アバン


それでなくったってアキトさんの周りには女性問題が山積しているのに今更メグミさんが参戦ですか?
まぁアキトさんがいないのがせめてもの救いですが、それにしてもこれほど見事にナデシコに侵入するなんて手際が良すぎません?

何とか早めに叩き出したいところなんですが・・・

ああ、一応このSSってPrincess of White とDC版The Missionの続編ですので
よろしく



ナデシコB・ブリッジ


「ってことでナデシコB一日艦長メグミ・レイナード、10:00着任しました。
 よろしくお願いします。」
「メグミさん、私はあなたが一日艦長をすることを認めたわけじゃ・・・」
あらゆる策略を使ってナデシコの一日艦長の座を射止めたメグミがにこやかに挨拶した。それに対してルリはメグミの行動を阻止しようとしたが・・・・

ドン!!!!

ルリを遮って
「ようこそ、メグミさん♪お待ちしておりました♪」
「はい。よろしくお願いします♪」
とケンはメグミの手を握って熱烈歓迎をした。さすが・・・・マニアにとって声優は憧れの対象のようである。

「ダメです!!」
二人の間に割って入るルリ。
「こんなの無効です!!副提督の私が承認していないものを・・・・」
なんとかルリもこの事実を取り消そうとした。

しかし・・・

「いやぁ♪いやぁ♪今日は取材のご協力ありがとうございます♪」
そういってテレビカメラを伴って若い男が入ってきた。
「私、今回のイベントの責任者を勤めさせていただいております、カザマツリ・サカキと申します♪
 あ、これ名刺です。今後ともごひいきにお願いします♪」
プロデューサーであるカザマツリはブリッジに入ってくるなり手当たり次第に名刺を配って愛想を振りまいた。

「カザマツリ・・・?」
名刺の名前を見たルリはイヤ〜〜な予感がした。
「カザマツリ・・・・さん・・・」
「はい?」
「あの〜ひょっとして・・・・」
ルリは恐る恐るカザマツリに尋ねるが早いか否か・・・

ドン!!!

「やっぱりアニキかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
カザマツリ・コトネがブリッジのドアを蹴破って入ってきた。
「おお、コトネ♪久しぶり♪」
「久しぶりじゃないぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
コトネはカザマツリ・サカキの胸倉をいきなり掴んだ!!!

ドリャァァァァァァァァ!!!!

ハーリー「おお、見事な一本背負い!!」
ジュン「・・・・ってコトネ君って柔道得意だったっけ?」
フジタ「宇宙軍って柔道を教練してましたかね?」

そんな外野のツッコミは無視してコトネはカザマツリの首を力の限り揺すった。
「どういうつもり!あんな女を連れてきて!!!
 私の艦長をたらし込むような女を!!!!!!!!!!!」
「そ、そうはいうけど・・・仕事だから・・・・」
「アニキはそうやっていつもいつも人の恋路を!!!」
「ゆ、許せ、妹よ・・・」

一同は兄弟のやりとりを見て納得した。
あの妹にしてこの兄あり。全く人の意見も聞かずに話を進める奴ら・・・・

「お取り込み中すみませんが・・・まだ取材の許可は出しておりませんよ。」
「はい?」
妹にクビを締め上げられているカザマツリにルリはそう告げた。
「ですから、まだ一日艦長のイベントを開く許可どころか、カメラをいれる許可もしてないんですけど」
ルリは威厳ある態度できっぱりそういう。

しかし、それが無駄な悪あがきであることにルリは気が付いていない。

「カメラを入れさせて頂くことはこの企画書にも書かせていただきましたし・・・」
カザマツリはユリカのハンコが押された書類の一番下の方を指さして答える。ツブツブの文字だが確かに書かれている。
「ユリカさん・・・・」
「すびばせん・・・」
ルリに吊されたユリカは力無く謝る。
「とにかくダメです。艦内の機密を撮影されでもしたら・・・」
「許可のないところは撮影しません。
 それに・・・」
カザマツリは手元のコミュニケのスイッチを入れる。

ワァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

『祝ナナコさん一日艦長♪』
『メグ姉がんばれ!!!』
『ルリ萌え!!!!』
などと掲げられたプラカードと共にどこぞのコンサートホールを埋め尽くす何万人の人!

「こ、これは・・・・・」
「このイベントの一つに生中継をホールのパノラマビジョンに放送する・・・っていうのがあるんですよ。それで全国から1000倍の倍率をくぐり抜けたファンの方々が集ってらっしゃるんですよ。」
「い、いつのまに・・・・」

会場は既に最高潮!ファン達の期待の眼差しからすれば、『やりません』なんて言えば暴動か自殺者が続発すること請け合いであった。

「ああ、もう一つ・・・」
カザマツリはもう一つのウインドウを開く。
それはTVのニュース番組であった。

『ここ、横浜アリーナでは劇場版ゲキガンガーのイベント企画「ナナコさんの一日艦長」をリアルタイムで見ようと3万人のファンで埋め尽くされております。
 会場の外には入りきれなかったファンがせめて様子だけでも知ろうと取り囲み大騒ぎになっております。
 本日は会場の最前列に三日前から徹夜で並んだというファンの方をご紹介したいと思います。』
『いやぁすまんです♪』

「あ、秋山少将?」
ルリはTVに写った人物を見て呆れた。

・・・インタビュアーにマイクを向けられたのは地球連合宇宙軍少将兼木連軍少将の秋山源八郎であった。

やられた。
ここで今更やらないと言ったら収拾がつかなくなる。

「ってことでイベントを続行してもかまいませんよね?」
「ええ・・・・」
ルリは承認せざるを得なかった。これが敏腕プロデューサーの手腕である。

「よくないわ!!」
ゲシ!!!!
あ、妹が兄を蹴り上げた。



Nadesico Second Revenge
Chapter27 メグミの一日艦長<後編>



再びナデシコB・ブリッジ


カメラマン「ってことで、お三人方、もっと近寄って握手してください♪」
メグミ「は〜〜い♪」
ケン「はい♪」
ルリ「はい・・・・・・・・・・」
一人どう考えても笑顔ではない人を巻き込んで艦長服を着込んだ三人が固い握手をかわすシーンをカメラが写す。
それだけで生中継の会場には拍手がわき上がる。

メグミ「今日は一日お世話になります♪」
ケン「いいえ、こちらこそ♪」
ルリ「よろしく・・・」
まん中の人畜無害なケンを除いて左右のメグミとルリは視線による密かなバトルを繰り広げていた。

「ええ、社長。ご覧のとおり、ナデシコへの潜入は大成功ですよ。
 これから例の人物の居場所を探ります。
 ・・・ご心配いりません。必ず見つけてみせますよ。」
そう言ってカザマツリはそのバトルをカメラの後ろで眺めながら携帯の電話を切った。
『その調子♪うまく電子の妖精を引きつけておいてね♪』
カザマツリはいつ行動を起こそうかとタイミングを測っていた・・・。



回想・台場付近の喫茶店


「実はね、本当はナデシコ艦隊でテンカワ・アキトの事を取材したいんだよ」
「アキトさんですか!?」
メグミは意外な単語を聞いて大層驚いたのだった。

カザマツリはメグミの反応に意外そうな顔をした。
「あれ?メグミちゃん知らないの?テンカワ・アキトのこと」
「いえ、アキトさんのことは知ってますけど・・・・今は行方不明だって・・・」
「え?本当に知らないの、メグミちゃん。」
「何をです?」
「噂なんだけど・・・どうもテンカワ・アキトがナデシコ艦隊に戻ってきているらしいんだ。」
「嘘!!」
メグミは思わず叫ぶ。

「シーーーーーーー」
カザマツリは思わずメグミの口に手を当てた。

「声が大きいよ。」
「嘘ですよ。だって元ナデシコクルーの私が調べてもアキトさんの情報なんて探れなかったんですから・・・」
「いやぁ、ニュースソースは明かせないんだけど、どうも本当らしいんだよ。
 火星の後継者退治に参加するバーターとして恩赦の取り引きをしたらしい。
 ・・・・メグミちゃん、本当に知らなかったの?」
カザマツリの言葉にメグミのプライドは傷ついた。

『芸能界にいるけどあたしだってこれでもナデシコのクルーのつもりなのに・・・
 そりゃ、確かにアキトさんが帰ってきてるならアタックしてみようかと思っていたけど・・・』
そう思うと何故かアキトを一人独占して自分のことを嘲笑しているルリの顔が思い浮かばれてきた。

『フフフ、そういうことね。わかったわ。何が何でもアキトさんを見つけだしてアタックしてくれるから!!!!』
そう心に決めるとメグミの行動は早かった。

「わかりました。プロデューサーさん!わたしナデシコに乗り込みます!!!」
「やってくれるか♪」
二人は固い握手をしたのであった。



ナデシコB・艦長執務室


「はいはい押さないで押さないで!!!」
「サインは一人一枚までですよ!!!」
メグミのサインを求めて長蛇の列。
なぜか知らないがジュンやハーリーが列の整理に当たっていた。

「はい、よろしくお願いします♪」
メグミは素早く色紙にサインをし、受け取る相手に握手をしていく。

・・・・ほとんどアイドルのサイン会である。

ケンはちなみに一番にサインをもらってご満悦。今もメグミのそばにいる。

ジュン「しっかし、結構みんなミーハーだねぇ〜〜」
ハーリー「なんかナデシコBの乗員全員が並んでいるように見えますけど・・・」
確かに、それだけの長蛇の列が出来上がっていた。

『プロデューサーさん、私が囮をしている間にちゃんと調べて下さいよ・・・』
にこやかにサインをしながらメグミは相棒が上手く行動してくれることを願っていた・・・。



ナデシコB・格納庫


「へぇ、幽霊ロボットに似てるけど・・・・黒い奴だけないなぁ」
カザマツリはリョーコ達のサレナカスタムを眺めながらつぶやく。
整備班の面々もメグミのサイン会に出払っており、カザマツリの様な部外者でも簡単に歩くことが出来た。
カザマツリの計画には抜け目がなかった。



ナデシコB・食堂


「ルリ坊、こんなところにパソコン持ち込んで何するつもりだい?」
ホウメイは食堂の一角を占拠しているルリ達に話しかける。
「済みません、ホウメイさん。ここを前線基地にさせてもらいます。」
「なんのだい?」
「侵入者撃退作戦のです」
そういうと、ルリはパソコンの端末を軽やかに操っていく。その様子をコトネとユリカがのぞき込む。

ルリ「カザマツリ・サカキ・・・・・・・・・
 帝都大学経営工学科を卒業・・・結構いい学校出てますね。」
コトネ「そりゃ、腐れアニキでも、一応私のアニキだし・・・」
ユリカ「へぇ〜〜ネルガル系芸能企画会社ブルーエンターテイメントの企画部長・・・・あの若さで?」
コトネ「まぁね。結構やり手のプロデューサーなのよ♪」
ルリ「・・・・コトネさん。茶々いれないで下さい!
 そしてDNA鑑定は・・・・」
コトネ「え?そんなことまで調べるの?」
ルリ「当たり前です。もしかしたら火星の後継者かもしれないんですよ?」
コトネ「ウチの家系は100%混じりっけなしの江戸っ子です!!第一、そんなの私が宇宙軍に入る時点で調べてるでしょう!!」
ルリ「・・・・確かに。コトネさんのDNAと酷似してますねぇ。コトネさんの両親のDNAデータが10年前からデータバンクに存在するということは・・・木連人って事はなさそうですねぇ」
コトネ「副提督ってひょっとしてアニキもろとも私をナデシコから追い出そう・・・なんて考えてませんか?」
ルリ「気のせいですよ」
気のせいなどではないのだが、ルリはあっさりと無視した。

「まぁ、いいです。今までさんざんやられっぱなしでしたが、これからはそうは行きませんよ。なにせナデシコは私のテリトリーですから。
 アキトさんが帰ってくるまでに追い出してみせます♪」
ルリはフフフと冷徹な瞳で笑った。

ユリカとコトネが怖がったのはいうまでもなかった。



ナデシコB・コトネの自室


人知れず、婦女子の部屋に入る男性の影が一つ。
「ひゅ〜。コトネの奴、実家じゃあんなに散らかしてたのに、片づいてるじゃん」
カザマツリは照明もつけずに暗がりの部屋をすたすたと歩く。
まるで間取りを知っているかのようにスタスタと目的の場所まで近づいた。

「さてと・・・妹のパスでどこまでの情報が閲覧できるかな♪」
カザマツリは備え付けの端末の電源をいれて、軽やかにログインした。
「パスワードは『大和撫子七変化』っと・・・・ビンゴ♪」

気をつけよう。ワンパターンなパスワード。

「テンカワ・アキトで検索・・・・・・・・ノーヒットか・・・
 んじゃ、黒い機動兵器は・・・戦闘データの閲覧は艦長の許可が必要です、か・・・
 やっぱり軍曹ぐらいじゃこのあたりが限界かな?
 んじゃ、不審な空き部屋は・・・・・3件ヒット♪」
カザマツリは端末の検索結果を見てほくそ笑んだ。



ナデシコB・食堂


「はい、引っかかりました♪」
ルリは楽しそうであった。



ナデシコB・空き部屋その1


「おじゃましま〜〜す」
カザマツリは静かにドアを開けるとこれまた静かな声で入室の挨拶をした。

暗がりの中、カザマツリの視線の先には黒づくめの男の姿があった。
「誰だ?」
男がそう尋ねる。
威圧感のある声だ。

つんつん頭
黒いマント
目を覆うバイザー
資料にある特徴と酷似している。

『初っぱなでいきなりビンゴ?』
とカザマツリは喜んだが、それはだんだん落胆に変わった。

「あの・・・君は・・・・」
「テンカワ・アキトだ。」
その男はそういう。だがしかし・・・
「テンカワ・アキトはそんなにドングリ眼じゃないし・・・」
「ほっといて下さい!!」
「テンカワ・アキトはそんなに背が小さくないし・・・」
「・・・・育ち盛りなんです!!」
「なによりそんな情けなさがにじみ出てないですよ・・・・」
「びえぇぇぇぇぇぇ!どうせ僕なんて!!!!!!!!!!!!!!」

カザマツリの言葉に大層傷ついたハーリー(闇の王子様のコスプレバージョン)は泣きながらその部屋を走り去ったのであった・・・。



ナデシコB・空き部屋その2


その部屋はなぜか一面ピンク色に装飾されていた。
「なんだ、これは?」
「ようこそ、さぁどうぞどうぞ♪♪」
「ゲゲ!!!ミスマル提督!!!!!!」
そう、カザマツリを出迎えたのはテンカワ・ミスマル・ユリカ提督である。

しかもなぜか普段着にエプロンといった出立ちで。

「ささ、お客さまはここにお座り下さい♪」
「いえ、わ、私は部屋を間違えただけで・・・」
「そんなことどうでもいいから座って下さいよ♪」
でた!ユリカお得意の人の返事も聞かずに勝手に物事を進める攻撃が!

「あの〜〜ですから私は・・・・」
「ユリカ感激です♪わざわざ私の料理を食べたいだなんて♪」
「いや、そういう訳じゃ・・・・」
「え?んじゃ何でユリカの秘密のお料理クラブの部室まで?」
テンカワ・アキトを捜しに来た・・・なんて言えるはずがない。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お料理を頂きに参りました。」
「んじゃ、ユリカ特製の料理を召し上がれ♪」

その後、カザマツリが地獄を見たことはいうまでもなかった(笑)



ナデシコB・空き部屋その3


「くそ!今度こそ・・・・」
ユリカの料理の後遺症が抜けきらない状態ではあるが、カザマツリは気力を振り絞って最後の部屋に侵入した。

しかし。カザマツリがその部屋で見たものは・・・・・

いちご模様のフリル・・・

「・・・・コトネって結構お子ちゃま趣味だったのか・・・・」
「人の着替えを覗いておいてその言いぐさかい!!!!!!!!!!」

ゲシ!!!!!!!
鳩尾に一発ケリをくれる。
吹っ飛ぶカザマツリ。

そして下着姿のコトネが大魔人のごとくカザマツリの前に仁王立ちした。
「待てコトネ!覗くつもりなんて全然・・・第一何でお前がこんなところで着替えを!?」
「問答無用!!!!J○Cの皆さん、よろしくお願いします!!」
コトネがそういうと強面のお姉さま方がどこからともなく現れた。

「この女の敵!!」
「色情魔!!」
「変態!!!」
「私の下着返して!!!」
とまぁ、そんなコントのような罵声を浴びせながら女達はカザマツリを袋叩きにしていった・・・。



ナデシコB・食堂


ユリカ「ルリちゃん・・・・なんか濡れ衣を着せたみたいで心苦しいんだけど・・・」
ルリ「心配いりません。証人さえいれば立派な既成事実です」
ルリはなぜか食堂に持ち込んだ畳に座っておいしそうにお茶をすすっていた・・・。
満足げな笑みを浮かべて。



ナデシコB・女子化粧室


「ぷ、プロデューサーさん・・・・その格好・・・・」
「すまない、メグミ君。後は任せたよ」
メグミは休憩時間、カザマツリが袋叩きにあい、痴漢の現行犯として独房に軟禁された事実を知った。
ウインドウの向こうのカザマツリは簀巻きにされて、敏腕プロデューサーの威厳もない。
・・・まぁ、あんまり偉そうでもなかったが。

メグミは改めて知る。
これはルリの宣戦布告だ。
これ以上深入りするなら、カザマツリと同じ末路をたどるぞ。
それでもいいなら探りに来なさい・・・と。

そうでなければわざわざカザマツリのコミュニケを有効にしておいてこんな通信をさせるわけがない。

「やってやろうじゃないの!」
メグミの闘争心に火がついたのだった。



横浜アリーナ


「それでは皆さん!
 お待ちかね、メグミ・レイナードさんが宇宙軍艦長の制服姿で歌います。
 劇ガン主題歌『哀、覚えていますか』です!!」
「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

会場は既に最高潮!!
夢のイベントに会場の全員が興奮に包まれていた。
それはどのぐらい盛り上がっているかというと、劇マクでミ○メイがマク○スのブリッジで歌いながらバル○リーが敵艦内に突っ込む!っていうシーンぐらいであった。

みんなが固唾を持って見守る中、オーロラビジョンにその待望のシーンが映し出された。

・・・・いや、そのはずだった。
しかし、彼らの見たものは・・・・

お休みタヌキさん・・・
なぜか、一日艦長のたすきを掛けた信楽焼のタヌキであった・・・・。

「「「「「なぜだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」

会場の全員がその後どうなったかは定かではない(笑)



ナデシコB・廊下


メグミはナデシコBの廊下を歩いていた。
しかし、人々とすれ違っても誰もメグミと気が付かない。

それもそのはず、今の彼女の姿はあの艦長の制服ではない。
普通のブリッジ要員の制服なのだ。

だが、それだけでは普通は正体がバレてしまう。
ではなぜバレないのか?

ノーメイクだからである(爆!!!!!!)

既にお肌も曲がり角、飯○愛のごとく化粧を落とすと誰かわからなくなるという・・・

『勝手に嘘を言わないで下さい!!!!!
 これはそういうメイクをしてるんです!!!!!!!!!!!!』

・・・・・済みません、冗談でした。

とまぁ、涙ぐましいメイクのおかげ(?)でメグミは正体を知られずに艦内を動き回ることが出来た。これでも元ナデシコAの通信士、大体の艦内の配置は経験でわかる。
後はアキトの居そうなところを探せば・・・

「危ない!!!」
「え?」
後ろから声をかけられてメグミは思わず振り向く。

その眼前に現れたものは・・・・

「暴れ馬だ!!!!!!!!」
「何でこんなところに馬が!?!?!?!?!?」

ゲシ!!!!!!!!!!!!!!

メグミは馬に蹴られてノックダウンしたのだった・・・。

「これぞ、『人の恋路を邪魔する奴は・・・』って奴ですね♪」
「ルリちゃん・・・・結構えげつないよ・・・これ・・・」
「仕方ありません。『メグミ艦長の乗馬風景の撮影会』なんて訳の分からないイベントを企画したりして馬を連れ込んだりするから罰が当たったんですよ。
 それにメグミさんにはもっと地獄を見てもらわないと・・・」

ルリは冷徹に笑った。
ユリカ達は『ルリちゃん、絶対キャラ変わってるよ・・・』と思いながら恐怖した。



ナデシコB・医療室


「あれ・・・・ここは?」
メグミが気絶から目を覚ました。
最初に目に飛び込んできたのはどこかの部屋の天井だった。
「私・・・馬に蹴られて・・・・」
そう言って初めて自分がどこかの部屋のベットに眠らされているのに気が付いた。
どこだろう・・・
そう思って辺りを確かめようとしたのだが・・・
「え?」

ガチャガチャ!!!!

手足が縛られていたりする・・・・・・・・

「あらお目覚めのようねぇ、メグミちゃん」
ここ医療室。メグミに声をかけたのはこの部屋の主、イネス・フレサンジュであった。
・・・そうであるのだが・・・
「イネスさん・・・・その格好・・・」
「心配いらないわ。ただの手術服だから。」
そう、ただの手術服だ。しかしイネスが着るとなぜか危ない事をされそうで怖い。

メグミはイヤな予感がして恐る恐る尋ねる。
「手術服って・・・・・誰かの手術でもするんですか?」
「冗談の上手い子ねぇ。あなたのに決まってるでしょ?」
イネスは何かおもちゃを与えられた子供のように無邪気に笑う。それが手術服と相まって非常に危ない雰囲気を醸し出していた。

「どこも怪我してませんけど・・・」
メグミは冷汗をかきながら訴える。
「してるわよ。おでこ。」
「たんこぶだけです!!!!」
「いやぁ、念のために精密検査をしたところ、
 胸がえぐれているとか、性格がひねくれているとか、腹が黒いとか、手癖が悪いとか
 いろいろ見つかったから」
「それは病気じゃありません!!!!!!!!!!!!」
理不尽な理由を挙げられて怒鳴るメグミ。
しかしイネスはかまわず続ける。
「ちょっと眠っているだけでいいのよ。
 そうすれば左手には厚さ1mの壁もぶち抜ける人工腕をつけてあげるし、
 右手にはサイコガンを埋め込んであげる。
 お尻にはマシンガンをつけてあげるわ♪」
「いりません!!!!!!!」
メグミは心の底から絶叫したが、そんなものイネスに通じるはずがない。
「お気に召さない?
 腕はやっぱりロケットパンチの方がいい?
 それともドリルの方がいい?
 ああ、オッパイミサイルが欲しいのね♪」
「武器の問題じゃなくってぇぇぇぇ!!!!」
「武器じゃなかったの?
 んじゃ、奥歯に加速装置を埋め込んで・・・・
 ああ♪足にブースターをつけて飛べるようになってないとイヤなのね♪」
「改造から離れんかい!!!!!!!!!!!!!」
メグミは必死になって否定した。

しかし・・・

キュイイイイイイイイイイイイイイン!!!!!!!!

「ちょっと・・・イネスさん」
「大丈夫よ。痛いのはちょっとだけだから♪」
「そんな人体切断マジックに使うような電動ノコギリを出してきても説得力ないですよぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
電気ノコギリは神経の裏側を刺激するような金切り音の唸りをあげながら、徐々にメグミの目の前に近づいてきた。

「じょ、冗談ですよね・・・・・」
「本気よ♪」
キュイイイイイイイイイイイイイイン!!!!!!!!

「今ならまだ間に合います・・・」
「何が?」
キュイイイイイイイイイイイイイイン!!!!!!!!

「済みません、もうしませんから〜〜!!!!!!!!!」
「ダメ」
バリバリバリ!!!!!!!!

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
メグミの断末魔の声が部屋中に響きわたった。



横浜アリーナ


『はい!メグミ艦長による人体切断マジック!
 見事成功です』
「「「「「おおおおおおおお!!!!!!」」」」」
会場は本日最大のイベントで盛り上がっていた。

「良かったですねメグミさん。会場は受けてますよ。」
「ルリちゃん・・・・」
「これで二度とナデシコに寄りつかないでしょう♪」
ルリの冷徹さに一同閉口気味であった・・・

その後、メグミとカザマツリは「I shall return!!!」と叫んでナデシコを去っていったらしい(笑)



数日後・ナデシコB事務室


メグミの一日艦長騒動が終わってナデシコは平穏を取り戻した。
いや、そのはずだった・・・
しかし・・・・

「ありません!」
「こちらも見つかりません!!」
「良く探して下さい!!」
ルリの必死の形相に気圧されてみんなは必死に探していた。
その風景は数日前と同じである。

「あら、皆さんどうしたんですか?」
数日前と同じくそこにコトネが帰ってきた。
「コトネさん!!!!」
ルリはイヤな予感がしてコトネに尋ねた。

んで・・・・答えは数日前のものと変わらなかった。



ナデシコC・提督執務室


「新人さんかぁ・・・・承認っと」
「ユリカさん!!!!!!!!!!!!!!!」
時既に遅し、決済済みの書類はFAXにて遙か彼方へ・・・・・・

しばし後・・・・

ルリ「ユリカさん、何でメグミさんのナデシコ配属を承認しちゃったんですか!!!」
ユリカ「だって〜〜〜」
ルリ「だってじゃありません!!!!!!
 第一、通信士は既に(不本意ですが)コトネさんがいらっしゃいますよ!?」
コトネ「(ひっかかる言い方だけど)そうですよ!ナデシコBの通信士の座は渡しませんよ!!!!!」
ユリカ「いえ、メグミさんの配属先は・・・・」
食ってかかる二人に気圧されながらも、ユリカの紡いだ言葉は意外なものだった。



ナデシコB・医療室


「ニコニコ」
メグミ・レイナードはやたらにこやかな顔で座っていた。
「ご紹介します。ナデシコBで看護婦をやっていただきます。
 メグミ・レイナードさんです」
「一応、これでも准看護婦の資格を持ってますのでよろしくお願いします♪」

ピンクの看護婦の制服を着込んだメグミの姿を見た瞬間、ルリとコトネは脱力した。

ただ、テンクウ・ケンだけは始終ご満悦であった・・・

See you next chapter...



ポストスプリクト


てことでメグミ登場の後編でしたがどうでしょうか?
暴走しまくりやん(爆)
一日艦長というイベントの雰囲気が出たかどうかわかりませんでしたが、私にはこうした馬鹿騒ぎにするので精一杯でした(汗)

ともあれ、今回クローズアップされたカザマツリ・コトネは「メグミを出すつもりです」ってChapter12ぐらいに言った時点で考えられたものでした。
なぜって?
「通信士は既にコトネさんがいらっしゃいますよ!?」
ってルリのセリフを作るために(爆)
このためにわざわざオリジナルキャラをChapter16辺りから仕込んでる私って一体・・・(笑)

現時点ではただの馬鹿騒ぎなんですが、この話が後々どシリアスに直結していきます・・・・なんて言っても誰も信じてくれないんでしょうね(苦笑)
取り敢えず、今回張った伏線(あるいはミスリード)がありますが、『メグミは最重要キャラです』とだけ言っておきます。

ということで面白かったら感想をいただけると嬉しいです。

では!

Special Thanks!
・ふぇるみおん様
・みゅとす様