アバン


黄昏は訪れる
夜の帳が辺りを包む
その時、人は真実をどう思うのでしょうか?
その時、人は変わらぬ歴史をどう思うのでしょうか?

授けられた力はやがて彼を苛むのでしょうか?
今の彼女がそうであるかのように、
やがて自分の存在そのものを忌み嫌うのでしょうか?

ああ、これってSecond Revengeのラストとほんのちょっぴり関係があったりしますのでそのつもりで〜



???


ルリ「どうしたんですか?アキトさん」
ラピス「どうしたの?お腹でも痛いの?」
アキト「い、いや・・・そうじゃ・・・」
ユリカ「その割に顔色悪いよ?」
アキト「何でもない。何でも・・・」

彼はそう言うが、何でもないことはその表情が物語っていた。

ただその様子をアキは悲しそうな顔で見ていた。

『彼は私をどう思うのだろうか?』
彼女にはそれが心配であった・・・



時の果て・The End of Future


時の果てで二人はなにやら難しいことを話し合っていた。
イネス(仮)と数ちゃんである。

「数ちゃんって言うな!」
「まぁまぁ♪」

まぁ気を取り直して、イネス(仮)は彼に辻説法をぶつけた。

「ねぇ、歴史って変わるものかしら」
「何を藪から棒に」
「ボソンジャンプにより過去へ飛ぶことが出来る。
 だからといって過去を改変する事って出来るのかしらねぇ」
「・・・出来るんじゃないのか?」
「でもねぇ。変わったってどうやって知るの?」
「え?そりゃ・・・」
「そう、そこが問題なのよ。
 変わったってどうやったらわかるの?」
「どうって・・・そりゃ比べれば・・・」
「比べるって何と何を?」
「何って・・・元の歴史と新しい歴史を・・・」
「そこよ。この時間こそが唯一の私達の身にとって、変わる前の歴史って知覚できる?」
「・・・」

彼は答えられない。

「変わった歴史とはいってもその時間を生きるものにとってそれは最初から当たり前に存在する歴史よ。
 誰かの都合のいいように歴史を改編する。
 でも改変するためにやってきた存在は改変された歴史では改変する意義すら失っているわ。なのに彼はなぜ改変するべき過去へ存在できるのか?」
「それは・・・」

イネス(仮)はそう主張する。
確かに、歴史が変わったというのならそれを見比べた人間がいて初めてわかるものである。
だが、人はそんな風に歴史というものを見比べることが出来るのだろうか?
歴史のど真ん中に立ち、大局を眺める事もできず、近視的にしか見れないのが人間ではないのか?

あるいはそれが歴史書と呼ばれるものになって初めて人は歴史を語れるのかもしれない。

「これを私達は因果といって歴史の改編など出来ないと断じている。
 でも未練の捨てきれない者はこの矛盾を肯定するためにパラレルワールドなるモノを考案したけど、私はその考えに与したくないわ。
 なぜならそうやって過去を変えようとした人の足掻く姿を嘲笑っているのと同じだからね」
「でも現実には起こり得ないんだろ?あんたの言うところでは」
「そうなのよ。でも現実に変えようとしている存在がいる」
「存在?あのテンカワ・アキト達か?」
「違うわ。ここから脱走した奴」
「・・・『始まりの人』か?」

彼もその忌まわしい言葉を言うのを躊躇われた。
奴ならば・・・あり得る話だ。

「仮に歴史を改編出来る存在があるとすれば、それは歴史を俯瞰で眺められる者だけだと思う。でもそれは私達と同じ時を生きる存在ではないとも言える。
 故に我々は彼を『時の記述』とも呼ぶ」
「だったら・・・誰も敵わないじゃないか・・・」
「そんなことないわ。パンドラの箱にはたった一つ残っているモノがあるわ」
「それって・・・」
「希望よ。可能性といってもいいのかしら?
 あるいは・・・『始まりの人』ですら歴史を俯瞰で眺められないのかもしれないわね・・・」
「よくわからん」

可能性・・・
その言葉がなければ、
全ての運命が既に決められたものであるのならば、
人の足掻く事すらも神の目から見れば嘲笑われるしかない事なのならば・・・
そこに希望などあるはずもない。
なればこそ、人は願望でもそこに希望を求める。
可能性という希望を・・・
変わって欲しいという希望を・・・

「まぁ、時間は嫌って程あるからたっぷり説明してあげるわ♪」
「っていうかお前、なんかその格好の人間に染まってきたな」
「あら、説明がこんなに楽しいなんて初めて知ったわ♪」
「嫌な趣味だ・・・」

本物がいれば彼女の言葉に強く頷き、それ以外の者であれば彼の言葉に強く頷くであろう。ともあれ、時の果てでこんな会話が行われていることなど、現在を生きる者達には知る由もなかった。



ナデシコ プリンセス オブ ダークネス
第21話 いつか走った「荒野」<inverse編>



作戦終了3時間後・市民艦れいげつ


そこは優人部隊司令官、草壁春樹の執務室であった。
彼の執務室に来訪者がいた。

九十九「今こそ地球と和平を結ぶべきです!」
草壁「和平だと?」
九十九「ええ。月も我が軍の勢力下から離れました。
 このままずるずると戦火を広げれば数に劣る我らはやがて疲弊していきます。
 そうなる前にも彼らとの共存を模索すべきです」
草壁「・・・」

九十九の直談判に黙って聞き入る草壁であるが、意外に冷静である。
過去の歴史から考えれば和平という選択肢は考えられない。
木連は地球連合からそれこそ民族の絶滅寸前まで追いつめられたのだ。
非道な地球人の一掃は木連の宿願であり、使命であり、自らを支える拠り所あるいはアイデンティティーである。

だからこそ退けない。
それに我々にはプラントがある。
無人兵器と戦艦を生み出してくれる古代火星人の工場がある。
このプラントがあればこそ、我々は地球人に対し優位を保つことが出来ている。

だが、九十九は否を唱える。

九十九「確かに緒戦は無人兵器の大量投入によって優位を保てました。
 しかしその物量作戦は次第に対策されつつあります。
 そして地球軍に対応する為にさらに大量の無人兵器が必要になります。
 いえ、それだけでは済まず有人兵器の投入も余儀なくされております。
 プラントですらその無尽蔵とも思える我らの要求に応えられるとは思えません!」
草壁「・・・貴君の言う通り、如何な古代の相転移炉工場とはいえ、いつかは終わりが来る。
 だが和平となると地球は疎か、国内の主戦派をも説得しなければならない。
 出来ると思うか?」
九十九「出来ます!任せて下さい!!!」

白鳥九十九は張り切って胸を叩いた。

草壁「わかった、君に任せよう」

彼の熱意に絆されて彼に計画を任せることにした。



れいげつ・司令官執務室前


九十九は草壁の部屋から辞去するといささか拍子抜けを起こしていた。

『すんなり和平を承諾するとは思わなかった・・・』
それが素直な感想である。
ある意味九十九はかなりリスクを負った直談判をしたつもりである。

『北辰はなぜ地球に来たの?』
『北辰は地球で暗殺をしていた』
『誰の指示で動いているの?』
『草壁の指示で動いているの?』
『東郷も来ているの?』

それは地球軍の撫子型相転移炉式戦艦にいた女性から聞いた台詞だ。
実際に、北辰が月に現れた。
自分の手助けをする為と言いながら、どうやら何か策謀めいたモノに荷担していたらしい。そして彼に指示できる者といえば・・・

彼の直属の上司、優人部隊司令官草壁春樹しかいない。

ならば彼は何を企んでいるのか?

最初はただ彼女の借りを返すために調べ始めただけだった。
いくら九十九とはいえ、敵の言葉を素直に信じるほど愚かではない。

だからどちらかといえば身内の疑惑を晴らす・・・ぐらいのつもりの方が強かった。
しかし、調べていくうちにそれは疑惑に変わり、そして確信に変わった。
どう考えても良からぬ事をしているようにしか思えなかった。
確証はないが、地球のとある企業と盛んに接触しているという噂もある。

だから、鎌をかけてみたのだ。
和平しかないと。
もし彼が地球との徹底抗戦を願っているのなら、自分に対し何か圧力めいたモノをかけて来るに違いないと。

だが、先程のように草壁はすんなりと同意した。
かえって拍子抜けである。
自分の持っていた疑念の方が誤っていたのか?

それはわからない。

九十九はもう少し探ってみることにした。
そして同志は多いに越したことはない。
月臣、秋山、アララギにもそれとなく声をかけてみよう・・・

九十九にはこの戦いがどうしても木連と地球の争いだけのモノには思えなかったからだ・・・



れいげつ・司令官執務室


白鳥九十九が退室した後、草壁は誰とはなしに呟く。

「白鳥九十九か・・・要注意人物だな」
「心配入らない。記述の範囲内だ」

草壁の独り言に答える者がいた。
本来ならここへは佐官の随伴なしに入ることを許されない階級の兵士である。

「御上・・・」
「ここでは東郷と呼べ。誰が見ているかわからん」
「わかりました。では・・・
 東郷、無事に戻ったか」
「ええ。白鳥少佐の随伴は疲れます」

そう、部屋に入ってきたのは東郷和正である。
現在は白鳥九十九の乗艦ゆめみづきのクルーである。
その彼が何故ここに?と疑問に持つ者は少なくともこの部屋にはいなかった。
彼の一喝で草壁は本来の階級にて会話を続ける。

「しかし・・・貴君は白鳥をどう思う?」

どう思うと問われて、東郷はしばらく考える。
そして明快に回答した。

「しばらく泳がせればよろしい。
 『時の記述』の域は出ていません。
 むしろ穏健派を今の内に炙り出してくれればなお良い」
「しかし万が一和平がなってしまえば火星が・・・」
「心配はいりません。時の記述は絶対です。
 無限の選択肢・・・などというものは存在しません。
 人の前には限られた選択肢しか提示されません。
 そしてその選択肢すら人は選べない。
 見えざる手により選ばされる。
 たとえ自らの意志によって選んだと思っていても、それは選ばされたものだと後で気づくのですよ」

そのことを東郷は嬉しそうに笑う。
それを草壁は心酔しきった瞳で見つめる。

「それはともかく・・・不知火はロールアップしたのか?」
「クリムゾンに急がせていますが、試作機がようやく・・・」
「スケジュールの遅延は許されんぞ?」
「済みません。なにぶん記述にはない事象ですので・・・」
「木偶が、口答えをするしか能がないのか!」
「いえ、そのようなことは・・・」

いつの間にか主従が本来の姿に戻っている。
草壁は冷や汗をかきながら状況報告に必死になっていた。

「試作機の調整には北辰を行かせております。
 奴であれば実戦で使えるように調整してくるでしょう」
「・・・いや、早々に呼び戻せ」
「それはなぜ?」
「月臣が使えぬ場合の予備だ」

東郷は冷たく笑う。
その視線に草壁は思わず身震いするのであった・・・



いつか走った荒野


幸せだった。
脳天気ながらも可愛いユリカ
ちょっぴり自分の気持ちを表に出すことが不器用だけど素直な義理の娘
・・・まぁ彼女を引き取ったのはユリカだけど、何故かユリカが居着いていつの間にか家族ゴッコをしている。

でも、長らく家族がいなかった俺にはすごく心地よくて・・・

小さいけれど三人仲良く屋台を引いて
そこそこ繁盛して
もう少し頑張ったら店を持てるかもしれなくって

評判の看板娘になるんだって嬉しそうに語るユリカ
そして義理の娘も巻き込んでお店を繁盛させるんだって嬉しそうに語っていた。
巻き込まれた彼女に迷惑じゃないか?って聞いたら
『そんなことありません。あなたのラーメン好きです』
と言われて嬉しかったのを覚えている。

貯金もそこそこ貯まった。
やっぱり男なら妻子を自分の収入で養いたい。
そのことを話したらセイヤさんはわかると同意してくれたけど、ホウメイさんにはそんなの流行らないよと言われてしまった。
別に自分よりも給料をもらっているユリカに負い目を感じているわけじゃないけど、
それが自分なりのけじめの付け方だと思った。

彼女は何も言わない。
着いてきてくれるだけだ。
普通ならそろそろ結婚しようとか言うはずなのに、とセイヤさんに言われた。
結婚する気もないのに同棲かい?とアカツキに言われた。
ヒカルは別にいいんじゃない?とあっけらかんと言う。
そんなに堅苦しく考えることないと。
ミナトさんは小さい子供もいるんだからけじめを付けないと彼女達まで悪く言われちゃうよ、とハッパをかけられた。

でも自問自答する。
ユリカを本当に好きなのか?と

ある日、ジュンが彼女達のいない時に尋ねてきた。

『彼女を本当に好きなのか?』と・・・
『好きでもないのに一緒にいるのは残酷だ』とも言った・・・
『好きと言わないのなら無理にでも彼女達を引っ張って帰る。
 コウイチロウ叔父さんにも頼まれているし、いざとなれば誘拐で訴えることも出来る』と脅されもした。
『けどそんなことはしたくない。彼女達の意思を尊重したい。
 でも君に愛情がないのにここに居続けるのはただ残酷なだけだ。
 だから君が好きでないのなら連れ帰る。
 どっちなんだ?』

そう問われて初めて気がついた。
当たり前にそばにいると思った存在が実はそうではないことに。
片方だけが願ってもそばにいられない。
そんなことは当たり前ではない。
互いが互いのそばにいることを祈って・・・努力し、足掻き、助け合って初めてそばに居れるということに気づいた。

そして振り返った。
今、俺は彼女達と離れて本当に平気なのか?
彼女のことを愛してないのか?

答えは初めから出ていた。
火星でキスをしたときから
だから・・・ジュンには悪いけどハッキリと答えた。
そしてなけなしの貯金で指輪を買った。

その日の夕暮れ、店を始める前にユリカを呼びだした。
自分でもなんて言ったか覚えていない。
確か、
『け、結婚するぞ』
と言ったことだけは覚えている。
その後、シェパード犬の様に嬉しそうにじゃれついてきたユリカの言葉だけは覚えている。
『やっぱりアキトは私の王子様♪』

彼女に二人で結婚することを告げると
『おめでとうございます』
そう言って祝福してくれた。
彼女は俺達に気を使ってミナトさんの所に行きますと言ったけど、それは俺達で止めた。
彼女も俺達の大事な家族なのだとハッキリ言った。
彼女は嬉しそうに泣いていた。

貧乏なんだからと結婚式なんていらないと俺達は言ったけど、
お義父さんは『娘の一生を台無しにしておいてウェディングドレスも着させないつもりか!!!』と一喝されて情けないことに費用を全部出してもらってしまった。
厚意には甘えたけど、質素な式を望んだ。
けど、そこはそれ、元ナデシコのクルー達が色々持ち寄ってくれて結果として賑やかな式になった。

幸せだった。
そんな時間がいつまでも続くけば良いと思っていた

新婚旅行は彼女がプレゼントしてくれた。
三人で行こうと言ったけど、彼女の気持ちを考えなさいとユリカに言われた。
それならばと、月のお土産をいっぱい買ってくるからと言うと彼女はニッコリ微笑んでくれた。

・・・わかっていた。
それがつかの間の幸せだということは。
後でユリカに聞いた。
それが覆らない定めだということを。
でもまだ半信半疑だった。

新婚旅行当日
俺達は月に向かう民間のシャトルに乗った。
小さな旅行鞄とみんなからのお土産リストを持って。
月にはそんなに観光スポットはない!って言ったのに、元ナデシコクルー達が集まってお土産のリクエストをいっぱい要求していった。
メモ帳はあっと言う間にお土産リストで埋まっていった。
面倒くさいなぁと俺が言うと、ユリカはみんな見送りに来たんだよ♪と笑って俺を諭した。

ならばと気を取り直す。
しばらく彼らの顔を見れないかもしれないのだからと感謝した。
ひょっとして最後かもしれないから・・・

エリナさんだけはきょとんとした顔でCCを手渡してくれた。
それは事前に頼んでおいたものだった。
なぜCCなんて必要なの?って聞かれたけど、結婚指輪の代わりですって言ったら彼女は呆れていた。

二つのCC・・・
それを俺とユリカが一つずつ持った。

もしどちらかでもそのCCで助かったのなら、
もう一方を助けに来るという誓いと共に・・・

シャトルは飛び立った。
もう、誰の力も借りられない。
互いの力だけが頼りだった。

そして黄昏は訪れた・・・

シャトルは阿鼻叫喚と化した。
それはたった7人の男達
だがあっという間にシャトルを駆けめぐり虐殺していった。
たった二人の人間を拐かす為に
何の躊躇もなく殺していった。

俺達はあまりの惨劇に動けなかった。
如何に起こる事実を事前に知っていても、体が言うことを聞かなかった。
動いたのは互いに繋いだ手だけ。
互いの手を握りあって必死に励まし合った。

だが・・・

『見つけた・・・試験体どもよ』

悪魔に魅入られ、身が竦んだ。
だが、ユリカを逃がしたい一心で奴に挑みかかった。
『アキト!』
遠くでユリカの声が聞こえる。
俺にかまわず逃げろ!
そう言いたかったが、言葉に出す前にあの蜥蜴のような顔が眼前に近寄ってきた。

力があれば・・・
その瞬間何度思ったことだろう
だけど、現実は変わらない。
薄れゆく意識の中で、奴らに捕まったユリカの姿だけが見えた。
それがユリカを見た最後の光景となった・・・



???


そこは不思議な空間、
彼女は思い出に浸り、しばし自失してた。
こういう時にバイザーが役に立つ。
誰も彼女には注目していないのに少し安心した。
だが、誰かがあがったようだった。

「あ・・・ツモ」
「またかよ!」
「すごいねぇ〜」
「で、一体どんな記憶だったの?」

アキト君か・・・
彼はどんな記憶を見たのだろう?

彼の顔色から察すれば・・・
あまり良い記憶ではないのだろう。
願わくばあの記憶の続きでないことを祈りたかった・・・



れいげつ・白鳥九十九自室


そこは純和風の部屋であった。
白鳥九十九はそこで座布団に座り番茶をすすっていた。
なんでもそれが一番落ち着くのだそうだ。

獅子落としのカポーンという音が聞こえてきそうな静かな雰囲気に騒がしい来訪者が訪れたようであった。

ドドドドド!!!!

月臣「九十九!!!!」
九十九「帰ってきたか、元一朗」
月臣「どういうことだ!説明してもらおう!!!」
九十九「まぁお茶でも一杯どうだ?」
月臣「ああ、それは済まない。ちょうど喉が渇いていたところだ」

差し出されるお茶をあっさり受け取る月臣




しばし後



九十九「どうだ?この金鍔は絶品だぞ?」
月臣「どれどれ?・・・・うひょ〜〜こりゃ格別だぜ!!!」
九十九「そうだろ?なかなか手に入らないんだ」
月臣「至福だ・・・」
九十九「お?茶柱が立っている」
月臣「うわぁ、いいな、お前」
九十九「ズズズ・・・」
月臣「ズズズ・・・」
九十九「ふぅ」
月臣「ふぅ」

お茶を飲んで一息着く二人・・・

月臣「だぁぁぁぁぁ!!!!!
 俺はお茶を飲んで和みに来たのではない!!!!」
九十九「違うのか?」
月臣「違うわ!!!」

剣幕で怒鳴り込んできたはずなのに、いつの間にかのほほんとした九十九のペースに巻き込まれてしまった。
恐るべし、白鳥九十九(笑)

月臣「どういうことだ!説明してもらおう!!!」
九十九「まぁお茶でも一杯どうだ?」
月臣「そこでループさせるな!」
九十九「一体何を怒っている」
月臣「これが怒らずにいられるか!
 なぜナデシコとの戦闘を止めた!」
九十九「そのことか・・・」
月臣「そのことか、じゃない!」

九十九は一口お茶をすすると月臣に向かい合った。

九十九「あのままやり合っても、勝ち目はなかっただろう?」
月臣「何を言う!まだまだ戦えた!」
九十九「消耗戦をしても仕方がない」
月臣「消耗戦だと!」
九十九「違うのか?」
月臣「そ、それは・・・」

月臣は口ごもる。
確かにあの後、ダイマジンを出して機動兵器戦に持ち込むというのもあったが、2機のデンジンがやられた以上、月臣のダイマジンが孤軍奮闘しても高が知れている。
跳躍砲が破壊された時点で勝算はなかったのだ。

ならば、むつきクラスの戦艦を無駄に失うのは戦力浪費の愚に等しい。

月臣「だが、あそこで撫子を足止め出来ていれば・・・」
九十九「何分足止め出来た?」
月臣「それは・・・」
九十九「敵は生体跳躍まで手に入れた。
 たとえお前が頑張ったとしても撫子を足止め出来なかっただろう」
月臣「だが・・・」

それでも月臣は口惜しかった。
あの後、撫子は木連の月面軍を特殊な攻撃で撃破している。
無人艦隊が中心とはいえ、中には有人部隊も混じっていた。
それが総崩れなのだからなおさら足止め出来なかったのが悔やまれる。
だからこそ、それを無駄だと言われたのが悔しかったのだ。

九十九「今は無駄に戦力を失うわけには行かない」
月臣「しかし・・・」

九十九の正論に何とか言い返そうとした月臣であるが、それはある珍客によって遮られた。

ダダダダダ!!!!

ユキナ「お兄ちゃん!!!」
九十九「ぶ!!!ユキナ!?」

障子を勢いよく開けて乱入してきたのは九十九の妹、白鳥ユキナであった。

月臣「おお、ユキっぺ」
ユキナ「ユキっぺじゃないわよ!元ちゃん!」
月臣「お前こそ元ちゃんって言うな!月臣少佐と呼べ!」
ユキナ「何が少佐よ!あの洟垂れ元ちゃんがなに偉そうにしてるんだか!」
月臣「おしめを替えてやった恩も忘れおって」
ユキナ「その話は言わないで!
 唯一の汚点なんだから!
 お嫁に行けなくなったらどうするつもりよ!
 他人に言ったら殺すわよ!」
月臣「それにゲキガンガーごっこだって付き合ってやったじゃないか」
ユキナ「っていうか、何で私がミーエ・ミーエなのよ!」
月臣「何を言う!ヒーロー役を打ち負かす悪役がどこにいるか!」
ユキナ「あたし漫画嫌い!」

と、当初の予定を外れて延々と古傷の抉り合いをする二人
一人九十九だけは巻き込まれまいと一人静かにお茶をすすっていた・・・

ユキナ「・・・っと!こんな事をしに来たんじゃなかったんだ。
 お兄ちゃん!」
九十九「お兄さまと呼べ」
ユキナ「んじゃ兄(あに)くん」
九十九「せめて兄君(あにぎみ)と呼べ」
ユキナ「兄ちゃま」
九十九「兄(にい)やに負けてやろう」
ユキナ「兄貴!」
九十九「兄上だ」
ユキナ「だぁぁぁぁ!私は漫画が嫌いだって言ってるでしょう」
月臣「っていうか、ユキっぺだって結構詳しいじゃないか・・・」
ユキナ「元ちゃんは黙ってなさい!」

ユキナもなんだかんだといって、妹姫の事、結構詳しいんだ(笑)
とはいえ、いい加減に行数を浪費しても仕方ないので本題に戻ります。

ユキナ「地球との和平を進言したって本当?」
九十九「そのことか・・・」
月臣「それは本当か、九十九!!!」
ユキナ「どうなの、お兄ちゃん!!」
九十九「・・・本当だ」
月臣「何を考えているのだ、九十九!!!」

身内からあっさり非難の声が挙がる辺り、和平という提案は現状の木連では受け入れがたい意見が大勢となっているのだ。
ちょっぴりこの先の困難さに溜息をつく九十九
しかし、和平を成し遂げねば・・・

九十九「もう開戦当時の優位性は我が軍にはない。
 後は消耗戦だが数に劣る我らにとって、長引けば勝ち目はない。
 我々は過去の謝罪と生活圏の安全が担保されればそれで良いのだ。
 ならばまだ我が軍が優勢な内に良い条件で和平を結ぶに限る。」
月臣「だが、しかし我々の積年の恨みはどうする!
 奴らのエゴの為に亡くなった同胞達の悲しみは無視するのか!」
ユキナ「そうよ!そうよ!」
九十九「落ち着け、二人とも!!!」

二人の批判を通る声で一括する九十九
それに気圧されたのか、二人が落ち着いてから九十九は話し始める。

九十九「その気持ちは痛いほどわかる。
 だが、それでは人の世から争いは消えない。
 どちらかがどちらかを滅ぼそうとしたとき、どれだけの憎しみを生むか・・・
 その事は我々が一番よく知っているはずだ」
月臣「なればこそ・・・」
九十九「だからわかっていないのだ。
 我らの目的は何だ!
 地球人を根絶やしにすることか?」
月臣「そ、それは・・・」
九十九「我らの望みは安住の地を手に入れることのハズだったはずだ。
 憎しみに目が曇れば目的を見失う。
 ゲキガンガーで敵と戦っていたのは決して相容れない存在同士だったからのはずだ。
 しかし地球人は我々とは全く相容れない存在なのか?」
月臣「・・・」

月臣は反省する。
この前ゆめみづきに迎えたミナトとメグミという地球人の女性達
気絶していたので後から九十九に聞いたのだが、敵として戦ったテンカワ・アキトという少年の叫び、メグミの叫び
そしてアマガワ・アキという女性の言葉

『確かに100年前、私達の祖先があなた達に酷いことをしたかも知れない。
 でも私達だって仲間を殺されたら悲しいし、憎いの。
 あなた達がかつて味わったのと同じようにね。』

九十九「遺恨が引き返せないところまで根深くなる前に、和平が出来るなら和平をすべきだ。滅ぼすことしか頭にないのなら我々は昔の地球人を罵れなくなる。」
月臣「・・・・わかった」

九十九の真摯な説得にどこか承伏しづらいものを残しながらも頷く月臣。
しかし、もう一人の方は納得してないようであった。

ユキナ「ウソ・・・」
九十九「ウソって何だ、ユキナ」
ユキナ「お兄ちゃん、平和の為だとか何だとか言っているけど、私知っているんだからね!!!」
九十九「知ってるって何をだ!?」

動揺する九十九を余所に、ユキナはツカツカと部屋の端っこに歩いていった。
そこにはゲキガンガーのポスターがあった。
ユキナはポスターに手をかける。

ユキナ「騙されちゃダメよ、元ちゃん!
 お兄ちゃんの本当の目的は!!!」
九十九「や、止めろ!」

ベリ!!!

剥がしたポスターの下にはさらにポスターがあった。
・・・ミナトのポスターである(笑)

ユキナ「お兄ちゃん、和平が成立すればこの女の人と一緒に暮らせるから必死になっているんでしょう?」
月臣「本当か!?九十九!!!」
九十九「いや、それはあくまでも理由のひとつであって、そのためだけにそうしている訳じゃ・・・」
ユキナ「それだけじゃないわ!」

ユキナはさらにツカツカと机の方に歩き出した。
立てかけてあったのはやはりナナコさんのブロマイドが入った額縁だった。
九十九が駆け寄るのもかまわず、ユキナは額縁から写真を抜き取った。

ユキナ「しかもこの女は誰!」
九十九「そ、それは・・・」

二人は知らないだろうが、その写真はアマガワ・アキのものであった(爆)



・・・っていうか、あんたいつの間に写真をゲットしてたんだよ


ユキナ「お兄ちゃん、これはどういう事!」
九十九「いや、それは・・・」
月臣「九十九、我々はナナコさんにこそ青春を捧げたハズだ!
 それなのに!!!
 純愛なればまだ許せる!
 しかし事もあろうに二股とは!!!」
九十九「ちょっと待て!
 元一朗、お前は何か勘違いしているぞ!!!」
ユキナ「勘違いじゃないわ!
 お兄ちゃんは地球女に誑かされて、それで!!!」
月臣「お前だけはそんな奴じゃないと信じていたのに!!!」
ユキナ「お兄ちゃん、不潔よ!!!」
九十九「だから誤解だ!!!」

確かに誤解かもしれないけど・・・
どんなに正論を述べても説得力無いよねぇ(笑)



いつか走った荒野


何か野蛮な事を指して獣の様にと言うが、それは違うと初めて知った。
理論づけられた理性の名の下に行われる行為が一番非道だということを初めて知った。

古くは神の名の下に行われる異教徒狩り
唯一の神以外を信仰するものは全て悪魔の手先だ
滅んでもいい
それは確かに人の感情をねじ曲げるようだ。

同じ人間のはずなのに
ただ信じている神が違うだけなのに
虫けらのように殺されて良いはずがないのに

それは当たり前のように行われた。

それが絶対の正義なのだ
そう信じられれば人は如何様にも残酷になれる。
いや、それが残酷な行為だということを感じなくて済む生き物のようだ。

そんなこと、千年前の旧世代の事だと思っていた。
でも千年以上経っても事情はさして変わっていない。

目の前で行われている事がそれを物語っていた。

『試験体113番の結果は?』
『投薬が過ぎましたね。ショック死を起こしました』
『まぁ113番は元から見込みの薄いサンプルだからな。
 仕方がない、破棄しておけ』
『そうはいいますけど、ペースを考えて下さい。
 解剖の方もひいこら言ってますよ。
 殺すにしてももう少しゆっくりやれって苦情が殺到してます』
『草壁閣下からせっつかれているんだ。悠長なことも言ってられまい。
 解剖班には徹夜でもさせろ。』
『捌ききれないって言ってます。
 遺体安置所も目一杯だから一部腐り始めてるって・・・』
『あ〜〜わかった!20点以下の成績の奴は臨床解剖は要らないって言っておけ』
『ですが、遺体の始末も馬鹿にならない手間でして・・・』
『溶鉱炉にでも放り込んでおけ!』
『それは無駄使いだな』
『ほ、北辰・・・』
『その死体、我らが引き取ろう。
 試し切りにもってこいだ』
『かまわないが・・・悪質な儀式に使うなよ?』
『悪質?あれがか?』
『新兵の度胸づけか、憑き物を落とすためか知らないけど、
 そいつら、死体を試し切りさせられた後、必ずカウンセリングに来るんだ。
 対応させられる俺達の身にもなれよ』
『新たな秩序の為には仮初めでも悪にまみれなければならない。
 奴らにその覚悟をさせてやっているだけさ。』
『いいけど・・・やりすぎてお前みたいなのを量産するのはやめろよ。』
『量産出来るならしたいものだ』
『それよりも今日はなんだ?死体を引き取りに来た訳じゃあるまい?』
『「プリンス」を見に来た。殺してないだろうな?』
『殺すものか。死なないようにはしてある。大事なジャンパー第一号にして一番の経験者だからな』
『ならば良い。死なない程度に急げ』
『そう言うなら優秀なサンプルを寄越せ!
 「プリンセス」をなんで凍結なんだ?』
『さすがに閣下も女性には気が咎めるらしい』
『それこそ今更だな。
 新しい秩序の前にはどんな犠牲も払う覚悟を・・・』
『というのは冗談だ。
 あれは最後の切り札だ。それを汝らに与えてつまらぬ実験ミスで殺されてはかなわん。それに・・・』

その爬虫類のような顔の男は俺の方に向かってこう言った。

『そう、その目だ!
 自分の女を奪われた憎しみに燃える目だ!
 絶望は死に至る病だ。
 だが憎しみは絶望を押しのけて、人を生に縛り付ける。
 我らを殺したくて仕方がないその憎しみは如何なる実験にも耐え得るだろう。』
『煽るのは止めろ。「プリンス」が外に出たくて頭突きをしている。
 そのシリンダーは割れないけど、「プリンス」の脳味噌がパーになったらどうする?』
『何を言う。汝らはもっと過酷な実験をするつもりなのであろう?
 ならばこのぐらいの憎しみを植え付けなければ、絶望して死んでしまうぞ?』
『まぁそれもそうだな』
『ハハハ!!!』

出せ!!!
俺をここから出せ!!!
殺す!
絶対に殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!

『悔しいか?
 所詮は力無き己の不甲斐なさを恨むのだな』

力が欲しい
あいつらを皆殺しに出来るだけの力が!
力が!力が!力が!力が!力が!力が!力が!

誰か俺にコイツらを殺せるだけの力をくれ!!!!!!!!!!!!



???


「どうしたんですか?アキトさん」
「どうしたの?お腹でも痛いの?」
「い、いや・・・そうじゃ・・・」
「その割に顔色悪いよ?」
「何でもない。何でも・・・」
「何でもないって顔じゃないねぇ」
「何でもないって言ってるだろ!!!」
「何でもあるって言っているようなものね」
「私達にも見せてみてよ〜」
「ダメだ!」

アキトにはにわかに信じられなかったが、これが誰の記憶なのかわかったような気がした。



作戦開始??分前・ユーチャリス


Blue Fairy「やっぱり記憶データをどこか外部に送っているようですね」
Snow White「どこに?・・・って聞いてもわからないんでしょうね」
Blue Fairy「ええ、串を刺しまくってますから」
Snow White「ジャミング・・・かけられる?」
Blue Fairy「やってみます。Pink Fairy、手伝って」
Pink Fairy「わかった。アキトの記憶は渡さない」

フクベ「にしてもじゃ、これは・・・」
ガイ「酷いなぁ、いくら悪役とはいえ、ここまでするか?」
イツキ「私、初めて人間に殺意を抱きました・・・」
Actress「気分悪い?医療室にでも行く?」
イツキ「いえ、大丈夫です・・・
 それよりも皆さんはアキトさんがこんなことされていたのを知ってたのですか?」
Secretary「まぁ、一応はね」
イツキ「それで彼の復讐に手を貸すと?」
Secretary「復讐?それは違うわ」
Actress「アキトさんはそんな人じゃありません」
Pink Fairy「アキトは優しい」
Blue Fairy「優しすぎるぐらい優しい人だから・・・」
Snow White「だから私達はアキトを支えるんですよ」

イツキは彼女達の言葉をいまいち理解できていなかった。
それはもう少し彼(彼女?)の記憶を見ていけば明らかになるだろう。

でも彼女達の関心事は別の所にあった。

Snow White「誰だと思う?アキトの記憶を探っている奴は」
Blue Fairy「Snow Whiteさんの考えている通りだと思います」
Snow White「だとしたら、クリムゾンの機動兵器もそれ?」
Blue Fairy「だと思うんですけど・・・彼らにしては過去への干渉が積極的すぎます。干渉したところから歴史は変わり、その後の予測がつかなくなります。
 とすれば・・・」
Snow White「そろそろってこと?」
Blue Fairy「ええ・・・」
Snow White「でもなぜ今なんだろうね?」
Blue Fairy「どういう事ですか?」
Snow White「いや、奴らの力があるならいつでも歴史を変えることが出来るんじゃないかなぁ〜〜って思うんだけど」
Blue Fairy「そういう観点で彼らの行動を見たことがありませんでした。
 その方向でも調べてみます」
Snow White「お願い」

二人はしきりに議論しあう。
周りが解説しろという視線を投げかける中、一人だけ・・・

ガイ「つまり俺様が大活躍する日が近いって事だな!!!」
一同「違う!!!!!」

いや、それが後日いろんな意味で叶うことを彼らは知る由もなかった。
あんまり良い意味じゃないけど(苦笑)



作戦終了数時間後・欧州クリムゾン某工房


北辰は試乗した機体から降りて近づいてきた技術者にこう言った。

技術者「どうだ?」
北辰「まずまずだが・・・これではネルガルには勝てんな」
技術者「何だと!?」
北辰「これで本当にあの黒い奴と対等に戦えると思っているのか?」
技術者「そ、それは・・・」
北辰「エンジン、情報、色々与えてやっているんだ。
 悔しかったらコピーでも盗作でも良いから越えるものを作って見せろ」
技術者「・・・わかった。しばらく時間をくれ。
 パラメータを煮詰めてみる。」

憔悴しきった技術者を置いて北辰は野営地に戻ろうとした。
なにゆえ野営地?
とクリムゾンの関係者は思ったが、彼らは地球人の施設に留まりたくないらしい・・・というか、暗殺者たるもの、暖かいベッドの上で寝てはいけないらしい(笑)

しかし・・・
北辰はさっきまで乗っていた機動兵器「不知火」を見上げて思う。

『これが完成すれば我が生涯の伴侶と死合いが出来るわ』

それが北辰には待ち遠しかった。
もし未来から来た者がいたら・・・
その機体が夜天光に酷似していると気が付いたかもしれない。

と、北辰が来たる日のことを夢想しているところに・・・

シュ!!!

技術者その1「・・・矢文か?」
技術者その2「・・・矢文なのか?このご時世に?」
技術者その3「・・・矢文だと思うが?」

北辰の足下にはどこからか放たれてた矢文が突き刺さっていた。

北辰は拾って矢に括り付けられていた文を読み始めた。

北辰「やれやれ、奴も人使いが荒い。
 帰るついでに様子を見てこいとは・・・
 おい汝ら。我の不知火の調整は任せた。
 所用でこれから帰る」
技術者「それはまたなぜ・・・」
北辰「東郷め、自分のおもちゃにご執心と見える」

北辰は笑いながらその地を去った。
クリムゾンの技術者達にはその事の意味がさっぱりわかっていなかった。
いくらネルガルに勝つ為とはいえ、自分たちは手を組んではいけない相手と手を組んでいるのではないか?と密かに思い始めていた・・・

ってことで後編に続きます。



ポストスプリクト


今回は特別に奥さん'sへのインタビューって事にさせていただきたいと思います。

Blue Fairy「あ・・・なんか今回は私達のパートの割にはマジですね」
Pink Fairy「っていうか、これじゃ私達オマケ・・・」

−それは否定しない(笑)

Secretary「ちょっとは否定しなさいよ!!!」
Snow White「落ち着いて(汗)」
Actress「それにしても今回は木連編・・・って感じですね」
Blue Fairy「いえいえ、アキトさん編って感じですね。昔の”私と”幸せな頃のアキトさんってのも触れられてましたし」
Snow White「私はちゃんとプロポーズされてたし♪」
Pink Fairy「むぅ・・・私が出てない」
Secretary「私達も出番はあるの?」
Actress「あるんですか?」

−ないんじゃないですか?

Secretary「投げやりに言うな!!!」
Actress「言うな!!!」
Pink Fairy「言うな!!!」

−んなにいうなら、仕方なく出すよ・・・

Actress「いや、仕方なく出してもらってもそれはそれで・・・」
Pink Fairy「私は仕方なくないはず」
Secretary「わ、私も仕方なくないはずよ」
Pink Fairy「ジーーーーー」
Secretary「ジーーーーー」
Actress「って何で哀れむように私を見るんですか!!!」
一同「だって・・・ねぇ?」

−という漫才は置いておくとして

Actress「私の一大事を漫才で済まさないで下さい!!!」

−ってことで次回をお楽しみに〜

Special Thanks!!
・yuu 様
・龍崎海 様
・HAZY 様
・Dahlia 様
・bunbun 様
・kakikaki 様