アバン


日時と場所は深く追究しないで。
とりあえず18話辺りらしいけど、お話の都合でコロリと変わるかもしれないから。

まぁ古今東西、子供が大きくなって色々な事件を解決するってお話は既に出尽くされているぐらいたくさんあるんですけど、逆に大人が子供になるパターンってさほど多くないかもしれません。

だから書いてみようっていうのが今回の趣旨らしいんですけど・・・
どっかで似たようなお話、既になかったでしたっけ?(苦笑)

ああ、これって外伝なので黒プリ本編とは何の関係もありませんのでそのつもりで。



物語の始まりは・・・


その日、アキの部屋は重苦しい雰囲気に包まれていた。
一人思い悩むアキをオモイカネ・ラピedが必死に慰める。

アキ「で、なぜ現在こうなっているの?」
ラピed『それはあそこにある赤いキャンディーと青いキャンディーのせいかと・・・』
アキ「待て、それは不思議なメ○モだろう!」
ラピed『ではあそこにある魔法のバトンのせいかと・・・』
アキ「だから、マジ○ル・エミじゃないって」
ラピed『では、ナノマシーンを注射されて・・・』
アキ「WJの黒猫じゃないんだから・・・」

いくつかの愚にも付かない理由があげられるが、漫画やアニメの見過ぎで一蹴されるモノばかりである。

ラピed『仕方がないじゃないですか。実際漫画みたいなことが起こっているんですから』
アキ「漫画みたいで済ますな!!!私の身にもなってみろ!!!」
ラピed『そう言われましても・・・』

ラピedはマジで困る。そんなこと言われたって、目の前の現状がどうにかなるわけでもなく・・・

ラピed『とりあえず遊園地とか電車の料金が子供料金になるんですからラッキーと思わなければ♪』
アキ「んなもん、喜べるか!!!」
ラピed『まぁ、男性から女性になったんですから、今さらこんな事が起きても驚くに値しないでしょう』
アキ「だからって納得できるか!!!」

スカ!

アキはラピedのウインドウを殴ろうとするが、見事に空振りする。

アキ「卑怯な!降りてこい!!!」
ラピed『降りてこいって・・・アキさんが勝手に縮んでるだけじゃないですか』
アキ「だぁぁぁぁ!!!認めたくない真実をあっさり言うな!」

思いっきり縮んで推定8歳ぐらいのアキさんは文字通りラピedに子供扱いされているのであった(笑)



ナデシコ プリンセス オブ ダークネス
外伝 プチプリ・アキさん



Yナデシコ・アキの自室


ラピed『魔法にかかって何年経っても大人になれないアキお嬢様はどんな願い事も叶えるというエターナルティアラを手に入れるべく、プラチナプリンセスを目指すことに・・・』
アキ「目指すかぁ!!!
 っていうか、某番組のあらすじをしゃべるんじゃない!!!」
ラピed『いやぁ、タイトルがあんなだったので、つい・・・』
アキ「ついでも書くな!」
ラピed『それは良いんですけど・・・』
アキ「いや、良くないって」
ラピed『それよりも、その格好なんとかなりませんか・・・』
アキ「この格好?」

そう、アキの格好である。

バイザーがないのでほぼ素顔
髪の毛は長いままだが、問題は首より下である。
ほぼ全裸に近い。その上からバスタオルを巻いている。
なぜなら・・・

アキ「だって仕方がないじゃない。着られる服がないんだから」
アキはさっきまで自分の着ていた服を摘んで見せびらかす。
確かに大人の服はこの体に合いそうにもない。

ラピed『確かに見事にぺったんこですね』
アキ「うるさい!」
ラピed『そんな、女の姿を嫌がっていたのに』
アキ「そりゃ、女の姿である以上、ないよりあった方がいいわよ」
ラピed『その胸がぺったんこになった瞬間は喜んでいたのに・・・』
アキ「う、うるさいわ!」



回想


それは突然のことであった。
急に立ちくらみがしたかと思うと気を失ってしまったのだ。

それからどのぐらい、経ったのだろう・・・

「あたたた・・・一体何が起こったの?」
とふと体を起こすと、胸の辺りがやけに軽い感じがする・・・

「もしかして!!!」
アキは思わず手で胸を触る。

ペタペタ・・・

「やった!胸がない!!!
 男の体に戻れた♪♪♪」
アキは諸手をあげて喜んだ。

だが・・・

ズリ・・・

着ていたジャケットがズルッと脱げ落ちるのを見て嫌〜な予感がした。

アキはそーっと付いているはずのモノが付いているか確認した。

パンパン・・・

「ない〜〜(泣)」

胸がなくてあそこもない。
何がどうなっているのか起きあがって鏡のある洗面所に走っていこうとした。
だが・・・

パサ!

スカートがずり落ちる。
インナーウェアの丈が余りまくる。
転けそうになりながらも必死に歩いて洗面所にたどり着く。

だが・・・

「と、届かない・・・」
嫌な予感はますます確信に変わる。
仕方がないのでお風呂用の椅子を持ち込んで、再度チャレンジ
やっとの事で洗面所の鏡を覗き込むことに成功するも、自分の姿を鏡で見たときの第一声は・・・

「なんじゃこりゃ!!!」

などと、ちみっちくなった自分の姿に驚いた後、すっころんで気絶したことは内緒である(笑)



再びアキの自室


過去に捕らわれていても仕方がないと、気を取り直したアキさんはとりあえずこの事態を打破する方法を模索していた。

アキ「とりあえず着るモノを確保しよう」
ラピed『賢明です』

いつまでも裸にバスタオルというのは心許ない。
仕方がないので家捜しする

・・・・

アキ「あ、ラピスの下着めっけ。
 こっちはこの前ラピスの着ていたスケスケのネグリジェ・・・
 それにシュミーズ・・・
 何でこんなモノが転がってるんだ?」
ラピed『完全に居着いてますね。マーキングでしょうか?』
アキ「この癖は止めさせた方が良いんだけど・・・今は仕方がない」

幸いというか、ラピスがお泊まりに来た時の下着やらなにやらが結構残っていたのでで、着てみるが・・・結構サイズがピッタリだ。

アキ「なんかこれはこれで複雑な心境・・・」
ラピed『胸のサイズが一緒な事ですか?』
アキ「違う!!!」

下着だけだと結構心許ない。

でも・・・
鏡を前にちょっとポーズを取ってみる。

よぉ!はぁ!ほぉ!

調子に乗ってポーズを取るアキだが・・・

ラピed『結構自分って可愛い♪とか思ってません?』
アキ「ドキ!!!」
ラピed『思ってるんだ。
 ルリさんよりも可愛いかも〜〜とか思ってるんでしょ?』
アキ「思ってない!思ってない!」
ラピed『何を焦ってるんですか?』
アキ「あ、焦ってないって〜〜」

図星を指摘されて焦るアキであった(笑)

さてさて、とりあえず裸よりはマシなものの、どうにかラピスかルリ辺りの制服でも手に入れないとどうしようもない。下着姿のまま外を出歩くのもなんだが、このままこの場に留まるわけにもいかない。

アキ「とりあえず外へ物色しに行った方が良いんだけど・・・」
ラピed『元に戻るまでこの部屋に隠れていた方が良いんじゃないですか?』
アキ「そうもいかないわ。だってそのうち朝食欲しさにユリカが・・・」
ユリカ「アキさん〜〜朝御飯お裾分けして下さい〜♪」
アキ「いきなり来たかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

いきなりマスターキーを使ってアキの部屋へ乱入しようとするユリカ。

ダダダダダ!!!
バタン!!!
大急ぎで自動ドアを手動で閉めるアキ
しかも外から開かないようにつっかえ棒を噛ます。

ドンドン!
ドアが開かないので扉を叩きまくるユリカ

ラピed『あの・・・ナデシコのドアにつっかえ棒は(汗)』
アキ『いいから静かに・・・』
ユリカ「あれ?アキさん、ドア故障しました?」
アキ「あ〜艦長、もう朝御飯終わって片づけちゃったの〜〜
 ゴメンなさいね」
ユリカ「そうですか〜〜残念だな。じゃ、後でブリッジで会いましょうね」
アキ「わかりました〜」

台風一過

アキ「この調子でラピスとか来られたら敵わないわ・・・」
ラピed『確かに』
アキ「とりあえず武器は・・・」
ラピed『武器って・・・(汗)』
アキ「外に出たら敵がいっぱいよ!
 こんな時、北辰でも現れてご覧なさい・・・」




想像開始



北辰「結納を持ってきたぞ、我が生涯の伴侶!」
アキ「誰が生涯の伴侶か!!!」
北辰「我は汝に会いに来たのではない。
 が・・・・・・・・・・・・・・・
 幼子も好みだ(ポッ)」
アキ「だぁぁぁぁぁぁ!!!頬を赤らめるなぁぁぁl!!!!」




想像終了



アキ「嫌すぎるだろ?」
ラピed『嫌すぎますね』
アキ「武器を持ってなければ、そのまま拉致られる!」
ラピed『で、ですが・・・』
アキ「まずはリボルバー・・・ってこんなに大きかったっけ!?」
ラピed『そりゃ、子供の体なら大きいし重いでしょう』

確かに8歳の体では持つだけでも一苦労である。
構えて撃つなどほとんど不可能だった。

アキ「仕方がない・・・コンバットナイフぐらいなら持てるだろう」
ラピed『それでも結構重いんじゃ・・・』
アキ「なんか、ショートソード並って感じだねぇ」

大きいので腰に吊すが・・・
重くて傾ぐ。
仕方がないので背中に背負うことにする。
で、下着姿で外を歩くわけにもいかないので愛用の黒マントを泣く泣くナイフで切って、8歳の体にちょうど良い大きさにして羽織った。

ラピed『背中の剣にマント・・・なんか伝説の女勇者みたいですね』
アキ「うるさい!」
ラピed『女勇者にありがちな露出度たっぷりの・・・』
アキ「いい加減にしないと叩き斬る!!!」
ラピed『いや、ウインドウ相手に凄まれましても・・・』

でもこれ以上おちょくるとナデシコを沈めても黙らされそうなのでおとなしくするラピedであった(笑)



最初の遭遇者:ゴート・ホーリー


さてさて、黒マントにコンバットナイフを背負った女勇者・・・もとい、ちっちゃなアキさんは廊下をテクテクと歩いていた。もちろん前後左右確認をした上でだ。
人に見つかるとこの上なくややこしくなる。

通路の角から誰もいないのを確認するアキ。

アキ「よし、誰もいないようだな・・・」
ゴート「誰がいないんだ?」
アキ「ドキ!!!!!!」

いきなり後ろから声をかけられて驚くアキ!
大慌てで振り返るとそこにはゴートがいた。

ゴート「ん?見かけない子供だな・・・」
アキ「い、いや・・・」
ゴート「迷子か?どこから来た?」
アキ「だから・・・」

いきなりの強面のゴートに詰問調で質問され、少し緊張するアキ。
それをどういう風に解釈したのか・・・

ゴート「そら、飴だ。泣きやめ」
アキ「え?」
彼が取り出したのは大きい大きいペロペロキャンディーだ。
本人は泣く子をあやすつもりらしいが・・・

っていうかゴート、君はいつもそんなの持ち歩いているかの?(苦笑)

アキ「い、いや・・・別に・・・」
ゴート「むぅ
 これでもダメか・・・
 ならこれはどうだ?」
アキ「いぃ!?」

いきなり指で口を広げ、変な顔をし出した。

ゴート「ベロベロバーーーー」
アキ「い、いや・・・」
ゴート「むぅ、手強いなぁ・・・
 ならばこれはどうだ」
アキ「だから・・・その・・・」
ゴート「仕方がない、最終奥義だ」
アキ「ひぃぃぃぃ・・・」

変な顔をしまくるゴート
しかし・・・普通の子供なら素直に笑えるかもしれないが・・・いやいや、あの強面でおかしい顔をされたら泣き出すかもしれない(汗)
そんな顔を延々と続けられたら・・・誰だって耐えられない。

アキ「お、お願い・・・もう止めて・・・」
ゴート「むぅ、ダメだったか・・・」
精神汚染ギリギリのところでようやく止めてくれた。
なまじ子供をあやそうと善意でやってくれている分、無下にも出来ないところが始末が悪い。

ゴート「仕方がない。高い高いだ」
アキ「え?」

ゴートはアキを抱きかかえると肩車をしようとした。
さすがにそれは困るとアキはジタバタ暴れた。

アキ「いやだぁ〜」
ゴート「そういうな。高いと気持ちいいぞ」
アキ「でもいやだぁ〜」
ゴート「こら、暴れるな・・・」

暴れるアキ。
と、そこに騒ぎを聞きつけてきたホウメイガールズが集まってきた。

アキ「降ろして〜」
エリ「あ!!!!ゴートさんが子供を誘拐しようとしている!」
ミカコ「やっぱりゴートさんって幼児愛好家だったんですね!」
ジュンコ「不潔です!」
ハルミ「変質者!」
サユリ「成敗です!」
ゴート「ご、誤解だ!俺はただ子供をあやそうと・・・」
ホウメイガールズ「問答無用です!!!」

哀れ、ボコられるゴート
アキはこの隙にさっさと脱出するのであった(笑)



次の遭遇者:ハルカ・ミナト


少しボロボロになりながら廊下を逃げるように歩くアキちゃん。
だが、その為注意力が散漫だったのか・・・

ミナト「あら?見かけない子だねぇ」
アキ「ギク!!!」

恐る恐る振り返るとそこにいたのはミナトであった。




しばしの静寂・・・



アキはどう誤魔化そうかとあたふたしていたが、ミナトはそんな彼女をしばらく見つめて開口一番・・・

ミナト「可愛い♪」
アキ「へ?」
ミナト「可愛い♪可愛い♪
 イヤ〜ン♪まるでお人形さんみたい♪」
アキ「あの・・・えっと・・・」
ミナト「お嬢ちゃん、どこから来たの?
 マント姿なんていかにも・・・」
アキ「いかにもって・・・」

気づかれたのか!?と思いきやそうではないようであった。

ミナト「そうよね、この子はお母さんを求めて三千里も旅してきたのね。
 だからこんなマント姿でボロボロの格好なのよ。
 なのにお母さんを捜しているなんて・・・
 ホロリ・・・健気な子ねぇ」
アキ「あ、あの・・・もしもし?」
ミナト「しかも、マントの下!」
アキ「きゃぁ!捲らないで!!!」
ミナト「中は下着姿、着の身着のまま極悪非道なサーカスの親方の元から逃げてきたに違いないわ!」
アキ「さ、サーカスってなんですか!?」
ミナト「わかったわ!お姉さんに任せなさい!
 奇麗なお洋服を着せてあげるから!」
アキ「い、いや、結構です・・・」
ミナト「そんなことないでしょ?
 奇麗な服を着たいわよね?
 そうでしょ?
 そうのはずよね!!!」
アキ「いや、それはその・・・」
ミナト「お着替えしましょうね〜♪」
アキ「目が怖いです〜(泣)」

救いの手は現れず、そのままミナトにお持ち帰りされるアキであった(笑)



Yナデシコ・ミナトの自室


ミナトは上機嫌だった。

ミナト「ルリルリもラピラピもピンクハウス系の洋服が似合うけど、あなたはカジュアルなのやボーイッシュなのも似合いそうよねぇ♪」
アキ「いや・・・あの・・・」
ミナト「まずはフレアスカートのドレスね。大きなリボンを付けたら・・・
 似合う似合う♪」

既に着せ替え人形状態のアキちゃん(笑)

最初はお姫様といったドレス
次はオーバーオール気味なジーンズにTシャツ、それに野球帽
はたまたミニモニ見たいなスタイルとか、
振り袖、チャイナドレス、ランドセル姿、幼稚園のスモッグ

ミナト「う〜ん、可愛い♪
 記念に写真を・・」
アキ「お願いだから止めて・・・」
ミナト「そう?」

そんなモノを残されたら末代まで笑いモノにされかねない。

さらには・・・スクール水着(胸に2年ナデシコ組の名札付き)
スッチー・・・ああ今はフライトアテンダーか
ナース服にレオタードにウェディングドレスにメイド服・・・

なんでそんなモノを、しかも子供服で持っているのですか?ミナトさん(苦笑)

ミナト「う〜ん、メイド服が一番似合っているかもしれないわね♪」
アキ「もうこれで良いですから、勘弁して・・・(泣)」
ミナト「ええ?これからなのに〜!
 もっとお着替えしましょう?向こうにもたくさんあるんだから♪」

ミナトが指さすタンスの中にはもっと恐ろしいモノがいっぱいあった。
着ぐるみ、肉襦袢、果てはセー○ームーンや怪盗ジ○ンヌやセイ○トテールやカードキャプチャーさ○らのコスチュームまで揃えてあった。

これを全て着せられる・・・

アキ「いくらなんでも嫌だぁ!!!」
ミナト「あ〜ん!逃げないで〜
 お嬢ちゃん、カムバッ〜〜ク!!!」

あまりの恐ろしさにメイド服のままミナトの制止を振り切って部屋を飛び出すアキであった(笑)



次の遭遇者:アオイ・ジュン


仕方がないのでメイド服姿でトボトボ歩くアキ
早くこの恥ずかしいメイド服姿をどうにかしないと・・・と思いながら歩いていたのだが、またまた注意力散漫だったのか、人に見つかってしまった。

ジュン「ねぇ、君?」
アキ「ギク!」

恐る恐る振り返るとそこにいたのはジュンであった。

ジュン「お嬢ちゃん、見かけない顔だね?」
アキ「えっと・・・」
ジュン「どこから来たのかな?(ニッコリ)」
アキ「えっと・・・遠いところから」
ジュン「そうか、で?お父さんとお母さんは?」
アキ「いないの」
ジュン「そうか・・・んじゃお兄ちゃんと良いところに行こうか?」
アキ「え?」

会話だけならなんのことはない。ただの迷子の子供を保護しようとしている姿だ。
だが・・・
なぜだろう?
ジュンの姿を見ると背筋が寒くなるのを感じるのは?

ジュン「それにしてもどうしてメイド服なんだい?」
アキ「いや、それはそこでお姉ちゃんに着せ替えを・・・」
ジュン「そうか、ならお兄ちゃんがちゃんとした服を買ってあげよう」
アキ「困ります」
ジュン「あははは、子供はもっと我が侭でも良いんだよ?
 お金の心配なら入らないよ。なんならおもちゃやお菓子を買ってあげようか?」
アキ「いえ、結構です」
ジュン「遠慮はいらないよ」
アキ「遠慮してません〜〜(泣)」
ジュン「まぁいいや。それよりお兄ちゃんに着いておいで。
 大丈夫、悪いようにはしないから」

なんか段々小さい子供がハァハァする大きいお友達に拉致られる時の会話に似て来つつあり、身の危険を感じるアキ。

アキ「ご、ごめんなさい!!!」
ジュン「ちょ、ちょっと・・・一体どうしたって言うんだ?」
いまいち自分が誤解されるような発言を連発していたことに気づいていないジュンであった。

・・・ハマりやすいキャラって言ったら偏見なのでしょうか?(笑)



次の遭遇者:ウリバタケ&ヒカル


しばらくメイド服のままトコトコ歩いていたアキだが、またまた運が悪く人に見つかってしまった。

ウリバタケ「おや?こんな所に子供が・・・」
アキ「ギク!!!」
ウリバタケ「よぉ、嬢ちゃん、お前さんどこから・・・」
アキ「えっと・・・」

恐る恐る振り返るとそこにはウリバタケがいた。

ウリバタケ「見ない顔だなぁ・・・こんな子、ナデシコにいたっけ?」
アキ「あの・・・私・・・」
ウリバタケ「皆まで言うな!
 だが、ちょっとだけここで待っててくれ!
 誰にも内緒にしてやるから。
 そのかわりちょっと付き合ってくれ」
アキ「えっと、その・・・」
ウリバタケ「待ってろよ!」

そう言うとウリバタケは大急ぎで引き返していった。
唖然としたアキは律儀にしばらくその場で待つ事にした。

・・・待たずに逃げればいいのに(苦笑)

数分後・・・

ウリバタケ「本当だって!」
ヒカル「本当?」
ウリバタケ「本当だって!可愛いメイド服の子供なんだよ」
ヒカル「あ〜〜♪本当だ♪」
アキ「ああああ!!!!!」

ウリバタケはヒカルを連れてきた(笑)

アキ「誰にも言わないはずじゃ!」
ウリバタケ「まぁそう言うな。嬢ちゃんを見ていると、こう創作意欲というモノが沸々と湧いて来るんだ!」
ヒカル「うわぁ、こんなに可愛いんだったらいっぱいスケッチしておかないと♪」

アキの抗議もどこ吹く風、ウリバタケとヒカルは早速それそれの道具を取り出した。
ウリバタケはフィギュア用の粘土
ヒカルはスケッチブックに鉛筆だ。

戸惑っているアキを後目に彼らは早速造形とスケッチに取りかかった。

コネコネ
カリカリ
コネコネ
カリカリ

逃げ出せよと突っ込む間もなく彼らはあっという間にアキのモデルに作品を作り上げていった。

アキ「・・・なに?そのしっぽは?」
ウリバタケ「ん?良いだろ♪
 子供にメイド服なら猫耳としっぽは定番だからな。
 今度のコミケに出すんだ♪」
アキ「・・・なんですか?その魔法のバトンみたいなのは?」
ヒカル「いいでしょう?ヒラメいたの♪
 今度の漫画は魔法のメイド・プリティーサリー(←誤字にあらず)にしようかと思って♪」
アキ「あ・・・」
ウリバタケ「モデルグ○フィックのフィギュア部門特賞間違いなし♪」
ヒカル「講○社漫画賞大賞受賞間違いなし♪
 OVA化やTV化、いやいや劇場版公開間違いなしよ♪」

勝手に盛り上がる二人だが、そんなことされたら・・・と考えるとゾッとするアキ

アキ「させるかぁぁぁぁぁ!!!!」
ウリバタケ「うわぁぁぁ、俺の作品に何を!!!」
ヒカル「私のスケッチブック、破らないで!!!」

二人の作品に壊滅的ダメージを与えた後、脱兎のごとく逃げ去るアキであった(笑)



ライバル?友達?主従関係?


「た、大変な目にあったよぉ〜
 メイド服は何とかしよう・・・」
逃げ出してトボトボ歩くアキ。
これまで散々酷い目にあったのはこのメイド服のせいだと痛感した彼女は、この服装から何とかしようと思い立った。

なのでラピスの部屋に直行してナデシコの制服を拝借しようと画策した。



しばし後・・・


キョロキョロ・・・
左右確認
後方確認

アキ「そうよ、さっきは後方確認を忘れたから見つかっていたのよ」
ラピス「そうなの?」
アキ「そうなのよ・・・もう大変」
ラピス「ふぅ〜ん」
アキ「え!?」

いきなり声をかけられて驚くアキ
慌てて振り返るとそこにはしゃがんだまま、こちらを観察しているラピスの姿があった。

・・・っていうかアキさん、あんた黒百合の頃はネルガルシークレットにいたんでしょ?
なんでそんなに簡単に見つかるかなぁ(苦笑)

アキ「い、いやぁ・・・それは・・・その・・・」
ラピス「ん・・・」
シロドモドロになっているアキをよそに、ラピスは彼女をジロジロと眺め回す。
そして隣に立って身長を比べる。
そういえば、ほんの1cm程度だけどラピスの方が背が高いようだ。

ラピス「・・・よし!私の方が背が高い!」
アキ「あ、あの・・・」
ラピス「お姉さんよ!」
アキ「はい!?」
ラピス「私の方がお姉さん!いいわね?」
アキ「いや、あの・・・」
ラピス「私の方がお姉さんなの!いいわね!!!」
アキ「は、はい・・・」

今まで自分が一番下だったラピスはお姉さん風を吹かせたくて仕方がなかったようだ(笑)



とりあえずラピスの部屋


で、とりあえずラピスはちっちゃいアキを自分の部屋へ招待した。

ラピス「さぁ、入って」
アキ「お邪魔しま〜す」
ラピス「どう?」
アキ「どうって・・・」

ちょっぴり胸を張っているラピス
何を言われているのかわからなかったが、ホラ!って感じで手を広げているところを見るとなにやら威張りたいみたいだ。



しばし後・・・


何となく、ラピスが何を威張っているのかわかった。

アキ「可愛いお部屋ね」
ラピス「そうでしょ?エッヘン♪」
得意になるラピス(笑)

確かに整理整頓されていて可愛いぬいぐるみもある。
結構奇麗な部屋だが・・・

単に使っていないだけ?って気がするのはアキだけだろうか?
大体はアキの部屋にお泊まりに来るし、そのときの彼女の行動を見るととても片づけているとは言い難い。
となると・・・大体お部屋の片づけをしているのはミナトさん辺りなんだろうなぁ・・・と推測すると何となく納得できる。

物語に出てくる乙女チックなぬいぐるみが多すぎて、ミナトの趣味っぽい(笑)

ラピス「はい。これに着替えなさい!」
アキ「どうも、ありがとう・・・」
ラピスはクリーニングから帰ってきてビニールも破っていない制服一式をアキに渡す。
アキはいそいそとメイド服を脱いでナデシコの制服に着替えた。

アキ「ふぅ。ようやく恥ずかしい服から解放された〜」
ラピス「着替えたらこっち来て、ここに座りなさい」
アキ「は、はい・・・」

お姉さんぶっているラピスは着替えて一息着いたアキを仕切り始めた。

ラピス「ちょっと待ってなさいね」
アキ「は、はい・・・」
ラピスはテーブルにアキを座らせると台所にとことこと向かった。
大人のレディーらしく、お客さんをおもてなししたいらしい(笑)
とりあえず紅茶でも入れるつもりらしいのだが・・・

あ・・・台所の棚に手が届かない。
仕方がないので脚立を取りに行った。
っていうか、ラピスの部屋に脚立は必需品なのか!?

ラピス「うおぉっと!!!」
アキ「はわわわわ、危ないよ〜」
ラピス「来ないで!一人で出来るんだから!」
脚立から落ちそうになるラピスが気が気ではないアキ。
だが、彼女はお姉さんとしての威厳を見せたいのか、介入を許さなかった。

危なっかしい手つきながらも、
棚の中から紅茶パック(未開封)を取り出し、
やかんを取り出しお湯を沸かそうとする。
だけど・・・

ラピス「熱い!」
アキ「あ!大丈夫!!!!」
やっぱりへまをやらかすラピスであった(笑)



しばし後、ラピスの自室


幸い火傷にはならず、ちょっと手を冷やす程度で済んだラピスの怪我。
少しむくれながらもラピスはテーブルに着き、代わりにアキが紅茶を煎れる準備をしていた。

アキ「ラピスちゃん、お茶菓子は?」
ラピス「お姉さん!」
アキ「・・・お姉さん、お茶菓子は?」
ラピス「戸棚の中」
どうあってもお姉さんと呼ばせたいらしい(笑)

部屋に常備している脚立を器用に使って棚からお茶菓子を取り出し、テーブルに並べていく。そしてその間にお湯が沸くのを待つ。

アキ「ティーバックだけじゃなく茶葉もあるじゃない。
 アールグレーだって。
 ミナトさんもマメだねえ。こんなのラピスちゃんが煎れると思っているのかしら?」

お湯が沸いたらティーバックではなく茶葉の方の紅茶を取り出す。
するとアキは紅茶の美味しい煎れ方をテキパキと実戦しだした。

「妹、結構やるわね・・・」
ラピスはその姿を見て感心する。そして少しデジャビュを感じた。

・・・なんかアキみたい・・・

なんか複雑な気分だが、紅茶の良い香りが匂ってきた。
こうなると自慢がしたくなるのが人情。
さっそく某少女に連絡した。



しばし後・・・


アキ「お姉さん、お待たせ〜」
ラピス「ありがとう」
ルリ「美味しそうな香りですね」
アキ「る、ルリちゃん!?」

いつの間にかテーブルにはラピスと一緒にルリが席に着いていた(笑)

ラピス「これは私のお姉さん」
ルリ「こんにちは。私はホシノ・ルリ11歳、ナデシコのメインオペレータです。
 ラピスの姉貴分をさせていただいております」
アキ「あ・・・これはご丁寧な挨拶恐れ入ります」

二人はなぜか深々と頭を下げて挨拶をし合う(笑)

が・・・

ルリ「で、あなたは誰ですか?」
アキ「え?」
ルリ「私は名乗りましたよね?
 で、礼儀としてはあなたの方も名乗る必要があると思うのですが・・・
 どう思いますか?」
アキ「えっと・・・それは・・・」

そう詰問されてドキッとするアキ
今まで誰にも名乗らなかったが、まさかこの姿で本名を名乗るわけにもいくまい。
そんなことになったら・・・・



回想開始


アキ「ちょっとナノマシーンの暴走で小さくなっちゃったアマガワ・アキで〜す」
ルリ「ナノマシーンの暴走で大人から子供になれるということは・・・男性から女性にもなれるって事ですね?」
アキ「い、いや・・・それは考えすぎ(汗)」
ルリ「そういえば、料理が上手いこととか、バイザーを取った姿がテンカワさんに似ているところとか、とっても怪しいですねぇ」
アキ「ギクギク!」
ルリ「・・・テンカワさんですね?」
アキ「いや・・・その・・・」
ルリ「男の人なのに女の人のフリをしてお風呂とか覗いていたのですね?」
アキ「いや、これには色々理由が・・・」
ルリ「そうなんですね?変態さんなんですね?」
アキ「だからこれには事情があって・・・」
ルリ「原因究明のためにイネスさんに通報しました」
アキ「え!?」
イネス「解剖させてね♪
 フフフフ・・・・・ニヤリ」
アキ「それだけは止めてくれ!!!」



回想終了


アキは背筋が寒くなった。それだけは断固阻止である。

ルリ「で、お名前は?」
アキ「あ・・・アキ・・・」
ルリ「アキ?」
アキ「アキ・・・ラ、アキラっていうの」
ルリ「アキラさんですか・・・男の子の名前みたいですね」
アキ「あははは・・・よく言われます(汗)」
ルリ「・・・・・ジロ」

ルリはアキの顔を訝しげに見回すが、ラピスがずいと間に割って入る。

ラピス「アキラは私の妹分!」
ルリ「・・・・ふぅ。アキラさん、よろしく」
アキ「どうも、こちらこそ」

何とか納得するルリだが・・・まだ刺す視線が痛かったりする(笑)



またまたしばし後、ラピスの自室


さてさて、ルリも加わって三人で優雅なお茶会・・・と思いきや、実はとっても困った事態が起きていた。

ルリ「そうなんです」
ラピス「そうそう」
アキ「い、いやぁ・・・それはどうかと・・・」
ルリ「そんなことありません!そうに決まっています!」
ラピス「そうそう」
アキ「考えすぎだと思いますよ・・・」
ルリ「いいえ!そうでなければなぜアキトさんは私にメロメロにならないんですか!」
ラピス「アキ、最近冷たい・・・」
アキ「いや、だから・・・」
ルリ「なぜあなたにそんなことが言い切れるんですか?」
ラピス「そうそう!」
アキ「いや、なんでって言われましても・・・」
ルリ「きっとそうなんです!」
ラピス「そうそう、女を外見だけで判断しているのよ」
アキ「だから・・・」
ルリ「そんなに巨乳がいいんですか、アキトさん!」
ラピス「ラピスが巨乳じゃないと可愛がってくれないの?アキ!」

胸の話で盛り上がっていた(爆)

まぁ気持ちも分からないではない。
なにせナデシコ内には彼女達と同年齢の子供はいない。
同じ話題で盛り上がるというのは非常に稀なのだ。

アキ「・・・だからそんなことないって」
ルリ「なぜあなたはそう言い切れるんですか!」
アキ「え?いやぁ・・・それは・・・」
ラピス「男の人の気持ちでもわかるって言うの!!!」
アキ「いや、そんなわけでは・・・」
ルリ「男なんて、大きい方が良いんですよ!」
ラピス「アキなんて、大きい方が良いのよ!」
アキ「ルリ姉さんの発言はともかく、ラピス姉さんの発言はちょっと問題が・・・」

なんか、悔しがっている二人を必死になだめるアキ
しかし元男の身には身の置き所に困る話題である。

アキ「まぁまぁ、胸の小さい女の子の方が良いって言うかもしれないよ?」
ルリ「・・・それはそれで嫌です」
アキ「ガク!」
ルリ「だって、考えて下さい。胸のない幼児にハァハァしているアキトさんを好きになれますか?」
アキ「いや、まぁ・・・それはちょっと嫌かも・・・」
ルリ「ですよねぇ」
アキ「っていうか、好きになって欲しいのか欲しくないのか、どっちなの・・・」
ルリ「だから、いま胸がないからって、それで現在の私を全否定されるのが嫌なんです!
 ユリカさんだって、大人になっただけであれだけ大きくなったんですよ!
 だったら私だって!!!」
ラピス「そうそう、ラピスも大きくなるの!!!」
アキ「・・・それは無理だと思うけど(ボソ)」
ルリ「何か言いましたか?」
ラピス「何か言った!?」
アキ「いえ、なんでも・・・」

と思わず誤魔化すアキ。
でも、未来の彼女達の胸のサイズを知っているだけに、その期待が無惨にも打ち砕かれるであろうことを思うと、心の中でそっと涙を流すのであった(苦笑)



さらにしばし後、ラピスの自室


怒り疲れた二人はテーブルで突っ伏すように居眠りした。

アキ「ふぅ、一服盛ったのがやっと効いたか・・・」
ラピed『紅茶に睡眠薬を入れたんですか!?』

恐ろしいことをサラリと言うアキに突っ込むラピed

アキ「だって仕方がないじゃない。こうでもしないと離してくれそうにないんだもん」
ラピed『結構大胆ですね(汗)』
アキ「背に腹は代えられないわ。
 それよりも何で子供になったか原因が分かった?」
ラピed『ナノマシーンの暴走ですね。
 まぁ人災って意見もありますが』
アキ「人災?」

ラピedの言葉に首を傾げると、彼はある置き手紙を表示した。

Snow White『やっほー、アキト♪
 イネスさんが大人を子供にするっていうナノマシーンを開発したそうなので、アキトで試しちゃいました。エヘ♪』
アキ「あいつら・・・何を考えてるんだ・・・」
Snow White『ちなみに持続性はないので数時間で元に戻ります』
アキ「これで戻らないって言ったら間違いなく離縁してるぞ、こら!」
Snow White『追伸:ちいさくなったアキトの寝顔はバッチリ映像に残しておいたので帰ってきたら一緒に見ようね♪』
アキ「あ、あいつら!」
Snow White『追伸の追伸:これで年齢を下げることに成功したら、私達も若返るつもりです。アキトは何歳ぐらいが好み?』
アキ「何歳でも良くないわぁぁぁぁぁ!!!!」
ラピed『静かにしないとお二人とも起きますよ?』
アキ「・・・・」

原因が分かってホッとしたが・・・このやり場のない怒りをどうしてくれようと持て余すアキであった(笑)



Yナデシコ・廊下


眠っているルリ達を起こさないように部屋をこっそり抜け出したアキは自宅に帰ろうと慎重に廊下を歩いていた。

「しかし・・・しばらくってどのぐらいなのよ」
結構時間が経っているのに一向に元の大きさに戻らない。
アキはますます意気消沈していく。

と、ちょうどそのとき・・・

アキト「あれ?こんな所に女の子が・・・」
アキ「ギク!!!」

後ろからまた声をかけられた。
しかも聞き覚えのある声・・・

アキト「お嬢ちゃん、どこから来たの?」
アキ「あ、アキト・・・」
思わず声に出してしまった。
振り向いた先にいたのはアキトである。

アキト「ん?俺の名前を知ってるの?
 どこかで会ってたっけ?」
アキ「えっと・・・」
思わず名前を呼んでしまったのはまずかった。
ここでバレては元も子もない。

アキ「あの・・・その・・・」
アキト「ナデシコの制服を着ているって事は・・・新しいクルー?」
アキ「え?そ、そう、ナデシコのオペレータ見習いになったアキラで〜す♪」
アキト「・・・」
アキ「・・・」

愛想笑いでニッコリ答えるアキ。もちろん頬には冷汗の滴が一つ
こんなわざとらしい言い訳が通用するならそれこそ漫画だよねぇ〜って感じなのは自分がよくわかっている。
その証拠に沈黙が気まずい雰囲気を熟成させる。

バレた?

そうアキも観念したのだが、アキトの反応は意外だった。

アキト「そうか。色々大変みたいだね」
アキ「え?ええ・・・」
なんか訳ありな少女・・・ってことで納得したみたいだった。
そのせいなのか、やけに親身になって世話をしてくれようとし出した。

アキト「で、これからどうするんだい?部屋はあるの?」
アキ「そ、それは・・・」

あるとは言えない。
アマガワ・アキの部屋に行って、ここは自分の部屋と言おうモノなら正体をバラすようなものだ。

アキ「えっと・・・行くところ、ないの・・・」
アキト「そっか・・・なんだったら俺の部屋に来るかい?
 大丈夫。みんなには黙っておいてやるから」
アキ「えっと・・・ありがとう、お兄ちゃん」

さすがに嫌って言うとチクられるかもしれないのでおとなしく頷くアキ。
まぁ、過去の自分だし、間違ったことはしないだろうと想像はつくので安心している面もあったのだが・・・

しかしあんた、とことん拐かされるのが好きだねぇ(苦笑)



Yナデシコ・アキトの部屋


アキト「楽にして良いよ」
アキ「はい・・・」

アキトの部屋に招かれたアキだが、その部屋は少し懐かしかった。
料理の本にゲキガンガーやアニメ関係のグッズ。
最近では格闘技の本も増えている。

『結構真面目にやってるんだ・・・』

アキはそんなことを思いながら、昔暮らしたその部屋をしげしげと見つめた。
何となく懐かしい
ナデシコ時代の自分の生活
それを少し視線の低い位置から見つめるのだ。
とっても新鮮な気がする。

アキト「着替えなんだけど・・・ゴメン。さすがに君ぐらいの女の子の着れる服ってないや」
アキ「いいです。この服のままで」

あったら怖い・・・と突っ込みたかったのをグッと飲み込んで、幼子のフリをするアキ。
そんなことには気づかず、アキトは連れてきた少女に親切にした。

アキト「ベッドを好きに使って良いよ」
アキ「お兄ちゃんは?」
アキト「俺は寝袋があるからね」
アキ「でも、悪いし・・・」
アキト「別に気にしなくても良いよ。」
アキの頭をぐりぐり撫でる。

『昔の自分ってこんなに格好良かったっけ?』
その笑顔が何となく好ましく思うアキであった。

でも、やっぱり悪いと思ったのかアキがぐずっていると、アキトはまたまた変な方向に勘違いしたみたいだった。

アキ「でも・・・」
アキト「もしかして、一人で広いベッドに寝るのは怖い?
 それとも寂しい?」
アキ「え?」
アキト「寂しいって言うなら一緒に寝てあげても良いけど・・・
 どうする?」

で、結局はその場の成り行きで一緒にベッドで川の字になって眠る二人(笑)

『早まったかしら(汗)』
いくら過去の自分とはいえ、自分はか弱い少女で相手は腐っても健全な男の子だ。
危ない性癖があって相手がその気になれば、子供の自分に抗うことは難しい。
ちょっぴり不安な気持ちでいるアキだが・・・

グイ!

『ひぃ!』
アキトに腕枕されて少し動揺するアキ
これから本格的に悪戯されるのか!?と心臓バクバクになっていたのだが・・・

アキト「やっぱり広いベッドは嫌だよね?」
アキ「え?」
アキト「俺も両親が研究とかでよく家を開けたりするんだ。
 で、一人で寝たりとかしてたんだけど・・・
 やっぱり寂しいんだよね。ポツリと一人だけで寝るベッドは」
アキ「・・・」
アキト「さすがに大人になってからは寂しいなんて言わないけれど、たまに堪らなく寂しくなることもある。ましてや子供の頃なんて泣きそうになったからなぁ・・・
 無理はしない方が良いよ」
アキ「・・・ありがとう」

そういえば思い出す。
子供の頃の思い出
もう、冷たい布団に寝るときの寂しさ、そして記憶にある母や父と一緒に眠った記憶・・・それに暖かさ

もうどれぐらいそんなことを忘れて眠っていたのだろう?
そばで寝てくれる、甘えさせてくれる・・・
そんな優しさにただ甘えて心地よく眠るなんてすごく久しぶりだった。

アキ「ありがとう、お兄ちゃん・・・」
アキト「ゆっくりお休み・・・」

二人は心地よくスヤスヤ眠るのであった・・・



翌朝、アキトの部屋


さてさて、朝早くアキトは目覚める。
隣には昨日の女の子を腕枕していた。

・・・けどなにか重い。

半分頭が寝ている中、無意識に少女の存在を確認しようとする。

撫で撫で・・・・

ん?なんか微妙に肉付きが良くって・・・サイズが一回り大きいような・・・

寝ぼけた頭でさらに撫で回る。
すると相手もそれを変に感じてモゾモゾ起き始めた。

アキト「う、もう朝か・・・」
アキ「う〜ん」

アキトは何気なく目を開けて腕枕をしてあげていた女の子の方を見やる。
しかし・・・
少女はシーツを頭から被っていてよく姿は見えなかったが、そのシーツのシルエットから見ると少女と言うにはかなり大きなサイズに見えた。

「え?え?え?」
混乱したアキトはさっぱり事情が飲み込めず混乱していた。
そして最初に取った行動は・・・

シーツをめくる。
すると目の前にはほとんど破れかかったシャツの合間から見える胸元!
しかも結構サイズの大きい女性のバストであった。

『あれ?確か昨日は小さい女の子を泊めたはずなのに・・・
 なんで大人の女性が隣に寝ているんだ????』
それだけでアキトの頭はパニック寸前だった。

アキ「ん・・・なに?」
アキト「そ、その声は・・・」
やたら聞き覚えのある声に恐る恐る視線を胸から相手の顔に向けようとしたそのとき!!!

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
一瞬先に相手がアキトの存在に気づいて大声を上げた。
そして着ている服がびりびりに破れてほぼ全裸になっている自分の姿を見て頭に血が上ってしまった(笑)

アキ「エッチ!変態!変質者!!!!」
アキト「うわぁ!ご、誤解です!!!」
アキ「わぁ!この格好、あなたのせいね!」
アキト「そ、そんなことしてません〜〜」
アキ「って言いながらこっちを見るな!!!」
アキト「済みません!わざとじゃないんです!!!」
アキ「聞く耳持たん!!!天誅!!!」

服が破けたのは自分の体が大きくなったからなのだが、寝起きで頭が回らないためパニックになったのか、全てをアキトのせいと決めつける彼女(笑)
彼女は器用にシーツを巻き付けた体で木連式柔を繰り出した!!!

「波陣!!!」
「ぐはぁ!!」
「旋毛!!!」
「ぎゃぁぁぁ!!!」
「迅雷!!!」
「あしべ!!!」
「九頭竜閃」
「はにゃ〜ん!」
「天翔竜閃!!!!!」
「どげしぃぃぃ!!!」

乙女の恥じらいにより、アキトは50コンボを喰らった後、お星様となった。

こうしてちっちゃいアキの大冒険は幕を閉じたのであった。



後日談


ミカコ「ねぇねぇ、アキトさんって幼児を部屋に囲ったんですって?」
エリ「らしいよ〜」
ジュンコ「ちょっと幻滅〜」
サユリ「いや、それは誤解なんじゃないかと・・・」
ハルミ「ダメだよ。そうやって男を甘やかしちゃ・・・」
アカツキ「え?僕はアキさんに夜這いをしてボコボコにされたって聞いたけど?」
リョーコ「っていうか、それだけのことをしておいて良く生きてるなぁ、あいつ・・・」
ホウメイ「夜這いをするだけの根性ができたんだ。成長したねぇ」
エリナ「無様ね」

などなど、ひそひそ自分に対する冷たい視線を感じながら包帯でぐるぐる巻きにされたアキトは肩身の狭い思いをしていた。

アキト「本当に誤解なんだって!!!」
ユリカ「そんなに人肌が恋しかったら私が相手してあげたのに〜〜アキトのバカ!」
ルリ「そうです。どうして私じゃないんですか・・・」
メグミ「そうです!寂しいのなら私が・・・」
アキト「だから誤解だって!アキさんもなんとか言って下さいよ!!!」
アキ「アタシは何も知りません・・・」

肯定するわけにも行かず、アキは心の中で詫びながら無視した。
従ってアキトの必死の弁解にも人々の冷たい視線は突き刺さるばかり。
人々の噂から解放されるのは当分先のようだった・・・。

ゴート「俺は誘拐犯じゃない、誘拐犯じゃ・・・」
ミナト「まだ着せてあげたい服がいっぱいあったのに・・・」
ウリバタケ「俺のメイド猫フィギュアが・・・」
ヒカル「私のプリティーサリーが・・・」
ジュン「僕は幼児になんかハァハァしない!絶対にしないのに・・・」
ラピス「また私が一番下・・・」
一同「アキラちゃんカムバック!!!」

まぁ、ちっちゃいアキちゃんが残した後遺症がちょっぴり残っていたりしますが(笑)



ポストスクリプト


ってことで、なにを書いているんだ!お前!!!ってな感じの外伝はいかがでしたでしょうか?

これもママプリとは違ってシリーズにしたらおもしろいだろうなぁ・・・って全然思ってません。ええ(笑)

元々はこのお話、某人気投票の雑談の中で「小さいアキトが現れたら?」ってのがあったのですが、それを見てついギャグで「小さいアキ見つけた」って書いてしまって(笑)

で、そこで止めておけばいいのに、つい書いてみたらおもしろそうなので書いてみたら・・・とんでもない代物になってしまいました(核爆)

ちょっぴりアダルティーな雰囲気を取り込みつつも、なかなかおもしろいお話になったのではないでしょうか?
あくまでもギャグなのでマジに取らないで下さいね(笑)

ということでおもしろかったなら感想を下さい。
では!

Special Thanks!!
・Dahlia 様
・三平 様
・さゆりん 様
・kakikaki 様
・かばのウィリアム 様