アバン


最近の技術の進歩って凄いですね。
アトム生誕の年でもあることですし、アンドロイドもちょちょいのちょいで出来てしまうみたいです。

アンドロイドを作って喜ぶ人ってどのぐらいいるかはわかりませんが、
あまり自分の姿に似せられても困ります。
それが愛する人の元なら考えなくはないですが・・・

え?育成計画なんですか?



テンカワ・アキトの部屋


アキトは今、とってもやばい状態にあった。
もし部屋にユリカあたりが踏み込んできたら・・・

ユリカ「アキトはやっぱり変態さんだったのね!」
ヒカル「ハァハァするの?やっぱりハァハァするの?」
ジュン「テンカワ!貴様人として間違ってるぞ!」
ミナト「アキト君、最低」
メグミ「いくら私でもそこまで若作り出来ません!」
ユリカ「わ、私は出来るもん!」
メグミ「私だって昔は幼児番組をしていたからそのぐらい・・・」

「だぁぁぁぁ!!!そうじゃないんだって!!!」

・・・なんか妄想の方がどうでもいい方向に外れて行っているので軌道修正(笑)

アキトは落ち着いて現在の状況を考える。
自分は別に人から後ろ指を指されるようなことはしていないはずだ。
ただセイヤさんから実験に協力してくれと言われただけだ。
しかも自分は承諾していない。
けれどなんかなし崩しに商品を置かれてしまっただけだ。

ウリバタケ「これは人類のためだ!アトムやドラえもんを生み出す大事な通過儀式だ。
 お前は今その偉業に立ち会おうとしているのだ!!!」

熱心に訴えられて半ば強引に置いて行かれただけだ。
そう、これは崇高な実験なのだ。
人類の宿願なのだ。

・・・・そう拳を振り上げてみても自分を正当化できるわけない。

ルリ「で、ひとしきり言い訳は終わりましたか?」
アキト「えっと・・・はい」
ルリ「そろそろ説明を開始してもよろしいでしょうか?」
アキト「・・・お願いします」

ルリはルリでもどこぞの某来栖川エレクトロニクス製ロボットのボディースーツの様な格好でアキトの部屋に鎮座していたりした(笑)



ナデシコ外伝
ホシノ・ルリ育成計画



使用許諾


『なぜこんな事になったのだろう?』
と思いながら、アキトはルリの説明を聞くことにした。

ルリ「私、瓜畑エレクトロニクス製MHX−015、リリーちゃん5号機、略してホシノ・ルリとお呼び下さい」
アキト「ちょっと待て。どこをどう略したらそうなる!」
ルリ「使用許諾を説明している最中です。細かいところを突っ込まないで下さい」
アキト「・・・はい」

気圧されて黙るアキト(笑)
ルリはそのまま続きをしゃべる。

ルリ「本契約は本製品の所有権譲渡ではありません。契約期間内の使用権の許諾です。
 従って契約者が本製品に対し、使用許諾に反する取り扱いをされた場合、本製品は契約者の許可なく一方的に使用契約を破棄して所有権保有者(製造会社)の元に返る権利を有します」
アキト「えっと・・・つまり・・・どういうこと?」
ルリ「簡単に言うと酷いことをされたら実家に帰らせていただきます。」
アキト「実家に帰らせてもらうって・・・(汗)」

要約しすぎの内容に冷や汗をかくアキト。
しかしルリの使用許諾の説明は続く。

ルリ「本製品のエネルギー補給はごく普通の食事を与えて下さい」
アキト「え?電気とかロボビタンAとかじゃなくて?」
ルリ「はい。ちなみにチキンライスとニンニクラーメンチャーシュー抜きが好みです」
アキト「ち、チキンライスっすか?」
ルリ「ええ。そうです」

普通アンドロイドが人間と同じ食事を食べるのか?
という疑問が湧くが、後でセイヤさんがお腹を開けて食べるのかもしれない・・・そう思ったら、まぁいいかと気にしないことにした(苦笑)

ルリ「着せ替えをさせたい場合は洋服を支給して下さい。自分で着替えます」
アキト「えっと・・・俺が着せ替えとかしたらまずい?」
ルリ「まずいです。
 ちなみに私には乙女回路が内蔵されております」
アキト「お、乙女回路!?」
ルリ「ええ、乙女回路は契約者の本製品に対する行動に対し、好感度パラメータを上下させます。この好感度パラメータがゼロになった場合、自動的に家出状態に陥りますのでご了承下さい」
アキト「あの・・・ちなみに聞くけど・・・
 俺の手で着替えをさせたいって!って言い張ったら好感度はさがっちゃうの?」
ルリ「好感度次第です。
 好感度が『なんとも思っていない』状態であれば当然減点です。
 しかし好感度が『メロメロ』状態の場合は逆にあがったりします。」
アキト「『メロメロ』って(汗)」

なんかどこかの育成シミュレーションゲームみたいな展開になってきた。

ルリ「他に好感度が減点になるケースですと・・・」
 ・本製品に向かって始終ハァハァしている場合
 ・本製品に与える食事が貧粗な場合
 ・本製品へ供与する衣装がマニアックな場合
 ・本製品への暴力やハラスメント行為
 ごく一般の女性にして嫌われる行為はまず減点になります。
 まぁそれもシチュエーションによりますけど」
アキト「解説どうも(汗)」

なんかアキトもクラクラしてきた。
まるで立体物で美少女育成ゲームをやるようなものだ。
しかも相手はルリ本人にそっくりなアンドロイドときている。
本人と同じように接して良いかどうか、思案に暮れるのであった。

アキト「そう言えば・・・
 君は何か特殊なことが出来るのかい?」
ルリ「特殊・・・ですか?」
アキト「そう。例えば炊事とか洗濯とか・・・」
ルリ「あなたは私にメイドをやらせようというのですか!?」
アキト「いや、そういう訳じゃないんだ〜〜」

いきなりNGワードでも踏んだのかと焦るアキト
でも・・・

ルリ「出来ます」
アキト「え?」
ルリ「ですから、出来ます。炊事とか掃除とか。
 でも・・・」
アキト「でも?」
ルリ「現在、炊事、掃除、洗濯技能は共にレベル1です。
 次のレベルまでそれぞれ10回ずつ経験させて下さい」
アキト「・・・レベル?」
ルリ「ええ、レベルです。」

アキトは本格的な育成シミュレーションになったことに頭を痛めた(笑)

アキト「ちなみに技能って他に何があるの?」
ルリ「えっと他にはハッキング技能、芸能関係の技能、学問の技能、あと魔法の技能に戦闘の技能なんかもあります。」
アキト「ま、魔法に戦闘!?」
ルリ「ええ。怪物と戦ったりします」
アキト「た、戦うんだ・・・」
ルリ「戦います」

きっぱり言われてどう答えていいモノやら返答に困るアキトであった(笑)



訓練科目・戦闘


どうもこのアンドロイド・ルリちゃんを育てるためには色々な訓練を行わないといけないみたいだ。
で、最初に選んだ訓練カリキュラムは・・・

ルリ「いきなり戦闘なんですね」
アキト「いやぁ、ナデシコの中で怪物と戦うってどうするのかなぁ〜〜とか思って。
 アハハハハ・・・」
ルリ「普通はしませんが・・・いいですけど」

とか言いながら、ルリは既にひのきの棒、お鍋のふた、布の服を装備していた。

ルリ「装備が貧相ですね。ドラ○エの初期装備ですか?」
アキト「いやぁ、お金がなかったもので(汗)」
ルリ「普通はアルバイトをさせてお金を貯めてから良い装備を買うモノですけど・・・
 まぁとりあえず最初の戦闘をしましょう」
アキト「いや、戦闘っていっても怪物が・・・」
ルリ「あそこにいました」
アキト「え?」

アキトとルリの前を歩いていたのはムネタケ提督である。

ルリ「ゴブリン発見」
アキト「ちょっと、あれは提督・・・」
ルリ「レベル1にはちょうどいい相手です。
 えいや!」

アキトの制止も聞かずにルリはムネタケに殴りかかった。

ムネタケ「ちょ、ちょっとあんた何をするの!」
ルリ「経験値を寄越しなさい。ゴールドを寄越しなさい」←結構棒読み
ムネタケ「な、何を言ってるのよ!っていうか、何のマネよ!」
ルリ「逝きなさい、雑魚キャラ!」
アキト「ルリちゃん、止めて・・・」
ムネタケ「ムキ!!!あんた、アタシを舐めてるでしょ!
 これでもあたしは軍人なのよ!!!」

怒ったムネタケは反撃した。

ムネタケ「きえぇぇぇ!!!!」
アキト「あ、危ない、ルリちゃん」
ルリ「キャァァァァ!!!!提督がいじめる」←結構迫真の演技

一瞬凍り付くムネタケ

ルリ「提督がいじめる。私何もしてないのに〜〜」
ムネタケ「ちょっと待ちなさいよ・・・
 こ、攻撃してきたのはあんたでしょ?」
ルリ「酷い、汚されちゃった」←なにげに棒読み
ムネタケ「だからあたしはまだ何も・・・」
ルリ「え〜〜ん、えんえん〜」←やっぱり棒読み

途端に泣き出すルリにオロオロする。
しかし嘘泣きをするルリの瞳はキラリ♪と輝いた!

ルリ「隙あり!」
ムネタケ「いったい!!!!!!!」

向こう臑をひのきの棒で思いっきり殴られてムネタケは思いっきり飛び上がった。

ルリ「ちゃららちゃっちゃちゃ〜〜
 ホシノ・ルリはムネタケを倒した。
 経験値2点を手に入れた。3ゴールドを手に入れた」
アキト「・・・ルリちゃん?」

高らかに宣言するルリ(笑)

ルリ「次はゴーレムを倒しに・・・」
アキト「ご、ゴートさんに襲いかかっちゃダメ!」
次の獲物を探すルリを必死に取り押さえるアキトであった(笑)



訓練科目・魔法


最初に選んだ訓練で懲りたかと思ったのだが・・・

ルリ「本当に魔法の訓練をするんですか?」
アキト「いやぁ、どんな訓練になるのか、少し興味があって」

怖いもの知らずだなぁ・・・と思いながらルリはいそいそと準備をする。

しばし着替えタイムの後・・・

アキト「る、ルリちゃん・・・それって」
ルリ「魔法の訓練です」
アキト「ま、魔法の訓練?」
ルリ「ええ、魔法の訓練です」
アキト「でもそれは魔法の訓練というよりは・・・
 丑三つ時に神社でわら人形に五寸釘を打ち込むスタイルでは?」

ルリは白装束に白い鉢巻きをしており、鉢巻きにはろうそくを二本ほど指している。
まるで八つ墓村である(笑)
色白・・・少し不健康そうな・・・肌が衣装にマッチしていて結構似合っている。

ルリ「似合いませんか?」
アキト「いや、怖いぐらい似合って・・・
 ってそうじゃないよ!!!
 これは魔法じゃないでしょ!?」
ルリ「これも立派に魔法です」
アキト「いや、思いっきり違うと思うけど・・・」

本人は納得してるんだけど、このままじゃやばいので着替えさせることにした。




着替えタイム・・・



ルリ「これなんかどうです?」
アキト「それは版権に絡むからダメ!」
ルリ「残念、ジジも用意したんですが・・・」

黒いドレスに真っ赤なリボン、黒い猫にデッキブラシ・・・
宅急便でも始めるつもりですか?ルリさん(笑)

続きまして・・・

ルリ「ライチライチェルライチェルライチ♪」
アキト「ルリちゃん、それは魔女は魔女でも魔女っこプリンセス・・・」
ルリ「ダメですか?」
アキト「それじゃ戦い出すからダメ(汗)」
ルリ「それじゃモモとかマミとかペルシャとかエミとかララとかはダメですか?」
アキト「だから大人になってどうしようっていうの!」
ルリ「それではムーンとかピーチとか・・・」
アキト「だから戦わなくていいんだって!
 っていうか、既に魔法とは全然関係ないし!!!」

アキトにさんざん言われて何とか軌道修正するルリ(一応アンドロイド)はもう一度お着替えすることにした。

で、着替えた姿であるが、
黒いマントに三角帽子、魔女らしい杖

ルリ「先輩ルックです」
アキト「先輩だけじゃ読者さんにはわからないと思うけど・・・
 まぁ無難だからいいとしよう」
ルリ「では早速魔法の練習を」
アキト「ちなみに何の訓練をするの?」
ルリ「それはですね・・・」

ルリは胸元からなにやら取り出す。
ちょっとしたお弁当箱サイズだ。

ルリ「ちゃららちゃっちゃっちゃ〜(ドラえもんが道具を取り出すときの音)
 幽体離脱の秘薬〜♪」
アキト「幽体離脱の秘薬?」
ルリ「ええ、これは艦長の作ったカレーにメグミさんの精力剤を加えに、リョーコさんが一昼夜寝かした後、私が味を調えた逸品です。
 これを食べた者はあまりのおいしさに天国にも上る気持ちになるという・・・」
アキト「・・・」

『それは違う!絶対に違う!!!』
確かに昇天はするだろうが・・・
っていうか既に魔法じゃないだろう、というツッコミを犠牲を恐れて飲み込む自分の意志の弱さを呪うアキトであった。



訓練科目・お掃除


ルリ「うわぁ、無謀ですね(失笑)
 私の家事全般のスキルがどのぐらいかわかりそうなものですけど」
アキト「自分で言うな、自分で!」

確かに威張って言うほどのものではない(苦笑)

ルリ「ではでは、まずは形から入りましょう」
アキト「形って?」
ルリ「もちろん服装です」

で、お着替えタイム

ルリ「どうでしょうか?」
アキト「いや、別にメイド服はいいんだけど・・・」
ルリ「メイド服は嫌いですか?」
アキト「メイド服がどうとかじゃなくてね・・・」

アキトはルリの格好を上から下へと眺める。

パタパタ
フリフリ

アキト「あの・・・ルリちゃん?」
ルリ「何でしょうか?」

パタパタ
フリフリ

アキト「だから・・・その頭とお尻に付いているモノは何?」
ルリ「猫耳と猫の尻尾です」
アキト「だからなぜメイド姿にそんなモノを付けているの・・・」

パタパタ
フリフリ

アキト「だから・・・」
ルリ「何ですか?」

パタパタ
フリフリ

アキト「だから・・・」
ルリ「何ですか?」

パタパタ
フリフリ

アキト「う・・・」
ルリ「問題でしょうか?」
アキト「ちょっと出血多量になるかもしれないから着替えて・・・」

ルリが小首を傾げて耳をパタパタ、尻尾をフリフリする度にアキトは鼻を押さえてしまう。よっぽど琴線にヒットしたらしい(笑)



で、お着替えタイム


ルリ「割烹着ですが、どうでしょうか?」
アキト「まぁ良いんじゃないでしょうか・・・」
ルリ「ではお仕事させていただきます」

割烹着姿でペコッと挨拶するルリ。
さっそく彼女は部屋の中を片づけだした。

はたきをもってパタパタ・・・
ベキ!!!
はたきがゲキガンガーリミテッドモデルを直撃(笑)

ルリ「あ・・・」
アキト「あぁぁぁぁ!!!」
ルリ「ご主人様、ごめんなさい・・・」
アキト「ま、まぁいいよ・・・」

失敗を上目遣いで謝られるとどうしても許さざるを得ないアキト。
だが、許してもらったルリはというと

ルリ「では失敗を挽回すべく頑張ります!」
アキト「いや、張り切らなくてもいいから・・・」

アキトの制止も振り切って普段の三倍以上に張り切ってはたきを振り始めた。

ゲシ!
ナナコさんのフィギュア直撃

バシ!
ユリカのフィギュア直撃

グシャ
メグミのフィギュア直撃

ルリのフィギュア・・・
フワフワ
優しく撫でるようにはたきをかけた。

アキト「あの・・・ルリちゃん?」
ルリ「何ですか?」
アキト「ひょっとして・・・わざとじゃないよね?」
ルリ「わざとって何がですか?」
アキト「いや、俺の気のせいならいいんだ、俺の気のせいなら(汗)」

気のせいと思い込もうとしたアキトだが、その後ルリ関連以外のコレクションが全て撃破されていく様を見れば、それが故意であることは確かだった(笑)



訓練科目・お料理


アキト「それだけはゴメン!」
ルリ「自分で選んでおいて失礼ですね。
 でもまぁそれが無難というものです」

いきなりフランスシェフのような服装で現れたルリを一目見て速攻謝るアキト(笑)

仕方がないのでアキトは自分で料理を作り出した。

ルリ「私、チキンライスがいいです」
アキト「はいはい」

一瞬、主従の立場が逆じゃないのか?という疑問が湧かないでもなかったが、アキトはおとなしくリクエストの料理を作ることにした。
おとなしく言うとおりにしていないと、
「私が作ります!」
「妻たるもの旦那様の所望する料理を作れなくてはいけませんから」
とか言われたあげく、煎餅のような作られること必定である。

ルリ「ご主人様は私にケンカを売ってるのですか?」
アキト「え?ど、どうして!?」
ルリ「さっきから独り言が聞こえてました・・・」
アキト「ウソ!」
ルリ「そんなに言うなら作って差し上げます」

墓穴を掘ったアキト
ルリのクッキングタイムが始まる(笑)

ルリ「ホシノ・ルリの三分クッキング〜
 本日の料理は目玉焼きです」
アキト「ホッ、簡単そうな料理だ〜」
ルリ「まず用意いたしますのは、ダチョウの卵にウズラの卵」
アキト「え?」
ルリ「ワニの卵にウミヘビの卵」
アキト「る、ルリちゃん、一体何を作るつもりなの?」
ルリ「目玉焼きの満願全席です」
アキト「そんなものないよ!!!!」

どうやら世界中のありとあらゆる卵で目玉焼きを作るらしい(笑)

で、とりあえず出来上がったものを差し出されたのだが・・・

ギロリ!!!

アキト「う・・・」

皿のふたを開けてびっくり
どこをどう作ったらそうなるのかわからないが、大小合わせて百八つの目玉がアキトを睨んでいた。
慌ててふたを閉めるアキト

ルリ「食べないんですか?」
アキト「・・・食べなきゃダメ?」
ルリ「ぐれちゃうぞ♪」
アキト「・・・食べさせていただきます(泣)」

アキトは目玉達に睨まれながらなんとも言えない表情で目玉焼きを食べ続けたそうな(笑)



メンテナンス・洗浄


ルリ(アンドロイド)のいきなりの要求にアキトは驚いた。

ルリ「洗浄して下さい」
アキト「・・・・・・・・はい?」
ルリ「ですから洗浄して下さい」

ルリの言葉を聞いてきっかり30秒フリーズするアキト。
それからその意味を悟るのに3分ほど必要とした。
さらに再起動するのに1分ほど経過し・・・

アキト「ルリちゃん、洗浄って!?」
ルリ「メンテナンスのために毎日洗浄していただきます」
アキト「せ、洗浄ってその・・・つまり・・・」
ルリ「ええ、私は家庭用ですからごく一般のバスタブで十分洗浄可能です」
アキト「洗浄って言われても・・・自分で洗浄できないの?」
ルリ「無理です。背中は自分で洗えません。」
アキト「で、でも・・・」

アキトは妄想中です
妄想中です
妄想中です
妄想中です
妄想中です
どんな妄想か知りたい人は大きいお友達に聞いてみましょう(笑)

アキト「ダメだよ!いくら君がアンドロイドだって言ってもいきなりそんなことまでするなんて!!!!」
ルリ「・・・何をそんなに身悶えていらっしゃるかわかりませんが、単に背中を流して欲しいだけなんですけど・・・」
アキト「あ・・・そうなの?」
ルリ「他の所は自分で洗えるようにプログラミングされています。
 それともそんなところまで洗いたかったんですか?」
アキト「いや、そんなことあるわけないじゃないか。
 あははは♪(汗)」

図星だったのか、はたまた嬉し恥ずかしな事をせずに済んでホッとしたのか愛想笑いするアキトであったが、こっそりルリが『意気地なし・・・』と呟いたことを気づいていなかった。




で、洗浄タイム♪



アキトは緊張した面もちで手にスポンジを持っていた。
そこは部屋に備え付けのユニットバス
お湯の張った風呂場にバスタオルで前を隠した裸のルリがアキトに背を向けて座っていた。
アキトはその光景を見て半分固まっていた。

ルリ「早く洗浄して下さい」
アキト「あ、ああ・・・」

そういわれても・・・

そ、これはアンドロイドなのだ。
本当のルリちゃんじゃないんだ。
だから背中を流したって青少年淫行条例に違反したりしない。
そうだ、人として間違った行為をしている訳じゃないんだ。
間違っても欲情なんかしていない。
幼子に、いやアンドロイドに欲情なんかしていない・・・

ルリ「お願いします」
アキト「はい・・・」

アキトは意を決してルリの背中をスポンジでこすった。
ゴシゴシ

『あ・・・これが本当にアンドロイドの感触なのか?』
アキトは感動すら覚えた。
このスベスベの肌、どう考えても少女のそれそのもんだ。

ルリ「アキトさん、少女の肌を触ったことあるんですか?」
アキト「いや、ないよ。ってまさかまた独り言を・・・」
ルリ「言ってました」
アキト「いやぁ、アハハハ♪(汗)」

笑って誤魔化すアキト

その後、沈黙の中、アキトのゴシゴシとルリの背中を洗う音だけがバスルームに響いた。

ルリ「アキトさん・・・」
アキト「・・・」
ルリ「アキトさんってば」
アキト「・・・・・・」
ルリ「黙ってないで返事して下さい!」

無言のアキトを不審に思ったルリが振り向くとそこには・・・

『パトラッシュ、僕はもうお腹一杯だよ・・・』
という表情で鼻血を垂らして気絶しているアキトの姿があった(笑)



一日の終わり・添い寝


アキトは敷かれた布団に驚いていた。

アキト「あ、あれ?俺のベットは?」
ルリ「処分しました」
アキト「処分したって・・・」
ルリ「だってあのベットは二人で眠るには狭すぎますし」
アキト「二人でって・・・」

ルリの台詞に込められた言外の意味をわかってるアキト。
しかし問わずにいられない。

二人分の布団が敷かれているのはいいとして、なぜその枕がふたつ寄り添っているのだ?

ルリ「念のために言っておきますが、夜伽機能はございません」
アキト「あってもしないよ!!!(汗)」
ルリ「私はそんなに魅力がないですか?」

人の道を踏み外したくないアキトはそう叫ぶが、ルリは悲しそうに上目遣いでアキトを見つめた。

アキト「いや、魅力があるとかないとかの問題じゃなく・・・」
ルリ「じゃ、何ですか?」
アキト「いや、結婚するまでは清らかな関係でいたいと・・・」

他人が見ていたら何を口走ってるんだと思われるであろう、アキトの発言
・・・それって絶対誤解されるぞ。
でもルリは果敢にアタック(?)する。

ルリ「思い違いをして勝手に女性を襲う男性は最低ですけど、明らかなサインを出されているのにしないとうのは優しさではなく逃げです」
アキト「逃げですって言われても・・・」
ルリ「ご主人様は私に添い寝して欲しいんですか!して欲しくないんですか!」
アキト「いや、だから・・・」




すったもんだしたあげく・・・



アキト LOSE!!!

ってなかんじで二人は仲良く布団に入っていたりする(笑)
ルリはアキトに腕枕してもらって安らかに眠っていた。
対するアキトは手を出しちゃいけないと釘を差されていたものの、手を出さなければいけないみたいなことを言われてどっちにすればいいのか悩みまくっていた。

しかし、優柔不断なアキトのこと、そんなことを決められるわけもなく、腕の中のルリの暖かさを感じながら悶々として明け方まで眠れなかったりした(笑)



次の日の朝


「あれ?ルリちゃん・・・」

アキトの目が覚めた時、布団の中にルリの姿はなかった。
机の上に置き手紙があった。

『実家に帰らせていただきます。』

それだけが書かれていた。

「え!?お、俺って何か酷い事したの!!!」
アキトの絶叫がナデシコ中にこだました。



真相


目を充血させながら歩いているアキトの後ろ姿を見てウリバタケはそっと呟く。

ウリバタケ「あんな面倒な事しなくてもそのままアタックすれば良かったんじゃないのか?わざわざアンドロイドのマネなんかしなくても・・・」
ルリ「いきなりイメチェンして嫌われないか確かめたいじゃないですか。
 ホシノ・ルリ本人のままいきなりあんな恥ずかしいマネは出来ません」
ウリバタケ「っていうか、アンドロイドのフリをすれば出来るのかよ」
ルリ「役になりきれれば娼婦にだってなれますよ、女は」
ウリバタケ「11歳の少女の言う台詞じゃないぜ」
ルリ「だとしたらセイヤさんも奥さんに騙されてますよ。ウフフ」
ウリバタケ「俺は騙される方が気が楽だけどな・・・」

ルリの妖しく笑う顔を見て女は怖いと思うウリバタケであった。

こうして「オペレーション名:ホシノ・ルリに免疫を付けさせよう計画」の第一弾が完了したのであった(笑)



ポストスプリクト


ということで外伝をお届けしました。

なんか無理矢理終わらせた感があります(苦笑)
いつまで書いていてもきりがないので一度終わらせますが、もし続きが見たい人なんているのかなぁ(苦笑)
イメージ的にはプリメを想定して書きましたが、一部別の育成ゲームなんかも混じってくるかもしれません。

ということでおもしろかったなら感想をお願いします。

では!