖のシャツからこぼれ出る両腕は筋骨隆々ではないけど無駄な筋肉も脂肪も付いていなかった。

「あのなぁ、別に筋肉で戦うわけじゃないぞ」
「わかってるって♪」

彼女はあっけらかんと笑っていった。
そう、もう一人はテンカワ・シオン
彼女も黒いタンクトップに膝の中程までしかない黒のスパッツだった。
もちろん両手両足とも素足である。

「・・・へそを出すな、へそを」
「なによぉ、そんなにスタイルが悪いっていうの?」

シオンは少ししなを作ってセクシーポーズを決める。
いや、そんなポーズを決められても娘に欲情する父親はいないって、と苦笑するアキト。

にしても・・・

シオンはストレッチを開始する。
その様子を見ているとデジャブを感じる。
いや、まぁ自分はここまで露出はしなかった。というか、ほとんど黒のインナースーツ姿で過ごしたから素肌を出したことはほとんどないのだが・・・

それにしても目の前で女性だった頃の自分と瓜二つの女性が自分と同じ武術の動きをしているというのはすごく複雑な気分になるアキトであった。

「パパ、手加減しないでよ」
「はいはい」
「あ〜〜大したことないって思ってるわね!
 見てらっしゃい、私の実力を思い知らせてあげる!」

ビシッと指さされてもアキトは今一つ本気になれない。
アキトにも色々複雑な心情があったりする。

「ではお願いします」
「うむ」

シオンが礼をとるのでアキトもつられて礼をする。
そして両者は構えた。
シオンが柔道のような構えを取るが、アキトは両手をだらりと降ろしたままだ。

『やっぱり独学なのか・・・』
アキトは彼女の構えからなんとなくそう思う。
筋は悪くないが、自分の流儀とも微妙に違うみたいだ。
未来の自分は彼女に武術を教えなかったのか?それとも別の誰かから教えてもらったのか?

「ハアアアアア!」

シオンは気合いを入れて攻撃を仕掛けてきた。
でもアキトは思う。

『気が先走りすぎているなぁ・・・』

シオンが仕掛けてきた波陣にアキトは後から掌底を繰り出した。
それはほぼ同時ではなく、若干遅れてである。
彼の柔術の神髄は先の先、つまり相手の技が発生する前に制することだ。
つまりどちらかが先に技を繰り出すかが勝負の基本になる。
が、アキトはシオンに先を譲った。

後の先を取る・・・
相手に先に攻撃をさせ、その上で相手に対応する技を繰り出すという事である

アキトはシオンの掌底に左手の掌底をぶつけた。
しかし力はいらない。
受け止めるのではない。避けるのでもない。
ただほんの少しシオンの掌底に別のベクトルを加えるだけだ。
するとシオンの掌底はアキトの左耳の脇をかすめていく。本当はアキトの顔面を狙っていたはずなのに。

「え?」

そのままアキトはほんの少し上半身を前にかがめる。
右手はシオンの左肩を軽く押す。
すると面白いようにシオンの体のバランスが崩れた。
シオンはこらえようと踏ん張るが、瞬間にとてつもない重さを感じた!

「うわぁぁぁ」

アキトはただ軽くシオンに寄りかかっただけだ。だが瞬間に力が掛かっただけで想像以上の重さを感じるのだ。
踏ん張りが効かなくなってシオンは仰向けになって倒れそうになった!

「!」

尻餅をつく寸前、シオンはさらにビックリする。
顔面に肘打ちが来たからだ!

「いぃぃぃぃ!!!」

シオンは必死で首を傾ける。

ドスン

首を60度ぐらい傾けてようやくアキトの肘をかわすことが出来た。しかしかわせなかったらマジで死んでいたところである。背筋が寒くなった。

「パ・・・パ・・・?」
「これが波陣の応手、待駒だ。
 技を覚えたてのひよっ子の鼻っ柱を折るために使う」
「・・・」
「先の先をかわされてしまえばどうなるか・・・その恐怖を教えることがこの待駒の本来の役割だ」
「そ、そうなんだ・・・」

シオンはようやく声を発することが出来た。それ程までに恐かったのだ。

「ちなみに本来の待駒はこの後も絡みが続く。逃れようとするひよっ子の動きをとことん先回りして追いつめる技だ。
 今は君が戦意を喪失して最初の一手でやめたが、本来は後十数手ぐらい続く。
 全てかわし切れれば皆伝をあげよう」

アキトは呆然とするシオンにそう言うがどこまで理解できているかその表情から察するに妖しい。
とはいえ、シオンにも理解できたことが一つ。

「・・・手加減されたの?」
「いや、未熟だったってだけさ。君の実力なら後二、三手ぐらいはかわせるかな?」
「つまり私ってまだまだってこと?」

シオンはうなだれる。少し過去のパパといい勝負が出来たぐらいでいい気になっていたなんて・・・

「そうじゃない。我が流儀は先の先を極める。
 けれどそれをかわされてしまえばどうなるか、その恐怖を君は知らない。それを知らない内は本当に極めたことにならない」
「それって・・・」
「もう一度かかってこれるかい?」

アキトはおいでおいでと手招きをするが、シオンの膝は笑って上手く立てない。

「ちょ、ちょっと・・・膝が・・・」
「本来真剣勝負とは恐いものだ。
 特に抜刀術もそうだが、先の先はかわされれば無防備に近くなる。
 かわされる恐怖を知って、それでもなお波陣を繰り出せるか・・・
 極めるとはそう言うことだ」
「そんな・・・」

アキトは言う。
かわされる恐怖を知っているからこそ、かわされまいと繰り出す一撃に魂がこもると。
抜刀術が最初の一刀を磨きに磨いているのはそういう理由だと。
恐怖はあと一歩の踏み込みを躊躇させる。
それを乗り越えてあと一歩踏み込む一撃こそが神速に達するのだと。
それは恐怖を知らぬ無謀者が繰り出す一撃とも、死を恐れぬ自暴自棄の者が繰り出した一撃とも違うのだと。

シオンはうなだれた。
そこそこ強いと思っていたのに・・・
未来の世界じゃパパぐらいにしか負けなかったのに・・・

「って事は私ってば、パパの上っ面だけしか真似てなかったのね。
 トホホ〜〜
 道理で過去のパパにすら勝てなかったはずね」
「まぁ独学でやっていたのなら仕方がない。
 心配しなくても6年前の俺よりはセンスがあるよ」

しょんぼりするシオンを慰めるアキト

「でも過去のパパは私と組み手をしたときも余裕そうだったけど?」
「そりゃ、恐怖を知ってるからね」
「恐怖?」
「そう、先の先をかわされたときの恐怖を嫌って程ね」

そう言えばアキさんに扱かれたっけ、というかアキト君を扱いたっけ・・・とアキトは回想する。アキとして鍛えた記憶とアキトとして鍛えられた記憶もあるのですっごい複雑な気分だが。

「恐怖を知ってもなお一歩踏み込む勇気、それが極意ってことさ」
「ふぅ〜ん〜」

いっぱしの父親ぶり・・・もとい師匠ぶりをするアキトは娘の尊敬の眼差しに気づいて慌てて表情を引き締めた。ちょっぴり赤くなって頬をポリポリとかく。その様子を見たシオンはクスクスと笑いだした。

「やっぱりパパって素敵♪」
「な、何だよ〜」

シオンは嬉しくなってアキトの腕に抱きついた。

「やっぱりパパって私の思っていたとおり素敵だった」
「・・・未来の俺はそんなに酷いか?」
「いつもムスーっとして恐いよ、ぶっきらぼうで。けど、たまに優しいし。
 優しいのはわかってるけどあんまり私には微笑みかけてくれなかったなぁ〜」
「あ・・・それはすまん」
「何で未来の自分のことで謝るのよ〜」
「いや、何となく・・・これからは好かれる父親を目指すよ・・・多分」
「出来もしないくせに♪」

シオンはクスクス笑うが、アキトは思う。
未来の自分は娘にどういう風に接しているのだろうか?
気難しいのかなぁ・・・あまり黒百合の頃から変わっていないとしたら少し情けない。

「でも良いんだ。これでパパがママ達の尻に敷かれているだけじゃないんだってわかったから♪」
「・・・尻に敷かれてるのか?」
「思いっきり!」
「・・・トホホ」

自分は未来でも威厳がないのかとアキトは肩を落としてしょげた。
今度はシオンが彼を慰める番だ。
よしよしとシオンはアキトの肩を叩いた。

するとちょうどタイミングを計ったように上の階から声がかけられた。

「シオン様、アキト様、そろそろお茶にしませんか〜〜」

ちょうど切りも良いので二人は今日の組み手を終わることにした。

「お茶♪お茶♪」
「おい、礼ぐらいしていけ・・・」

シオンが身を翻してさっさとトレーニングルームを出て行くのをアキトは止めようとしたがやめた。無邪気な姿を見ているとまだまだ子供なんだなぁ〜と思ってしまったからだ。
娘も持ったこともないのに結構親バカだなぁ〜と苦笑するアキト。

だからかもしれない。

「私ね、実は小さい頃、パパやママ達のこと嫌いだったんだ・・・」
「ん?何か言ったか?」
「いや、何でもない♪」

アキトはシオンの些細な呟きを聞き漏らしてしまった・・・



ポストスプリクト


ということでナデシコNG第1話をお届けしました。

なかなか話が進みませんねぇ〜
ユリカ達が多少脇に追いやられている気がしますが(汗)
でもまぁまだまだ序盤だし良いかとか思います。

ぼちぼちストーリーを進めつつも、親子のラブラブモードなどを書いていきたいなぁ〜と思います。まだアキトが視点で書いているところもあるので徐々にシオン視点に移っていきたいなぁ〜というか、移らないと(苦笑)

上手くいけば次は宇宙軍本部辺りのお話になるんじゃないかなぁ〜と思います。
さてさてどんなお話になる事やら

ということでおもしろかったなら感想をお願いします。

では!

Special Thanks!!
・龍崎海 様
・戸豚 様
・Chocaholic 様
・YOH 様
・kakikaki 様
・にゃ♪ 様