アバン


歴史の闇に潜んでいた魔王さん
それを倒せる人を捜そうとみんな一致団結して過去に戻ったのはいいんですけど・・・

言うに事欠いて探し出した勇者が「熱血アニメオタク超真面目美少女」ですか?
誰ですか、ただの「超真面目美少女」をこんな風に変えた人物は!

ああ、確かヤマダさんでしたっけ(苦笑)

まぁ能力さえあれば性格は問わないのがナデシコの伝統なのでしょうけど、これはちょっとねぇ・・・

ああ、これってSecond Revengeのラストとほんのちょっぴり関係があったりしますのでそのつもりで〜



2197年・ユーチャリス


さてさてinverse2で無事再会を果たしたイツキとガイ。
感動のご対面の興奮も醒めやらぬまま、イツキはガイがこの場にいる不思議を尋ねた。

イツキ「ガイ隊長はなぜここに?」
ガイ「わはははは!何せ俺様は勇者だからな!
 ド○クエ2風に言えばローレシアの王子みたいなものだ!
 まぁ最初に旅に出て導かれし者たちを探すという役目だな!」
イツキ「凄いです、ガイ隊長!
 さしずめ私はムーンブルグの王女というわけですね!」
ガイ「まぁそういうことだ。わははははは!!!」
奥さん's「違う!!!!!」
ガイの虚言を彼女達は力一杯否定した。

Blue Fairy「えっと彼は火星で死にそうになっていたのをフクベ提督の『おまけ』で私達が助けたんです」
Snow White「あ、実際に助けたのあたし♪あたし♪」
Pink Fairy「詳しい経緯を知りたい方は『外伝 第7.5話 いつかお前が「歌うゲキガンガー」』をどうぞ・・・」
イツキ「はぁ・・・」

しばし、7.5話を読むイツキ




しばらくお待ち下さい・・・・


読み終わったイツキ。
なぜか肩を震わせている。

Secretary「どう、わかったでしょ?
 この男が如何にダメダメだって言うのが・・・」
イツキ「・・・・・・・・・すばらしいです」
Secretary「え?」
イツキ「ガイ隊長、すばらしいです!
 これこそ熱血!
 これこそ正義!
 これこそ勇気!
 これこそ友情!」
Secretary「お、おい・・・(汗)」
イツキ「正義のために行われる不断の努力!
 感激しました!!!」
Pink Fairy「バカ?」
Actress「もうどうにでもしてって感じですね」

ガイ「ようし、話がまとまったようなので、お竜!
 これから熱血大特訓を行うのだ!
 魔王との決戦に備えて!!!!」
イツキ「はい♪♪♪」
奥さん's「そんなもんに備えるな!!!!」

彼女達の叫びも空しく、ガイとイツキには全然聞こえていなかった(苦笑)



ナデシコ プリンセス オブ ダークネス
第14話 「超熱血アニメ」でいこう<inverse3>



特訓その1・決めゼリフ


イツキはビシ!とポーズを取るとやおら叫び始めた。
「暁に染まる天空に、ひかるは明星一番星!!!
 人の心に掛かる暗闇を明るく染めてみせましょう!
 この熱血の炎で!
 愛と美の戦士、イツキ・カザマ光臨!!!」
なんか、天然なのか、決め口上を述べた瞬間、イツキの背中から後光が発した。

奥さん's「わぁ、かっこいい・・・」←棒読み

既に何回そのポーズを見せられたかわからない彼女達はほとんど心のこもらない拍手をして褒め称えた。

イツキ「やはり右手の角度はこうの方がいいですか?
 それともこっちですか?」
Actress『私の方が上手いのになぁ』←心の声
Pink Fairy『どっちも大して変わらない・・・』←心の声
Secretary『どっちでもいいわい、ボケぇ!!!!!』←心の声
Blue Fairy『勘弁して・・・』←心の声
Snow White「うんうん、どっちも良かったですよ♪」←少し引き気味
イツキ「う〜ん、どっちも良かったですか・・・
 ということはこれではまだまだ究極のポーズにはほど遠いという事ですね?」
一同『墓穴堀まくり!!!』←刺すような視線
Snow White『ごめんなさい!!!』←心の中で平謝り

イツキは彼女達の表情とか雰囲気とかを全く察しず、またも決めゼリフとポーズを最初から繰り返し始めた。

なぜにこんな事になったかといえば、
イツキが彼女達の元にやってきて特訓をしたいから手伝って欲しいと言ったのだ。

「魔王を倒すためにも精進したいのです。
 お願いします!!!」
と真剣な、それで純真な瞳でそう訴えるのでつい応じてしまった彼女達。
だが、それを数分後激しく後悔する。

だって、魔王を倒すための特訓と聞いて誰も決めゼリフの特訓だと思わないだろう?

でも、そうと判明して

Secretary「誰がそんなことに付きあ・・・」
イツキ「ダメですか?」←真剣な目
Secretary「だから・・・」
イツキ「ダメですか?」←縋るような目
Secretary「いや、だから・・・」
イツキ「ダメですか?」←純真無垢な目
Secretary「決めゼリフなんて・・・」

そう、断ったらまるで
『サンタさんは実在するんだ♪』
ということを信じて疑わない少年に
『サンタなんていないんだよ!!!
 あんなのお前の父ちゃんがパチンコの景品をお前の靴下に突っ込んでいるだけなんだよ!!!』
とでも言うがごとき罪悪感に包まれること請け合いの雰囲気なのだ。

マジである。
この少女はマジでガイに感化されて正義のヒーローは決めゼリフを言わないといけないと信じ込んでいるのだ。
それを健気な心根を踏みにじる権利が私達にあるのか?
もしかして汚れてしまったのは自分たちではないのか?
そんな雰囲気に錯覚させられて現在に至るのである(笑)

フィニッシュ!!!

イツキ「どうですか?皆さん!」←今度こそ!という顔
Actress「と、とってもいいわよ。最高♪これに決めましょう♪」←さすがは女優
イツキ「わかりました。これに決め・・・」
ガイ「ちょっと待った!!!!!」

せっっかくまとまりそうになったのに、邪魔する奴が一人
そう・・・

Pink Fairy「あ、ヤマダ・ジロウ・・・」
ガイ「博士、ダイゴウジ・ガイだって・・・
 それよりお竜!」
イツキ「なんでしょう、ガイ隊長」
ガイ「その決めゼリフはダメだ」
イツキ「だ、ダメでしょうか?」
ガイ「ああダメだ。なぜなら戦隊ものの決めゼリフはチーム全体のバランス、テンポが重要だ。たとえば俺が
 『天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!悪を倒せと俺を呼ぶ!!!』」
フクベ「そしてワシが
 『天が知る、地が知る、人が知る!悪を裁けとワシを知る!!!』」
ガイ「そう来たのにお前が
 『暁に染まる天空に、ひかるは明星一番星!!!』
 ってきたらどうだ?」
イツキ「確かに統一性がないですね」

ふむふむと頷くイツキ
だが、奥さん'sの心の中は
『せっかくまとまりかけたのになに余計なこと蒸し返してるのよ!!!』
と叫んでいたりする。でもこの三人はそんなのにお構いなしだった。

そして・・・

ガイ「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!
 悪を倒せと俺を呼ぶ!!!
 熱血の炎を瞳に宿し、唸る拳が悪を撃つ!
 勇気と熱血の人、ヤ○ターマン1号!!!」
フクベ「天が知る、地が知る、人が知る!
 悪を裁けとワシを知る!!!
 辛抱と忍耐を心に秘め、老獪な知識で悪を切る!
 知恵と人情の人、ヤ○ターマン2号!!!」
イツキ「天が嘆く、地が嘆く、人が嘆く!
 悪を許すなと私を嘆く!!!
 あふれる慈愛を胸に秘め、咲いてみせましょ大和撫子!!!
 愛と正義の人、ヤ○ターマン3号!!!」

キラリ〜ン☆ミ

ポーズが決まったことに酔いしれる3人
「すごいかっこいい」
既に棒読みで投げやり寸前の奥さん's
でも・・・

イツキ「でも男のフクベ提督が2号で私が存在しない3号なんておかしいんじゃないですか?普通2号は女の子でしょ?」
フクベ「なにを!後から入った新入りが!」
イツキ「でも決めゼリフはチーム全体のバランスですよね?」
フクベ「う!それを言うならおヌシはなぜ悪も切らずに『咲いてみせましょ大和撫子』なのだ!」
イツキ「う・・・」
ガイ「まぁまぁお前達、こういうのはどうだ?」
イツキ「ふむふむ・・・さすがガイ隊長!」
フクベ「・・・順番は気に入らないが仕方があるまい・・・」

奥さん's『だからどうでもいいって、そんなこと・・・・』
という彼女達の心のツッコミも空しく三人は決めゼリフ(改)を放つのであった。

ガイ「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!
 悪を倒せと俺を呼ぶ!!!
 熱血の炎を瞳に宿し、唸る拳が悪を撃つ!
 勇気と熱血の人、ヤ○ターマン1号!!!」
イツキ「天が嘆く、地が嘆く、人が嘆く!
 悪を許すなと私を嘆く!!!
 あふれる慈愛を胸に秘め、正義の鉄槌で悪を絶つ!!!
 愛と正義の人、ヤ○ターマン2号!!!」
フクベ「ヤ○ターワォーン」

奥さん's「・・・・・パチパチパチ」←既に話す気力もない

ガイ「でもやっぱり三人組なのにヤ○ターマンは無理があるな」
フクベ「ヤ○ターワンはつらいぞい」
イツキ「三人組の作品に切り替えましょうか?」
ガイ「そうだな」←アッサリ
奥さん's『結局やり直すのかよお前ら!!!!!!』

彼女達は血反吐を吐くほど絶叫したかったに違いない(爆)



特訓その2・出撃シーン


さてさて、結局決めゼリフはゲキガンガー3と同じものを使うことにした三人。
今度こそ真面目に戦闘訓練でもやり始めるのかと思いきや・・・

ガイ「出撃シーンの特訓だ」
イツキ「出撃シーン?」
ガイ「そうだ!どんなヒーローものも悪の出現の一報を聞いたら戦闘コスチュームに着替えて巨大ロボットに乗り込むプロセスがあるはずだ。
 それをこれから特訓する!!!」
Blue Fairy「変身も何も、単にパイロットスーツに着替えてカタパルトに向かえば・・・」
ガイ「ダメだ!出撃前のシーンはこれから始まる戦闘を盛り上げる大事な場面だ!いわば助走だ。
 その助走で躓いてどうする!」
イツキ「その通りですわ、ガイ隊長♪」
Blue Fairy「いや、だから・・・もしもーし・・・」
自分達に酔っている二人にはBlue Fairyのツッコミも耳には届いていないらしい。

イツキ「でも、どうするんですか?」
ガイ「心配するな!ちゃんと用意しておいた!
 それがこれだ!!!」

バン!!!
ガイが指さす先にあったのは・・・

イツキ「だ、ダストシュート?」
ガイ「そうだ!ここに飛び込むんだ!」
イツキ「ダストシュートってゴミを捨てる場所ですよね?
 そこに飛び込んだりしたら・・・」
Snow White「ゴミ焼却炉に一直線だよ・・・」
ガイ「あま〜い!!!
 敵を欺くにはまず味方から!
 本部にあるダストシュートは秘密の地下格納庫へ続いているのだ!!!」
イツキ「そうだったのですか!」
Snow White「いやぁ普通のダストシュートだと思うし、秘密の地下格納庫もないんだけど・・・」
Blue Fairy「っていうかこの人数で味方を欺かないで下さい!」
ガイ「心配するな!この前俺様が改造しておいた!
 しかもパイロットスーツ着せ替え機能付きだ!!!」
Blue Fairy「勝手に改造しないで下さい!!!」
ガイ「ちなみにこのモニターでその様子を見ることが出来る」
Blue Fairy「そんなものまで・・・・」
イツキ「あの・・・ガイ隊長・・・」
ガイ「なんだ、お竜?」
イツキはあることを気にしてこっそりガイに耳打ちする。

イツキ「あのそれって・・・・ですよね?」
ガイ「当たり前だろ。お前は服も脱がずに着替えるつもりか?」
赤くなりながら尋ねるイツキにガイは笑って肩を叩いた。

イツキ「でも・・・蒸着!とか出来るかなぁと・・・」
ガイ「いくら博士でもそこまでは無理だ。」
イツキ「でも・・・恥ずかしいです」
ガイ「心配するな!巧みなカメラワークで何とかする。
 第一このシーンは数少ない読者サービスのシーンだぞ?」
イツキ「・・・わかりました!ご期待に添えるかどうかわからないですが、頑張ります!」

『いや、別にそんなこと頑張らなくてもいいし・・・
 っていうか、何でそこまでする必要がある?
 っていうか、やるなよそんなこと・・・』

なにやら真っ赤になりながら決意するイツキにそう心の中で突っ込むSnow WhiteとBlue Fairyであった。

とはいえ・・・

イツキ「あの・・・ガイ隊長。
 先にお手本をみせていただけないでしょうか?」
ガイ「ったく、困った奴だなぁ。
 見ておけよ!この華麗なる出撃シーンを!!!」
ガイは格好良くダストシュートを開いてその中にするっと滑り込んだ。

一同「おお!!!」
横に移ったモニターにはガイが勢いよくダストシュート内を滑り落ちるシーンが映っていた。

だが、異変はすぐに起きた。

ガイ「あれ?そろそろコスチュームチェンジが始まるはずだが・・・」
格好良く滑り降りるガイであるが、なかなか仕掛けが始まらない。

それどころか・・・

ガイ「ちょっと待て、今確か別の分岐ポイントを通らなかったか?
 っていうかこのルートはどこまで行くんだ?
 ・・・待て、ちょっと待て、
 止まれ、止まれ、止まってくれ!!!!!!!」

ガイの絶叫も空しくガイの体はダストシュートのその先へ
奈落の底へ落ちていったのであった。

イツキ「ガイ隊長!!!」
Actress「それにしても人数が増えましたからゴミも多いですよね」
Secretary「全く、生ゴミばかり増えて仕方がないわ・・・」
ガイの安否をよそに大きなゴミ箱を抱えた二人が来てダストシュートに捨てようとしていた。

Actress「よっこいしょっと・・・」
イツキ「待って下さい、そこにはガイ隊長が・・・」
Secretary「そうそう、Pink Fairy、このダストシュートの目詰まり直してくれた?」
Pink Fairy「うん、バカがなんかしらないけどちゃっちい改造していた。
 直しておいたけど張り紙張るの忘れてた」

そういって張り紙を取り出すPink Fairy
そこには
『修理済み。
 捨てるのはゴミだけにするように
 くれぐれもダストシュートに飛び込むのは危険なので止めるように』
と書かれていた(笑)

ガイの運命を案じてそっと手を合わせるSnow WhiteとBlue Fairyちゃんであった。

Actress「んじゃ生ゴミ捨てますね〜」
Secretary「そうね・・・」
イツキ「止めて下さい!ガイ隊長が!!!」

数秒後、ガイの断末魔の叫びがダストシュートから響きわたり、その後半日以上も生焦げ臭さと生ゴミ臭をさせていたことは言うまでもなかった(笑)



特訓その3・リズム感


さてさて、出撃シーンはまぁありきたりだが廊下を走って服を引きはがすと中からゲキガンガーパイロットスーツが現れるというものになった。

まぁそれはいいとして、そろそろ本格的な戦闘訓練に入って欲しいと思っていた奥さん'sのプレッシャーを何となく感じたようで、彼らもごそごそやり始めたようだ。

ガイ「ようし!!
 決めゼリフと出撃シーンも決まったことだし、そろそろ戦闘訓練を行う!!!」
フクベ「待ってたぞい!」
イツキ「腕が鳴ります!」
ガイ「今回の特訓はこれだ!!!」

ジャジャーン!!!!
ガイが指さしたその先には・・・

フクベ「なんじゃ、これは・・・」
イツキ「さぁ・・・」
Snow White「誰?私のプレステを持っていったの!!!」
Actress「誰?私のDDRコントローラ持っていったの!!!」
フクベ&イツキ「DDR?」
Pink Fairy「説明しましょう
 DDRとはダブルデータレートSDRAMの略で・・・」
Secretary「違う!!!」
Blue Fairy「っていうか、マジボケ?」
Pink Fairy「そんなわけないじゃない。
 ただDDRはコ○ミの商標だからうかつに使えないだけ」
Blue Fairy「まぁあそこの会社はたまにとんでもない登録商標取りますからね・・・」
Snow White「とんでもないって?」
Bulue Fairy「ビジュアルノベルってのもありましたね」
Snow White「アレって東鳩で有名な葉っぱが最初に名乗ったんじゃないの?」
Secretary「まぁ商売、やったもん勝ちだからねぇ・・・」
Snow White「ひっどい!!!」
Pink Fairy「あんまり騒いで訴えられても知らないから」
Actress「まぁマニアなネタはいい加減止めるとして、まぁいわゆる音ゲーってヤツですね」

何ですって!!!という怒号が背後で沸き上がるのを無視してActressはイツキに説明した。

イツキ「音ゲー?」
Actress「まぁわかりやすく言うとリズムに合わせて指示されたボタンやマークを押していくって奴です」
Blue Fairy「でも何故ゲームなんですか?」
ガイ「よくぞ聞いてくれました!!!
 昔のアニメではチームワークを養うのにリズムに合わせてピッタリ踊るというのをよくやっているのだ!!!」
Pink Fairy「まぁそんなとこだろうと思った」
ガイ「何を言う!
 声優だからって声だけ出せばいいんじゃないんだ。
 今時のヒーローはコンサートも歌謡ショウも出来なくてはならない!
 歌って踊れるヒーローが今の流行なんだぞ!」
Blue Fairy「流行って・・・それに声優って誰に向かって言ってるんですか?」
Secretary「ってあんた出来るの?」
ガイ「失礼な!この俺がアキバの音ゲー王だということを知らんのか!」
Secretary「じゃ、やってみせなさいよ!」
ガイ「もちろんだぜ!!!」

ガイは音楽を選ぶとスタートボタンを押す。
なぜかかかった曲目は「熱血ロボゲキガンガー3」(笑)
画面には早速○△□×のマークがリズムに合わせて流れてくる。
するとガイは器用に床に敷いていたシート上の○×マークを曲のリズムに合わせて踏み始めた。

夢が明日を呼んでる〜♪

フクベ「おお〜〜!!」
イツキ「凄い!!!」
そう、ガイは実際問題上手かった。
全てのマークにPerfectを出してクリアしていったのだ!
やがて・・・

ゲキガンガー3〜♪

「決まった!!!」
フィニッシュポーズを決めるガイ
採点が早速始まる。

「ダカダカダカダカ・・・・・100点満点♪」
「おお〜〜!!!」
「ふふふ、どうだ!恐れ入ったか!!!」
鼻高々のガイ。
だが・・・

Snow White「でもこの曲って初級ですよね?」
ガイ「え?」
Snow White「勝ち誇るならせめて上級曲でやっていただかないと」
ガイ「はぁ?上級とか初級とかってなんだ?」
Snow White「知らないんですか?」
Actress「曲には難しい易しいがあってランクが付いてるんですよ。
 この曲は少しやれば誰でも100点とれるんですよ」
ガイ「・・・・俺は熱血アニメの曲しかやらないからそんなことしらん!!!」
一同「・・・」

その宣言の通り、別の曲をやらすと全く点数のとれないガイであった(笑)

フクベ「これでは特訓にならんのぉ」
イツキ「そうですね・・・」
Actress「ちょっと待った!!!」
イツキ「え?何ですか?」
Actress「音ゲーといえば元アイドル歌手のActressちゃんにお任せ♪」
Blue Fairy「音感のずれた声優くずれのアイドル歌手が何を・・・」
Actress「何ですって!確かにTVゲームならBlue Fairyちゃんには負けるかもしれないけど、音と体を使うゲームならコンピュータの前に座って不健康そうな生活を送っている誰かさんなんか負けないんだから♪」
Blue Fairy「誰が不健康そうなんですか!」
Actress「ふふ〜ん、じゃ勝負する?」
Blue Fairy「いいですよ!」

ということで対戦モード開始!

Pink Fairy「ちなみに連鎖すると敵の陣地におじゃまぷよが・・・」
Snow White「Pink Fairyちゃん、それ違うゲーム・・・」

とかなんとか言っている間に勝負が決したようだ。

ゲーム機『You lose!!!』
Blue Fairy「・・・・負けました」
Pink Fairy「惨敗だね」
Blue Fairy「ほっといて下さい!!!」
Pink Fairy「心配入らない。私が敵をとる!」
Actress「持ち歌もないPink Fairyちゃんには無理なんじゃない?」
Pink Fairy「ムカ!絶対負かす!!!」←結構気にしている

レディーGO!!!

コケェェェ!!!!

Snow White「・・・Pink Fairyちゃん、開始半歩で転けるなんて・・・」
Pink Fairy「・・・靭帯切れた(泣)」
Actress「まぁ日頃から妖しい発明ばかりして運動不足が祟ったのね。
 だてに芸能界でハードスケジュールこなしていたんじゃないんだから♪」
Pink Fairy「悔しい、Secretary〜〜」
Secretary「泣かない泣かない、敵はとってあげるから」
Actress「あら、Secretaryさんも私に挑んで来るんですか?」
Secretary「当たり前よ、これでも私は新宿ジャッキーと呼ばれていた女よ」
Snow White「あの・・・・そのネタ、違うゲームです(汗)」
Secretary「ともかく!この女に音ゲー女王の座は渡さないわ!!!」
Actress「望むところです!!!」
フクベ「あの・・・」
イツキ「私達の特訓は・・・」

本来特訓をする人達を無視して奥さん's内、第1回チキチキ音ゲー女王決定戦の様相を呈してきた(笑)

Secretary「○   ○   △△△ ×○△□!!!」
Actress「甘い!○  ○  □△□×□○×××!!!」
Secretary「なんの!○○○ △△△ ××□□×××!!!」
Actress「やりますね!○×○×□□□○×××△!!!」
Secretary「なんと!!!○ ○ ○ ○○○ ○ ○ ○ ○○○!!」
Actress「負けません!□□ □□ □ □ □ □□ □□!!」
Secretary「フィニッシュ!!!○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ○○!!」
Actress「こちらもです!□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□ □!!!」

何をどうやっていたのかよくわからないが、二人は決めポーズを取って曲を完奏し終えた。
採点は?

ゲーム機『Actress Win!!』
Secretary「く!あと少しだったのに!」
Actress「Secretaryさん、手強い相手でした・・・」
などと、勝敗は決したのであるが・・・

Snow White「と、言う具合にやるんですよ♪」
フクベ「おお、なるほど!」
イツキ「すばらしい!師匠と呼ばせて頂きます!」
ガイ「お竜・・・」
Blue Fairy「・・・人間一つぐらい取り柄があるって言いますけど、本当ですね」
Snow White「いやぁ照れちゃうなぁ♪」
Pink Fairy「そこ怒るところ・・・」
Actress&Secretary「おい・・・」

なんかActress達が一生懸命やっているすぐそばでSnow Whiteが勝手にゲキガン3人組を指導していた。その賞賛具合から言ってかなり上手いらしい。

Actress「Snow Whiteさん!一体何を!!!」
Snow White「イツキさん、完璧です。私が教えることはもう何もありません。
 免許皆伝です」
イツキ「ありがとうございます、師匠!」
Actress「っていつの間に免許皆伝まで!?」
まるであっと言う間に終わったドラ○ンボールの修行シーンのようだった(笑)

『私が教えるつもりだったのに
 私が師匠って言われるはずだったのに
 私が・・・
 私が・・・』

Actress「Snow Whiteさん勝負です!!!
 音ゲー女王の座をかけて!!!」
Snow White「えっと・・・イツキちゃんに譲ります」
Actress「はぁ?」
Snow White「彼女に私の全てを教えました。全てを次の世代に託します!」
Actress「託しますって・・・あんたは老師匠か・・・」
イツキ「でも師匠、私ごときが・・・」
Snow White「大丈夫。あなたには秘められた力がある。それを解放すれば絶対勝てる。
 悪が栄えた試しなしよ!」
イツキ「わかりました、師匠!悪を倒してみせます」
Actress「待てぃ!誰が悪じゃ!!!」

というわけで因縁の対決が始まったのであった(笑)

Blue Fairy「え〜〜ルールを説明します。
 「キッチンパーティー」と「パールピアスがはずせない」は同じメロディーにそれぞれ別の歌詞つけたアレンジ曲です。お互い自分の曲を操作をしていただいて見事自分の方の歌詞に切り替えさせた方が勝ちです。」
Pink Fairy「つまり相手の曲に引き込まれたら負けってことね?」
Blue Fairy「ええ」
ガイ「じゃぁ勝負開始!ガ○ダムファイト、レディーGO!!!」

蝶ネクタイに眼帯をしたレフリー姿のガイが号令をかけるとActressとイツキが曲に合わせてステップを踏み始めた!!!

Actress「おらおらおら」
イツキ「くぅぅぅ」
ものすごい勢いでステップを踏むActressに押され気味のイツキ

Actress「どう?これが実力の差よ」
イツキ「うう・・・」
Actress「世の中、努力と根性じゃどうしようもないこともあるのよ!」
イツキ「そんなことありません!」
Actress「無駄よ無駄!『パールピアスをはずせない』は私の持ち歌なのよ?
 あなたの『キッチンパーティー』はホウメイガールズのもの。
 あなたの持ち歌ですらないの。
 勝てるわけないじゃない」
イツキ「そ、それは・・・」
Actress「所詮は1話限りのゲストキャラに持ち歌なんてあるわけないけどね。
 あははは♪」
イツキ「くぅぅぅ」
罵倒されてよけい調子を崩すイツキ。

と、その時!!!

Snow White「イツキちゃん、今のあなたになら出来るはず!
 静かな心と真の怒りを知ったあなたなら!」
イツキ「わかりました!!!!」

次の瞬間、イツキは金色の光を放った!!!

Blue Falry「あ、あれは!?」
Secretary「スーパーサユリン!!!」
Pink Fairy「スーパーサユリン?」
ガイ「解説しよう!
 お竜は怒りが限界点を突破すると同じ声優に声を当ててもらっているテラサキ・サユリの霊が乗り移り、伝説の戦士スーパーサユリンに生まれ変わるのだ!!!」
フクベ「なんと!!!」
Blue Fairy「声優ネタは止めて・・・」
Snow White「やっちゃえ、スーパーサユリン♪」

イツキ「これでキッチンパーティーは私の持ち歌になりました。
 あなたの負けです!フ○ーザー!!!」
Actress「誰がフ○ーザーですか!!!
 っていうか反則でしょ!
 っていうか何でいつの間にか私が悪役なの!!!」
イツキ「問答無用です!か○はめ波」
Actress「っていうか何でドラ○ンボールに〜〜!!!」

You lose!!!

こうして第1回音ゲー女王はイツキに決まったのであった。

フクベ「でもこれって確かチームワークを養う特訓じゃなかったかのう?」
ガイ「そうだっけ?」

いいのか、それで!?



特訓その4・三人羽織


ゲキガン三人組のあまりの体たらくに怒った奥さん's

Blue Fairy「あなた達、いい加減真面目に訓練して下さい!!!!」
ガイ「何を!俺達はいつだって真面目だ・・・」
Blue Fairy「ギロリ!!!!!!!!!!!」

その日のガイの日記
『俺は生まれて初めて怖いという感情を知りました。
 許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい』
などと書かれていたのは余談である(笑)

ともかく、真面目に特訓をする気になったガイ達ゲキガン三人組
その特訓とは・・・

ちゃらっちゃちゃちゃららら〜
ガイ「超電磁合体!!!!」
フクベ「ドッキングセンサー!!!」
イツキ「パイルダー・・・」
Pink Fairy「いいからさっさと乗りなさい!」

Pink Fairyに蹴り倒されてゲキガンガー1/1リミテッドモデル(以下ゲキガン号)のコックピットに放り込まれるゲキガン三人組

ガイ「博士!せめて出撃シーンのバンクぐらい記録させてくれよ。
 次回からの作画枚数減らせないぞ!」
Pink Fairy「バンクなんかいらない。
 いいからさっさと出撃!」
ガイ「・・・・はい」

博士に気圧されて出撃するガイ達(笑)

ガイ「ゲキ!」
イツキ「ガン!」
フクベ「ガー!!!」

キラリン☆ミ
なんか器用にポーズを決めるゲキガン号

Blue Fairy「はいはい、決めポーズはいいから戦闘戦闘」
Snow White「私達の操るホワイトサレナと模擬戦を行うよん♪」
ガイ「ゲェ!」
目の前は既にホワイトサレナが戦闘準備で待機していた。

イツキ「でもこれってどうやって動かすんですか?」
フクベ「そうじゃ、そうじゃ、動かす訓練をしておらんぞ?」
ガイ「心配入らない!!!
 リーダーたる俺様が動かせば!!!」
Pink Fairy『残念ながらそうは行かない』
ガイが勝手に戦おうとするのをPink Fairyが制する。

ガイ「どういうことだよ、博士!」
Pink Fairy「言ったでしょ?ゲキガン号は愛と勇気と友情で動かすものだって!」
ガイ「いや確か根性と気合いとガッツって・・・」
Pink Fairy「細かいこと気にしない」
ガイ「気にしないって・・・」
Pink Fairy「つまり、今のあなた達に欠けているもの、ゲキガン号の真の力を発揮さするために必要なのはズバリ友情!!!」
三人組「友情?」
Pink Fairy「つまりイツキは両手を、フクベは両足を、そしてガイは二人に指示してゲキガン号を動かす。三人のチームワークが最高に達したとき、ゲキガン号は無敵の強さを誇るのよ!!!」
三人組「おおおおおおおお!!!!!!!!
 まさに熱血!
 まさに友情!
 まさに無敵!
 レッツ・ゲキガイン!!!!」
なんか知らないけれど、Pink Fairyの台詞に稲妻のような衝撃と感動を覚える三人であった。

でもこちらではあまりにも頭の痛い状態に対し、発案者&メカ設計者であるPink Fairyへの不満を漏らしていた。

Actress「でも、なんで三人が操縦する必要があるんですか?
 あんなの誰か一人がIFS使えば動かせるんじゃないんですか?」
Secretary「まぁ確かに」
Blue Fairy「あ、その理由、私も知りたいです」
Snow White「私も。っていうかなんでこんな回りくどいことを?」
Pink Fairy「簡単。ヤマダを一人野放しにしたら何しでかすかわからないから」
奥さん's「・・・なるほど」

確かにフクベやイツキがいればガイが暴走しても多少まともな行動をすると思うが・・・
本当に大丈夫か?

ガイ「とりあえず歩くぞ!」
イツキ「了解です」
フクベ「おう!じゃ」

ゲキガン号は静かに歩き出す。
歩き出すが・・・

Snow White「・・・右手と右足同時だねぇ(汗)」
Blue Fariy「イツキさんにフクベ提督、リズムに合わせてお互いの動きを気にして!」
イツキ「そんなこと言っても〜」
フクベ「これはこれでむずかしいぞい!」
気にすれば気にするほどぎくしゃくするゲキガン号の手足。
「顔が西向けば尾は南」ってな感じにお互いバラバラに動いている。

Blue Fairy「友情はどうしたんですか、友情は!!!」
Snow White「そうです!DDRの特訓はどうしたんですか!」
ガイ「そうだ!どうしたお前ら!」
フクベ「うるさい、頭に乗っているだけの奴が偉そうに言うな!」
イツキ「フクベ提督、それは・・・」
フクベ「うるさい!第一おヌシ達にそんなこと出来るのか!」

フクベは指を・・・もとい、彼は足担当なので足をホワイトサレナの方に向ける。

Blue Fairy「出来ますよ、ねぇSnow Whiteさん?」
Snow White「私達仲良しだもんね、Blue Fairyちゃん♪」
二人「秘技!ホワイトサレナ、二人羽織!!!」

するとホワイトサレナは器用にパラパラを踊り始めた(笑)
手はSnow Whiteが、足はBlue Fairyが担当した。
ユーロビートに合わせてそりゃ上手に踊っていた。

Actress「私思うんですけど、二人って仲良いですよね」
Secretary「まぁ確かに」
Actress「ひょっとして・・・ズーレ?」
Secretary「あ・・・私もそう思ったことある」
Pink Fairy「そう、アキトが帰ってこなくても平気そうだし・・・」
Snow White「何か言いましたか?」←静かな怒り
Blue Fairy「何か言いましたか?」←静かな怒り
一同「いえ、なんでも・・・」

ゴゴゴという地響きでもしそうな擬音をバックに脅したおかげでSnow White&Blue Fairy恋人説はなんとか否定されるのであった(苦笑)

それはともかく、この三人羽織はなかなか難しいモノがあった。

Blue Fairy「1、2、3、4」
Snow White「あんよは上手、あんよは上手」
ガイ「俺達は赤ん坊か!!!」
Blue Fairy「そういうことは満足に歩けるようになってから言って下さい!」
イツキ「提督、そっちは逆です!」
フクベ「そっちってどっちじゃ!」
イツキ「お箸を持つ手です!」
フクベ「こっちか?」
イツキ「逆です!!!」
フクベ「っておヌシは左利きか!!!」
イツキ「あぁぁぁ!そうでした」
Blue Fairy「当分歩行練習だけで終わりそうですね」
Snow White「そうだね(苦笑)」
Actress「私達って『始まりの人』倒してアキトさんを男に戻せるんですか?」
Secretary「段々不安になってきた・・・」
Pink Fairy「無理なんじゃない?」

なんか魔王討伐の旅に出かけるにはまだまだ経験値稼ぎが必要なようであった。



2203年・ネルガル ルリ執務室


「ル〜〜リ〜〜さ〜〜ん♪」
その日、マキビ・ハリはルンルン気分でネルガルにあるルリの執務室にやってきた。共同研究とはいえネルガルの技術顧問のルリには一応個人の部屋が割り当てられている。
ハーリーは今日ナデシコCのオペレータに昇進し、その報告にやってきたのだ。

ハーリーはこの日を待っていた。
やっとあの頃のルリと同等になれたのだ。
ナデシコCを任されたということはあのころのルリと同じ能力と見なされたと同じ!
・・・まぁ艦長でないことはこの際置いておくことにしよう・・・
ともあれ、これでルリに恋愛対象として見てもらえる。
そうなれば!!!

「高かったけど、給料の三ヶ月分♪」
手には小粒だが奇麗なエンゲージリング
そして真っ赤な薔薇の花束

気が早いが早速プロポーズをするらしい
・・・っつうか、お前まだ結婚できる年齢じゃねぇだろうが!

「ルリさん、結婚して下さい!!!」
そう言って恥ずかしげもなくプロポーズしながら勢いよくルリの部屋に入ると・・・

「あの・・・それ僕に言ってます?」
「・・・か、艦長?」
なぜかテンクウ・ケンが花束を受け取ろうとしていた(笑)
ハーリーは気づいて慌てて花束を引っ込める。

ハーリー「あの・・・テンクウ艦長。なぜここに?」
ケン「いやぁ・・・・そのぉ・・・」
理由はひょっとしたら一緒かもしれない。
ケンは後ろ手に花束を隠した(笑)

テンクウ・ケン。
ナデシコBの艦長である。
いや、元と表現した方がいいかもしれない。
ルリが退役した後、危険性の問題もあってすったもんだしたあげく、空位だった
ナデシコCの艦長に就任したのだ。
まぁハーリーと共にナデシコBからスライドしてきたと言った方が正しい。
ちなみに、ジュンやコトネ達も同様である(笑)

ハーリー「それより艦長、ルリさんはいらっしゃらないんですか?」
ケン「いや、僕も今来たばかりなんで探してるんだけど・・・」

・・・・

イヤな予感がする二人。

と、そこに
「なんだ、お前達ここにいたのか」
タイミング良くやってきたのは元木連中佐で現在はネルガルシークレット隊長・・・またの名をネルガル会長の雑用係である月臣元一朗であった。

ケン「先輩!」
ハーリー「あ、お久しぶりです・・・」
月臣「先輩はよせ。もうお前の方が偉いんだから。」
ケン「そんな・・・」
月臣「まぁとりあえず二人ともおめでとうと先に言わせてくれ」
ケン「ありがとうございます」
ハーリー「ありがとうございます」
月臣「でだ、渡すモノがあってお前達の元へ行こうと思っていたんだ。
 手間が省けて良かった」
ケン「僕たちに」
ハーリー「渡すモノ?」

月臣が懐から取り出したのは手紙であった。
それを彼らに手渡す。
彼らは差出人名を探すとそこにはホシノ・ルリと書かれていた。

ビリビリビリ

その場で開けて同時に読む二人

『アキトさんの所に行きます。後はよろしく♪』
その手紙を呼んだ瞬間、二人は卒倒するのであった。

それを見た月臣はこれからアオイ・ジュンに同様の手紙を持っていくのに少し気が引けた。



ネルガル・会長執務室


コンコン!
「入って良いよ」

会長室の主、アカツキは訪問者を迎え入れた。
月臣「渡してきたぞ」
アカツキ「ご苦労さん♪
 で、反応はどうだった?」
月臣「速攻で卒倒した」
アカツキ「あはははは、その光景、僕も見たかったねぇ♪」
月臣『相変わらず悪趣味な奴だ・・・』

月臣はゲラゲラ笑うアカツキに辟易する。
まぁそれはともかく・・・

月臣「いいのか?」
アカツキ「あはは・・・ってなにがだい?」
月臣「エリナ・ウォンにユーチャリスを貸し与えたことだ」
アカツキ「ああ、あれ?まぁ退職金代わりというか、結婚祝いの代わりかな?」
月臣「それにしてはブラックサレナにホワイトサレナ、マジンとは大盤振る舞いだな。重役連中がピーピー言ってるぞ?」
アカツキ「いいよ。言わせとこうよ。
 せっかく親父子飼いの番頭達がいなくなったんだ。
 これからは僕の時代だ。好きにするさ」

アカツキは凋落寸前だったネルガルを盛り返したことにより社内の前会長派の重役達を一掃するだけの力を得た。ようやくネルガルはアカツキのやりたいことの出来る会社になったと言っていい。

月臣「にしてもだ。お前が下心もなくプレゼントをする人間だとは思えん」
アカツキ「あれ?僕ってそんなに打算的な人間に見える?」
月臣「そうは言わんが・・・本当に信じているのか?
 闇の魔王とかエリナ・ウォンが過去を変えるつもりだとか」

月臣はずっと引っかかっていた。
エリナが自分の退職とその他諸々のスキャンダルをネタにしてユーチャリスをかっさらうつもりだったのにアカツキはあっさり無償で貸し与えてしまったのだ。
アカツキが何の損得勘定もせずそんなことをするとは思えなかった。

アカツキ「信じてないさ。
 『始まりの人』や『時の記述』の事なんて。
 エリナ君やユリカ君達が過去を変えるなんてできっこないさ」
月臣「信じてない?」
アカツキ「そうさ。過去に行ったぐらいで歴史が変わるなら、今頃僕は橋の下さ。
 でも歴史は変わったかい?」
月臣「・・・いや」
アカツキ「歴史なんてかわりっこないさ。」
月臣「そうか?過去に行ける以上、歴史を変えることだって・・・」
アカツキ「じゃ、聞こう。
 君は今の自分を後悔しているかい?」
アカツキは珍しくまじめに聞く。

しばらく考えて月臣は答えた。

月臣「いや、していない」
アカツキ「僕もさ。たとえ橋の下にいたとしてもそう思うね。
 そりゃ失敗した瞬間はやり直したいって思うかもしれない。
 でもあとで冷静に振り返れば、自分はその時々で精一杯の事をした。
 そう思うから。
 納得はしてなくても常に選択はした。
 たとえそれを選ぶことしか出来なくても選ぶことを自分で決めた。
 だから後悔はしない。
 そうだろう?」
月臣「・・・そうだな」
アカツキ「こう思うことすらもしかしたら誰かが書いた・・・たちの悪い三文芝居なのかもしれない。そう思うようにそのシナリオには書かれていたのかもしれない。
 でもそんなのクソ食らえだ。
 選んだのは僕さ。
 良くも悪くも今の自分の地位、環境を作り上げたのは自分自身だ。
 その自信が僕を今の地位に押し上げている。
 過去の自分を変えたいなんて思っている奴は自分の考えを他人に預けてしまったただの奴隷さ」
月臣「・・・」

アカツキの自信に満ちた、そして真剣な眼差しに少し感じ入る月臣

ひょっとしたら、事の本質を一番理解していたのは実はアカツキかもしれない。
歴史が人の生きた証ならば
歴史が人の足掻いた軌跡ならば
歴史を作るのはその時代を生きた人の手でしか成されないのかもしれない。
過去を知っている人間は結果過去をなぞるように無意識に束縛されるのではないのか?
そう考えると夢幻城の言った因果という意味に近づけるかもしれない。

では、『始まりの人』や『時の記述』とは一体何なのだろう?
歴史が人の足掻いた証というなら、決められた歴史などあるのか?
それを支配できる人間などいるのか?

・・・月臣はしばらく考えて止めた。
もし本当に変わるとしてもそれを成すのは自分たちじゃない。
彼女達であり、たとえ変わったとしても自分たちは気づきもしないはずだから。

それはともかく・・・
月臣「なら、変わりもしないのに何で彼女達にユーチャリスを貸した?」
アカツキ「ああ、あれ?」

月臣は問いつめるようにアカツキに詰問する。本当に歴史が変わらないと言うなら貸す動機が見あたらない。

アカツキ「そりゃ、つまりあれだねぇ」
月臣「あれとは?」
アカツキ「何にしても東郷が過去に戻ったって事だけは確かだよねぇ。
 たとえ変わらないにしても勝手に動き回られるのって癪に障るじゃない?」
月臣「おまえ、まさか・・・」
アカツキ「そう、い・や・が・ら・せ♪」
月臣「!!!!」
アカツキ「あはははは
 ユリカ君達にはせいぜい東郷の邪魔をしてもらおう。
 いやぁあのスチャラカ5人組に邪魔されたとしたら怒り心頭間違いなしだよ。
 あははは♪」

嫌がらせのために何百億もする戦艦を貸すか!?
まぁそれがアカツキらしいといえばアカツキらしいかもしれない。

爆笑するアカツキに開いた口がふさがらない月臣であった。



2197年・???


「戻った」
「ご苦労様」
北辰は暗闇の部屋に帰ってきた。
中からは声を返す人物が一人

北辰はふと何気なく床を見る。

・・・血の海だ

そこら辺には金属片の混じった肉片が散乱している。

「ほう、新品に取り替えたか。体の調子はどうだ?」
「若い肉体は良い。金属混じりの動かない体よりずっといい」
「しかしこの時代の和正は不憫だな。未来の自分に体を奪われるのだから」
「勘違いするな。誰も体など奪っていない」
「奪っていない?」
北辰は怪訝そうにその人物を見る。
その男は笑っていた。

「俺は2197年の東郷和正であり、2203年の東郷和正であり、そして『始まりの人』でもある。故に我は『時の記述』となるのだ・・・」
そう、過去と未来の東郷の記憶を飲み込んだ『始まりの人』は若い東郷の姿で現れた。

もしかしたら史上初めてボソンジャンプを作り上げた人物はそうやって人の記憶を取り込み続けたのかもしれない。
北辰はなんとなくそう思った・・・



ポストスプリクト


ということで黒プリ14話をお届けしました。

えっともう既にこのお話も行き当たりばったりで書いてます。
ラストは何となくラスボスと戦って終わりのような気もしますが、どうなることやら(汗)

えっと今後inverseと名の付くお話が本編に絡んできます。たとえば前編、後編、inverseとか(笑)

今回のお話、私なりのタイムパラドックス感が入っていたりして難解かもしれません。
私ですらよくわかってませんから(汗)
だから本当にわからない人は伝説の勇者と魔王の戦いとか思っておいて下さい。

最後に・・・イツキファンの人はごめんなさい・・・です(汗)
なんかこうなってしまったんですよ。7.5話を書いた時点で(爆)

ということでおもしろかったなら感想をお願いします。

では!

Special Thanks!!
・AKF-11 様
・カバのウィリアム 様
・SOUYA 様