アバン


ネルガルに見捨てられたナデシコは見事連合軍に売り払われまして、
当然リストラとかそんなのも起きちゃうわけで

今一度みんなで考えましょう。
ナデシコに乗る理由
今の生活を続ける理由
自分の今の居場所に留まる理由

だって本当の居場所なんてどこにもない
みんな「そこ」にしがみついているだけなのだから

ああ、これってSecond Revengeのラストとほんのちょっぴり関係があったりしますのでそのつもりで〜



カワサキ・車中


エリナの借りた社用車はアキト達を乗せてとある場所に向かっていた。
後部座席に乗ったアキトとメグミは狐に摘まれたような顔で神妙に座っていた。
そして運転席ではエリナが何ともやりにくそうな顔で運転をしていた。
でも彼らをそこまで困惑させた人物であるアマガワ・アキは助手席で平然とにこやかに座っていたりする(笑)

『なんでこの人がここに?』
エリナの行動もよくわからないのだが、アキの行動もさっぱりもってわからない。
この人は火星にいく可能性を求めてナデシコを下船したはずなのだが、エリナと一緒にいる理由ってそれと関係があるのか?

アキト「あの・・・アキさん、なんでここに?」
エリナ「そうよ、なんで・・・」
アキトが恐る恐るいうと、エリナも頷くように言った。
するとアキは・・・

アキ「お仕置き・・・」
エリナ「ひぃ!」
アキト「お仕置き?」
アキ「・・・ってのは冗談。
 交渉って言ったでしょ?」
エリナ「だから交渉って何よ!」
のらりくらりとするアキの言動に心胆冷やされているエリナはいい加減に我慢できないようである。
エリナの限界まで引っ張ってアキはようやく話し出した。

アキ「アキト君、スキャパレリプロジェクトってなにかわかってる?」
アキト「スキャパレリって火星に行って火星の人達を救う・・・」
アキ「ブブー!そんな理由のためにネルガルが戦艦一隻作って火星くんだりまで飛ばすわけないじゃない」
アキト「それじゃ、なぜ・・・」
アキ「それはエリりんの方が詳しいかもね♪」
エリナ「誰がエリりんよ!!!」
メグミ「ナデシコを軍に売り込みたかったから?」
アキ「ブブー!ナデシコを導入するということは軍全体のシステムを根底から変えないといけない。
 オモイカネが良い証拠ね。
 でもそれは出来ない。
 今までの資産・・・戦艦、駆逐艦、戦略コンピュータ、艦載機もろもろの再装備には5年はかかる。全てをチャラにして採用なんて出来ない。
 ナデシコなんて最初から売るつもりはなかったのよ」
メグミ「売るつもりがなかったなんて・・・」
アキ「んじゃ地球圏から木星蜥蜴を追い出す原動力となったコスモスを増産してる?」
メグミ「あ・・・」
アキ「してないでしょ?」
エリナ「でも相転移エンジンの換装とかの受注は増えて、結果的に売り上げは上がったわ」
アキ「それにしたってうまみのある商売じゃないわ。軍との関係を悪化させて火星に行った割にはねぇ」
エリナは悔し紛れにそう言うが、アキはあっさりと覆す。

アキト「じゃ、ナデシコは何の目的で?」
アキトの言葉にアキはエリナに目配せする。
『しゃべっていいでしょ?』
『・・・好きにしなさい』
そうエリナが渋い顔をしたのでアキは説明を続けた。

アキ「スキャパレリプロジェクトの真の目的。
 それは火星極冠にあるネルガル研究所の奪還。
 プロスさんがやけにこだわってたでしょ?」
メグミ「そういえば・・・」
アキ「もっと正確に言えばそこで研究されていた『何か』を取り返したかった」
アキト「『何か』って何ですか?」
アキ「それは後のお楽しみね。説明したい事の本質はそれがネルガルをして民間の戦艦を建造してまで取り返したいと思わせる程のものだったって事。
 それがどういう意味かわかる?」
アキト「えっと・・・『何か』ってやつを独占したかった?」
アキ「ピンポン♪」

アキトが出した正解をアキは嬉しそうに、エリナは苦々しげに聞いた。

アキ「軍を欺き、出し抜いてまで確保したかった。独占できれば巨万の富を得られる。
 だからナデシコを軍と関係が悪化するのもかまわず火星に送った・・・
 でも結果はものの見事に失敗。
 まぁ、その後の関係修復の手際の良さから言って失敗も織り込み済みってところかもしれないけれど」
エリナ「・・・」
メグミ「で、アキさんがここにいる理由と何の関係が?」
回りくどい言い方にメグミがじれてきたようだった。

アキ「つまり、そこまで執念を持って火星の何かを独占したいネルガルにとって、ナデシコを失うことは即、計画の挫折を意味するんじゃなくって?」
アキト「そういえば・・・」
アキ「なのに賠償金が高いって理由だけでナデシコを軍に売り払っちゃうかなぁ〜」
エリナ「ネルガルだって採算を考えるわ」
アキ「諦めがいいのねぇ。
 でもこうは考えられない?
 ナデシコはもう売り払っちゃってもかまわなくなった、と・・・」
アキト「それってつまり・・・」
エリナ「・・・・」
エリナはアキの台詞にドキッとした。

アキ「ナデシコ級4番艦、シャクヤク。
 第2次スキャパレリプロジェクトの要たるナデシコのクローン戦艦・・・」
エリナ「ど、どうしてシャクヤクのことを知ってるの!?
 上層部でも一握りの人間しか知らない極秘事項よ・・・」
アキ「蛇の道は蛇ということで。
 で、本題。
 つまり私がエリナさんにお願いしたいのは、そのシャクヤクに私達を乗せて欲しいって事なの♪」
一同「え!?」

アキのあまりの提案にアキト達が驚いたのは言うまでもなかった。



ナデシコ プリンセス オブ ダークネス
第13話 「真実」なんて一つもない<中編>



再びカワサキ・車中


アキト「シャクヤクに?」
メグミ「乗りたい?」
エリナ「あなた、正気なの!?」
一同目を剥いてアキを見つめたがアキ自身は涼しい顔のままだ。

アキ「正気よ。
 ネルガルも用意周到だもん。
 スキャパレリプロジェクトはB案へ移行。
 ナデシコは可能な限り連合軍、木星蜥蜴の注目を浴びる。
 で、程ない頃に連合軍に譲渡
 すると連合軍はおもちゃをもらった子供のようにナデシコを最前線で戦わせる。
 当然木星蜥蜴は血眼になってナデシコを倒そうと躍起になる。
 そうやってみんなの視線がナデシコに向いている間にシャクヤクが静かに火星に向かって今度こそ火星を攻略・・・ってところかしら?」
エリナ「・・・・」
エリナは否定しない。
無言の沈黙はそれが正しい事を暗に示していた。

メグミ「ひどい!」
アキト「ナデシコは今まで囮だったって事ですか!」
エリナ「囮だって立派な役割よ。
 戦争やっててみんながみんな安全な場所から敵を攻撃できるわけないじゃない!」
アキト「でも・・・」

戦争アニメでは主人公達はばったばったと敵をやっつけるだけだ。
でも本当の戦争ではそうはいかない。
危険が高くても囮が敵の注意を引き受け、その隙に本隊が敵を叩くという作戦はいくらでもある。
捨て石、捨て駒に限らず索敵、諜報、補給などなど地味だが戦争を支える部隊は必要なのだ。

でも・・・

「これじゃまるっきり道化じゃないかよ・・・」
アキトはうめくようにつぶやく。
人間は感情の動物だ。理屈で納得したからといって心が納得する訳じゃない。

そして・・・

正直、アキトはアキに裏切られた気がした。
確かにナデシコは囮として凋落の一途を辿っている。
でも、いくらナデシコが沈みゆく泥船だからといって、いくら火星に行くためとはいえ、そこに乗っているクルーを見捨てて新しい艦に乗り換えようなんて・・・

『そんなのないよ・・・』
それが偽らざるアキトの気持ちだった。

だがアキトが落胆している間にメグミは別のことに気が付いたようだ。

メグミ「あれ?」
エリナ「どうしたの?」
メグミ「達って言いませんでした?達って」
アキト「は?」
メグミ「だから、アキさんさっき『私達』って・・・」
エリナ「そういえば・・・」
イヤな予感がして一同はアキに振り返った。

アキ「言ったわよ?私達って」
エリナ「え?どういう・・・」
アキ「いやぁ、やっぱりもう一度火星に行くなら、シャクヤクには優秀なAIとオペレータが必要かな〜〜とか思って♪」
一同「え?それって・・・」
アキ「いい子知ってるのよ。
 ふたりといちAI♪
 ついでに優秀な操舵士に優秀な通信士、優秀な整備員に優秀なパイロットも3人ばかり知ってるし。
 コックも必要よね。とびきり上手い人とちょっぴりヘナチョコだけど。
 あとあとアシスタント5人ほど♪
 今なら出血大サービスでとびきり優秀な艦長も付けちゃいましょう♪♪♪
 いやぁ私って太っ腹だなぁ〜〜」
一人でケラケラ笑うアキ。
でもみんな口をあんぐりと開けていた。
アキが言っている事の意味がわかったからだ。

メグミ「それって・・・」
アキト「つまり・・・」
エリナ「あなた!それってつまりナデシコのクルーを全員シャクヤクへ連れてこようって言うわけ!?」
アキ「ピンポンピンポン♪」

そう、結局はナデシコのクルー全員をシャクヤクに移籍させて、事実上連合軍に拘束されないナデシコ2世のできあがりってことらしい(笑)

「まぁ囮の役割なんて別に『優秀な』クルーじゃなくったって務まるでしょう」
アキは悪びれずにそういうが、みんな口をあんぐりさせたままだ。

アキト「でもアキさんは俺たちを見捨ててナデシコを降りたんじゃ・・・」
アキ「え?誰が誰を見捨てたって?」
メグミ「だって『それじゃ』としか言わなかったじゃないですか!」
アキ「あれ〜〜後で迎えに行くって言わなかったっけ?」
メグミ「聞いてません!」

聞いていないのもそのはず。
言ってないんだもん。
だってあの場で言っちゃったら連合軍が許すはずがないじゃない。
アキは悪びれずウインクして言外にそう言った。

アキトもメグミも笑顔に輝いた。
アキが自分たちを見捨てたんじゃない。
結果として救ってくれようとしていたことがわかって喜んだ。

「そ、そんなこと上が許すはずないじゃない・・・」
エリナはこめかみに手を当てて頭が痛そうにつぶやいた。
でも・・・

「いえ、エリナさんには頑張って実行してもらわないと」
「な・・・」
アキの言葉にエリナは反論しようとしたが、アキは少し怖い目をしてエリナを睨む。

アキ「だって今回の軍属になるって事態を引き起こしたのってエリナさんの差し金でしょ?」
エリナ「な・・・」
メグミ「え?」
アキト「エリナさん、それってどういう・・・」
エリナ「な、何を根拠にそんなこと言い出すのよ!」
エリナは図星なのか逆ギレしだした。
でもアキはそれを冷静に受け流す。

アキ「ナデシコが軍属になった・・・ただそれだけなら、やることは今までとさして変わらない。
 ってことは逆に言えばお金の話がなければネルガルとしては別にナデシコを軍属にするほどせっぱ詰まってはいないってこと。
 でも某会長秘書さんの上申によりナデシコを軍属にするという協議が連合軍とまとまった・・・誰かさんの狙いが大当たりって事よねぇ」
アキト「エリナさんの狙いって?」
アキ「アキト君、まだ気づかないの?」
メグミ「どういう事ですか?」
エリナ「・・・」
アキ「ほれ、いまここに私達がいる状況がそれよ」
アキト「だからどういう・・・・」
メグミ「???」
アキ「ニブイなぁ〜
 ここで質問です。軍属になってナデシコを辞めた人物が3人揃ってます。
 それぞれ辞めた理由は何ですか?」
アキト「・・・いらないって言われました」
メグミ「アキトさんに付いてきました」
エリナ「・・・」
アキ「で、三人とも仲良くエリナ女史の車に乗っていると・・・」
アキト「えっと・・・・」
メグミ「えっと・・・・」
アキ「まだわからない?」
アキは意地悪っぽくウインクする。

アキト「あ・・・実質辞めさせられたの俺だけ・・・」
メグミ「そう言えば私もアキさんも依願退職だし・・・」
アキ「ピンポン♪
 で辞めさせられて路頭に迷っているところで職があると声をかければ?」
アキト「あ・・・・」
エリナ「な、なによあなた達!
 私をそんな顔で見るんじゃないわよ!!!」

エリナの顔をみんなが睨む。
そう、エリナはアキト一人を自分の手元に引きずり込むためにナデシコを軍属にさせたのだ。そうなればアキトがナデシコを追い出されると知っていて。
そして行き場を失ったアキトはエリナの誘いにのるだろうとふんで。

アキト「でもエリナさんはそこまでして俺をどうしようと・・・
 第一なんでそんなことする必要があるんですか?」
アキ「それはこれから向かっている場所に着けばわかるわ。
 まぁ私が説明するまでもなく、エリナさんが必死にアキト君を説得し出すでしょう。
 でも私のお願い聞いてくれないと、このまま回れ右して引き返す・・・って手もあるんですけどそうなると困りますよねぇ、エリナさん?」
エリナ「うぐぅ・・・」
密かにアキは胸のリボルバーをエリナに見せびらかす。
少し怒った口調と相まってエリナにとっては心胆冷やされるほど怖かった。
自分のこれまでの行動に対する疚しさもあってエリナは自分が折れるしかないと観念するしかなかった。

エリナ「わかったわ。なるべく上に掛け合ってみるわ・・・」
アキ「ラッキー♪」
エリナ「その代わり、私のアキト君への説得は邪魔しないでね」
アキ「邪魔はしませんよ。邪魔は・・・」
エリナ「・・・」
本当かしらという疑惑の視線をアキは軽く流した。

アキト「でもよくわからないのは、エリナさんはどうしてそこまでして俺を?」
メグミ「もしかして、金にものをいわせてアキトさんを口説いて愛人にする気ね!」
エリナ「違うわよ!色恋沙汰から離れなさい!」
アキ「もうすぐわかるわよ。ほら、ネルガルの研究所に着いたようだから♪」
彼らを乗せた車はネルガルのカワサキ研究所にたどり着いた・・・。



ナデシコ・パーティー会場


ヒカル「あ、ジョーだ」
ミナト「ジョーね」
ゴート「そ、そうなのか?」
イズミ「明日の・・・」
リョーコ「そのジョーじゃねぇって!」
ウリバタケ「イズミちゃん、古いよ・・・」
イツキ「い、いけませんか?」

いけないかどうかはよくわからないけれど、
真面目で凛々しいパーソナリティーのイツキちゃんがゲキガンガーの海燕ジョーのコスプレをするというのは似合っているというべきなのか、意外というべきなのか(笑)

イツキ「この衣装、
 『俺は天空ケンでお前は海燕ジョーだ!』ってガイ隊長からもらったんですけど
 せめてガイ隊長が着たかったであろうこのコスパで私だけでも着てあげようと思いまして・・・・ううぅ・・・」
ミナト「おかしくないよ、当然だよ!」
ヒカル「ジョー×ケン・・・・いいかも(ポッ)」
イズミ「次の同人のネタ?」
ウリバタケ「イツキちゃん、俺は今猛烈に感動している〜」
ゴート「うむ、死んだ恋人の思い出を胸に・・・」
ユリカ「イツキちゃん、わかるよ。それが恋する乙女よね!」
ラピス「ヤマダ、まだ死んでないって・・・」
ルリ「っていうか、ゲキガンのコスプレを見て泣けるなんてナデシコならではですね・・・ヒック」
ジュン「ルリちゃん・・・お酒飲んじゃダメじゃない・・・」

と、こちらはこちらでまだパーティーが盛り上がっているようで(汗)
まぁイツキちゃんがさっそくナデシコメンバーになじんでるようでこれはこれでめでたいのかもしれないけど・・・



ネルガル研究所・会議室


さてさて気分転換のギャグもそこそこですが、戻ってこちらは相変わらずのシリアス。
研究所に着いたアキト一行は会議室に案内されていた。
そこにはこの研究所の研究員が席を連ねていた。

神妙な面もちで対面に座るアキト達
まぁ一人アキだけはゆるゆるであるが(笑)

で、さっそく研究員達が話し始める。
研究主任「君達は木星蜥蜴達がボソンジャンプという技術を使って地球に無人兵器を無尽蔵に送っているという事は知っているわね?」
メグミ「ボソンジャンプって?」
アキト「ほらチューリップから木星蜥蜴が出て来るって奴」
エリナ「あなた達ナデシコも一度それで火星から月に戻って来れたでしょ?」
メグミ「ああ、あれをボソンジャンプっていうんですか」
研究主任「そうだ。連合軍もこの研究を行っているが、我々ネルガルも独自にボソンジャンプの研究を行っている」
メグミ「また軍に隠れて悪巧みですか?」
エリナ「失礼ねぇ。私達はそれこそ火星会戦以前からこの研究を行っているのよ」
アキト「え?」
エリナ「アキト君、あなたのお父さんだってそのために火星に入植したんじゃない」
アキト「そ、そうだったんですか!?」
エリナの言葉に驚くアキトであるが、研究員達は『話がずれている』とイヤな顔をした。

アキト「でも・・・その研究をしていることと俺がここに案内されたことと何の関係が・・・」
イネス「つまり、この人達はアキト君が生体ボソンジャンプの鍵になると考えているからよ」
メグミ「イネスさん!?」
アキトとメグミがその声に振り返ると、そこにはイネス・フレサンジュの姿があった。

アキト「イネスさん、何でここに?」
エリナ「私達の研究に興味を持っていただいてね♪」
イネス「まぁ軍人になるつもりもないし、おもしろそうだったから」
アキ「やぁ、イネスさん、おひさ〜〜」
イネス「あら、アキ君もここにいたのね。あなたも実験体?」
アキ「うんにゃ、交渉と監視とボティーガード♪」
イネス「ボディーガードって・・・アキト君の?」
アキ「それは秘密です♪」
エリナ「で、もうそろそろ本題に入っていいかしら?」
と、ひとしきりの邂逅が終わったのを確認すると、早速続きを急かし始めるエリナ。

研究主任「今のところチューリップを通れるのは無機物だけであり、生体は通れない。
 それは木星蜥蜴も我々人類も同じだ。
 通ればどうなるか、君達ならクロッカスの例をあげるまでもなく知っているだろう」

アキトはその言葉に頷かざるをえなかった。
彼は実際その目で生体跳躍したクロッカスがどうなっているかこの目で見ていたのだ。

研究主任「でもなぜナデシコだけが生きた乗員を乗せたままチューリップを使って火星から月にジャンプすることが出来たのか?
 クロッカスとナデシコに何の違いがあったのか?
 なぜ誰も出来なかった生体ボソンジャンプをナデシコだけが出来たのか?」
イネス「つまりネルガルさん達は生体ボソンジャンプを実現させたいってことね?
 現在我々はチューリップにより無人兵器を一方的に送り込まれている状況である。
 もし生体によるボソンジャンプが出来ればこちらから攻め込むことも可能となる。
 なにより我々には木星蜥蜴達のように高度な無人兵器の技術がない。」
研究主任「いや、奴らも生体をボソンジャンプさせることに成功していない。
 奴らが成功させる前に我々が生体ボソンジャンプの技術を完成させなければいけないんだ。」
アキト「だからそのことと俺と何の関係が・・・」
エリナ「つまり、私達はその鍵を握るのがあなたやイネスさんだと考えている訳よ」
アキト「え?それって・・・」
エリナ「これを見て」

エリナはアキトの目の前にコミュニケを開く。
そこには監視カメラが映した映像が流されていた。
場所はアキトの部屋。
気を失っているアキトが床に寝ていた。

だが・・・

次の瞬間その場から消え去っていた。

そして場面が変わる。

今度はナデシコの展望室
既にユリカやイネス、それにアキが寝転がっているところにアキトが現れた。
しかもほんの一瞬で
さっきまでいなかったはずなのに・・・

アキト「・・・合成?」
エリナ「違う」
アキト「上手い編集だなぁ〜」
エリナ「ち・が・う!」
アキト「マジっすか?」
エリナ「マジよ」
アキト「これってまるで・・・」
研究主任「そうだ。これはボソンジャンプと呼ばれる現象そのものだ」
アキト「え?覚えないっすよ!」
イネス「思い出して。ナデシコがチューリップを通って火星から月にジャンプしたでしょ?」
メグミ「そうそう、アキトさん!あの時何で艦長達と!!!」
アキト「め、メグミちゃん!その話はまた今度〜〜」
研究主任「ゴホン!」

咳払いをする研究員達にはしゃいだアキト達は恐縮する。

アキト「なら、なんで俺なんですか!
 イネスさんやユリカだって該当者でしょう!」
エリナ「残念だけど、こんなに奇麗にジャンプする瞬間をカメラが捉えていたのはあなたしかいないの。
 それに・・・」
アキト「それに?」
エリナ「アキト君、火星出身よね?」
アキト「ええ」
エリナ「1年前まで火星にいたのよね?」
アキト「ええ」
エリナ「でもどうやってあなたは地球に来たの?
 当時の火星は木星蜥蜴の勢力下にあって、行き来することは出来なかったはず。
 なのになぜ?」
アキト「わ、わからない・・・」
次々と矢継ぎ早に質問するエリナに、アキトは残念だが答えを返せなかった。
それもそのはず、本人だって何がなんだかわかっていないのだから。

そこでエリナは切り札を出す。

エリナ「あなたはこれに見覚えがない?」
アキト「そ、それは!」

エリナの差し出した宝石箱の中身を見たアキトは驚いた。
見覚えがないなんてあり得ない!!!
この蒼い貴石!
一年前まで胸につけていたペンダントの貴石と一緒だ!

そう、これは両親の形見
ユリカが火星を去ったあの日、両親はテロに巻き込まれた。
息絶える間際、父はその貴石をアキトに渡した。
いや、今考えれば偶然すぎる。
ユリカの父、連合軍火星駐在武官ミスマル・コウイチロウが火星を去った空白の日にそれは起こったのだから。

でもそうとは知らず、アキトはその貴石をお守り代わりに身につけていた。
いつか両親の死に近づく手がかりになるものと信じて
そして・・・

アキト「いつの間にか地球の草原に倒れてて・・・
 気が付いたら胸のペンダントの貴石もなくなってた・・・
 火星でなくしたと思っていたのに・・・」
そのアキトの言葉にエリナはにっこり頷いた。

エリナ「そのときあなたは跳んだのよ!
 火星から地球に!
 その貴石の力を使って!」
アキト「この石の・・・力を!?」
エリナ「その石が何か教えてあげるからこっちに来て♪」
アキトはエリナに手を引かれて別室に向かった・・・。



研究所・CC保管庫


暗い部屋にアキト達を連れてきたエリナは説明を始める。
エリナ「さっき見たものはCCっていうの」
アキト「CC?」
エリナ「そうチューリップクリスタル」
アキト「チューリップって・・・」
エリナ「そうよ。あのチューリップはこれと同じ組成で出来ている。」

そういうとエリナはスイッチを入れる。

すると・・・・

アキト「こ、これは!?」
エリナ「CC、全部CC♪」
あたりを埋め尽くさんばかりのCCが蒼い光に照らされていた。

アキト「こ、こんなにたくさん!?」
エリナ「そう、これは全て火星極冠の鉱山で見つけたの。以降ネルガルが統括的に管理しているわ」
アキト「こんなにたくさん!?」
エリナ「私の仮説。
 CCはボソンジャンプのトリガーである。
 アキト君を見ていて確信したの♪」
アキト「え?」
エリナ「あなたは跳んだの。お父さんの形見のCCを使って。
 火星から地球へ♪」
エリナは自信たっぷりにそう言った。

アキト「そんなこと俺に言われても・・・」
エリナ「大丈夫、あなたには不思議な力があるわ♪」
アキト「・・・」
戸惑うアキト。
そりゃそうだ、一度にいろいろ言われてもアキトの中で整理できていないのだから。
でも事態は刻々と変わる。

「エリナ・ウォン!こちらに来て下さい!!!」
研究員の切迫した声に驚く一同
事態はここから流転する・・・



研究所・BJ実験ホール


エリナが実験ホールにたどり着いたとき、バリアフィールドで保持されていたチューリップが活性化しだしていた。
何かがボソンジャンプしてくる!

数秒後、まるでチューリップがいらないものを吐き出すかのように何者かがジャンプアウトしてきた。

ガシャン!

吐き出された後、床に落下したもの。
それは無惨にも圧壊した耐圧エステの姿である。

エリナ「な、なんてこと・・・・」
イネス「そう、既に生体実験は行っていたという事ね・・・」
エリナ「え?」
イネスの声に驚いてエリナが振り返ると、そこにはイネスやアキトにメグミ、それにアキが勢揃いしていた。
焦るエリナ、
その結果を見て納得した彼女たちの反応が少し怖かったからだ。

エリナ「あなた達、どうして・・・」
メグミ「退屈なんで来ちゃいました・・・」
イネス「まぁ成功にはほど遠いわね・・・」
アキ「だから止めなって言ったのに・・・」
エリナ「私だってアキト君が来るまで止めろって言ったわよ、止めろって・・・」
必死に弁解するエリナ。
だが、そんなエリナの言葉はアキトには届いていなかった。
なぜなら・・・

アキト「ずるいよ、ネルガルは!
 俺やイネスさんをモルモット代わりにするつもりだったのかよ!!!」
エリナ「う・・・」
アキトの怒りに気圧されるエリナ
でもここで屈しては計画がパーになるエリナは勇気を絞り出した。
逆ギレしたといっていいかもしれない(汗)

エリナ「いいじゃない、モルモット!」
アキト「な!」
エリナ「モルモットの方が立派よ。人の役に立つんだから!
 これが完成すればやられっぱなしの地球は木星蜥蜴に勝つことが出来るのよ!
 モルモットのどこが悪いの?
 モルモットのおかげで我々は数々の病気を克服することが出来たのよ!
 モルモットの犠牲の上に成り立つ功績をなめるんじゃないわよ
 モルモットでも人の役に立つのよ!」
アキト「・・・」
エリナ「モルモット、いいじゃない!
 どうせあんた半端なんでしょ?
 パイロットもコックもクビなんでしょ!
 せめてモルモットでも人の役に立てれば何かを成し遂げたことになるのよ!」

エリナの言うことはわかる
半端な自分は自分が一番身に染みているから。
でも・・・
でも・・・

「その結果があれかよ・・・」
アキトは呻くように言う。
失敗したときの末路が目の前に提示されていて、それでもなお実験の成功だけを夢見ることは出来ない。
そして失敗したときに彼に与えられるのは称号ではなく、ただの失敗例という烙印だけだ。
そんなことアキトにもわかっている
わかっているからこそ、失敗したときのことを考えると余計に無駄死にと思わざるを得ないのだ・・・。

でもエリナはここぞとばかりにつけ込む。
エリナ「大丈夫よ♪
 あなたならきっと成功する。
 あなたには不思議な力があるの。
 だからきっと成功する。
 そしてあなたは地球のヒーローになるのよ♪」
アキトの手を握って必死に説得するエリナ。

「俺は・・・・・」
深い沈黙の後、アキトが出した結論は逃避であった。



研究所・ポーチ


アキトは研究所を一別するとそのまま愛用の自転車を押して研究所を去った。
後に付き従うのはメグミだけ。

結局アキトはここからも逃げ出した。
モルモットにすらなれない自分をさいなみながら・・・



研究所・BJ実験ホール


残ったものの感想は様々だった。
イネス「意外ねぇ」
エリナ「何が?」
イネス「あなたなら絶対引き留めると思ったのに」
エリナ「大丈夫、説得は効いているわ」
イネス「いいの?行かせて」
エリナ「大丈夫、あいつなら戻ってくるわ。
 あいつ半端だもの。どこにも行けやしない。
 くすぶって、何かになりたくって、結局ここしかないって気づくわよ」
イネス「入れ込んでるのね♪」
エリナ「だ、誰が!!」
真っ赤になって怒るエリナ。
色恋沙汰の茶化しには弱いようだ。

だが、イネスは既に別のことに関心が移っていた。
イネス「でも意外といえば、アキ君の方がもっと意外。
 あなたなら絶対アキト君を引き留めるか、アキト君について行くと思ってたけど」
アキ「言ったでしょ?ボディーガードだって」
エリナ「はぁ?何言ってるのあんた。
 アキト君のボディーガードならアキト君について行くんじゃ・・・」
意味不明なことを言うアキに驚くエリナ。

イネス「そういえば珍しくアキト君を説得しているエリナ女史を邪魔しなかったわね。
 どうして?」
アキ「別に。いずれはシャクヤクに乗れるでしょうからその時アキト君を拾いますよ。
 そっちの方は心配していません。エリナさんが頑張ってくれるでしょうし。
 ギロリ」
エリナ「う・・・そ、それは・・・」
イネス「それよりも大事な何かがあると?」
アキ「ええ。
 ですから監視もしたし交渉もしたし、残るはボディーガードですよ♪」
エリナ「だから誰の!!」

じれるエリナにアキはお構いなしに要求する。

アキ「エリナさん、CCを1ダースばかりもらえます?」
エリナ「・・・・いきなり何を言い出すの?」
アキ「いいから」
エリナ「・・・はい」
エリナは睨まれて素直にアキへCCを渡す。
するとイネスはアキの行動に何かを察したようだ。

イネス「なるほど。そろそろ来るってことね」
アキ「ええ・・・」
エリナ「来るって何が?」
イネス「あなた達、さっき『奴らも生体ボソンジャンプは成功していない』って言ったわよね」
エリナ「・・・・ええ」
イネス「つまり、彼らが創造主じゃない。
 彼らも私達と同様、チューリップや相転移エンジンをどこからか見つけ出しただけの存在にすぎないってことよね」
エリナ「・・・何が言いたいの?」
イネス「奴らも生体ボソンジャンプを実現しようと躍起になっている。
 そこに地球側の実験機が奴らの母星に到達したとしたら・・・」
エリナ「!!!」
イネス「当然地球が生体ボソンジャンプの実験をしていることがバレるわね。
 そうなれば考えられるのは実験の妨害。」

イネスの台詞が言い終わるまでもなく、異変は起き始めた!

「チューリップ活性化!!!」
「フィールドジェネレータ破壊!!!」
「フィールド消失します!!!」
「チューリップよりディストーションフィールド増大!!!」
「ボース粒子急速に増大中です」

ドーム中央にあるチューリップに異変が起きた。
チューリップは開き、何者かがジャンプアウトしようとしていた!!!

イネス「直接機動兵器を送り込んできたわね」
エリナ「そんな!」
緊張するふたり。

でもそんな彼女たちを驚かすような出来事がすぐそばで起きた。

バンバン!!!
ガシャン!!!

窓ガラスが割れる音
イネス達が振り返ると、リボルバーを窓に向けて放ったアキの姿だ。
アキはそのまま窓に蹴りを入れて自分が通れるよう、奇麗に割った。

エリナ「アマガワ・アキ!あんた何を・・・」
アキ「あいつらを追い返す」
エリナ「追い返すって・・・」
イネス「無理よ。もうジャンプアウト寸前よ。追い返せるわけないわ。」
アキ「確かに、いくら私でも既にジャンプアウトしてきたものをどうにか出来るほどの力はないわ。でも出口に入り口を重ねることぐらいは出来るんじゃなくって?」
エリナ「え?」

エリナ達がアキの言葉を理解する前にアキはドーム中央に飛び降りる!
『ちょっとここから飛び降りたら、下まで何階分の高さがあると思っているの!』
と声をかけようとする間もなく、アキの体は宙に舞った。

でも、彼女たちの予想に反してアキは落下しなかった。
それどころか、彼女の体は宙に舞い、やがて非常識にもチューリップに吸い寄せられた。
そして器用にもチューリップの上空に浮かび上がった。
アキ「エリナさん、ちょっとだけ豆知識。
 人がCCを起動させることが出来るのはせいぜい1個分だけ。
 これ1個で人一人が飛ばせるぐらいのジャンプフィールドを作れる。
 でもたくさんのCCを同時に起動するにはどうすればいいかわかる?」

エリナが『わからないわよ』という前にアキは実践を始めた。
まず手のひらに込めた1個のCCを起動!
だがアキはそれでジャンプフィールドを形成させない。
次にアキは残りのCCを反対の手で回りにばらまく。
そして起動させたCCを握った手を素早くそれらのCCに接触させる。
CCはジャンプフィールドを作り出すエネルギー体だ。
つまりそれだけで膨大なエネルギーを発生させることが出来る。
ただ起動させるのにジャンパー以外が使用する場合はディストーションフィールドなどの莫大なエネルギーが必要というだけで。

だからまず最初にCCを励起だけさせておいてエネルギーを発生させ、そこに別のCCを次々と接触させていけば別にディストーションフィールドがなくても巨大なジャンプフィールドを生成することは可能なのだ。

「来た早々で悪いけど、回れ右してお帰りなさい!!!」
アキのかけ声でジャンプフィールドが生成される、チューリップが作り出したジャンプフィールドのちょうど真上に重ねるように!!!

チューリップから出てきた機動兵器はジャンプアウトしようとすると必然的にアキの作り出したジャンプフィールドに入らざるを得ない。
機動兵器達はやってきて早々すぐに別の場所にジャンプさせられるという寸法だ。

エリナ「す、すごい・・・」
イネス「なんて発想・・・」
二人はアキの行動に感心する。そしてアキの目論見は成功しそうだった。

だが・・・・

「それは歴史の必然に反することだ。
 止めてもらおう・・・」

どこからかその声がする。
エリナ達が後ろを振り向く前に・・・

ビュン!!!!!

アキは飛来するものを慌てて避ける!!!
その瞬間、イメージングが解けたアキのジャンプフィールドは消失した。
入り口に入り損ねた機動兵器はそのままこの場所にジャンプアウトしようとして
そして・・・・

研究所は閃光に包まれた・・・



ナデシコ・パーティー会場


「敵、カワサキ地区に出現。全員戦闘配備について下さい。
 ヒック」
ウインドウのちょっと酔っぱらい気味のルリがクルー全員に戦闘配備を告げる。
クリスマス気分は一転、緊迫した空気に変わった。



カワサキ・上空


「連合軍は既に全滅かよ・・・」
「あ、あれは何!?」
「げ、ゲキガンガー!?」
ヨコスカ港からすっ飛んできたナデシコが見たもの

それはゲキガンガーみたいな機動兵器が2体
のっしのっしとカワサキの街を破壊しながら闊歩している姿であった。

あまりの非常識な光景に一同は唖然とした・・・



研究所・BJ実験ホール


「ちょっともう、なんなのよ・・・」
幸い爆風はたいしたことはなく、軽い気絶から起きあがったエリナ。
だが、悪態を言い終わる間もなく、エリナはあたりの異様な雰囲気に気づく。

殺気・・・・

既に目を覚ましていたイネスは息を飲んで硬直していた。

血・・・
滴り落ちる血・・・
どさっと放り投げられる・・・
虚ろな瞳、生気のない瞳
恨めしそうにこちらを見ている・・・
その顔に見覚えのあるエリナ達

そう、それはネルガルの研究員
いや『研究員』だったと呼べるシロモノ
既にただの骸と成り果てたものだった。

「確かに・・・実験の妨害は別に機動兵器で暴れるだけじゃないわよねぇ・・・」
アキは沈痛な面持ちでそう呟く。
距離はそう、エリナ達の真ん前。
ちょうど『ソレ』を遮るような位置に立っている。

そこまで来て初めてエリナ達は気づいた。
ボディーガードの意味が。

「ほう、また会ったな、我が生涯の伴侶よ」
「誰が生涯の伴侶か!」
「悪いが今回は本職だ。いくらマイスイートハニーがいるとはいえ、手を抜くわけにはいかん。」
「誰がスイートハニーだ・・・」
「まぁいい。主要な奴は殺させてもらった。資料も抹消させてもらった」
「でもいいの?あなたが活動しているなんて証拠が残っても」
「かまわん。どうせ白鳥のバカ共がこの街もろとも吹き飛ばす。」
「へぇ、念の入ったことで。じゃ、さっさとお帰り遊ばせば?」
「それはダメだ。お前はここで足止めをする。
 『時の記述』に修正を加えてはならない。
 あのガキには月へ跳んでもらう」
「ふぅん・・・力づくってわけね・・・・
 出来るかしら?」
「出来るさ」

シャリーン・・・・

錫杖の音がする。
彼の回りには屍が多数。
ここの研究員の屍だ。
返り血を浴びてなお愉快そうに笑う

そう、その男の名は
狂犬北辰・・・・

エリナはアキが誰をボディーガードしているのかがようやくわかった。
自分がいかに危険な火薬庫のそばで無邪気に火遊びしているのかに気づいたのだった・・・

ってことで後編に続きます。



ポストスプリクト


今回は中編で終わってしまったので、特別に奥さん'sへのインタビューって事にさせていただきたいと思います。

Blue Fairy「今回、いきなりヘビーですね・・・」

−そりゃ、13話は重要なストーリーですからね。おちゃらけには出来ません

Snow White「でも私の出番少ない・・・」
Blue Fairy「まだいい方ですよ。私なんか酔っぱらいですから・・・」
Pink Fairy「私は酔っぱらいの介抱役・・・」
Secretary「自分たちで正体ばらしてどうするの!」
Actress「Secretaryさんはいいですよね。中編活躍しまくりですから・・・」
Secretary「そういうあんただってアキト君の隣のポジションゲットしてるくせにこれ以上文句言うかなぁ」
Actress「でもこの後振られるんですよねぇ〜TV版じゃ・・・」

−あの・・・ネタバレはよして頂きたいんですけど・・・

Blue Fairy「それよりも私達自身の活躍はあるんですか?」

−う〜ん、あるような、ないような・・・

Snow White「曖昧ですね」

−ネタバレしてどうするんですか!

Pink Fairy「でもさぁ、アイツは拉致監禁するの?」
Secretary「拉致監禁ってもう少し穏便な表現に・・・」
Actress「営利誘拐?」
Secretary「いや身代金とか要求しないし・・・っていうか目的が違う〜」
Blue Fairy「救出っていうんですよ」
Snow White「そうそう、私の出番♪」
Pink Fairy「でもアイツって本当に『適合者』?」
Secretary「らしいわよ。The Blank of 3yearsじゃそういうシナリオもあるらしいし」
Actress「でも外れてたらスプラッタになりますよね」
一同「あはははは・・・・」

−なんか一同乾いた笑いをして誤魔化しているようなので後編に続きます

ちなみに後編の内容とは全然違うので予めご了承下さい(笑)

Special Thanks!
・AKF-11 様
・kakikaki 様
・SOUYA 様