Nadesico Second Revenge
Appendix クロニクル



はじめに


このページは今更ですが、Second Revengeに関する様々な情報を載せていきたいと思います。
本当は連載中に出せ!って気もしますが、完結してまとめておく理由も兼ねてます(笑)

いつの間にかこっそりと増えちゃうかもしれませんが、ご了承下さい



ナデシコ艦隊組織体系


いまいちわかりづらいナデシコ艦隊の組織ですが、次のような表に要約されます

参謀本部
役割、役職 ナデシコC(旗艦) ナデシコB ユーチャリス
提督(艦隊最高責任者) テンカワ・ミスマル・ユリカ准将
副提督(艦運営監督者) ホシノ・ルリ中佐 アオイ・ジュン中佐(兼艦長補佐) テンカワ・アキト(中佐待遇)☆
艦長(艦運営責任者) ホシノ・ルリ(兼務) テンクウ・ケン少佐 テンカワ・アキト(兼務)
副長(次席艦運営責任者) タカスギ・サブロウタ大尉 マキビ・ハリ少尉(心得) エリナ・キンジョウ・ウォン(少尉待遇)☆
戦闘指揮官 テンクウ・ケン(兼務) テンカワ・アキト(兼務)
防衛指揮官(ダメージコントロール) 不明 フジタ少尉(兼副長補佐) 空席
主席会計監査官 プロスペクター☆ エリナ・キンジョウ・ウォン(兼務)
戦術オブザーバー ゴート・ホーリー(大尉待遇)☆ 空席
スタッフ
役割、役職 ナデシコC(旗艦) ナデシコB ユーチャリス
BJナビゲータ テンカワ・ミスマル・ユリカ(兼務) イネス・フレサンジュ(技術少尉待遇)☆ テンカワ・アキト(兼務)
オペレータ(兼システム管理者) ホシノ・ルリ(兼務) マキビ・ハリ(兼務) ラピス・ラズリ(少尉待遇)☆
主席操舵士 ミナト・ハルカ(少尉待遇)☆ 不明 ワンマンオペレーションにより配置されず
次席操舵士 不明 不明 同上
主席通信士 白鳥ユキナ(軍曹待遇)☆ カザマツリ・コトネ軍曹 同上
次席通信士 不明 ミカ・ハッキネン軍曹 同上
ゲスト通信士 空席 メグミ・レイナード(軍曹待遇)☆ 空席
エステバリス隊隊長 タカスギ・サブロウタ(兼務) スバル・リョーコ中尉 テンカワ・アキト(兼務)
エステバリス隊員 空席 アマノ・ヒカル(少尉待遇)☆
マキ・イズミ(少尉待遇)☆
他・・・
空席
整備班班長 ウリバタケ・セイヤ(技術少尉待遇)☆ 空席
整備班副班長 空席 サリナ・キンジョウ・ウォン(技術少尉待遇)☆
整備班員 不明 不明 空席
医療班班長 イネス・フレサンジュ(兼務)
医療班員 不明 メグミ・レイナード(兼務) 空席
食堂班班長 ホウメイ(庶務曹長待遇) 空席
シェフ テラサキ・サユリ(庶務軍曹待遇)☆ ホウメイ(兼務) 空席

いくつか注意点があります。
☆印は基本的にネルガルからの出向者扱いです。
軍事作業上、階級を与えられていますが、これはあくまでも宇宙軍傘下の艦隊ということで、その運営を円滑に進める上で与えられた階級です。
従ってナデシコ艦隊以外では宇宙軍、統合軍内部でこれらの階級はなんの権限も持ちません。

ユーチャリスは艦隊内でもかなり異色の存在で、基本的にはユリカ以外の権限者からの指示、指図は受け付けない権利を持ちます。
そしてほぼ実質4名で運営されていることからも、あくまでもネルガルからの協力派遣されていると考えた方が妥当です

組織としてはなにやら人員が多いように見えますが、兼務が多く、実際として艦隊内の決定事項はユリカ−ルリのラインで決められている事がほとんどです。
(というよりほとんどはルリが決裁を肩代わりしているといっても過言ではありません(笑))

組織としてのトップはユリカとしても、対外的にナンバー2の立場にあるのはジュンです。
しかしそんなのは有名無実で実質的にナデシコのナンバー2はルリであることは周知の事実です(笑)
いや、その発言力から言っても普段のナンバー1はルリかもしれません。

技術士官、ならびに庶務士官はそのテリトリーにおける役割にだけ利く階級です。
だから技術士官は階級が偉くても戦闘には口出しできません。

さて、提督は艦隊の最高責任者でおおよその何でも実行できる権限がありますが、それを罷免する方法が存在します。それは副提督3人の三人一致による不信任動議の発動です。
つまり三人一致して不信任されると提督はその執務権限を停止させられてしまいます。
もっとも、ナデシコ艦隊でユリカの意見に反対する強者がいるかというと・・・
いないのが実情です(笑)
あと、罷免できるのは医療班班長が医療診断にて「職務遂行に際し著しい身体障害あり」と判断されちゃうとやはり職務を停止されちゃいます。

ハーリーの心得ってやつは・・・
役職だけは与えられているけど、階級不足なので但し書きが付いているだけです(笑)

プロスペクターに関しては階級がありません。
外部の監察官扱いだからです。
もっとも監察官と呼ばれるくらいですから階級の権限が無くても資金の不正な使用があれば告発できる権限があるのでかなりの強権も発動できます。

最後に事変末期にはユーチャリス二番艦「ロベリア」がナデシコ艦隊に編入されている形になりますが、これはあくまでも急場のドサクサ紛れにロベリアに作戦行動権を与えるための苦肉の策で、上記表に含めるほど組織が確立していた訳じゃありません。
位置的にはユーチャリスに近い扱いになりますが、全ては事後承諾なのでその条件だったとしても大変怪しいです。
艦長は月臣元一朗となっていますが、アカツキ・ナガレが表に現れないためのダミーという説が有力です。



この時代の機動兵器の考証


さてさて世間ではブラックサレナは異様な強さの機体という評価を受けていたり、実は欠陥兵器だ評価を受けていたりしますが(笑)
本作でナデシコ艦隊がブラックサレナの量産機サレナカスタムを導入するのはきわめて計画的に行われました。

さてそれを解説する前に、この当時どういう機動兵器が存在していたのか見てみましょう。

まずは統合軍の虎の子、ステルンクーゲル
これはレールカノンを標準装備した最新鋭の機動兵器です。
劇中でブラックサレナに簡単にやられているようですが、これには大きな誤りがあります。
この機体は元々レールカノンによる中長距離射撃によりDフィールドによる防御を中心としていた戦艦およびジンタイプの木連大型機動兵器に対抗することを主眼におかれています。
近づく前にレールカノンの掃射による殲滅。Dフィールドによる防御に依存していたそれらの兵器に対して非常に有効な戦術です。
これがこの機体の戦術フォーマットであり、事実火星の後継者達に対して優勢といっていい戦果を上げていました。

次に火星の後継者の積尸気
クーゲルと同じバッタのエンジン系を乗せた積尸気ですが、夜天光の量産機ということで性能はそこそこ。
でもその神髄はボソンジャンプによるゼロ距離攻撃にあります。
先のステルンクーゲルはのこのこ近づいてくる敵を蜂の巣にすれば良かったのですが、積尸気はその防衛ラインを突破するどころか、無傷で懐に飛び込み攻撃するという戦術を採用したわけです。
それは統合軍を半壊に追い込んだことで証明されています。
ただし量産性を高めるためとボソンジャンプにエネルギーを回すためにレールカノンは装備されず、武装は実体弾に頼ってます(だから長期戦は無理)
ジャンプも1回限定なのでまさにDEAD or ALIVEというリスクの高い機体です。

さて積尸気のコンセプトを先鋭化したのが夜天光と六連
さらに積尸気にも付いてましたが、回転式タ−レットノズルと可変式のバーニアを多数追加することで傀儡舞というアクロバットな動きを実現し、敵を翻弄します。
そしてそれは一対多の戦闘で真価を発揮します。
武器もレールカノンなどのエネルギーを消費するものを避け、錫杖やミサイルなどの実体弾にてDフィールドを破ろうとしました。
高い運動性で敵を翻弄しつつ接近戦で決着をつける・・・まさに接近されるとほとんど手のつけられない強さを誇る機動兵器です

最後にネルガルのエステバリス
機体は既に旧式という評価を受けてますがバランス的には一番優れている機体です。
ですが一番のネックはスタンドアローン時のエネルギー総量が少ないこと。
これは外部から重力波ビームでエネルギーの供給を受けていることから来る制約です。
このことは
・ボソンジャンプを行うエネルギー容量がない
・カスタム機でないとレールカノンを装備できない
・重力波推進では運動性は悪くはないがとびきり良くもない
という結果的には同世代の機動兵器に比べて中途半端な仕様となり、敵の戦術フォーマットにはまると劣勢に陥るという弱点を孕んでいました。
(もちろん、次世代機アルストロメリアでは幾分解消されますが)

これらに対抗するためにアキトがエステバリスに手を加えていってブラックサレナに至った過程を見ると次のようになります。
・ボソンジャンプを出来るようにする→BJ試作型エステバリスを使用する
・運動性をあげる→運動量増加のために重力波推進の他にガスバーニアを多数追加する
・それでも夜天光達の攻撃をかわせない→被弾性をあげるために装甲を厚くする
・重量増加により運動性が落ちる→ガスバーニアをさらに追加する
・夜天光達に攻撃を当てる→威力はあっても当たりにくい大型なレールカノン、インチ砲よりも取り回しのいいハンドカノンに切り替える



サレナ部隊の戦術フォーマット


さてさてここまでをふまえて、この時期に活動したナデシコ艦隊が望んだことは何でしょう?
・ボソンジャンプが出来る
・少数精鋭にて多数の敵と戦う。つまり一対多が当たり前となる
・レールカノンなどのDフィールド攻略兵器と渡り合う
・夜天光などの運動性の高い機動兵器と渡り合う

そう考えた場合、同時期の機動兵器達を見ればブラックサレナが一番理想的だったのはわかるでしょうか。

もっとも全てをブラックサレナとする・・・というのはナンセンスです。
アキトクラスのパイロットはほとんどいないし、第一それはパトカーを全てF1カーにしろと言っているのに等しく、部隊構成の柔軟性を欠きます。

そこでサレナカスタムは極端にとんがったブラックサレナの操縦性をより平均的なものに落としています。
その上で装備も工夫し色々な作戦に対応できるように工夫しました。

標準武装はハンドカノンとハンドランサー
ハンドカノンはブラックサレナと同等のもの(これでもエステのフィールドは貫通する威力があります)
ハンドランサーは主に接近戦での敵Dフィールド相殺の為に用います(さすがにブラックサレナが夜天光のフィールドを打ち抜いたようなハイリスクなことは出来ないから)

特徴的なのはその他のオプション武装
中でも異色なのが大型フィールドランサーであり、全長は20mにも上る、まさに斬馬剣ともいえる代物です。重量も相当あるのでサレナカスタムクラスのパワーがないと扱うことが出来ません

サレナカスタムはその構造上、チャンバラや徒手空拳などは格闘戦は出来ないのですが(アキトがブラックサレナでやってましたが、アレは捨て身の戦法だからです)
このフィールドランサーは振るというよりもランサーごとブチ当たり、その質量とサレナカスタムの突進力を利用して打撃エネルギーを与えようと代物です。
だから当たると受けたフィールドランサーごと、Dフィールドごとぶった切られます(笑)
無論、回避する以外に方法はなく、スバル・リョーコが好んで使用していました。

もう一つ異色だったのがレールカノン
通常のエステバリス・カスタムが使うようなレールカノンもあったのですが、これまた全長20mのロングバレルタイプの大型レールカノンがあります。
この通常では考えられない長さの砲身は、射程距離の増大、命中精度の向上、ブリッドの射出速度の向上を飛躍的に促しました。
しかし反面、ブリッドの加速レールが長くなるということはそれだけ発射エネルギーが増大するし、反動も大きくなりこのクラスの機動兵器では扱えないシロモノです。
が、サレナカスタムはそれだけの運用キャパシティを持っているということです。
主にマキ・イズミが好んで使用しています。

このようにかなり強力な機体ですが、弱点はやはりパイロットへの負担が極端に大きいということです。
暴れ牛の上で1時間以上乗っていろと言うのと同じで、一瞬でトップスピードにのり、一瞬で静止状態に移れる機体の運動性は同時に繊細な操縦の緊張感とGショックをパイロットに与えます。
このため作戦時間は少し短めになります。
ですが、実際のところこのデメリットが目立つことはありません。

なぜなら元々ナデシコ艦隊は少数精鋭、
裏を返せば物量による長期戦を仕掛けられた場合、どんなに頑張っても勝てる見込みはないからです。
ですが、ナデシコ艦隊は元々ボソンジャンプによるヒットアンドウェイを主とし、あわよくばシステム掌握を行うのが作戦の基本です。
元々長期戦を望まないのなら瞬発力のある戦闘に注力するのは当然でしょう。

さてさてサレナ部隊の指揮官はテンクウ・ケンですが、これらの武装はパイロットの選択の後、最終的には彼が承認します。
戦闘陣形も考えて武装は選ばれているということです。

有名なのはシューティングアロー
切り込み隊長がスバル・リョーコ機(巨大フィールドランサー装備)
そのすぐ後ろで彼女をフォローするのがテンクウ・ケン機(ハンドカノン装備)とタカスギ・サブロウタ機(ハンドカノン装備)
少し後ろで三人が中央突破をして撃ち漏らした敵を掃討するのがアマノ・ヒカル機(レールカノン装備)
最後に最後衛で戦線で一番弱い部分を狙撃するマキ・イズミ機(ロングバレル・レールカノン装備)
もっともサレナ部隊の真価を発揮する陣形として有名です。

他にもリョーコもハンドカノンを装備し、比較的運動性を重視したスリースターズ
全員ハンドカノンを装備しひたすら戦場を駆け抜けるフラットファイブなどなど
他の機動兵器が比較的単機能に陥りやすいことを考えると、装備を工夫することでかなり柔軟な運用が行えることがわかって頂けると思います。



ワンマンオペレーションに関して


さて、ナデシコ艦隊はその保有する戦艦三隻ともワンマンオペレーション艦です。
しかし、ユーチャリスを除いてワンマンどころか多数の乗組員にて構成されています。
これは何故でしょう?

それを解説する前にワンマンオペレーションの利点を見てみましょう。
ワンマンオペレーションの利点は運用コストとか色々な理由はあげられますが、端的には次の言葉で表されます。
「天才による即断即決」

これは正しい戦略戦術観を持った人間が一人で決定を下した方が判断が速く正確な軍事運用が出来るという思想に根ざしています

たとえば従来の軍組織がどうなっているかというと
・索敵による情報の具申
・参謀陣による合議
・艦隊司令官による承認
・艦長以下への指示伝達
・砲手への攻撃命令

というように非常に多くの人の意志決定を経なければいけなく、その間にはそれぞれの思惑が混じり合い、最終的な判断は最適解からゆがめられ、意志決定に短くない時間が費やされることもしばしばです。
内部の意志を統一する時間すら惜しい・・・という戦局も往々にして発生しますが、組織が大きければ大きいほどこれらの意志決定には時間がかかります。
(下位指揮官への権限委譲や戦略コンピュータの導入で短縮されますが限界はあります)
その解決策として提案されたのがワンマンオペレーション
一人の天才が1艦の行動判断を行い、そして操作するという。
それを具現化させたのがナデシコB〜ユーチャリスです。

ただし、最終的にはユーチャリスで完全ワンマンオペレーションは実現されましたが、なぜかナデシコCはオペレータが併設されることになりました。
(そればかりか通常の200名程度で運用することが可能な戦艦になってます)

これは一体何を表すのでしょうか?

正直な話、劇ナデの最後の作戦はルリとイネスのふたり(強いて言えばハーリーも)がいればほぼ目的は達成されていました。
あの北辰の夜天光達ですらシステム掌握しようとすれば出来ていたのです。
(するとアキトの出番は完全になくなっていたのでPrincess of Whiteで北辰は「茶番を楽しもう」と言ったのです)

ではなにゆえナデシコCはまたオペレータ併設に戻したのか?

それはまさにそのシステム掌握にあります。
システム掌握はオペレーションにおいて最優先事項であるにもかかわらずワンマンオペレーション艦ではオペレータはその操艦という雑多な事象を処理しないといけないのです!!!

この負荷がどれだけあるのか判断は難しいのです。
劇ナデのようにジャンプアウト後、一気にシステム掌握できるならあまり負担にもならないでしょう。
しかし、その後DC版The Missionのように一端システム掌握を受け止められると途端に難しくなります。
今度は敵のシステムを突破しなければ行けなくなります。
これは時間との勝負です。
こうなればわずかな負担もしたくなくなるのは道理です。

結局のところ、システム掌握という戦術をベースにおく場合は掌握に従事するオペレータをサポートするために指揮官以下の乗員が乗り込むという、結果としては前と同じ状態に戻っていたりします(笑)
(いや、その質は全然変わっているのですが)

Special Thanks!
・chiyo 様
・Σ 様
・SOUYA 様
・AKF-11 様