アバン


心の中にある一番星
それがキラキラ光る人もいれば、弱く光る人もいる
誇れるものは誰にでもある。

でも人は時としてそれを他人の星と比べる。
他人の目を気にし、比べ、そして劣ると感じる。
そして自分の本当の一番星ではないものと他人の星を比べ、そして劣ると感じる。

だから忘れないで
何を一番星と決めるかはあなた自身なのだから・・・

ああ、これってSecond Revengeのラストとほんのちょっぴり関係があったりしますのでそのつもりで〜



疼く夢


子供の頃の夢をよく見る。
それは父の肩車で帰る夕暮れ時
私は父を迎えに行って、一緒に帰る。
父はパイロットだった。
大きい飛行機とかあってそれを眺めるのも好きだった。
なにより飛行機で大空を飛ぶ父がとても格好良かった。
とても父を大好きだった。
その大好きな父のお出迎えをして一緒に帰る道すがら、空に見える一つの光・・・

「あ、お星様♪」
「ああ、宵の明星だな」
「宵の・・・明星?
 でもお空はまだ真っ暗じゃないのにもうお星様が見えるの?」
「一番星だからな」
「一番星?」
「そうだ。多くの星の中で一際輝く星のことだ。
 その為にたとえ空が明るくて他の星が見えない内でも強く輝く。
 どんなに周りの光が強くとも、光を放ち続ける・・・そんな星さ」
「へぇ・・・」

私は感心する。
すると父は続けてこう言う。

「お前も自分の中に一番星を持てよ」
「自分の・・・一番星?」
「そうだ。他人に誇れるもの、誰にも負けないもの、一番大事なもの
 自分だけの一番星だ」
「一番大事なもの・・・」
「そうだ。そいつを持っている奴は強い。
 どんなに困難なことが起ころうとも輝き続けることが出来る」
「よくわからない」
「あははは。まぁお前はそれをこれから見つけていけばいい。」
「お父さんの一番星は?」
「そりゃ・・・飛行機とお前かな?」
「それじゃ私もお父さん♪」
「あははは、それはうれしいな♪」

肩車で帰る夕暮れ時
それは希望にあふれた幼き日の光景
無限の可能性を信じていた頃のお話
望みさえすれば何にでもなれると信じていた頃の夢

だけど・・・

「・・・・・」
目を覚ますとそこは現実

「むにゃむにゃ♪」
「近藤〜〜です」

ドスン!

ルームメイトが寝言を言いながらベットから落ちたようだ。

私は辺りを見回す。
ここはどこだ?
日常だ。
昨日の続き
でも夢の続きではない。
何にでもなれると思っていた頃の続きではない。
なぜあの時、とてもすばらしい一番星を手に入れられると思っていたのだろう?

今の自分は・・・

彼女は気怠げに起きあがり、渇いたのどを潤すために部屋を出ていった・・・。



Yナデシコ・訓練施設


その部屋は就寝時間のはずなのに煌々と明かりがついていた。
中にいるのは二人の人物

アキ「それでは本日より本格的な稽古に移ります」
アキト「よろしくお願いします!」

一通り基礎的な訓練が終わったと判断したアキはそう宣言した。
アキトはその言葉に喜びを露にした。
だが、アキは厳しい表情を崩さない。

アキ「その前に最後の確認をします」
アキト「え?」
アキ「本当に私の領域にまで来たい?」
アキト「・・・ええ」
アキ「でもこれから私の使う技の稽古を付けた場合、中途半端に終わる可能性が高い。どっちつかずに陥り、結局は従来の稽古をした方が強くなれた・・・という可能性が非常に高いわ」
アキト「そ、そんな・・・」

アキの宣告にアキトは戸惑う。
だが、アキはかみ砕いて説明する。

アキ「私がこれから教えるのはある古武術。
 まだそれが柔術と呼ばれていた頃の技よ。」
アキト「柔術?柔道なら知ってますけど・・・」
アキ「現代の武道はそのどれもが型を反復練習することによりある程度の強さまでたどり着けるよう習得しやすいものにされてしまった。
 何年もかかって真理を探究するような術は殺ぎ落とされてしまった。
 まるでお伽噺のような仙人が使うような技もなくなってしまった」
アキト「仙人・・・ですか?」
アキ「例を見せようか?
 アキト君、私に殴りかかってみなさい?」

そういうとアキは直立不動で棒立ちした。
足は水平に開き、手はだらりと下に下げたまま
隙だらけである。

普通は半身に開いて、足を踏みしめ、両手で構える。
ボクシングならフットワークを使うだろう
でもアキにはそれすらない。

殴ってと言わんばかりの仕草だ。
いくらなんでもこれじゃ自分が殴れるんじゃないのか?
そんな思い上がりもあってアキトは言われたとおりアキに殴りかかってみた。

だが、それはとことん甘いことをすぐに知らされることになる。

アキトは殴りかかろうとする、その次の瞬間!
拳を繰り出そうとしたその瞬間に顔面を何かでふさがれてしまった。

アキ「正伝・波陣・・・もっとも基礎となる技よ」
アキト「これで基本!?」

アキは事も無げにアキトの顔を掴んでいた。
もし未来の人間がその場にいたのなら月臣が墓場で六人衆に見舞った技だとわかるだろう。

だが、アキトには何が起こったか全くわからなかった。
ただ直立不動だったアキが一瞬のうちにアキトの顔を掴んだ・・・そういう風にしか見えなかった。
神速と言っても良い。

アキ「今は手を抜いたけど、本当は掌底の威力に相手の突進力が加わる為、普通の相手ならまず失神する。
 でも本当はここから絡み・・・つまり体崩しや関節技に発展するの」
アキト「凄いですね・・・」
アキ「ちなみに、偽伝は掌底ではなく眉間への拳、あるいは眼球への突きに変わる。」
アキト「・・・・・」

アキトは相手が悪かったら最初の一撃だけで死んでいることにようやく気づいて慄然とした。
驚きっぱなしのアキト。

アキ「まるで魔法みたい・・・そう思ったでしょ?」
アキト「ええ・・・」
アキ「でもこれは魔法じゃない。ちゃんとロジックがある。
 他の流儀では無拍子とも呼ぶかな?」

アキトの顔を離すとアキは説明しだした。

アキト「無拍子?」
アキ「そう、今アキト君は私を殴るのに一旦拳を後ろに引いた。体を捻ったわよね?」
アキト「え?あ・・・そうですね」

そう、誰もが殴るときに普通にする行為
振りかぶってそれが戻るときの力を使う。
当たり前のパンチのやり方だ。

アキ「これは捻った筋肉が元に戻る力を使うと威力が上がる事を利用している、現代では当たり前の用法ね。
 この方法のために誰でも型を覚えることにより威力のあるパンチが可能になった。」
アキト「ええ」
アキ「でもこれは一旦腕を引き、そして戻すという動作としては二つのアクションが必要になる。これを一般には二拍子の技とも言う。
 しかしこの二拍子以上の技は必ず一拍子目に予備動作が発生し、どうしても攻撃の瞬間がわかってしまい対処されてしまう」
アキト「あ・・・そう言えば」
アキ「だからボクシングではジャブが有効になる。威力のあるストレートやフックを繰り出してもかわされる。だからその前の繋ぎとして一拍子のジャブを打ち、機会を伺いながら二拍子を繰り出す・・・そうならざるを得ないの。
 現代の武術はすべてそうならざるを得ないの」
アキト「なるほど」
アキ「で、私のさっき放った技は右足と右手を同時に出すもの。
 体を捻らず同時に出すから意外に遠くの距離まで攻撃が届くし、相手の攻撃が発生する前に相手に攻撃が当たる。しかも予備動作が全く発生しない。
 最初の動作がそのまま攻撃の手となる・・・これが無拍子の技の本質よ」

アキはもう一度モーションを見せてみる。
確かに一瞬のうちに掌底が飛んでくるみたいだ。

アキト「凄い・・・でも」

アキトはふとあることに気づく。
自分でも同じポーズを取ってみる。
だが・・・

アキト「これ、全然力が入らないっすね」
アキ「そうよ」
アキト「そうよって・・・」

一番の欠点のはずであるのに事も無げに言うアキ。
だが、これからが大事だと言わんばかりに彼女は表情を厳しくする。

アキ「振りかぶるからこそ反発力が加わる。でもこの波陣にはそれがない。
 だから一撃必殺の力は加わらない。」
アキト「それじゃ・・・」
アキ「そう、ただ手の動きだけだと大した力は加わらない。
 だから全身の力を絞り出すの」
アキト「全身の・・・力を?」
アキ「そう、全身の力を使うの。
 つま先から、足から、腰、胸、腕、それぞれ少しずつしか力を引き出せないけど、その少しずつの力を、うねるように足下から練り上げていって上へ上へ伝えていき、掌底の瞬間に一気に開放するの。
 アキト君、今度は構えてみて」
アキト「・・・はい」

アキはもう一度波陣を放つ。今度はアキトが構えたガードの上にだ。

ゴウ!!!!

すさまじい衝撃でアキトは吹き飛ばされて尻餅をついた。

アキト「うそ・・・あの構えでこれだけの威力なんて・・・」
アキ「でもさっきもアキト君がやったように普通のやり方では有効な打撃にならない。私の流派ではあの体の力の動きを『気の流れ』と呼んでいる。
 その気の流れが滞らないように繰り出さなければいけない。」
アキト「気の・・・流れ?」

アキトはクラクラする。まるで漫画に出てくるみたいな話だ。

アキ「現在の武術はそういうようには出来ていない。
 特定の型を上手く扱えるように筋肉を鍛えている。
 バラバラに動き、連携がなく、滞りがある。
 その代わりに型を習得すればある程度の修練で強くなれる。
 でも、この術の力の使い方は型にはまるものじゃない。
 この言葉で表せない感覚を自分で掴んでいくしかない。
 掴めなければいくら時間をかけても弱いまま・・・
 それが寂れた理由よ。」
アキト「お、俺・・・」
アキ「だからここから先に行く自信がないなら引き返すべきよ。
 会得できなければどっちつかずになり、最悪全ての戦闘技術を失うに等しい。
 だけど・・・」

だけど?
アキは真剣な目でアキトを見つめる。

アキ「並の敵にならここまでの力は必要がない。
 でもほんのわずか、達人と呼ばれる常人を超える力がなければ倒せない敵もいる。
 全てを犠牲にして、戦い方を変えても神速を極め、敵の攻撃の発生を封じなければ勝てない相手もいる。
 例えば月でメグミちゃんを人質にした三度笠の機動兵器・・・」
アキト「え?」

アキトは慄然とする。
アイツか!!!
恐ろしいまでの殺気を放った機動兵器・・・・
後でアキに聞かされた話ではアイツが女将さんを殺した張本人だという!

アキ「引き返すなら今よ。アイツなら私が倒すから・・・」
アキト「やります!アイツは俺が倒します!!!」
アキ「・・・・では稽古を始めます」

決意の表情を見せたアキトに少し間をおいて稽古を付けることにしたアキ
その表情が少し悲しげだということにアキトは気づかなかった。

そう思って強くなった男がかつていた。
だがその男は全てを失ってまで戦って・・・結局何も得ることが出来なかった。
復讐心だけが自分を支え・・・
成し遂げた後、何も残らなかった。

彼も同じ道を歩むのだろうか・・・
アキはその事が心配だった。

そして・・・・
その様子を影で見ていた女性が一人いた。
喉が渇いて潤しに来た帰りに二人のことを見つけたのだ。

「テンカワ・・・」
その直向きに頑張っているアキトの姿を見て、彼女は自分の姿が急にみすぼらしく思えてきたのであった・・・



ナデシコ プリンセス オブ ダークネス
第19話 明日の「艦長」はあなただ!<前編>



Yナデシコ・プロスペクター執務室


ウインドウ越しに叱責と命令を受けているのはプロスペクターである。
ある種、中間管理職の悲哀を一身に浴びていた。

『だから先日の機密漏洩事件の一件で沈みきったムードを払拭するためにはイメージチェンジを行う必要がある!!!』
『自分の考えを持つ艦長など必要ない!特にあのお気楽娘など!!!』
『新しい艦長は何も考えない、華やかでさわやかな女性が良いなぁ』
「ですが、そういうつもりでミスマル・ユリカ嬢を選んだのでは・・・」
『そのあげく機密漏洩をされたのだろう!懲戒免職されないだけでもありがたいと思え!』
「いやぁ、私に言われましても・・・」
『人選したのはプロス君、君だろう!!!』
「あ、そうでした(笑)」
『そうですか、じゃない!!!
 ともかく、これは決定事項だ!
 ナデシコのクルーには今回の一件が艦長解任劇だと悟られないように大々的に行いたまえ!以上だ!!!』

ガチャリ!!!

と電話の受話器を叩きつけたような音が律儀に聞こえて通信が切れた。
プロスは溜息をついて椅子に深く腰掛けた。

「まったく、上もスポンサーの顔色ばかり窺ってろくでもない企画を押し込もうとするんだから・・・」

プロスは再び溜息をつく。
企画そのものは艦長選抜の為のミスナデシココンテスト
そう言えば聞こえはいいが・・・見た目だけで選ばれた艦長を傀儡に据えてナデシコを骨抜きにしようと考えているだけではないか!

そんなことがばれたらクルー達がどんな反乱を起こすか・・・特にアマガワ・アキさんなんて連合軍とネルガルを殲滅しに行きかねない。
とはいえ、やらずに済ますわけにも行かない。
相手がこういう穏便な方法に出ている内はまだマシだが、固辞していれば強硬手段に出ないとも限らない。

一番いい方法としてはミスナデシココンテストとクルーには思わせ続け、なおかつそのコンテストで選ばれたのがナデシコが骨抜きにされない女性であるということ、そしてそれを連合軍とネルガル上層部が不審がらない結果に終わるというストーリーなのだが・・・

ともあれ、第一ステップは現在の艦長であるミスマル・ユリカ嬢がこのコンテストを不審がらないように承認するかどうかなのだが・・・



Yナデシコ・艦長執務室


ユリカはプロスのシドロモドロの説明をどう理解したのか知らないが・・・

ユリカ「OKですよ♪」
プロス「え?よろしいのですか?」
ユリカ「ええ、皆さんここまでいろいろ気も滅入っているみたいですし、パーッとやっちゃいましょう♪
 一日署長や一日駅長みたいなのもありますし、一日艦長ってのもいいでしょう♪」
プロス「一日・・・艦長?」

『いや、一日艦長なんて言ってないんですけど・・・』

心の中でそう呟くプロス
そんな説明をしたつもりは全くないのだが、ユリカはそう解釈したみたいだ。
まぁユリカ自身、艦長を解任されるなんて露ほども思っていないみたいだから、『ミスコンテストの優勝者を艦長に』と聞けばそう思うのも無理はないかもしれない・・・

ならば、勘違いをしてくれている間に引き返せないほどに事を進めてしまえば!

プロス「そうですなぁ、これで暗い雰囲気を払拭しましょう♪」
ユリカ「なら善は急げ!バーンとやっちゃいましょう!!!」
プロス「ええ♪」

プロスは心の中でそっと涙した。
『艦長、なるべくあなたを新しい艦長にして差し上げますから・・・
 なるべく
 なるべく
 なるべく
 なるべく・・・・』
と愁傷な事を思いながらも、なぜか『なるべく』をたくさん付け足すプロスであった(笑)



Yナデシコ・食堂


『というわけで題して「一番星コンテスト」を実施します。
 優勝者はナデシコの一日艦長さんをやっていただきます。
 女子クルーの皆さんの奮っての参加をお願いします♪
 艦長ミスマル・ユリカからのお知らせでした♪』

無邪気なユリカの(自爆気味な)艦内放送であるが、幸いというか、不幸にもというか、多くのクルーはその艦内放送を聞いていなかった。
多く事実はコンテストの応募用のポスターと、そして口コミで広がっていった。

ミカコ「ええ、どうする?」
ジュンコ「そうだよね、艦長だって、どうしよう♪」
エリ「なんでも優勝者は艦長だけじゃなくアイドル艦長として芸能界デビューの道も用意されているらしいって♪」
ハルミ「うそぉ、どうしよう♪」
サユリ「じゃ、歌や踊りとか必要よねぇ♪」

思わずリハーサルなんぞをしてみる五人組(笑)

で、そのお客のパイロット三人娘は・・・

ヒカル「ねぇねぇ、どうする?艦長だって♪」
イズミ「潮の満ち引き・・・干潮なんちって♪」
ヒカル「い、イズミちゃんがやる気だ!」
リョーコ「やる気なのか!?」
ヒカル「それよりさぁ、リョーコは出ないの?
 一番星コンテスト」
リョーコ「出ねぇよ」

ヒカルの質問にリョーコはあっさりとそう答える。

ヒカル「なんで?干潮・・・もとい艦長だよ?
 またとないチャンスだよ?」
リョーコ「あたいが艦長なんてガラかよ!」
ヒカル「まぁ、確かにガラじゃないかなぁ」
リョーコ「そうあっさり言われるのもしゃくに障るけど・・・」
イズミ「どっちなのよ・・・」
リョーコ「ともかく出ねぇよ。あたいはエステで敵を殴っていた方が性に合っているさ」
ヒカル「ふぅ〜ん」

なんとなくリョーコの心情が透けて見えたヒカルであったが、本人から何も言い出さないのなら深く聞かないのが長く友人関係を続けていく秘訣だということを彼女は知っていた。

ヒカル「じゃ、あたしは申込用紙を取りに行って来ようかな」
イズミ「あたしも・・・・」
ヒカル「リョーコは?もらって来ようか?」
リョーコ「いらねぇよ!」

リョーコはそう言ってそそくさと席を立った。
これ以上いると勝手に申し込まれたあげく、芸として「魔法少女プリティー・サ○ー」とか「サ○ラ大戦の真宮寺さ○ら」あたりの特訓をされかねない。

と、食堂を出たところでリョーコはなにげに通路の向こうに人の姿を見つけた。

・・・プロスペクターとアキである。

「アキさん、どうかコンテストに・・・」
「い、いやぁ・・・ガラじゃないですよ」
「そう言わずに、アキさんが出れば優勝間違いないですから」
「だから艦長になる気なんてサラサラないッスから」
「そう言われずに・・・あなたに出ていただかないとルリさんもラピスさんも出ないって固辞されていて・・・」
「ごめんなさい。お願いされてもダメなものはダメだから・・・」
「そうですか・・・」

プロスペクターはアキに向かってペコペコ頭を下げてお願いしているみたいだったが、アキは手を振って断っているみたいだった。
粘るプロスであったが、明確に固辞しているアキの姿に無理と悟ったのか、諦めたようだ。

そうだよなぁ
ガラじゃないよなぁ
猫も杓子も出る訳じゃないのにホッとするリョーコであった。

でも心の底ではわかっている。
彼女が出ないのは文字通りガラじゃないから。
でも自分が出ないのは・・・

『お前も自分の中に一番星を持てよ』

わかっている。わかっているからこそ出れないのだ。
自分に一番星なんてないって知っているから・・・



Yナデシコ・プロスペクター執務室


「ハルカ・ミナトさん、登録っと・・・」
プロスは大量に届けられた申込用紙をせっせと登録していた。
艦長になれるという触れ込みと、望めば芸能界デビューも夢じゃないという謳い文句は伊達じゃなく、ものすごい猛威を振るって女子クルーの間を駆け抜けた。

おかげでプロスは申し込みを捌くので精一杯であった。

「しかしアキさんは惜しかったですねぇ・・・」
プロスはしみじみ言う。
彼女が出れば誰も文句なしに優勝するだろう。
そして連合軍やネルガル上層部の傀儡にならずに済む。
適任かと思っていたのだが・・・
まぁ彼女が固辞するだろうとは何となく予想はしていたのだが。
彼女はなぜか表舞台に立とうとはしない。エステバリスの隊長ですら渋々引き受けている節がある。
どんな理由があるか知らないが、無理に押しつけても彼女は聞かないだろう。

そうなると、申し込みされている方の中から代わる人物を見つけなければ・・・

と、そんなことを考えているとウインドウに着信通信が入ってきた。

『プロスさん!!!!』
「か、艦長〜〜どうなさったんですか、いきなり!」
ウインドウいっぱいに抗議の顔を表示させて現れたのはユリカである。
なんで?と聞くプロスであったが、もちろんすっとぼけているだけであり、内心バレたのが早かったな・・・と思っていたりする。
もちろん、あれだけ派手にバンバン宣伝していたのだからバレて当たり前なのだが(笑)

『なんか、一日艦長って話だったのに、みんなずっと艦長になれるって勘違いしているみたいなんですけど、これって否定した方がいいんじゃないですか?』
「否定をするのはまずいのでは・・・」
『まずいって何故ですか?』
「いえ、それはですねぇ・・・」

今更否定は出来ない。勘違いをしているのはユリカの方なのだから。
だけど・・・
真っ正直に本当のことを言ったら暴れること必定だ!
なんとか誤魔化さないと、なんとか・・・

『ねぇ、プロスさん、プロスさんってば・・・』
「・・・・・♪」
あ、なにか奸知を思いついたようだ。

「よろしいではないですか♪」
『よろしいって、そんな・・・』
「ルックス、才能、笑顔、
 そのいずれも艦内であなたの右に出るものはいません!」
『え?そ、そうかな・・・(テレ)』
「あなたが実力ではなく、お父様ミスマル・コウイチロウのコネで艦長になれたとか申す者もいます。ですが、あなた以外に艦長が務まる者もいますまい・・・」
『そうよね、艦長たるもの、クルーの皆さんに安心していただけるように笑顔と気配りが必要ですものね♪』
「そうです!
 あなたの魅力なら優勝すること確実です!!!」
『そ、そうかなぁ♪』
「そうです。ですから実力で艦長になりさえすれば全然問題ないじゃありませんか♪」
『そうだよね♪全然問題なしですよね♪』

なんか違う気もするが、何故かすっかりその気になったユリカ
プロスは何とかその窮地を脱することに成功した。
『ミスマル・ユリカ、なるべくあなたを新しい艦長にして差し上げますから・・・
 なるべく
 なるべく
 なるべく
 なるべく
 なるべく
 なるべく
 なるべく・・・・』
と愁傷な事を思いながらも、なぜか『なるべく』をさっきよりもたくさん付け足すプロスであった(笑)



Yナデシコ・ブリッジ


さてさて、そんな感じでノープレブレムに一番星コンテスト実施へ邁進中の艦内では、クルー同士でそれなりの盛り上がりがあったりするわけである(笑)

メグミ「ミナトさんは芸は何をするんですか?」
ミナト「秘密♪今、衣装を作っている所なの♪」
メグミ「衣装ってコスプレでもするつもりなんですか?」
ミナト「うふふ♪それも秘密♪
 そういうメグちゃんこそどうなのよ♪」
メグミ「え〜〜私も当日までの秘密です♪」
と、互いの出し物に探りを入れていたり、

エリナ「あんた達、浮かれているんじゃないわよ!」
ミナト「あら、副操舵士さん」
エリナ「なんかそこを強調されるとすごくむかつくんだけど・・・
 ともかく!イベントはあくまでもイベント!
 いつ敵に襲われるかもしれないんだから浮かれて普段の業務の手を抜くんじゃないわよ!」
メグミ『なんか提督の霊が乗り移ったみたい・・・』
ミナト『本当にそうね・・・』
エリナ「何か言った!!!」
メグミ&ミナト「いいえ!」
メグミ「それはそうと・・・」
エリナ「ん?」
メグミ「エリナさんは何をなさるんですか?」
エリナ「うぐぅ!」

途端に真っ赤になるエリナ

ミナト「そうそう、コンテストに出るんでしょ?」
エリナ「で、出るわよ!悪いの!!!」
ミナト「いや、誰も悪いとは言ってないけど・・・」
エリナ「これ以上あのお気楽艦長にこの艦を任せておけないでしょ!!!」
メグミ「で、アイドル艦長としてデビューして」
エリナ「そうそう、タッキーなんかと一緒にドラマで共演なんかしちゃったりして・・・キャァ♪」
メグミ『ショタ?』
ミナト『らしいよね。お姉さま属性らしい』
メグミ『私はてっきり妹属性かと思っていました』
ミナト『アキお姉さま・・・って?』
エリナ「ちょっと待て!!!そこ、何を勝手に私の事で妄想を膨らませているのよぉぉぉ!!!!!!」
メグミ&ミナト「何って・・・・自爆じゃん」

と良い具合に弄られていたりとか

ミナト「ねぇねぇ、ルリルリは出ないの?」
ルリ「出ませんよ」
メグミ「なんで?出たら良いところまで行くと思うんだけど・・・」
ルリ「そうですね。アキさんが出ないということですので、たぶん私が優勝でしょう」
メグミ「じ、自信たっぷりね・・・(ヒキィ!)」
ルリ「ええ、オモイカネのシミュレーション結果からも整備班が行っている馬券投票のオッズからも私の勝利はまず間違いないでしょう」
メグミ「へぇ〜〜ふう〜〜ん、そう・・・(ヒクヒク)」
ルリ「でも、優勝してしまったりしたらその後が大変です。
 アイドル艦長とか売り出されても、どうせ出来るファンは毒舌を吐くクールなロリが好きな人達です。
 身の危険を感じるだけです!」
メグミ「・・・ルリちゃん、読者さん達を敵に回すつもり?」
ルリ「そんなつもりはありません。」
ミナト「でも、アキト君がルリルリラブになったらその危ない人達の仲間入り・・・って事になるわね」
ルリ「・・・・・・・私は結婚退職して好きな人の所に永久就職するのが夢なんです。アイドル艦長なんてなるつもりはありません。」

・・・ルリちゃん、そう言いながら3年後にはアイドル艦長になって電子の妖精なんて呼ばれるようになるんですよ(笑)

ミナト「ラピラピは出場しないの?」
ラピス「しない」
ミナト「どうして?」
ラピス「アキが出ないから」
ミナト「アキさんが出たら出るの?」
ラピス「出る」
ミナト「出るって言っても・・・」
ラピス「私とアキは一心同体」
ミナト「いや、その発言もどうかと・・・」

やばい方向に進みそうな少女がいたりとか(笑)

ミナト「でもさぁ、結局アキさん出ないんでしょ?」
メグミ「そうなんですよね」
ルリ「出てたら多分文句なしぶっちぎりの一番でしょうね」
ラピス「当然!」
ミナト「でも、もし出たとしたら、芸って何をやるんだろうねぇ」
メグミ「アキさんって言ったら早撃ちとかじゃない?」
ルリ「ってことはカウボーイってことですか?」
ラピス「荒野の決闘?」

想像する4人・・・



アキ「お前達、死にたい奴から前に出な・・・・
 バンバンバン!!!」


ミナト「良いかもしれないけど、物騒ね」
メグミ「そうですか?」
ルリ「予想の範囲内ではありますね」
ラピス「そう?」
ミナト「意外性が欲しいよね」
メグミ「意外ってどんなですか?」
ルリ「お笑い系とか・・・」
ラピス「却下!」
ミナト「お笑いって・・・イズミさんと?」
メグミ「二人で漫才コンビとか・・・」

想像する4人・・・



アキ「アキで〜す」
イズミ「イズミで〜す」
アキ&イズミ「二人合わせてナチュラルライチで〜す」
アキ「ってライチって一人じゃないの?」
イズミ「失礼しました〜♪」


ルリ「・・・意外性があっても・・・これはちょっと」
ラピス「断固阻止!」
ミナト「ええ?良いと思うけど・・・」
メグミ「そうですか?」
ラピス「断固阻止!!」
ルリ「ラピス、ちょっと落ち着いて・・・」
ラピス「断固阻止!!!!」
ミナト「わかったわかった、もう言わない(汗)」
メグミ「となると、やっぱり正統派っぽく、歌ですか?」
ルリ「歌ですか?」
ラピス「歌?」
ミナト「そうそう、たとえば演歌とか♪」
メグミ「ミナトさん、どうしてそうウケを狙うんですか・・・」
ルリ「演歌って何ですか?」
ミナト「こう、和服なんかを着て・・・」

想像する4人・・・



アキ「幸せわ〜んにゃ!歩いて来ない、だから歩いて来るんだね!!!」


ルリ「いや、歩いて来ないのになんで歩いて来るんですか?」
ラピス「断固阻止!!!」
ミナト「あははは・・・わかったから、そんなに目を剥いて怒らないでよ、ラピラピ〜」
メグミ「歌と言えばアイドルっぽい奴ですよね。
 艦長なんかはヒラヒラの服を着て歌うらしいですし・・・」
ルリ「アイドルっぽく歌うアキさんですか?」
ラピス「ん・・・」

想像する4人・・・



アキ「渚のバルコニーで待っててラベンダーの〜〜」


ルリ「・・・せいこちゃんですか」
ラピス「・・・???」
ミナト「ルリルリもよく知ってるわね」
ルリ「研究しました。どういうのが一番下品に見えないか」
メグミ「結局出るつもりだったのね(汗)」
ルリ「でもブリブリすぎでしょう。アキさんに合うとは思えません」
ラピス「じゃ、んじゃ何が良いの?」
ルリ「たとえば・・・」

想像する4人・・・



アキ「プレイバック、プレイバック!今の言葉プレイバック!プレイバック!!!」


ミナト「へぇ、ももえちゃんなんだ」
ルリ「アキさんにピッタリでしょ?」
ラピス「・・・ふむ、いいかも」
メグミ「それはいいけど・・・あなた本当に11歳?」
ルリ「ええ、わたし少女ですから」
ミナト「どう思う?ラピラピ」
ラピス「私も最近自信がない」
ルリ「何か言いました?」
一同「いいえ」

とかなんとか、浮かれていたのだけは確かであった(笑)



Yナデシコ・訓練施設


その日の訓練にアキトは出ていなかった。

アカツキ「さぼり?」
リョーコ「お前じゃあるまいし」
ヒカル「でもでも何で来てないの?」
イズミ「逃げた?」
リョーコ「だから逃げてないって」
アキ「彼は特別特訓の最中だからよ(汗)」

アキは汗をかきながらみんなに弁解する。

「依怙贔屓だ!」
「テンカワ君だけずるいぞ!」
「そうだ、リョーコがヤキモチ焼いてるぞ」
「誰がヤキモチを焼いてるって言うんだ!!!」

ブーブー言うクルー達に冷汗をかくアキ

アキ「彼は新しい稽古を付けているからみんなと同じじゃまずいのよ(汗)」
アカツキ「それにしたって・・・」
アキ「なんなら訓練風景を見る?」

でもみんなこっそりとアキトが一人で訓練している姿をこっそりと見る。
すると、なんだかなぁ〜というシーンが展開されている。

「柔軟運動?」
「あいつ蛸にでもなりたいのか?」
「今度は一本足で立ち始めたけど・・・」
「鶴拳でも覚えるつもりなのかねぇ・・・」

という具合に、アキトは体をグニャグニャにしたり一本足で立ったりしている。
およそ武術の鍛錬には思えなかった。

「あんなのやりたい?」
「いいえ・・・」
みんな一様に首を振った。



Yナデシコ・アキトの特訓部屋


で、そんな事したくないって言われたアキトであるが、これはこれで意味がある修行らしいと納得しながらやっている・・・のだが、本人も半信半疑であったりする。
でもアキの教えを疑うつもりもないし、その説明は理に適っているようにも思える。
とはいえ・・・

「私の流儀は神速を極めるために次のことを心がけます。
 一つは打撃動作に捻りを用いないこと」

これはわかる。
最初にアキが見せてくれた波陣という技を見れば明らかだ。
攻撃の動きが全て最短になるように目標に向かう。
その過程で捻る動作を行うということは一旦動作が目標に対して逆方向に向かうことを意味する。
これはわかるのだ・・・
だが、

「次に全身の力を使うということは体の全てを使うということ。
 体の動きの中で滞るところがあってはダメ。
 つまりは体が固かったら絶対ダメって事ね」
「だ、ダメですか?」
「ダメよ。そこで腰がまわらないとしたらそこで力の伝搬が止まってしまうってことでしょ?」
「あ・・・・」
だから必死に柔軟運動をしている。
いや、これはわかる。何となく大事だというのはわかる。

でも・・・

一本足で立つのに何の意味があるのだ?

だけどアキはこう説明してくれた。

「不安定の中の安定を見つける為よ」
「不安定の中の・・・安定?」
「そう、たとえば柔道のように構えてしまう。
 こうすれば安定して相手の攻撃を受けてもしっかり支えられる。
 これは安定しているからよね?」
「ええ・・・」
「でも安定してはダメ。
 安定している状態っていうのは動いている状態・・・つまり不安定な状態に移るのにタイムラグが発生するの。」
「え?そうなんですか?」
「そう、たとえば両足で踏ん張って安定しているところで左右から力を加えても大きく力を掛けないと動かないでしょ?
 でも一本足の人に対しては突くだけでバランスを崩して左右に倒れる。
 つまり不安定な状態っていうのはそれだけ動きやすいって事
 これはコンマ数秒の世界ではとっても重要なのよ」
「へぇ・・・」
「でも不安定のままではダメ。
 不安定を使いこなさないといけない。
 不安定を利用しないといけない。
 不安定の中でも安定を見いださないといけない。」
「・・・どうすればいいかさっぱりわかりません」
「そうね。まずはこの1mの円の中で常に片足で立つこと。
 決してこの中から出ないようにするの。
 そうすればある程度感覚が掴めてくるわ」

そういってやらされているのがこの片足をあげての訓練だ。
でもそうそう長くは続かない。
すぐに円の外に飛び出てしまう。
出来ない自分も悪いのだが、本当にこんな事が役に立つのか?

アキトにはさっぱりわからなかった。



Yナデシコ・通路


リョーコ「よ、テンカワ」
アキト「リョーコちゃん、どうしたの?」
訓練を終えて出てきたアキトを出迎えたのはリョーコであった。

リョーコ「いや、特に用事はないんだけど・・・」
アキト「ん?」
リョーコ「隊長の特訓・・・どんな感じだ?」
アキト「いや、大変だよ。着いて行くだけで精一杯だよ」
リョーコ「・・・お前は偉いよなぁ」
アキト「そ、そうかな?」

アキトは照れながらもそう言う。

リョーコ「いや、偉いよ。あの特訓について行こうってしてるんだから」
アキト「そうかな。強くなってる実感が全然ないんだよ・・・」
リョーコ「それはお前がどんな特訓されているか全然理解してないからだよ」
アキト「理解していない?それってどういう意味?」
リョーコ「教えない。教えたら多分特訓続けられなくなるから」
アキト「???」
リョーコ「邪魔したな、がんばれよ」
アキト「え?ああ・・・・」

リョーコの歯切れの悪い台詞に訝しがりながらもアキトは去る彼女に手を振った。

そう、リョーコは逃げ出してきたのだ。
アキトから。

自分にはわかる。
アキトが行っている特訓の意味が。
彼が受けている特訓は自らが今まで築き上げた戦闘技術の基礎を全てぶち壊して新たな土台を築くためのものだ

自分には出来ない。
絶対出来ない。
今、自分はエースパイロットと呼ばれるほどの力を身につけている。
その現在の評価をかなぐり捨てて身に付くかどうかわからない技術を体得しようなんて冒険は出来ない。
身に付かなければ全てはパーだ。
ある意味、素人という意識しか持っていないアキトだから出来たのかもしれない。
またアキも彼がまだ手垢の付いていないまっさらな状態だから、彼を選んだのかもしれない。
自分たちなら自らの常識とプライドと、そして先入観から絶対手控えるだろうことをわかっているのである。

たとえばアキトが行っている特訓。
不安定を使いこなす訓練。

人は崩れたバランスを取り戻そうと無意識にバランスを取ろうとする。
安定しようとする。
着地した瞬間、無意識に安定しようとして足を踏みしめる。そして左右を確認し、自らの安全を確認しようとする。

でもアキがアキトに教えようとしていることはもっと踏み込んだ内容だ。
着地した瞬間、不安定なバランスのまま次の一歩を踏み出す。
不安定な状態のまま駆け出し、そして左右を確認する。
こうすれば安定する時間を省くことが出来る。

この前の月面での戦闘で神速とも言えるUターンをやって見せたアキ。
普通なら一旦全ての制動を打ち消してそれからUターンをする。
でも彼女はその不安定さを残したまま、それを逆利用した。

彼女なら倒れる瞬間ですら蹴りを放てるであろう。

今の自分たちには怖くてとても出来ないことだ。
誰もそんなことを教えてくれない。
紙一重、少しでもタイミングを見誤れば大失敗に繋がる。
彼女の技とはそう言うものだ。

今の自分たちでは怖くて挑戦もできない。
なのにアキトは挑戦している。
武術の怖さを知らない素人故の無謀と言えるのか、それとも強くなりたいという一途な情熱故なのか。
嫉妬を覚えると共に羨ましいとも思える。

「一番星か・・・・」
リョーコは思わず呟く。
こんなところで後込みしている自分に一番星なんて輝くはずもない・・・そう思わずにはおれなかった。



Yナデシコ・食堂


そんなリョーコの気持ちなどつゆ知らず、食堂では一番星コンテストのことで盛り上がっていた。

ミカコ「ええ〜〜アキさん出ないんですか?」
アキ「出ないわよ」
ジュンコ「出ないってどうしてですか?」
ハルミ「体調が悪いとか」
エリ「下っ腹のぽっこりが気になるとか」
サユリ「あなたじゃないんだから」
エリ「そうそう、私もお腹が気になっていて・・・ってどういう意味!」
ミカコ「お姉さまはそんなんじゃありません!!!」
サユリ「でもどうして・・・・」
アキ「ガラじゃないもの」

散々ないわれようだが、アキはにっこり笑ってそう答えた。

アキト「残念だなぁ、アキさんも出れば良いところまでいけると思うのに」
アキ「あははは・・・そう?ありがとう。お世辞でも嬉しいわ」
アキト「お世辞じゃありません!アキさんが出たら必ず一票入れます」
アキ「あははは・・・・(汗)」

だから出たくないんじゃないの・・・という台詞を必死に飲み込むアキであった。

ホウメイ「そうかい、アマガワは出ないのかい・・・」
アキ「出ませんけど、どうしたんですか?ホウメイさん」
ホウメイ「いや、何でもない。
 そっか・・・これは少し挑戦してみる価値はあるかねぇ・・・」
アキ「えっと・・・(汗)」

ひょっとしてホウメイさん、参戦の意欲満々なのでしょうか?
そのことを確認するまもなく!

ユリカ「アキト、アキト、アキト!!!」
アキト「うわぁ!なんだよ、お前!!!」

ユリカ乱入(笑)

ユリカ「アキトは当然私に投票してくれるよね♪」
アキト「な、何をいきなり言ってるんだよ!」
ユリカ「だってアキトは私が好きなんだもんね?」
アキト「誰がいつお前のことを好きだって言ったんだよ!」
ユリカ「恥ずかしがらなくてもいいから、私は全部わかっているんだから」
アキト「ってお前、マジでわかってないだろう!!!」
ユリカ「いいから、いいから♪」

なんか、ここはここでどうでも良いことではしゃいでいるようだが、まぁ概ね平和に一番星コンテストに突入しそうな雰囲気であった。

リョーコ「一番星か・・・」
ただ一人、ブルーな少女を除いては・・・

ルリ「それはそうと、仮にユリカさん以外の人が艦長になった場合、ユリカさんって何をされるんでしょうね?」
ラピス「・・・副長?」
ジュン「あの・・・それじゃ、僕は・・・」
ラピス「お払い箱」
ジュン「それは嫌だぁぁぁぁぁ!!!」

一部のクルーの去就をかけたコンテスト、結果はどうなる!?

ってことで後編に続きます。



ポストスプリクト


取り敢えず前編ですので前回と同様にポストスプリクトは女アキトことアマガワ・アキさんへのインタビューという形式に変えさせていただきます。

アキ「ホッ、良かった・・・」

−何が良かったんですか?

アキ「何がって、コンテストに出なくて済んだじゃない」

−そんなにコンテストに出るのが嫌だったんですか?

アキ「そりゃそうよ。一体何をやれっていうの?
 水着になるの?まっぴらよ!」

−そうかなぁ、似合うと思うけどな、水着姿・・・

アキ「だから、私は男だって言ってるでしょ!何が悲しくて水着姿でミスコンなんかに」

−あれ?女性じゃなかったんでしたっけ?

アキ「筆者のお前が設定を忘れるな!!!(木連式柔炸裂!!)」

−・・・・・・というわけで後編をどうぞ。

ちなみに後編の内容とは微妙に違うので予めご了承下さい(笑)

Special Thanks!!
・Dahlia 様
・さゆりん 様
・AKF-11 様
・kakikaki 様