アバン


拭い得ぬ日々の記憶
変わらない歴史
苦悩するアキさん
忍び寄る黄昏
時の記述

まぁそんな深刻なことを考えても仕方がないので今回は折り返し地点ということも含めて、色々羽目を外しちゃいますが大目に見て下さいね。

ああ、これってSecond Revengeのラストとほんのちょっぴり関係があったりしますのでそのつもりで〜



2203年 地球・古代火星テクノロジー管理公団


「暇〜〜」
「理事長、そんなに仰るなら決裁書類を回しましょうか?
 山ほどありますよ」
「え〜〜いらないよ。肩書きだけで良いっていったからなったのに〜」
秘書にきつい目を向けられて拗ねる理事長

「なら肩書きらしくしゃんとして下さい」
「エリナさんみたい・・・」
「私の理想ですから」
「そ、そうなの?」
「ええ。地球の英雄の秘書になれるというから喜んで志願したのに・・・」
「こんなぐうたら娘で幻滅した?」
「いえ、やり甲斐を感じます。あなたを名実ともに最高の企業トップにしてみせます。」
「あははは・・・お手柔らかに・・・」
そんな盛り上がる秘書の言葉に理事長テンカワ・ミスマル・ユリカは溜息をつく。

テンカワ・ミスマル・ユリカは地球連合宇宙軍退役少将にして本公団の名誉理事長である。今、地球圏内でもっとも発言力のある人物かもしれない。

事の発端は第3次火星事変にて東郷率いる火星の後継者が夢幻城を起動させたところまで遡る。
夢幻城を無力化するためにユリカ達ナデシコ艦隊は夢幻城本来のプログラムを動作させることにした。
夢幻城自身によるボソンジャンプの管制システムの復活である。
このおかげでボソンジャンプはかなり制限された物になった。
夢幻城そのものが不正なボソンジャンプを禁止してしまうためである。

だが反面明確なルールとボソンジャンプ技術が開陳され、ルールに従えばかなり一般の人でもボソンジャンプを使えるようになりつつある。
で、その技術を統括管理、運用する為に設立されたのが『古代火星テクノロジー管理公団』である。

その初代理事長に就任したのがテンカワ・ミスマル・ユリカである。
理由は単純
現時点で夢幻城への高レベルでのアクセスが可能なのが彼女だけだからだ。
どうも夢幻城の管制システムを復活させた際、彼女が暫定の管理者として登録されたかららしい。
それに古代火星語を直接操れるのは強みで夢幻城と「むーちゃん」「ゆーちゃん」と呼び合う仲になったらしい(笑)

まぁ彼女自身もそんなものになりたくはなかったのだが、まぁ大人の事情ってやつで名前だけ貸しているのである。それだけでもネルガルや宇宙軍の勢力が拡大するのだから捨てた物ではない。

アキトのことを世間に認知させ続けるには切り札は多いに越したことはない。

ただそのアキトが・・・

「アキト、早く男の人になって戻ってこないかな・・・」
「そうですね。そろそろ適齢期も終わりに差し掛かりますし・・・」
「適齢期って、まだ私ピチピチだもん!」
「肉体的には、ですよね?でも戸籍では20歳代もそろそろ後半です。
 早くしないと『お前んちのお母さん、若くて奇麗だなぁ♪』って言ってもらえなくなりますよ?」
「ぶぅ〜意地悪なことを・・・」
秘書にからかわれて思いっきりいじけるユリカ

それもそのはず、やっと全てが終わって自分たちの元へ戻ってくると思っていた闇の王子様テンカワ・アキトが過去に旅立ってしまったのだ。
理由はアキトがナノマシーンの治療失敗により女性の体に変わってしまったのである。
結局その治療方法が見つからず、過去を変えて根本の原因を取り除くしかないという結論に陥り、この前アキトはアマガワ・アキという人物になりすまして過去の世界に向かったのだ。

で、一日千秋の思いでユリカは今日も給料泥棒をしている・・・というわけである(笑)

「にしても・・・アキトってば、ちゃんとやってるのかなぁ・・・」
それはここだけの秘密なのでこっそりと呟く。

とそこに・・・

「理事長」
「ん?なに?」
「ネルガルのホシノ様からお電話です」
「ルリちゃん?繋いで繋いで!!!」
ユリカは義娘からの電話に小躍りして喜ぶ。

『理事長、お久しぶりです』
「ルリちゃん、理事長なんて他人餃子なぁ〜〜
 ユリカでいいよぉ」
『他人行儀でしょ・・・
 それはいいんですけど。それよりも今日はお仕事モードです
 ネルガルの技術顧問から公団理事長に対してお食事のお誘いです』
「お仕事?」
『ええ、柳橋の高級料亭で』
「ルリちゃんお金持ち〜
 さすがパテントで儲けただけのことはある〜」

電話の主はホシノ・ルリ
ユリカの義理の娘にして地球連合宇宙軍退役大佐で今はネルガルの技術顧問をしている。
まぁ雇われているというよりかは共同研究という形に近い。
主にオモイカネにまつわるAIとシステム掌握関連の技術開発に携わっている。
もちろんその関係の特許を複数保有しており、それらの特許収入だけでもユリカの年収を軽く超える。だが、実際には闇資金としてプールして色々運用しているようだ。

確かにルリはお金持ちなのだが、今回はルリが否定した。

『私じゃありません。アカツキさんのお誘いです』
「アカツキさん?ネルガルの会長さんとして?」
『ええ』
「で、ルリちゃんも一緒に出席するの?」
『ええ、私にもお話があるそうで』
「なんだろうねぇ」
『さぁ。「たまには美味しい物でも一緒に食べよう♪」って誤魔化してらっしゃいましたけど、どこまで本当なのやら』
「まぁ酷いことにはならないと思うけど(苦笑)」
『ですね(苦笑)』

ユリカは通話を切ると秘書に夜の予定に割り込みが入ったことを告げた。



ナデシコ プリンセス オブ ダークネス
第14話 「超熱血アニメ」でいこう<inverse1>



Attention!!!


この作品はプリンセス オブ ダークネスであり、Second Revengeの続編ではございません。まぁプリンセス オブ ダークネス自身はSecond Revengeの続編みたいな位置づけにいたりはしますが・・・・

えっと、ともかく!
間違ってSecond Revengeを書いているわけではありませんのでご安心して続きをご覧下さい(笑)



柳橋の料亭


カポーン・・・・
すぐ外の庭でししおどしが鳴っている。
そんな雰囲気のある高級料亭である。
パンピーが気軽に来れるところではない。
財界や政治家とかが密談に使ったりするところである

そんなところにユリカとルリは落ち着かない様子で座っている。
こんな高級な所は居心地が悪いようだ。
そんなしびれを切らしそうな所に本日のスポンサーがやってきた。

「やぁ待った?」
「アカツキさん、遅い!」
天下のネルガル会長にして、昼行灯アカツキ・ナガレである。

「いやぁ、連れのおめかしに時間がかかっちゃって〜」
「ウソ言うんじゃない!あんたが仕事サボって書類を溜め込んでただけでしょうが!」
「あ、エリナさん〜」
「お久しぶりです」
「ユリカさんにルリちゃん、お久しぶり」
アカツキの頭を叩きながら入ってきたのはエリナ・キンジョウ・ウォンである。
現在はネルガルの非常勤ではあるが取締役を勤めている。

ルリ「エリナさんはどうして?」
エリナ「さぁ、コイツに高級料亭で食事しないか?って誘われたから」
ユリカ「アカツキさんと付き合ってるんですか?」
エリナ「んなわけないでしょ!あなた達も一緒だっていうから来ただけよ」
アカツキ「エリナ君、少しは期待を持たせる発言とかしてくれても・・・」

ユリカ「でもアカツキさん、ここの料亭凄いですねぇ」
ルリ「確かに。さすがは羽振りが良くなったネルガルさんだけのことはあります」
アカツキ「いやぁおかげさんで♪」
ルリ「最近株価も上昇中ですしね。株主としても嬉しい限りです」
アカツキ「ルリ君・・・・うちの株、持ってるの?」
ルリ「ええ。ちょっとだけですよ。
 もう少し買ったら代表権がとれる・・・なんてことはありませんから安心して下さい」
アカツキ「あ、そ、そう・・・・ははは・・・」

アカツキは渇いた笑みを浮かべる。
別の小説ではルリ達に株を買い占められて経営を乗っ取られる・・・なんて話もあるぐらいなので現実になったらそれこそ笑えない。

アカツキ「実際問題、本業も好調だよ。
 サレナパーツだけ売れるかと思ってたんだけど、アルストロメリアも売れてるみたい」
ルリ「どうしてですか?ボソンジャンプは軍事目的には使えなくなったはずですけど?」
ルリは思った疑問を口にする。
確かに夢幻城の決めたルールはボソンジャンプの戦争への利用は禁じている。それなのにボソンジャンプの出来るアルストロメリアが売れるのはおかしい。

アカツキ「そうなんだけどね、とりあえず戦艦でもパブリックゲートまでのジャンプは可能じゃない?
 となるとそこから戦場に向かうまでの巡航距離を伸ばしたいらしい。」
ルリ「で、そのためにエネルギー容量の多いアルストロメリアを?」
アカツキ「そう。飛行ユニットも売れてるよ。サレナ単独でパブリックゲート経由の戦力投入を考えているみたい」
ルリ「なんでまた、そんなにノーマルサレナが流行ってるんですか?」
アカツキ「君達のおかげだよ」
ユリカ「私達の?」
アカツキ「君達が凄い実績を叩き出してくれたからね。
 ステルンクーゲルでも歯が立たなかった夢幻城戦でウチのサレナカスタムだけは最後まで戦えた。それだけの実績があればまぁ数字しか見ない幹部連中はハンコ押すよねぇ」

アカツキはホクホク顔だ。
ナデシコ艦隊の勝利は即ネルガルの技術力の絶大なアピールに繋がる。
でもそれを汚いというなかれ
ネルガルは敗れれば政治的な排除が必至の情勢でナデシコ艦隊に資金面、技術面で多大な投資をし、そして見事打ち勝った。
その見返りを今、受け取っているのだ。
ユリカ達もネルガルの思惑がそれ以上でなければお金を出してくれるのをとやかくいう義理もない。

ルリ「そういえば新規事業も順調に行ってるみたいですね」
アカツキ「おかげさまで♪」
ユリカ「そうそう、私のポスターまだ余ってます?」
アカツキ「ああ、『わたしはここでA級ジャンパーになりました♪』って奴だろ?
 あるけどどうして?」
ユリカ「アキトが帰ってきたら見せるんです♪」
エリナ「あ、あなたって・・・」

新規事業、ポスターというのはネルガルが始めたA級ジャンパーの教習所の事である。
ユリカは教習所のポスターに出演したのだ。
・・・それが功を奏したのか、教習所は繁盛した。
で、アカツキが抜け目なかったのはちゃんと彼らがライセンスを取った後の事も考えていたことだ。

パブリックゲート

まぁヒサゴプランのもう少し小さいバージョンというか、鉄道の駅みたいなものなのだが、それの策定を推し進めたのだ。
パブリックゲート自身は夢幻城から開陳されたルールなのだが、策定自身は管理公団が行っている。ネルガルはこの策定を積極的に支援したのだ。
そのためかなり早い段階でパブリックゲートは主要な都市に張り巡らされた。
国対国の場合は国境施設も作った。
この為にパラダイムシフトが起こる。

広大な地球圏を時間がほぼゼロで移動できる。
そうなると圧倒的な流通革命が起こる。
でもジャンパーは不足している。
となるとジャンパーは花形職業になる。
当然企業はジャンパーを要求し、待遇も良くなる。
良くなった待遇を見れば人々はジャンパーのライセンスを取得しようと教習所に殺到することになる。

「でさぁ、ジャンプボートが売れて売れてウハウハだよ♪」
アカツキはさらにホクホク顔になる。

ジャンプボートとは小型の連絡艇サイズのボソンジャンプ専用艇である。
ジャンパーはともかく他の一般人を運ぼうとしたらどうしても強力なディストーションフィールドが必要となってくる。
だが、そんなディストーションフィールドを発生しようとなったらどうしても相転移エンジンクラスのジェネレータが必要になる。
しかし相転移エンジンを装備する艦隻ともなると軍や一部の巨大企業しかもてるはずもなく、大がかりになってしまう。

そこでネルガルが考えたのがアルストロメリアの技術を使ったCC組成による小型連絡艇である。普通の小型のシャトルクラスでも1回程度のボソンジャンプなら十分ディストーションフィールドを発生させる事が出来るようになったのだ。

エネルギーはパブリックゲートのすぐそばに相転移エンジン搭載のチャージャーを設置することで安価に充填できるようにした。

このシステムにより一般のレベルまでボソンジャンプが降りてきた。
そうなれば需要は爆発的に膨らむ。

そう、需要が膨らめばジャンパーが必要になる。
ジャンパーが増えればジャンプボートの運用回数が増える
ジャンプボートの運用回数が進めばエネルギーのチャージング代もうまみのある商売になる。
という具合に運用が進めばどんどんコストは下がり、低コストはさらなる需要を喚起する。

どれか一つ欠けてもボソンジャンプという技術は一部の特権階級の利権にしかならなかっただろう。
でもネルガルはそれを大衆化するという道を選びながらもその中で創出される利益構造の主導権を握る道を選んだのだ。

昔のネルガルならやらなかったかもしれない。
が、ユリカというボソンジャンプ技術の要とのパイプを活用してのし上がろうとすればこれしか方法はなかったであろう。
ユリカが一部の権益のためだけにボソンジャンプを秘匿しておくなどあり得ないからだ。
「だからドンドン食べてくれたまえ。あはははは!」
アカツキは高級料亭の料理を大盤振る舞いした。
彼にとっては久々の痛快劇であったことだろう。
父や兄が出来なかった大ボソンジャンプ時代の礎を築くことが出来たのだから。

まぁ少なくとも今の状態はネルガルの寡占という以外は民衆の利益になっているのでユリカ達も文句を言うつもりはない。
謹んでご相伴にあずかり、美味しい料理に舌鼓を打った。




しばし後・・・


ルリ「で、今日私達を呼びだした理由って何なんですか?」
ひとしきり食べ終わった後にルリがそう切り出した。

アカツキ「ん?」
ルリ「とぼけないで下さい。アカツキさんが人に奢るために呼び出したとは思えません」
ユリカ「そうですよ」
エリナ「そうよねぇ、アカツキ君の性格なら」
アカツキ「トホホ、人望ないねぇ〜
 まぁいい。本題に入ろうか。
 日時が決まった。」
ルリ「日時・・・ってなんのですか?」

ルリ達はいきなりの話に驚く。何のことだろう?

アカツキ「忘れちゃったのかい?
 反乱の首謀者、東郷和正の処刑・・・」
一同「あ・・・」
アカツキ「三日後だ」
ルリ「アカツキさん、そんな情報どこで?」
アカツキ「蛇の道は蛇ってね。」
ルリのアンテナにも入ってこない情報だ。でもアカツキは涼しい顔で答える。

アカツキ「でも・・・」
ユリカ「でも?」
もったい付けるアカツキ。
注目が集まるのをこれしたりと喜ぶアカツキ。

アカツキ「今頃って思わない?」
エリナ「確かに急ね」
ルリ「第一、東郷は連合軍の軍事病院に収監されているんじゃないんですか?」
ユリカ「そうそう、確か東郷さんの体って金属と融合しちゃったよねぇ」

ユリカ達は思い出す。
夢幻城での最後の戦いで東郷はライセンスを失ったのにボソンジャンプを行ってしまった。その結果、夜天光のコックピットと体の一部が融合してしまった。
幸い生命を維持するのに支障の出るほどの影響はなかったが、半身不随の状態になり身動きすらままならない状態に陥った。
病院で生かされることでしか生命を維持できない・・・そんな状態で本人の精神も崩壊しつつある。再起は不能に思えた。

逆に言えばいつ処刑しても良いし、いつまで生かしておいてもいい。
そんな中途半端な状態が続いていた。
それが今この時に処刑なんて・・・

ルリ「何かあったんですか?」
アカツキ「まぁあったと言えばあったか・・・」
ユリカ「ってひっかかる言い方ですねぇ」
エリカ「さっさと言いなさいよ、アカツキ君」
アカツキ「処刑は決定された。いや、決定せざるを得なかったと言った方がいい」
ルリ「決定せざるを得なかった?」
アカツキ「そう。なぜなら当の本人が消えちゃったから」
一同「消えた!?」
アカツキ「うん」
一同「どうやって?」
アカツキ「さぁ、煙のように・・・かな?」
一同「なんで?」
アカツキ「それはわからない。
 でも上は責任の擦り付け合いをし、結局決めたことは処刑したことにしてうやむやにしよう・・・って事らしい。
 どうせ逃げ出したところですぐ死んじゃうし・・・ってね。
 でも僕は用心した方がいいと思うんだよ。
 そのために呼び出したんだけど、みんなはどう思う?」
一同「・・・・・」

一同は上層部のそんな身勝手な判断よりも、消えた東郷のことの方に恐ろしさを感じていたのだった・・・



数日前・軍事病院特別治療監察房


ナデシコに敗れたあの日から、東郷は暗く閉ざされた独房の中で憎しみの炎を燃やし続けていた。
それは治療というにはあまりにもおざなりな
ただ生かしておくだけの行為
生かしもせず、殺しもせず
ある意味見せしめの為だけに繋がれた点滴や生命維持のためのパイプの数々

だが、東郷には何もできなかった
手足はまるで壁に塗り込められたかのように元夜天光のコックピットだった物にとけ込んでしまっていた。
張り付けにされた様にそのオブジェごと治療房に放置されていたと言っていい。

東郷は有り余る時間の中で、来る日も来る日も考え続けていた。
なぜなら他にすることがないからだ。
ともすれば気が狂いそうな闇と絶望の中で東郷はただ考え続けていた。

ナデシコを、
テンカワ・アキトを
ミスマル・ユリカを
ホシノ・ルリを
そして自らを裏切った夢幻城率いる古代火星遺跡を

ただ考え続けた

呪い、覆し、いかに復讐するかを
古代火星人の英知「ボソンジャンプ」とそれを司る「夢幻城」の決めた法則をどのようにして打ち破るかを

そう、もう一度ボソンジャンプを支配する方法を・・・

時間はいくらでもあった。
だから考え続けていた。
自分が集め続けてきた過去の伝承を、神話にまつわる全てを
そこに含まれた古代火星人とその英知を偶然手に入れた地球人の成した英雄伝説を
そして自分が誤って解読してしまった事実と、正しく解読できていた真実を

彼はひたすら考え続けていた。
そして・・・

ごそり・・・

何かがざわめく

ごそり・・・

何かが蠢く

目の前は光すらささぬ独房の中だ
だが東郷にはその部屋が無限に続く、果てるともない奈落に思えた。
東郷は『もしや』と思った。

『その通りだ』
何かがそう呟く

『我が御名を探り当てた。
 汝にはその資格がある』
何かの言葉に東郷は震えた。

『我は遙かなる太古よりたゆたいしもの
 全ての時間を記録するもの
 全ての歴史を知るもの
 全ての歴史を在りし姿に紡ぐもの
 始まりの人
 アポカリプス
 深淵の知識
 時の記述・・・』

「それ」は告げる。
その言葉に東郷は歓喜のうちにいた。
そして「それ」は問う。

『汝、我が剣となるや?
 歪んだ秩序を正さんとするや?』
東郷の頭の中には膨大なイメージが流れ込んできた。

そして彼には今この現状があるべき姿ではないと「わかった」

「正さんと誓う!」
東郷はそう宣言する。
そして・・・

その治療房から囚人が一人いなくなった。
東郷和正という名の囚人が。
どこにも行けるはずがないのに、
厳重な警備のはずなのに、
動ける体ではないはずなのに
煙のように消えていた・・・



地球・古代火星テクノロジー管理公団


「う〜ん、なんだろうねぇ・・・」
ユリカは暇に飽かせて東郷の件をいろいろと考えていた。
厳重な警戒の中を消え去る・・・
そんな芸当が出来るとすればそれはボソンジャンプしかあり得ない。
でもボソンジャンプは現在そんな目的のためには使えない。
使えたとしてもユリカみたいなごく一握りの特別のジャンパーが緊急的な避難回避に使う目的の為だけで、脱獄や東郷みたいなライセンスを剥奪されたものが出来るはずはない。

ではどうやって逃げ出せたのだろう?

「う〜ん、う〜ん」
「どうしたんですか?理事長」
「なんでもないよ。あはははは・・・・」
秘書さんに心配そうな声をかけられて慌てて平静を装うユリカ。

まぁ考えてもわからないことはわからない。
そう思うのだが、イヤな予感だけは拭えずにいるユリカであった。

と、そのとき・・・

『ピロピロピロリン♪』
「あ・・・」
「どうかされましたか、理事長?」
「なんでもないよ♪」

ユリカの頭の中にメールが届いたみたいな音がした。
ユリカはチャネルをオープンする。

『ゆーちゃん、元気?』
『あ、むーちゃん。元気だけどどうしたの、いきなり?』
『ちょっとお願いがあるんだけど、こっちに来てくれない?』
『行ってもいいけど、ずいぶん急ね』
『色々あって直接お話ししたいんだ、良いかな?』
『ルリちゃん連れてっていい?深刻な話だとあの子が居た方がいいかもしれないから』
『ん・・・いいよ。許可する』
『んじゃルリちゃん誘ったらすぐそっちに行くから、ジャンプの許可ちょうだい』
『じゃ、1日周回権を与えます。』
『ありがとう、じゃ後で』

「理事長、何をされているのですか?」
秘書さんが不思議がって聞く。そりゃそうだろう。
あらぬ方向に向いて声も出さずに口をパクパクさせていれば。

ユリカは夢幻城の間にホットラインを持っている。
ボソンジャンプのイメージデータをやりとりするためのラインだが、それをユリカと夢幻城は秘匿回線として使用しているのだ。
主にはパブリックゲートの設定用に使用していたりするが、実際には「むーちゃん」「ゆーちゃん」の無駄話用だったりする。
とはいえ、夢幻城がユリカをいきなり呼びつけるなんてはじめてのことだ。

「あの、今からお出かけしますから今日の予定は全てキャンセルして下さい」
「理事長、仕事がない日はおさぼりも大目に見ますが、今日は財界との会食が・・・」
「公務です。それじゃダメですか?」
「公務・・・ですか?」
「ええ・・・」
ユリカの真剣な瞳に、秘書さんは溜息をついて本日の予定のキャンセルのために断りの電話をすることにした。
それを見るとユリカは安心してCCを取り出した。

「んじゃ、行って来るね♪」
ユリカはまずルリを迎えに行くことにしたのだった・・・



The end of Future


そこは時間の止まった場所
永遠がある代わりに変化することも知らない場所
途切れた夢を永遠と見ていられる場所
時間の流れから全く切り離された場所
現実から逃げ出した者たちがたむろする吹き溜まり

そんな変化も訪れないと思われていたこの地でも異変が起こっていた。

「いたか?」
「いや、いない!」
「バカな!奴の独房は虚数時間スパイラルで拘束していたはずだぞ!!!」
「セキュリティーホールをクラックされています!」
「くそ!あいつ、俺達の知らないアクセスパスを残しておいたのか!!!」
「自分の遺伝子因子をリンクさせて地球人の子孫に干渉していたもようです!」
「何千年もかけて、か・・・用意周到な奴だ!」
「追跡はどうします?」
「干渉を行ったログがあるはずだ。当たれ!」
「巧妙にボソンジャンプのイメージ伝達通信パケットの予約領域に紛れ込ませてます。かなりやっかいな作業ですよ?」
「くそ!一番活発にボソンジャンプしていたのはいつ頃だ!
 夢幻城をバイパスしているやつに絞れ!」
「そうなりますと・・・A.D.2195からA.D.2203の間ですね。
 そのころだけ演算装置が夢幻城の制御から離れて動き出しています」
「わかった。そのころを徹底的に洗え」

淡い光達は上へ下への大騒動になっていた。

「あらまぁ、これは大変なことになったわねぇ」
イネス(仮)はこの騒動の中、のほほんとしている。

「おい、これは一体何の騒ぎだ!
 ・・・ってお前、まだそんな格好をしているのか?」
「ええ、結構気に入っちゃって♪」
淡いボソンの光がイネス(仮)に話しかける。

「・・・まぁそれはいい。この騒ぎは一体なんだ?
「ああ、数ちゃんは新入りさんだものね。知らなくても当然か」
「数ちゃんは止めろ!
 で、一体何の騒ぎなんだ?」
「逃げ出したの。捕まえておいたものが・・・」
「捕まえておいた?
 こんな所に、なにを?」

その男の疑問はもっともだ。
だがイネス(仮)は気怠げ、そしてまるで口に出すのも忌まわしい顔で答えた。

「始まりの人・・・
 そう言われている。本当かどうか定かではないけれど。
 でも彼のおかげでボソンジャンプなどのテクノロジーは完成を見たと言っていい
 偉大なことを成し遂げた」
「それが何でこんな所に・・・」
「私達と同じよ」
「同じ?」
「歴史を変えようとした。
 それも最悪の方向に!」
「!!!」

男は絶句するしかなかった・・・



夢幻城・セントラルホール


ユリカ達は夢幻城の中心部にジャンプアウトしてきた。
可哀想なのはいきなり連れてこられたルリでかなり着の身着のままらしい。

ユリカ「到着〜〜」
ルリ「ユリカさん、いきなり拉致するなんて酷すぎます。
 今日はラピスと食事する予定だったのに。
 それにもっとちゃんとした服を着てきたかったです!」
ユリカ「まぁまぁ、むーちゃんしかいないのに格好つけたって仕方ないよ」
ルリ「でもですねぇ・・・」
むーちゃん『お呼びだてして申し訳ありません』

二人の前にウインドウが現れて会釈(?)する。
ウインドウにはお城のマークに「夢幻城」の文字が書いてる。
なんかオモイカネみたいだが、これがこの城の管理用AI「むーちゃん」である(笑)

ユリカ「むーちゃん、一体どうしたの?会って話がしたいって」
ルリ「そんなに深刻な内容なんですか?」
むーちゃん『ええ』
二人の質問にむーちゃんは頷く(?)

『実は・・・』
むーちゃんはこの数時間のうちに起こったことを話し始めた。



The end of Future


「今思えば彼がボソンジャンプという技術を生み出したのは歴史をコントロールしたかったからかもしれないわね・・・」
イネス(仮)は頭を振る。

「それが真実かどうかは今では誰もわからない。
 最初からそのつもりだったのか、それとも途中で変節したのか
 わかっていることは、ある日突然、彼が歴史を変えようとしたこと・・・
 いえ、彼に言わせれば正しき流れに戻そうとした・・・って事になるみたい。
 でもそれは彼だけに都合のいい世界になることは分かり切っていた。
 誰一人救われない・・・
 そう、こんな場所になるってわかっていたの」

そう、変わることのない
決められた時間通りに進む未来
どんなに努力しても
どんなに挑戦をしても
たった一人の描いた未来通りにしか進まない世界
選ぶことすら無意味な
足掻くことすら無意味な、そんな世界
そんな世界に生きて、人は「生きている」と言えるのだろうか?

「私達は必死に彼と戦ったわ。
 遙かなる長い時間をかけて
 でも倒せなかった。
 結果、偶然発見されたこの場所に封印することになった。
 時間と隔絶され虚数時間に落ち込むこの場所に封印することしか出来なかった。
 彼の思念を逆に利用し決して変わることのないこの場所に封印するしか方法がなかったの・・・」
「・・・それがまたなんで?」
「奴は周到だった。
 当時環境の悪化しつつある火星を捨てて地球に移住しようかという計画が持ち上がったの。その先発隊は当時の地球を惑星改造し、原住生物を遺伝子治療して住み易い環境を作ろうとした。
 でもその中に奴は紛れ込んでいたの。
 巧妙に偽装して・・・」
「!!!」
「気づいたときには手遅れだった。
 奴の遺伝子は原住民達にばらまかれてしまった。
 量としてはごく微量なレベルだったけど、それがかえって致命的だった。
 奴の遺伝子は原住生物の子孫達に拡散し、その有無を区別するのはほとんど不可能だった。そして奴は自分の遺伝子を持ったものの間を渡り歩いていったの。
 そのころには奴は人の精神を漂う存在に変わりつつあったから。
 ・・・・そうねぇ、永遠の時を過ごしてきたっていう伝説も今から考えれば、そうやって生きながらえてきたのかもしれないわね。」
イネス(仮)はそう言うとしばし自分の思考の迷宮にはまりこんでしまった。



夢幻城・セントラルホール


ユリカ「・・・ほぇ〜〜」
ルリ「・・・その話、マジですか?」
むーちゃん『マジです』
ユリカ「私達にもその『始まりの人』って人の遺伝子が混ざっているって事?」
むーちゃん「それはわかりません。
 そんなことがわかるのなら創造主様達もその原住民達を削除していたでしょうし、
 かといって疑わしい原住民を全て削除するって暴挙も出来ず、
 私の創造主様達は皆さんを放置するしかなかったわけです」
ルリ「・・・その点だけは感謝ですね。
 今更人類皆殺しなんて洒落になりません」
むーちゃん「その後、私が作られ、時間を変更する危険なボソンジャンプを禁止することにしました。
 『始まりの人』の思う通りに歴史を改編されないために。
 でも彼は遺伝子の移ろいに全てを賭けました。
 突然変異で私をバイパスしてボソンジャンプを行う人類が生まれることがたまにありました。彼らは神と呼ばれ、今でも多くの神話を残しているのでご存じでしょうけど。」
ユリカ「・・・う〜ん」
ルリ「クラクラしてきましたね。で、その都度、『始まりの人』は神になった者を支配していたと?」
むーちゃん「ええ。
 仕方なく創造主様達は『始まりの人』をThe End of Futureに封印しました。
 歴史は決して変わらないという、ある意味彼の願望と、そして絶望を利用して。
 そして創造主様達は同時にボソンジャンプ自身も封印され、火星の地を去ったのです。
 自分たちが生み出した怪物に利用されないために、
 そして歴史を恣意的に変更する虚しさを感じて。
 それが長い間ボソンジャンプを使った創造主様達の結論でした。」
むーちゃんはボソンジャンプが封印された経緯をそう説明した。

ユリカ「あははは・・・もう笑うしかないねぇ(汗)」
ルリ「そうですね。これが夢幻城の言葉でなければ、電波の一言で済ませて聞き流すところですけど(汗)」
むーちゃん『もしかして僕の言っていること疑っている?』
ユリカ「そうじゃないけど、あまりにも途方のないことで、感覚が麻痺してま〜す」
ルリ「右に同じ・・・」
ユリカ達はちょっぴり目眩を感じていた。

ユリカ「そうか!だからケンさんとかボソンジャンプ出来たのね」
ルリ「・・・でも私達の中にも彼の遺伝子が?」
ユリカ「そうなると私達もその『始まりの人』とかに支配されちゃう訳?」
むーちゃん「違います。混じっているのは彼の遺伝子だけじゃなく、創造主様達のも混じってます
 第一彼の遺伝子はほとんど薄れかかっています。
 ただ引き合うようにはなっているんでしょうね。
 自然と火星の演算装置を起こそうとする本能が働くみたいです。」
ユリカ「う〜ん。木連の人達にB級ジャンパーが多いのもある意味火星入植とかの影響もあるのか・・・」
ルリ「地球以外に居を構える人達って本能的に見ればそういう偏りが影響している・・・って考えても良いかもしれませんね」
むーちゃん『そこまで彼が計算していたのかしれませんが・・・』

なんかわかったようなわからないようなユリカとルリであった。

ルリ「で、本題なんだけど、私達はどうすればいいんですか?」
ユリカ「私達にその『始まりの人』ってのを倒せってこと?」
むーちゃん『そうして欲しいんだけど、そうもいかない』
ルリ「そうもいかない?」
むーちゃん『彼はこの時代で東郷って人の意識を乗っ取った後、A.D.2197頃に逃亡したの』
ユリカ&ルリ「!!!」

ユリカ達は顔を見合わせた。
その時代と言えば、ユリカ達がナデシコAで活躍した時代
つまりアキが戻った時代だったのだ。

ルリ「なんでまた・・・」
むーちゃん『残念だけどアキトさんが過去に戻って歴史を改編しようとしていることに惹かれたのかもしれない。
 あるいはそれに乗じて自分の望む未来に変えたいのかもしれない』
ユリカ「んじゃ私達も過去に戻って彼を倒せば・・・」
むーちゃん『それがそう簡単にいかないんだ』
ユリカ「簡単に行かない?」
むーちゃん『だって歴史は簡単に変わらない。
 例えばゆーちゃんの記憶にアキさんの思い出はある?』
ユリカ「ん・・・・・・ない」

そう言えばアキが本当に歴史を変えているのなら今のユリカにその記憶があってもいいはずである。それがないということは、未来が変わっていないということは歴史は変わっていないのだ。

むーちゃん『彼は『時の記述』そのものなの。
 彼は本来あるべき歴史・・・みんなが記憶する歴史を辿らそうとするもの。
 彼は全ての歴史を知るもの・・・それが唯一無比のものかどうかはわからないけど・・・を手繰らそうとするの。その歴史を生きる者にはほとんど抵抗しようがないの。』

むーちゃんは恐るべき事を淡々と言う。

ルリ「えっと・・・それは一体どういうことですか?」
むーちゃん『彼はその時代の人間の意識に乗り移るの。
 そうなると時間移動した人間が倒すことが出来なくなるの。』
ユリカ「なんで?」
むーちゃん『例えば君たちの時間でアキトさんが2週間前の月に跳んだことがあったよね?
 アキトさんはその2週間をやり直そうとした。
 でも結局はアキトさんは何も出来なかった。ナデシコに連絡が取れたのは2週間後だった。アキトさんが二人いる時間帯ではアキトさんは過去の自分に対して関与できなかった。』
ルリ「確かに・・・」
ユリカ「そっか・・・イネスさんも結局はアイちゃんが20年前に跳んじゃうの阻止できなかったもんね」
むーちゃん『それを創造主様達は因果と呼んでいたの。
 過去に生きる者は過去の生きる人間の手で
 未来に生きる者は未来に生きる人間の手で
 それぞれの時間を生きる人同士でしか関与できないの』
ユリカ「・・・ルリちゃん、わかった?」
ルリ「・・・なんとか。過去の人に乗り移られた場合は未来から戻った私達には手が出せないと言うわけですね?」
ユリカ「なんでダメなの?」
ルリ「だって私達が手を出すということは歴史に介入するって事じゃないですか。」
ユリカ「過去の人はいいの?」
ルリ「過去の人は自分たちの時間を自分たちで創造している・・・だからOKなんです。」
ユリカ「ううう・・・なんか頭がスポンジになりそう・・・」

知恵熱が出そうなユリカをほおっておいてルリはむーちゃんに疑問を尋ねた。

ルリ「それは良いとして、アキトさんはなぜ過去に戻れて歴史に干渉出来ているんですか?」
むーちゃん『アキトさんは今女性になっているからね。
 厳密には過去のアキトさんと違う存在になっている。』
ルリ「・・・そんないい加減なんですか?因果って」
むーちゃん『でも因果からは逃れられないよ。半分半分かな。
 過去にも干渉できるけど、「時の記述」の影響も受けちゃってる。』

むーちゃんは苦笑する。過去に戻ったアキト・・・アキの存在も良し悪しみたいだ。

ユリカ「で、結局は過去に戻って『始まりの人』ってのを倒せばいいんだけど
 そのままだと過去の人に取り憑いた彼に干渉が出来ないので、何とか過去の世界に因果を持つ人を見つけて協力を仰げ・・・ってこと?」
むーちゃん『平たく言うとそうです』
ルリ「ユリカさん、よくそこまでわかりましたね!」
ユリカ「・・・適当」
ルリ「適当・・・ですか・・・」
ユリカ「なんとなく。今も頭スポンジになりそうなのぉ〜〜」

適当でも真実にたどり着いてるのだからユリカの元提督は伊達ではない。

ルリ「でも過去に戻っても過去の人達は『時の記述』って奴に影響されちゃうんでしょ?なら協力者を見つけても役に立たないんじゃ・・・」
むーちゃん『その時代に因果があって、しかも「時の記述」に記録されていない人を捜して』
ユリカ「探してって・・・そんな非常識な人がいるの?」
むーちゃん『だから探して♪』
ユリカ&ルリ『・・・・って実はあんたもわからないんじゃないのか?』

ユリカとルリは密かにそう思うのであった・・・



2197年 カワサキ郊外


Bule Fairy「というわけで我々はイツキさんに協力を求めに来たわけです。
 どうです?わかりましたか?」
イツキ「・・・
 ごめんなさい、もう一回お願いします(汗)」
Blue Fairy「聞いてなかったんですか!?」
イツキ「途中から難しくなってつい・・・(汗)」
Blue Fairy「イツキさん!」
Snow White「まぁまぁ、Blue Fairyちゃん、イツキちゃんを責めちゃ可哀想だよ
 だってしょうがないじゃない。突拍子もない話だし」
Blue Fairy「でも・・・」
Snow White「それに私も半分寝てたし・・・テヘ♪」
Blue Fairy「Snow Whiteさん!!!」

イツキへの1時間以上にも渡る事情説明に奮闘していた自分を差し置いて、この人は寝ていたかと思うと怒りが湧いてくるBlue Fairyであった(笑)
で、イツキはなにやら自分流に解釈したらしく・・・

イツキ「なにかよくわからないですけど、とにかく地底に封印された魔王が蘇り、そこで私が伝説の勇者に選ばれたわけですね♪」
Blue Fairy「違います!!!
 イツキさんは元の歴史では今日の時点で死んじゃったのでこれより以降『時の記述』に記載されていなくてですねぇ、でもこの世界には因果を保っているという・・・」
イツキ「わかりました。まずはパーティー集めですね?
 それから伝説の武器防具を集めて・・・」
Blue Fairy「だから違うって言ってるじゃないですか!!!」
Snow White「そう言えばこの人真面目は真面目だけどヤマダさんを慕ってたんだっけ・・・」

なにやらよくわからない納得の仕方をしたイツキをとりあえずユーチャリスに案内することにした二人であった。

inverse2へ続きます



ポストスプリクト


今回は特別に奥さん'sへのインタビューって事にさせていただきたいと思います。

Blue Fairy「そういえばアキさんとか全然出てきませんけど、このinverseって付くと私達のストーリーになるって事ですか?」

−まぁそうなります。歴史の裏側で暗躍するお話がメインになります

Snow White「ってことは私達の活躍シーン倍増♪」
Pink Fairy「迷走シーン倍増の間違いじゃないの?」
Actress「私じゃないですよね?」
Blue Fairy「私じゃないですよ」
Secretary「わた・・・」
Snow White「Pink Fairyちゃん、酷い!それじゃSecretaryさんがヨゴレになるっていっているようなもんじゃない!」
Secretary「私じゃない!!!あんただ!あんた!」

−大丈夫、inverse編は皆さんに活躍のシーンがありますから

Pink Fairy「ギャグの?」

−うん

Secretary「うんって言うなぁぁぁぁ!!!」
Actress「まぁまぁ落ち着いて・・・」
Blue Fairy「Snow Whiteさんは結構気に入ってたりしません?」
Snow White「嫌いじゃないよ♪」
Blue Fairy「・・・まぁそれは良いとして、今回のお話わかった人何人いるんでしょうねぇ?」

−別にいなくていいんじゃない?

Blue Fairy「わからなくても良いって、そんな無責任な・・・」

−だから、闇の魔王が目覚めて、人間に取り憑いて、それを選ばれし勇者が倒すってことがわかればそれで良いんじゃないですか?

Pink Fairy「まぁタイムパラドックスなんてよくよく考えればどこかに穴が出てくるし。
 それ見つけられても困るしね」

−実はそう(汗)

Blue Fairy「おいおい」
Actress「で、次回はどうなるんですか?」
Snow White「次回のinverse2は『奥さん's結成』『ゲキガン部隊結成』『熱血大特訓』の三本でお送りします♪」
Secretary「おい・・・」

−ってことでinverse2をどうぞ

※上記は微妙にinverse2の内容と異なりますので本気にしないで下さい(笑)

Special Thanks!
・AKF-11 様
・SOUYA 様
・kakikaki 様