アバン


日時と場所は深く追究しないで。
未来からやってきた自分の赤ちゃんの世話をすることになったアキさん。

まぁシオンちゃんの世話をしたがる乙女達との間でいろいろな騒動があったり、
相変わらずアキさんとアキトさんはほのぼの親子ゴッコしていたりする訳なんですが、
実際この状況がいつまでも続くなんて誰も思っていなかったはずなのに、
みんないつまでもこの状況が当たり前の状況だって思い始めていたんですよね。

でもいつか終わりはやってくる
その時、皆さんはどんな顔をするのでしょうか?

ああ、これって外伝なので黒プリ本編とは何の関係もありませんのでそのつもりで。



それはある日の出来事であった


アキ「えい♪」
シオン「だぁ♪」
アキ「えい♪えい♪」
シオン「だぁ♪だぁ♪」
アキ「えい♪えい♪えい♪」
シオン「だぁ♪だぁ♪だぁ♪」

ルリ「おしめ替えるのによく楽しみながらやれますねぇ」
ラピス「1勝3敗・・・」
ユリカ「私なんか2勝4敗なんだから!」
アキト「んなの競ってどうするんだよ〜」

と和気藹々とするアキとシオンのおしめ替えっこを眺めていた。
まぁ非難がましく言っているが、アキの部屋に集まってその光景を見ている事から察するに彼らもそれほどシオンちゃんの世話が嫌いじゃないみたいだ。

シオンの母親が誰か?という騒動もだいぶ下火になったみたいだ。
ということでみんなシオンがいるのが当たり前になりつつある。

そんなある日のことだった。

ボワ〜ン

何かが静かに現れたが、それに気づいたものは誰もいなかった。
しばらくしてシオンが気づいた。
シオン「だぁ〜〜」
アキ「ん?どうしたの?」
シオン「だぁ〜〜」
シオンが片手をパタパタさせる方を思わず見やるアキ

するといつの間にかそこには封筒が一つ

「なにかしら・・・」
アキが手紙をとって中を見ると封筒には宛名があった。
宛名には「テンカワ・アキト様、アマガワ・アキ様」とあった。

アキ「なにかしら?」
アキト「さぁ・・・」
アキ「開けてみる?」
アキト「ええ・・・」

封筒の封を切って中を見ると手紙があった。
手紙には短い文面があってこう書いてあった。

『今までシオンを預かって下さってありがとうございます。
 近日中にお迎えにあがります』

アキ「・・・・・」
ユリカ「それだけ?」
アキト「うん」
それを読んで呆然としているアキを尻目にアキトが内容を読み上げた。

ルリ「差出人は?」
アキト「それらしいのはないみたい」
ユリカ「残念・・・アキトの未来の奥さんが私だってわかるところだったのに〜〜」
ルリ「なんでユリカさんなんですか?
 っていうか正体知られたくないから書かなかったんじゃないんですか?」
ラピス「いや単に書き忘れたんじゃ・・・
 そそっかしいところなんかユリカみたいというか・・・」
アキト「だからユリカという可能性を追求するのは止めてくれ〜〜」

と、アキトの未来の奥さんで盛り上がっている最中、もっと根本的なところで衝撃を受けている人がいた。

アキト「ねぇアキさん、ユリカな訳が・・・ってアキさん?」
アキ「・・・近日中に迎えに来るって書いてあったよねぇ?」
アキト「ええ・・・・」
アキ「って事は近日中にシオンちゃんは未来に帰っちゃうって事よね?」
アキト「あ・・・そういえばそうですねぇ・・・」

事実を確認した二人




数秒後・・・


アキ「いやぁぁぁぁ!!!
 シオンちゃんが帰っちゃうなんて絶対イヤぁぁぁぁ!!!!」
なんか可愛い声を上げて必死にイヤイヤするアキの姿がそこにあった(笑)



ママプリ
ママはプリンセス オブ ダークネス<帰還編>



再びアキの部屋


今、アキの部屋では世にも珍しい光景が展開されていた。

「ダメぇ!シオンちゃんは離さない〜〜!!!」
といつもはクールでかっこいいアキが泣き叫びながら女の子みたいに可愛らしくイヤイヤしているのだ。

さてさてその光景を見に来たクルー達の感想はというと・・・
ユリカ「アキさん、その気持ちわかります!わかります!」
メグミ「アキさんが取り乱すなんて珍しい・・・」
ミナト「鬼の霍乱?」
ルリ「ミナトさん、それ病気の時に使う言葉・・・」
ラピス「・・・嬉しいような悔しいような複雑・・・」
リョーコ「た、隊長・・・その気持ちわかるぜ!」
ヒカル「いいねぇいいねぇ♪普段キリリとしている人が時折見せる可愛らしさ!」
イズミ「可愛いベイビー、ハイハイ・・・・意味なし」
とかなんとか萌えていたりします(笑)

とはいえ、外野の勝手な感想なんか当人達にとっては少しの役にも立たないのは当たり前のことで、さぁパニックになっているアキを落ち着けようとアキトが必死になっていたりする。

アキト「アキさん落ち着いて〜」
アキ「落ち着いてるわよ。オチが付くぐらい落ち着いてるわよ」
アキト「って全然落ち着いてないじゃないですか〜〜」
アキ「そういうアキト君はよく落ち着いてられるわねぇ!!!」
アキト「いや、落ち着いているというか、なんというか・・・」
アキ「シオンちゃんってアキト君の赤ちゃんでしょ!
 自分の子供が離れて行っちゃうのよ!
 何とも思わないの!?」
アキト「そ、そりゃ寂しいとは思いますけど・・・
 っていうか、現在の俺が作った子供じゃないし・・・」
アキ「ひどい!この男は自分の責任棚に上げでそんなこと言いやがりますか!」
アキト「うわぁぁぁ!!!
 そういうことが言いたかったんじゃなくってですねぇ〜」
アキ「なら何が言いたかったっていうのよ!」

と口論する二人を眺めているギャラリーはというと・・・
ミナト「端から見てるとまるで別れる別れないを言い合いしているカップルみたいね」
ユリカ「ええ〜、アキトの奥さんは私だおぅ」
メグミ「ですが・・・さすがにあの修羅場に突入する気には・・・」
ルリ「確かに。」
ラピス「そんなにあの小娘がいいの、アキ〜」
リョーコ「だから生後半年の幼児と競ってどうするんだ、お前は」
ヒカル「でも意外。アキさんがあそこまでメロメロになるなんて」
イズミ「近藤正臣の子煩悩・・・こぼんのーです♪・・・なんちってククク・・・」
とか、評されていたりするが、まぁご当人達は必死なわけで。

アキト「だから、言いたかったのは現在の俺が作ったんじゃないということは未来の俺が作ったという事ですよね?」
アキ「なに当たり前のこと言ってるのよ〜!」
アキト「ってことはシオンちゃんにとって本当の両親は未来にいるって事ですよね?」
アキ「そ、そりゃそうだけど・・・」
アキト「そう考えればシオンちゃんが本来居るべきは現在ですか?未来ですか?」
アキ「うぐぅ・・・
 でもでもアキト君は寂しくないの?シオンちゃんが居なくなるの!」
アキト「そりゃ寂しいですけど、それがシオンちゃんの為なら寂しくても元の世界に返してあげるしかないじゃないですか・・・」

アキトはアキを諭すようにのぞき込む。
するとアキはアキトの瞳を見てなにやら悟ったのか、再びシオンの顔を見つめた。

アキ「この子の幸せのため・・・」
アキト「そうです、この子の幸せのためです」
シオン「だぁ♪」

ニコニコ笑いかけるシオンをジッと見てアキは少し考えた。
そして・・・

アキ「そうね、確かにシオンちゃんの将来を考えると・・・」
アキト「わかってくれましたか!?」
アキ「わかったわ」
アキト「それじゃ・・・」
アキ「誰がシオンちゃんを未来になんか帰すもんですかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

落ち着きを取り戻したのもつかの間、
一転してアキはシオンをむんずと掴むと叫びだした。
そしてそのまま脱兎のごとく部屋を飛び出していった。

アキ「誰が渡すもんですか!捕まえたければここまでおいで!!!」
アキト「あ、アキさん!?
 アキさぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!!」

あっと言う間に走り去って見えなくなってしまった。
後に残された一同が思ったことは・・・

ユリカ「だから私が奥さん・・・」
ミナト「アキさん、壊れた?」
メグミ「壊れましたね」
ルリ「ええ」
ラピス「アキ、私よりあの小娘の方が・・・」
リョーコ「隊長・・・」
ヒカル「あ〜ぁ。こうなったら誰も止められないわねぇ」
イズミ「もうどうにも止まらない♪・・・意味なし」

と女房子供に家を出られた旦那と化しているアキトの頭上にそんな言葉を投げかけている一同であるが、これが他人事などではなくナデシコ全体を揺るがす大事件に発展しようとは夢にも思わなかった(笑)



ナデシコ・食堂


それはほんの些細な出来事であった。

サユリ「あれ?」
エリ「そっちどう?」
ミカコ「こっちもないです〜〜」
ジュンコ「こっちもないです〜」
ホウメイ「あれあれってどうしたんだい?」
何か捜し物をしているホウメイガールズの元にホウメイが不審がって尋ねた。

サユリ「いえ、今朝の下拵えをしようと思って厨房に来たらチャーシューがなくなっているんです」
エリ「こっちはフォーク一式が」
ジュンコ「こっちはマッチにライターが」
ホウメイ「どうしてなくなってるんだい?」
エリ「さぁ、誰かが持っていったんじゃないんですか?」
ホウメイ「誰が?」
エリ「さぁ?」
ホウメイ「何のために?」
エリ「さぁ?」

さして特殊なものを盗まれた訳じゃないのに何故か一同の心の中には一抹の不安がよぎって仕方がなかった。



格納庫


さてさて異変はこちらでも起きていた。
整備員1「あれ?」
整備員2「そっちはあったか?」
整備員3「いや、そっちはどうだ?」
整備員4「こっちも見つからない!」
ウリバタケ「あれあれってどうしたんだ、お前ら?」
整備員1「いえ、スパナがなくなってるんです・・・」
ウリバタケ「スパナってあのスパナがか?」
整備員1「ええ」
ウリバタケ「お前ら昨日サボって仕舞い忘れたんじゃあるまいなぁ?」
整備員1「滅相もない!だって全員分のがなくなってるんですよ?」
ウリバタケ「全員って・・・50本もか?」
整備員1「ええ・・・」
ウリバタケ「なんで?」
整備員1「わかりません・・・」
ウリバタケ「・・・・・・・・」
ウリバタケは事の奇怪さに押し黙る。
だがそれだけではすまなかった。

整備員2「班長!」
ウリバタケ「なんだ?まだ何かあるのか?」
整備員2「ええ、そのワイヤーが・・・」
ウリバタケ「ワイヤーがなくなったって?」
整備員2「ええ・・・」
ウリバタケ「まったくなんだっていうんだ」
整備員3「班長!」
ウリバタケ「今度はなんだ!」
整備員3「班長のジオラマ用の石膏が・・・」
ウリバタケ「なに!?あれまでなくなったのか!?」
整備員3「ええ・・・」
ウリバタケ「いったい何がどうなってるんだ!」

そんなアレアレは艦内に広まっていった。



ナデシコ・ブリッジ


ホウメイ「だから!」
ユリカ「わかりましたから〜」
ウリバタケ「なくなったんだってば!」
ユリカ「それはお伺いしましたから〜」
ミナト「私のルージュがなくなったんだってば!」
ユリカ「え?ミナトさんのルージュですか?
 お化粧でもするのかしら・・・」
ヒカル「私のGペンと製図用黒インクも!」
ユリカ「Gペンとインクって・・・漫画でも書くつもりなんですかねぇ」
ヒカル「知らないわよ!」
イズミ「や・ら・れ・た」
ユリカ「イズミさんは何ですか?」
イズミ「牧いずみの独演会カセットテープ全集(泣)」
ユリカ「い、今時カセットテープ?」
イズミ「すり切れないように大事に聞いてたのに・・・(泣)」
ホウメイ「だから!」
ウリバタケ「なくなったって!」
ミナト「言ってる!」
ヒカル「でしょう!」
イズミ「蝶の親戚・・・が!」
ユリカ「わ、わかりましたから、皆さん!
 こちらで調書取りますから並んで下さい!!!」

取り囲まれて身動きとれなくなったユリカは一同をジュンに任せてなくなったものの調書を取ってもらうことにした。

プロス「ご苦労様です」
ユリカ「一体何なんですか、これは〜〜
 アキさんがシオンちゃん連れて失踪したかと思えば、今度は大量の紛失騒ぎって・・・
 なんか刑事ドラマみたいな展開ですよねぇ〜〜」
ルリ「でも、取られたものに関してそれぞれ何の脈絡もありませんよ?」
ラピス「アキ・・・そんなに小娘が・・・」
ユリカ「そうなんだよねぇ〜
 だから頭を悩ませてるんだけど・・・」
メグミ「これは見立て殺人ですね!」
ユリカ「え?」
メグミ「犯人はわかりました!この中にいます!!!」
ユリカ「あの・・・メグちゃん・・・
 別に殺人は起きてないんだけど・・・」
メグミ「昨日の晩、かまいたちの夜2やってたんです。
 怖かったですよ〜」
ユリカ「っていうかゲームやってない人にはわからないネタはやめて〜〜」

とかなんとか言っていると、またまた騒動が起きた。
ホウメイガールズのミカコがブリッジに飛び込んできた。

ミカコ「大変です」
ユリカ「た、大変ってどうしたんですか?」
ミカコ「いいから来て下さい!!!」
ユリカ「ちょ、ちょっとどこへ・・・」
ユリカはミカコに引っ張られて連れて行かれてしまった。



女子トイレ


連れて行かれた先、そこは女子トイレであった。
ユリカ「ミカコちゃん、おトイレで一体何が・・・」
ミカコ「いいから見て下さい!」
そう言って指さしたミカコの示すものを見たユリカ達は唖然とした。

メグミ「『こんや 12じ だれかがしぬ』ですって!?」
ユリカ「メ、メグちゃん、ゲームネタからは離れて・・・」
ルリ「今回の騒動って全部アキさんの仕業だったんですね」
ユリカ「そうだね・・・」
ミナト「あ〜〜ん、あのルージュ高かったのに〜〜」

ひとり悲しんでいる乙女を除けば一同は慄然としてミカコの示したものを見ていた。

そう、それはトイレの鏡
だがそこには赤いルージュで殴り書きがしてあった。

『追ってくるな!さもなくば死あるのみ
 Aki!』

ユリカ「でもこれってどういう意味かなぁ」
ユリカは殴り書きと今回の騒動が結びついていなかった。

ゴート「つまりあれだな・・・」
ユリカ「うわぁ!!!」
後ろからぬぅっと現れたのはゴート・ホーリーであった。

ユリカ「ゴートさん、いきなり背後からドアップで現れないで下さい!!!」
ゴート「あ、すまん・・・」
ユリカ「・・・・で、なにがあれなんですか?」
心臓バクバクが少し収まってから、ユリカはゴートに尋ねた。

ゴート「つまり宣戦布告と言うわけだ」
ユリカ「宣戦布告?」
ゴート「まぁランボーみたいなものだな」
ユリカ「ランボー?」
ゴート「そうだ。2や3じゃないぞ。
 2や3は所詮続編の宿命で大衆受けをする娯楽大作に成り下がってしまったが、1は違う。
 ベトナム帰還兵の問題を絡めつつ、個人が如何に多数の追っ手を少ない武器を活用して倒していくかストイックに追究した作品なんだ。
 最初はただベトナム帰還兵が食事をとりに街によっただけなのに、そこの保安官がベトナム帰りを嫌うあまりランボーに酷い仕打ちをし、逮捕してしまう。
 そこで事態は大きく発展し逃げながらも追っ手を倒していくというストーリーに発展する。
 最後のランボーが『ただ飯を食いたかっただけなんだ』という台詞に象徴されるように、たったそれだけのことでも迫害されたベトナム帰還兵が抱える苦悩を描ききった名作なんだ。
 2や3のようにただサバイバルをして悪者を倒すのとは訳が違う!
 ある町の出来事とスケールは小さいもののラストのやるせなさといったら・・・」
ユリカ「えっと、ご高説ありがとうございました(汗)」

熱弁を振るうゴートを必死に止めるユリカ。

メグミ「ルリちゃん、わかった?」
ルリ「ええ、なんとなく・・・」
ラピス「アキ、そんなに小娘の方がいいの・・・」
ルリ「・・・まぁその小娘のせいかどうか知りませんが、要はアキさんがナデシコのどこかに立てこもり、今まで盗んだ品物で追っ手を撃退しよう・・・ってことでしょうね」
ユリカ「ほえぇ〜」
ミナト「だからって私のルージュ使って書かなくてもいいじゃない〜〜
 高かったのに・・・」
メグミ「でも、拳銃やライフルを盗み出したならともかく、Gペンとかスパナとか食事用のナイフだよ?それでどうやって・・・」
ルリ「あのアキさんですよ?
 無事ですむと思います?」
一同「・・・・・・・フルフル」
ルリ「まさにランボーに立ち向かう警官隊の気分ですね」
ユリカ「確かに・・・」
一同が溜息をついたのは言うまでもなかった。

ユリカ「そういえばアキトは?」



アキの自室


アキト「あ、アキさん・・・」
ちなみにアキトはというと、まだこの場で捨てられた亭主よろしく呆然としていた(苦笑)



どこかの暗闇


なんか、ダダッダダダ♪
とかいう例の音楽が流れてそうな中、アキは暗闇の中で着々と準備を整えていた。
ライフルとかそういう直接的な武器を盗まなかったのはやはり管理が厳重ですぐに足がついて発見されてしまうからだ。

でもたったこんなものばかりと侮るなかれ
これらの品々だけでも十分武器になりうる。
要は使い方次第なのだ!

アキ「見てなさい・・・私からシオンちゃんを奪おうとするものは容赦しないから
 ウフフフフ・・・」
シオン「だぁ♪」
なんか、不気味に笑う危ないアキにシオンがのんきにかけ声をかけた。

そしてアキは準備を整え、両頬に黒インクで線を引っ張った。
まるでランボーのように(笑)

そう、戦闘準備完了なのである。



捜索隊本部


ジュン「えっと、まず目標の逃走経路ですが、今までわかっている情報から推察すると次のようになります」
とりあえずアマガワ・アキ及びテンカワ・シオン捜索隊隊長に任命されたジュンはナデシコの見取り図を広げてアキの潜伏してそうな場所をあげていった。

ウリバタケ「格納庫第3区画・・・か。
 あそこはガラクタの巣窟だからな。
 普段は使ってないし隠れるには絶好の場所だろう」
アカツキ「まぁ何事も整理整頓は大事ってことだ」
ウリバタケ「・・・なんか引っかかる言い方だな」
アカツキ「別に・・・」
ゴート「そんなことより!装備は何だ?」
ジュン「装備?」
ゴート「そうだ。装備だ。
 相手はランボー。通常の装備では返り討ちにあう可能性がある!」
アキト「んな大げさな・・・」
ゴート「大げさか?俺はあいつが素手でも勝てる自信がないぞ?」
アキト「そりゃ・・・」
ゴート「だから対戦車バズーカーに速射砲、電撃トラップに散弾銃の使用を申請する!」
アカツキ「やれやれ、これだからミリタリーオタクは・・・」
ゴート「なんだと?どういう意味だ?」
アカツキ「相手は戦車や熊じゃないんだから、そんなにブルっても・・・」
ゴート「なんだと!」
アキト「まぁまぁ・・・ってアカツキもいい加減にしろよ!」
ウリバタケ「まぁブルったは置いておくとしても、そんな兵器持ち出したらナデシコが壊れちまうよ」
ジュン「・・・ということで通常の装備だけでお願いします」
ゴート「・・・仕方があるまい」

ってなわけで一同はアキの待つ格納庫第3区画に向かった。
己の身に待ち受ける災厄を薄々感じながら・・・



格納庫第3区画


ウリバタケ「なんだ、こりゃ!?」
ウリバタケは思わず声を上げる。

そのあまりにも異様な光景に驚愕したからである。

『帰れ!』
『来るな!』
『来たら殺す!』
『死のダンスを踊らせるぞ!』
『ここからは不可侵領域!』
『Get Out!!!』
『Killing You!』
などなど、考えつく限りの脅し文句を入り口の側面やコンテナなどに書き散らしていたからだ。マジで侵入者を阻むらしい。

アカツキ「こりゃ、本気みたいだねぇ」
ゴート「そらみろ!」
アキト「それはともかく、相当この中弄られているなぁ・・・」
ジュン「確かに・・・」

草木こそないものの、そこは既にジャングルのごとくいろいろ手を加えられた形跡があった。目標は本気で立てこもるつもりである。
危険を省みず、この中に突入するのは躊躇われた。

だが・・・
ユリカ『ジュン君お願い、お友達でしょ?』
ジュン「ああ・・・」
エリナ『アカツキ君、いいわね?必ず見つけるのよ。
 シオンちゃんは重要なサンプルなんだから!』
アカツキ「あいあいさ・・・」
プロス『えっとこの間の使い込みに関して・・・』
ウリバタケ「・・・わかってるよ」
ゴート「ふふふ・・・極限の中での攻防・・・ふふふ・・・」
ミナト『アキト君、パパなんだからしっかりシオンちゃんを助けるのよ』
ルリ『私のシオンをよろしく』
メグミ『私のシオンちゃんです!』
ラピス『アキ、そんなにあの小娘がいいの・・・(泣)』
リョーコ『隊長を・・・狂気から救い出してくれ!』
アキト「・・・わかったよ」
引くに引けない男達であった。

物陰から彼らを見つめる人影一つ

アキ「さぁパーティーを始めましょう♪」
シオン「だぁ♪」
それは赤ん坊を背負った狩人であった(笑)



第一の犠牲者、あるいは最初のトラップ


捜索隊はコンテナのジャングル内をさまよい歩く。
だが、既にアキの術中にハマっている事を彼らは知らない。

「なんか、ナデシコ内に迷路があるみたいだ。
 金取れるんじゃないか?
 なぁアキト・・・」
とウリバタケが愚痴をこぼして同行者に同意を求めようとしたそのときである。

ふと辺りを見回すとそこには彼一人しかいなかった。

「・・・おい、アキト、アカツキ、ゴートの旦那、副長!」
ウリバタケが辺りを見回すが誰もいない。
どこかで迷路を巧みに組み替えられて一人だけ切り離されたようである。

ウリバタケ「なんだ!やろうっていうのか、アキちゃん!
 こちとらそう簡単にはやられねぇぞ!
 俺には高圧ガスにより毎秒20発のBB弾速射可能なライフルがあるんだ!
 当たれば痛いぞ!!!」
ウリバタケは持っていたモデルガンを手に構えて虚勢をあげた。
だが、それで相手が怯むはずもなかった。

「一人目・・・」
どこかでそんな呟きが聞こえる。
と、それと同時に!!!

バシュ!!!

ウリバタケ「うわぁ!なんだ!?真っ暗でなにも見えん!!」
命中したのは黒インクを入れたビニール袋
それが見事ウリバタケの顔に当たり眼鏡を真っ黒に塗りつぶしてしまった。

コツン
誰かが近くにいる足音だ。

ウリバタケ「く、クソ!!!
 やられるものか!!!」
ウリバタケは何も見えないなかも耳を頼りに近づく敵に向かってエアガンを撃ちまくった。

スパパパパパパパパ!!!

ウリバタケ「オラオラオラ!!!段ボールもぶち抜くエアガンの威力を思い知れ!!!」
目が見えないままエアガンを撃ち続けるウリバタケ。

数秒後、引き金を引いても弾が出なくなった。
そして敵の気配がなくなったのを確認したのか、ウリバタケは眼鏡を外してインクを拭った。そして改めて自分の撃った場所を確かめると・・・

ウリバタケ「り、リリーちゃん!?」
そう、ウリバタケが撃ったのは彼の発明品リリーちゃん2号であった。

「エアガンって速射性はいいけど、すぐ弾がなくなっちゃうのよねぇ。
 乱射は禁物ってね」

え?と後ろを振り返るまもなくウリバタケは後頭部に手刀を入れられてしまった。

「はい、一人消えた♪」
アキは嬉しそうに崩れ落ちる標的を眺めていた。



第二の犠牲者


「まいったねぇ、はぐれちゃったよ・・・」
アカツキはポリポリと頭をかく。
みんなとはぐれてしまったからだ。

だがまぁいくら相手があのアキでもまさかクルーを殺すまい。
となれば多かれ少なかれ、目の前に姿を現すだろう。
そうなったら口八丁手八丁で丸め込んでみせる。

アカツキはそう思っていた。
それがネルガル会長(公然の秘密)に座るものの才覚であると自信満々であった。

だが・・・

『隣の家に囲いが出来たってねぇ。かっこいい!・・・なんちって』
「え?」
アカツキは突然どこからか流れるその声に唖然とした。

『お湯は夜に沸かすものだよ。やかんで湧かすから・・・なんちって』
「な、なんだこの寒いギャグは!?」

そう、それはイズミの大事にしていたカセットテープを再生していたのだ。

『洗濯機で食べる鍋、しゃぶしゃぶ・・・なんちって』
「や、止めてくれ、気が変になる〜!!!」
『海は広いなしょっぱいな・・・なんちって』
「意味あるのか!」
『いるかに乗った少年、そんなのいるか、いや蘇我氏だろう・・・なんちって』
「歴史の勉強になりそうでそうじゃないぞ!!!」
『しろきやか、しらきやか、はっきり白木屋!・・・なんちって』
「ベタすぎる!」
『作家の一番よくやるスポーツは? サッカー・・・なんちって』
「なんてオチがわかりすぎるギャグなんだ!」
『ようこそここへクックレカレー・・・なんちって』
「だからそんな年齢がばれるようなギャグは止めろ!」
『倫子とハチマキとろ〜りとけてる・・・なんちって』
「解説がなければ本ネタがわからない替え歌は止めてくれ!」

と、延々とくだらないギャグを聞かされ続けたアカツキは・・・

アキ「で、口八丁手八丁はどうするわけ?」
アカツキ「隣のかっこいいいるかに乗ったサッカー・・・」
アキ「はい、二人目」
アカツキ「ぐえ!!!!」

茫然自失になったところを襲われましたとさ。



第三の犠牲者


「あの・・・皆さん〜〜」
心細げに一人さまようジュン

するとその背後に・・・

アキ「ジュン君、ハロー」
ジュン「あ、アキさん」
彼女はあっさりジュンの前に姿を現した。

アキ「お願いだからそっとしておいてくれないかな?」
ジュン「ダメだ!この騒ぎを納めるのが副長たる僕の役目だ」
アキ「どうしても?」
ジュン「どうしてもです!」
アキ「本当にこの人は変に頑固ね〜」
ジュン「ほっといて下さい」
アキ「ち、お人好しだから与し易いかと思ったのに・・・」
ジュン「ああ!!!僕のことなめてますね!
 これでもあなたの脅しに耐えた男ですよ!!!」
与し易いと侮られて怒ったのか、ジュンは声を荒げた。

アキ「そうだったわね・・・・
 んじゃ、お姉さんが甘えさせてあげる♪って言ってもダメ?」
ジュン「ダメです!」
アキ「んじゃ、艦長の声マネしてあげるから。
 ジュンく〜ん♪」
ジュン「ダメなものはダメです!
 誤魔化そうったってそうは行きませんから!!!」
アキ「そう・・・・
 あ、危ない!!!」
ジュン「誤魔化そうったってそうは行きません!!!」
アキ「いや、本当に危ないって!」
ジュン「だまされません!!!」
アキ「だから本当だって・・・」
ジュン「え?」

ビュン!

ゴチン!!!

「だから危ないって言ったのに・・・」
ジュンは吊されたスパナが頭に当たって気絶した。
「ってことで三人目♪」
アキの方が一枚上手だったようだ(笑)



第四の犠牲者


「フフフ、これだ!俺が求めていたのはこれだ!」
一人はぐれたゴートは他の者とは対照的になぜか喜んでいた。

「これでこそ戦いに生きる男!
 ミスター東郷を師とあがめ、ランボーにあこがれ、ジョン・マクレインにあこがれた俺はいつかこういう命をギリギリに削る様な駆け引きに浸りたかったのだ!!!」
ゴートはばっと背広を脱ぐといつの間にか迷彩服姿になっていた(爆)

「さぁどこからでもかかってい、アマガワ!!!
 俺が相手だ!!!」
「あら、そうなの?」
ゴートのかけ声にどこからか返事が来る。
アキの声だ。

ゴート「そうだ、勝負だ!!!」
アキ「そう、手加減なしでいい?」
ゴート「望むところだ!」
アキ「良かった♪」
ゴート「良かった?」
ゴートの自信にもかかわらず、アキは余裕綽々でいう。
侮られているのか?
いやそうじゃない。

アキ「いやぁ、本気出したらケガしちゃうからどうやって穏便に倒そうかと知恵を絞ってたんだけど、ゴートさんなら少々無茶しても生きてるでしょう」
ゴート「余裕だな・・・」
アキ「そうでもないですよ」
ゴート「なら勝負だ!」
アキ「ええ!!!」

それを合図にゴートはコンテナの陰に隠れた。
そしてあらゆる方向に注意を怠らない。隙を見せるつもりは毛頭なかった。
手に持つのはショットガン、ゴム弾を吐き出す強力な武器だ。
ゴム弾と侮るなかれ、まともに当たれば肋骨すら折りかねない、対テロ鎮圧用の武器なのだ。
「見つけ次第、叩き込む!!!」
ゴートは辺りを窺っていた。

だが・・・
ビュ!!!!!!
ゴートはとっさにかわすが、それを見て驚いた!!!

食事用のナイフがたくさん括り付けていた板がワイヤーで振り回されて叩き付けられてきたからだ!!!

ゴート「・・・・・おい待て。
 これはシャレにならんだろう・・・」
シャレもくそも、こんなものに当たったら一発であの世行きである(苦笑)

アキ「あら、丈夫だから当たっても平気かと思っていたわ」
ゴート「平気なものか!!!」
アキ「ならもう少し穏やかなものを」
ゴート「なに!?」

すると今度はワイヤーに括り付けられたスパナがすごい勢いで振り回されてきた。
しかも一つではない
何十個もものすごいスピードでゴート目掛けて振り回されてきたのだ!!!

ゴート「ば、バカ!!!これも危ないわ!!!」
アキ「え〜〜わがままだなぁ」
ゴート「わがままとかそういう問題か!!!」
アキ「なら、もうちょびっと穏やかなのを♪」
ゴート「お前の穏やかって・・・」

ビュ!!!!
今度はただの板だった。
いやただの板のように見えたのだが、それは甘かった!

「G、Gペン!!!!」
そうなのだ。板には無数のGペンのペン先が突きつけられていたのだ。
いわゆる釘バットに近い!!!

ゴート「これのどこが穏やかなんだ!!!」
アキ「んじゃ、本当に穏やかなのを・・・」
ゴート「なに!?」
ムネタケ「や、止めなさい!!!!」

顔面に降り注いでくるムネタケのドアップ!!!

ブチュゥ〜〜〜♪

「う〜ん・・・・(青)」
ムネタケに唇を思う存分奪われてうれしかったのか気絶してしまったゴートであった(笑)



最終対決


二人は対峙していた。
女は男を軽蔑の目で見ていた。
そして男はそんな女を何とか説得しようと必死だった。

アキト「アキさん、もうこんなことは止めて下さい」
アキ「うるさい、なんであなたはそんなに平然としていられるの?」
アキト「なんでって、シオンちゃんは本当のお父さんとお母さんのところに帰れるんですよ?それを邪魔する権利は俺たちにはないでしょ?」
アキ「うるさいわねぇ!責任逃れのくせに!」
アキト「責任逃れってなんですか!」
アキ「男っていつもそう!
 格好付けて『君の知っている俺は死んだ』とか言って実は逃げ出すし
 『俺の手は血で汚れている、君たちの元には戻れない』とか口実にしているし
 『俺がそばにいると君たちを不幸にする』とか言い逃れてるし!」
アキト「誰がそんなこと言ったんですか!!!
 っていうか、なんか身に覚えのある台詞を俺に押しつけてませんか?」
アキ「ギクギクキク!!!
 う、うるさい!!!
 シオンちゃんの子守を女の私に任せっぱなしにしていたくせに何偉そうにしているのよ!!!」
アキト「だから手伝ったでしょう、俺も!!!」
アキ「手伝ったって、アレが!?」

とか何とか言い合いをしているアキとアキト
いつの間にかギャラリーも集まっていたが、その感想といえば・・・

ミナト「なんか、夫婦の痴話喧嘩みたいねぇ・・・」
ユリカ「だからアキトの奥さんは私だおぅ・・・」
メグミ「悔しいですけどねぇ・・・」
ルリ「私、少女ですからそこら辺の事情はよくわかりません・・・」
ラピス「アキ、そんなにあの小娘がいいの・・・」
エリナ「見事なメロドラマね・・・」

という外野の台詞に煽られたのか、当人達の口喧嘩は酷くなる一方だった。
だが、その険悪な雰囲気に感化された人物がいた。

「びえぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜」
そう、シオンちゃんである。

アキ「し、シオンちゃん!?」
アキト「シオンちゃん!」
シオン「びえぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜」
両親(?)の険悪な雰囲気を敏感に察したのか、シオンは悲しくなって烈火のごとく泣き出した。

シオン「びえぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜」
アキ「泣きやんで〜」
アキト「ベロベロバァ〜〜」
シオン「びえぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜」
アキト「効かないッスよ〜」
アキ「ああん、泣きやんで〜」

こうなるとさすがのアキ達でも泣きやまない。
シオンは大音量で泣き続けたままであった。
困ったのはアキ達だけではない。
あまりの事態にクルー一同も困っていた。
シオンが可哀想でならなかった。

と、そんなときである。

ボワ〜ン♪

「あらあら、泣いちゃったのねぇ」
「え?」
聞き慣れない声に気がついたのか、ユリカが振り返る。
するとそこにはいつの間にか・・・まるでボソンジャンプで現れたかのように女性が現れていた。
全く見慣れない女性である。

???「まぁまぁ、シオンちゃんったら、困ったちゃんねぇ」
ユリカ「あ、あなたは・・・」

ユリカは見慣れない女性に思わず声をかけた。
その女性は長い金髪の美女で、年の頃は25歳ぐらい
洋服はひらひらのエプロンにスカート
甘いその声
そしてまるでシオンを知っているような口ぶり・・・

???「アキさん、シオンちゃんをこっちに」
アキ「え、あ、あなたは?」
???「いいから、ほらシオンちゃん♪」
シオン「びえぇぇぇぇ・・・・・・くすん」

その女性に抱かれるとさっきまで泣いていたシオンが急に泣きやんだのだ。

???「はい、シオンちゃん、良い子にしてたかなぁ〜〜♪」
シオン「だぁ♪」
アキ「あの・・・あなたは・・・
 ひょっとしてシオンちゃんのお母さん?」
一同「ええ!!!!!」
アキは思わず脳裏に閃いた疑問を口にした。

それはそうだろう。
大半の人々の期待を裏切った結果である。

ユリカ「つまり・・・」
ルリ「シオンの」
メグミ「お母さんということは」
ラピス「つまり、アキトの」
サユリ「奥さんっていうこと?」

そう、ナデシコクルーの誰でもなかったのだ。
みんなそれぞれの思惑を見事に裏切ってくれた。

アキト「あの・・・シオンちゃんのお母さん。
 あなたは誰ですか?」
アキトは恐る恐る自分の将来の奥さんの名前を聞いてみる。
するとその女性は驚くべき答えを言った。

???「ああ、アキトさん。私が誰かって事ですか?」
アキト「ええ・・・」
???「何言ってるんですか。知り合いじゃないですかぁ♪」
アキト「し、知り合い!?」
ユリカ「アキト、もう既に浮気しているの〜〜」
ルリ「アキトさん、不潔・・・」
アキト「ちょっと待て、俺は無実だ!」
アキ「・・・・あなたは本当に誰?」

女性陣にリンチにされかけているアキトの代わりにアキが聞く。
アキも驚いていた。アキにも身に覚え・・・もとい見たこともない女性だったからだ。

???「あらアキさんも私のことに気づきません?」
アキ「フルフル」
アキは首を横に振る。
すると女性はくすくすと笑ってこう答えた。

???「私はオモイカネですよ」
一同「オモイカネ!?」
アキ「オモイカネって・・・・ナデシコのAIの?」
オモイカネ「ええ、そうですよ」

みんな頭の中で女性の発言と現実が結びついていなかった。

オモイカネ「『AIとま』って漫画知ってます?」
アキ「えっと・・・コンピュータの中の女性AIが雷で実体化するってやつ?」
オモイカネ「そう、それです。
 で、それで実体化してテンカワさん宅の家政婦をしています」
一同「ええ!!!!」

・・・・・まさかとは思っていたけど第1話のネタが本当になっていたとは(笑)

アキト「もしかしてオモイカネが俺の奥さん?」
オモイカネ「フフフ、そんなわけあるわけないじゃないですか(笑)」
ユリカ「そりゃそうだよねぇ、人間じゃなくてAIなんだから」
ルリ「オモイカネ、あなたって女性だったのですか?」
オモイカネ「実体化してから性別付けをしました。
 この方がシオンちゃんの子守をするのに都合が良いですし♪」
シオン「だぁ♪」

そこでみんなははたと気づく。

ということは、本当のアキトの未来の奥さんは別にいるということになる。

すると殺到するのは女性クルー達
「「「「「アキトの奥さんって誰!!!!」」」」」
オモイカネ「・・・・未来は知らない方が楽しいですよ♪」
オモイカネはその質問を笑ってはぐらかした。



その後のナデシコ


アキはボーッとしていた。
その後、シオンはオモイカネに連れられて未来に帰っていった。

「シオンちゃんの手、小さかったなぁ〜」
アキは最後にシオンが自分の指を握ってバイバイしてくれたのを何回も思い出していた。
それからのアキはまるで気の抜けたビールみたいであった。
日がな一日ボーッとしていたり、料理をしても砂糖と塩を間違えたり、まったく覇気がなかった。

ユリカ「やっぱりショックだったのねぇ」
メグミ「そりゃ溺愛してましたから」
ルリ「母性本能でしょうか?」
ラピス「アキ、やっぱりあの小娘の方が・・・」
アキト「なんか励ませないかなぁ・・・」

と励ましたが、やっぱりどうにもならなかった。

そんなある日のこと
アキはその日も一日ボーッとしていた。

アキ「シオンちゃんのだぁ♪が聞きたいなぁ・・・」
???「だぁ♪」
アキ「そう、こんな感じで・・・
 って、え!?」

アキは聞き覚えのある声の気づいて思わず振り向いた!!!

シオン「マーマ、だぁ♪」
ちょっぴり成長したシオンがアキの肩をぽんぽんと叩いていたのだ。

アキ「シオンちゃん♪」
シオン「だぁ♪」
二人はヒシと抱きしめ合った。

そして二人のそばにはオモイカネからの手紙が置いてあった。
その手紙にはこんな風に書かれてました。
『シオンちゃんが遊びに行きたいというのでしばらくお預けします。
 よろしくお願いしますね♪』

ってことで二人の生活はもう少し続いたりしますが、その様子はまたの機会に♪



ポストスプリクト


ということで人気投票用応援イベント用の黒プリ外伝その5をお届けしました。

これにてママプリは一旦終了です。

最後、大急ぎで書きましたけど、上手くまとまったと思います。
さぁこのシリーズまた続くことがあるのでしょうか?
人気投票に打ち勝ってファンサイトが出来ていたらもうちょっと成長した彼女のシリーズを書くかも知れません(笑)

ってことでおもしろかったなら感想をいただけると幸いです。

では!

Special Thanks!!
・三平 様
・クロウハート 様
・静馬 様
・SOUYA 様
・あめつち 様
・英 貴也 様
・kakikaki 様