アバン


人の形、心の形
物は当てる光の方向が変われば
輝きも見え方も変わってくる
暗き闇で照らせば深く暗い姿を見せ
清らかな眩き光で照らせば素直で明るい姿を見せる

そう、誰にでも光と闇はある
人に見せるのは光の部分
そして見せたくないのは闇の部分

だから怖がってはいけない。
たとえ闇の心が際立っていたとしてもそれは心の全てではないのだから・・・

ああ、これってSecond Revengeのラストとほんのちょっぴり関係があったりしますのでそのつもりで〜



ネルガル・カワサキ研究所


外は雪が降りしきり、街はホワイトクリスマスを祝う準備に大急ぎ
まぁ、すぐ近くのヨコスカ港ではナデシコ寄港を反対する一部住人・・・反戦団体の運動家と言った方がいいのだろうが・・・のデモが繰り広げられていたりするが。

そんな世の中の喧噪とは無縁なのがこの地下の研究所。

『耐熱耐圧エステ、降下準備』
パネルの向こうではチューリップ内部へ侵入すべくテスト仕様のエステバリスがその準備にあたっていた。

その光景をエリナは醒めた目で見ていた。
なぜなら彼女はこの実験に反対したからだ。
無駄だ、危険だ、止めた方がいい
かなりぼかした言い方をしたが彼らは一笑に付した。

「大丈夫、生命保険もかけている。
 パイロットはちゃんと死の危険性も認識しているし、死亡したら家族には一生食うに困らない保険金が支給される」
『いや、そういうことを言いたいのではなくって・・・』
とエリナは心の中で突っ込んだ。

エリナも企業の論理に毒されている方だから正義感を振りかざすつもりもない。
だが命を奪うかもしれない疚しさを金で和らげようとするのは抵抗があった。

しかしである。エリナが言いたかったのはそんなことではない。
「危険ってどのぐらい?」
「あなた達の身の破滅」
「冗談?それとも何かの比喩?」
「言葉そのまま。研究所もろともカワサキ一帯が火の海ってこと」

『何をバカな!』
そう思うだろうか?
エリナもそう思った。
でも彼女は大まじめにそう言った。
「もし黙って見ていたとしたら私はあなたを許さない」
「許さないって・・・」
「あなた達があの技術を操るのはまだ無理よ。
 私かアキト君にしか使えない。
 だから止めておきなさい!」
彼女はそう言いながら私を睨んだ。

彼女の話は荒唐無稽だ。
だが彼女のそれは真実になる可能性がある。
なぜなら彼女は未来を知っているかもしれないから
第一、彼女の言うことを聞かなければ自分が彼女に殺されかねない。

だから反対をした。
もちろん、プライドの高いエリナのことである。
彼女に釘を差されたから・・・というのはシャクなので、ボソンジャンプの鍵を握っている自分をのけ者にして実験を行うことに反対した・・・って理由に心の中ですり替えたのではあるが。

耐熱耐圧エステが静かに降下していく。
「深度1000、1200、1300・・・・」

エステを視認で確認できなくなるほど降下した後、エステのマイクが拾った最後の音声は悲鳴と、そして何かがぐしゃっと潰れる音であった。

『そら見なさい』
とエリナは蔑みの目で研究者達を見つめたが、彼らは逆に実験結果から自分勝手な結論を導き出したようだ。
「これでCCがボソンジャンプの要因であるという可能性は否定されたわけだが・・・」
「それはどうでしょうか?」
エリナは異議を唱える。

「単に何かの因子が欠落していたからCCは発動しなかったとは考えられませんか?」
「何を素人が・・・」
「私にチャンスを下さい。ネルガルに損はさせませんから♪」
とびきり自信に満ちたウインクを一つ
たとえ自信がなくてもそれがチャンスを掴むための手法だとエリナは知っていた。

大丈夫
私には切り札がある

エリナはバックのスクリーンに映るテスト用エステが圧壊する様子を横目で見ながらポーカーフェイスを崩さなかった。

その隣のパネルには場違いに雪が降りしきる外の光景が映っていた・・・



ナデシコ プリンセス オブ ダークネス
第13話 「真実」なんて一つもない<前編>



ナデシコ・食堂


エリ「ねぇねぇアカツキさんのパーティーに誘われたよ♪
 どうする?」
ジュンコ「でも艦長主催のコスパもあるって」
ハルミ「迷っちゃうなぁ」
ミカコ「何着ていこうか?」
サユリ「楽しみだね」
食堂では既にクリスマス気分で浮かれまくっているホウメイガールズ達が後かたづけとパーティーの料理の仕込みをそっちのけでおしゃべりしていた。
そこに・・・

ホウメイ「あんた達!!」
一同「はい!!!」
ホウメイ「何油売ってるのさ!」
一同「済みません!!!」
ホウメイ「早く仕事済ましてしまいな。
 じゃないと・・・」
一同「じゃないと?」
ホウメイ「パーティーに繰り出せないじゃないか♪」
一同「はい♪♪♪」
彼女達の上司は話の分かる人のようだった(笑)

エリ「繰り出せパーティー♪」
ジュンコ「プレゼント持って♪」
ミカコ「うん♪」
ハルミ「シャンパン持って♪」
サユリ「恋人と素敵な一夜を♪」
ホウメイ「主は来ませり♪」
一同「ヘイ♪♪♪」

今夜は無礼講、楽しい一夜になる予感がした。

「ふんふんふん♪」
クリスマスソングが流れる艦内でユリカはポスター貼りをしていた。
それを見て足を止めたのはリョーコ達であった。

リョーコ「へぇ、そっちはコスパか」
ユリカ「ええそうなんです。リョーコさん達もぜひぜひ出て下さい♪」
ヒカル「でも私達アカツキさんのパーティーにも誘われてるんだけど」
ユリカ「え〜〜そんな〜〜」
イズミ「本の王様、ブッキング・・・なんちって(笑)」
リョーコ「それよりそっちの面子は誰なんだよ」
ユリカ「え?」
リョーコ「アキトとか・・・たいちょ・・・とか・・・」
ユリカ「声はかけてるんだけど・・・」
リョーコ「そうか・・・」
ヒカル「まぁリョーコは隊長さえいればどっちでもいいみたいだし♪」
リョーコ「ば!違うわい!!!」

と、そこにメグミが通る。ユリカは誤魔化すように彼女に声をかけた。

ユリカ「メグミさんもパーティーぜひ出て下さい」
メグミ「ごめんなさい、先約があるんです」
ユリカ「先約?」
メグミ「ヨコハマにディナー付きのホテルを予約したんです♪
 ペアで♪」
ユリカ「ペア?」
ユリカには皆まで聞かなくてもメグミが何をどうするかわかった。

リョーコ「そうだ、訓練をつけてもらおう・・・じゃオレもパス!」
ユリカ「ああ、皆さんずるい〜〜!!!」
なにやら一部の人達は抜け駆けしようと必死なわけで(笑)



ナデシコ・パーティー会場


ルリ「・・・・・」
ラピス「ルリ姉、どうしたの?」
ルリ「何でもありません」
ウリバタケ「何でもないって・・・・」

ウリバタケは思い悩むおチビちゃん二人を前にして溜息をついていた。

ルリ「甘酒、ないんですね・・・」
ウリバタケ「お酒は二十歳になってから(汗)」
ラピス「お酒って美味しいの?」
ルリ「それはわかりません。でも飲まないとやってられないときもあります」
ラピス「飲まないとやってられないって?」
ルリ「ディナー・・・予約が取れませんでした(泣)」
ラピス「ディナーならアキが作ってくれるのに・・・」
ルリ「夜景を見ながらがいいんです!」

なんかヤケ酒したい人がいるみたいだけど、君には早すぎます(笑)



ナデシコ・ブリッジ


ムチュー・・・・

えっと・・・ミナトさんとゴートさんが何をしていたのかは秘密です(笑)

ミナト「オモイカネ、ありがとう♪」
オモイカネ『どういたしまして・・・・(ポッ)』
ゴート「それはそうと・・・」
ミナト「なに?」
ゴート「開ければわかる」

ミナトは恋人気分もそこそこにゴートから受け取った紙袋を開けてみた。
中に入っていたのは・・・

ミナト「辞令・・・しかも秘書室の?」
ゴート「ああ」
ミナト「私にナデシコを降りろ・・・ってこと?」
ゴート「数時間したらナデシコは軍属になる。
 そうなればより危険な任務に就くことになる。
 そして簡単にはやめられない
 だからその前に・・・」
ミナト「へぇ・・・一足早いクリスマスプレゼントってわけね。
 職権乱用なんだぁ〜」

そういいながらミナトは恋人からのプレゼントを弄んでいた。
確かにこれからは危険になる。
でもあの毎日判子で押したような退屈な日々から逃れたくってナデシコに乗ったのだ。
だからといってまたあの退屈な日々に戻っていけるのだろうか?

ミナトの答えは既に決まっていたのかもしれない・・・



ナデシコ・アキトの部屋


ドンドンドン!
『アキトさん〜一緒に行きましょう♪』
そんな騒音に耳を塞ぎながらアキトはヘッドフォンをしてゲキガンガーのDVDを見ていた。

「まったくあいつら人の都合ってものをしらないのか・・・」
アキトは目の前にある幾つかの招待状にげんなりしていた。

たまにはゆっくり考え事ぐらいさせてくれ・・・
それがアキトの正直な気持ちだった。

何だったんだろう・・・
オモイカネの中で見た夢みたいなのは・・・
まるで目覚めたら忘れる浅き夢のような体験・・・
気づいたら何か忘れてしまっていたけれど、ひどく辛くて悲しい何かがあったはずなんだ・・・

とシリアスに思い悩んでいたいのに、立ち替わりやってくるデートのお誘い
その脳天気ぶりにアキトはウンザリしていたのだった・・・



ナデシコ・アキの自室


さてさてこちらにもいろんなお誘いがかかっていて辟易していた。
『お姉様、クリスマスイブを私と過ごして下さい♪』
「過ごして下さいって言われてもなぁ・・・」
アキは苦笑しながらも律儀に読んでいるのだから根は真面目なのだろう。
さすが元アキト(笑)

でも、今の彼女にもっと他に懸案事項がいっぱいあった。
「そういえばラピed、火星から救出した人達はどうなっている?」
『彼らはネルガルから住居を与えられて地球の職場を探しているところです』
「へぇ生活保護までしてくれるって親切だねぇ、ネルガルも」
『表向きはそのようです』
「まったく、行く当てのない人間に住む場所与えて、おまけに一箇所に集めて監視している・・・ってか。
 そりゃ大金積まれて、この寒空に放り出されることを考えればおとなしくしてるよねぇ」
『まぁ口封じにはいい手段です』
「結局歴史は何も変わらない・・・と」
アキはラピedの報告に顔をしかめる。

「で、ナデシコの連合軍編入の件は?」
『残念ながら多少の誤差はあるもののほぼ前回の歴史通り事が進んでいます』
「ふぅ〜ん。
 でエリナさんは?」
『外出届が出ています。たぶん・・・』
「カワサキに行ったか・・・結局はやったのね、実験」
アキはため息をつく。

前回のオモイカネ暴走といい、歴史が急速に元に戻り始めている。
歴史の修復機能が働いているのか?
所詮歴史をねじ曲げることは出来ないということか?

いや・・・誰かの意志を感じる。
それが何かわからないが、何かの意志によって戻っていると思っていい。
アキの本当の敵は木連よりもそいつかもしれない・・・

ともあれ、今はもうすぐ起こる惨事をどうにかしなければいけない。
「さて、どうしますかねぇ・・・」
アキはつぶやくともうすぐ艦内放送でクルー全員が呼び出されるのを待った。



ナデシコ・ポーチ


ナデシコのクルー全員は連絡艇用のポーチに集められていた。
目の前には厳めしい顔をした連合軍の軍人さん達、得意満面のムネタケ提督、そして平身低頭で謝るプロスの姿があった。
そして彼らの説明を聞いたユリカがクルー全員の意見を代弁した。

ユリカ「ナデシコが軍属に?」
連合軍高官「そうだ、2週間前、月で謎の大爆発が起こった。
 木星蜥蜴の動きも活発化しつつある。
 君達は月防衛の任を与えらえて・・・」
ユリカ「我々はネルガル所有の・・・」
プロス「まことに申し上げにくいのですが・・・」
ユリカの抗議をプロスが遮った。

プロス「先日のオモイカネ暴走事件の件もありまして、このままではみなさまにお給料どころか損害賠償を請求しなければいけない状態にありまして・・・
 もちろんこの艦を降りていただいてかまわないのですが、不愉快な監視が着くことにもなりますし・・・
 どうでしょう?ここは堪えて頂くというのは?」
プロスはハンカチで額を拭いながらクルーを説得した。

要するに。
この前の賠償をネルガルが負うつもりはサラサラない。
だからナデシコを軍に売った。
連合軍は木星蜥蜴に対抗できる兵器が少しでも欲しかったのでその免責と引き替えにナデシコを完全な軍属にすることにした・・・ということなのだ。
軍は戦闘に際して民間の資産に損害を与えても職務上仕方のない場合は免責される。もちろんナデシコは民間の戦艦なので軍がシラをきればその免責事項から除外されてしまう。

そしてトドメがムネタケのこの一言だ。
ムネタケ「今回は特別に私がみんなを軍人に取り立ててくれるように上層部に掛け合ってあげたわ。
 みんな感謝しなさい。偉い軍人さんになれるのよ♪」
ルリ「誰も頼んでませんけど・・・」
ルリのツッコミに悪びれることなく胸を反らせるムネタケ
彼にすれば当然だろう。
ナデシコには今までさんざん軍の言うとおりに行動せずに煮え湯を飲まされてきたのだ。
これからは自分の手足のように動く、これほどの痛快劇があろうか?

メグミ「アキトさんはどうするんですか?」
アキト「そうだなぁ・・・軍人を職業にするのは違う気がする」
メグミの質問に漠然と答えたアキトであるが、それを否定したのは当事者ではなかった。

ムネタケ「ああ、あんたは結構よ」
アキト「え?」
ムネタケの声に驚くアキト達

ムネタケ「あんたはお払い箱って言ったの。
 軍の戦艦になった以上、コック崩れの素人にパイロット任せるほど甘くないの」
アキト「何だって!」
ムネタケの言いように怒るアキトであるが、それを遮ったのはプロスと、そして連合軍の高官である。

プロス「提督、それはよして下さいとお願いしたじゃないですか・・・」
高官「いや、テンカワ・アキト君は過去いろいろ問題を起こしているそうじゃないか」
ムネタケ「そうそう♪」
プロス「ですから・・・」
高官「エステバリスの無断使用、勝手な作戦行動、
 君は軍人としての資質に欠ける」
アキト「じゃパイロットは誰がやるんですか!」
プロス「そうですよ、ですから、ね?」
ムネタケ「お生憎様。あんたよりよっぽど真面目で優秀な軍人を用意したから♪」

アキトとプロスの抵抗空しく、軍はあらかじめ用意万端のようだ。
彼らの後ろからその補充パイロットが現れた。
その姿を見てみんな驚いた。
知った顔だったからだ。

「イツキ・カザマ准尉です。これからはみなさんと共に戦わせていただきます!」
ぴしっとした敬礼、凛々しい面差し、奇麗に手入れされた漆黒の黒髪
エリートパイロットと評してもいい風貌の女性パイロットであった。

まぁ彼女がガイと同じく熱血の人・・・という欠点に目をつむればアキトなんか足元にも及ばないぐらいの適格者であろう。(第3話参照)

「お久しぶりです、アキトさん。
 今までお疲れさまでした。
 後は私にお任せ下さい」
嫌味なく差し出された手をアキトはつられて握手した。
彼女は本当の本気で地球を守りたいんだ。
アキトみたいな民間人が戦場に出なくても済むように。
そんな決意を滲ませた彼女の瞳を見た瞬間、パイロットとしての自分の居場所はなくなったように思えた。

「あなたの料理、是非食べてみたかったです」
「ええ、そのうち・・・」
思わずさわやかに微笑まれてアキトは微笑み返さずにはいられなかった。

そんなアキトを察してか、
メグミ「私も降ります!」
アキト「メグミちゃん、ダメだよ・・・」
メグミ「かまいません。私も軍人にはなりたくありません」
メグミはアキトに抱きつくようにそう言った。
一瞬ムカッとした女子が数名いたようであるが(笑)

「あの・・・そう言えばガイ隊長は?」
イツキは場の雰囲気を察せず質問をした。
そこで皆がはたと気づく。
彼女がガイを「とっても」慕っていたという事を
そしてガイが火星で死んでしまったということを。
でもその口振りからして彼女はそのことを知らないようだ・・・

みんなが教えようかどうしようか悩んでいるのを察したのか
「え?どうなされたんですか?」
と不安げに聞き直した。
だが誰も下を向いて答えなかった。

「火星に残ったよ」
答えたのはアキだった。
「火星に?」
「ええ、なんでも火星の木星蜥蜴を倒すんですって」
「そうですか・・・隊長らしい♪」
アキの言い訳になるほどと頷くイツキ

だが、
『待て、そこは頷く所じゃないだろう!』
と全員が心の中で突っ込んだのは言うまでもなかった。

と、ひとしきりの邂逅が終わった頃
「火星か・・・私も降りようかな・・・」
「え?」
その言葉にみんなが驚いた。
誰の声って?

驚くのも無理はない。その声の主はアマガワ・アキだったからだ。

「な、なんだと!?」
「待ちなさい、何をいきなり言い出すのよ」
「アキさん・・・」
「隊長!」
ナデシコのクルーだけでなく、連合軍の高官やムネタケまで驚いていた。
一番降りそうになかった人が降りると言い出したのだ。
特にムネタケあたりの動揺といったらなかった。

「待ちなさい、許さないわよ。あなたは・・・」
あなたは・・・の続きは言わなくてもわかっている。
アキはナデシコの価値の何割かを叩き出している貴重なパイロットだ。

地球防衛ライン突破の時の一戦
火星での木星蜥蜴に囲まれたときの一戦
その他ets.....
ナデシコがどんな状況になっても突破してきたのは彼女の力に依るところが大きい。

そんな彼女の武勇は連合軍内部でも知れ渡っている。
彼女の戦術的価値は計り知れない。
連合軍もその彼女込みでナデシコを欲しがっていたのだが・・・

アキ「許さないって言われても、ネルガルとの契約だから」
ムネタケ「契約?」
プロス「ですから、先ほども申しましたようにテンカワ・アキトさんを解雇すべきでないとご忠告したのでして・・・」
きょとんとするムネタケにプロスは子細を説明する。

アキ「ネルガルと交わした契約書の追記したところを見てもらえばわかるけど」
プロス「写しです」
ムネタケ「なになに・・・ただしテンカワ・アキト氏を理由の如何にかかわらず解雇をしようとした場合、乙は本契約を一方的に破棄することが出来る。またテンカワ・アキト氏が死亡した場合も同様とする・・・ですって!?」
アキ「そういうこと♪」

その契約文に一同目を丸くする。
誰かの去就を契約書の条件に入れるなんて、
非常識な条文であること甚だしかったからだ。

ムネタケ「非常識な!なによこの契約!!!」
プロス「ですからテンカワさんを解雇しない方がよいとご忠告したのです・・・」
ムネタケ「こんなの無効よ!」
アキ「無効も何も、この契約書にサインしたのはネルガルよ?
 私はネルガルに雇われている訳だし、まだ軍人になったわけじゃないわ」
ムネタケ「いいの?監視をつけるわよ!!」
アキ「ご自由に。でもこの前のムネちゃん反乱と同じ目にあってもいいならね♪」

ムネタケはアキの自信満々な台詞に汗を流す。
ナデシコを制圧しようとしてアキ一人に反撃を食らったのは他ならぬムネタケだ。
監視をつけたとして、それが成功するかどうかだが・・・

『まず無理だろう・・・』
それがこの場にいた全員の総意であった。

アキト「やめて下さい!」
アキ「なにが?」
アキを引き留めたのはアキトであった。

アキト「俺のせいで辞めちゃうなんて・・・」
アキ「自惚れるんじゃない!」
アキト「え?」
アキ「誰が誰のために辞めるって?」
アキト「だって・・・」
アキ「いつか言ったでしょ。私は私の目的のために火星に行きたいって。
 軍属になったらナデシコも火星には行きそうにないし
 別の手段考えるわ」
アキト「そ、そうなんですか・・・」
アキに諭されてシュンとするアキト。

ユリカ「アキさん、いっちゃうんですか〜〜」
アキ「ゴメンね」
ユリカの縋るような目をアキは無情にも振り払った。

リョーコ「隊長・・・」
アキ「そんな顔しない。頑張ってね、隊長代理♪」
リョーコ「・・・・はい」
うなだれるリョーコの肩をアキはポンポンと優しく叩いた。

ラピス「私、アキと一緒に行く!」
ルリ「ラピス、私達はネルガルの所有物だから自分の意志でどこかに行ったりは出来ないんですよ」
ラピス「でも・・・」
アキ「こら、ルリちゃん。
 自分のこと、誰かの所有物なんて言っちゃダメでしょ?」
ルリ「でも真実です。私達を身請けしようと思ったら会社が一つ買えるほどの金額が必要なんですから」
アキ「遊女じゃないんだから、そんな風に考えたらダメ!いいわね?」
ルリ「ええ・・・わかりました。」
アキ「いい子♪
 んじゃラピスちゃんもルリちゃんの言うこと聞いて待ってるのよ?」
ラピス「いい子にしてたら迎えに来てくれる?」
アキ「もちろん♪」
アキはこれまでにないぐらい二人の頭をぐりぐり撫でた。

そして・・・

「それじゃ♪」
たったそれだけを言ってアキは名残惜しげもなくナデシコを立ち去った。
後に残された一同は呆然とその場に取り残されるのであった・・・



ナデシコ・通路


さてさて艦を去る者は結局わずか3名だけであった。
まぁそれも無理からぬ事である。

主義主張だけを貫いて生きていけるほど社会は生やさしくない。
それ以前に主義主張を持って生きている人間がどれほどいるのか?と問われれば怪しいものだ。
それに昨日までと今日からで仕事の内容が変わるわけではない。
緑の地球を木星蜥蜴から守る。
それは何ら変わってない。
ただほんのちょっぴり窮屈になるだけだ。

おおかたのクルーの認識はその程度でしかない。
たとえば煙草は会議室もダメで喫煙ルームでしか吸えなくなったとか
ドリンクなどは自分の机ではなくリフレッシュルームでしか飲めなくなったとか
今まで大目に見られていたことが出来なくなるだけ

おおかたのクルーにとってはそれだけの認識でしかなかったのだ。
ナデシコが民間の戦艦から軍属になるということは。

そのために職を辞することが出来たものはわずか3人
当初のナデシコの目標通りもう一度火星に行きたかった者
もうナデシコには必要ないと言われた者
そしてその男性に女性として着いていこうとした者
その3人だけであった

それ以外のものは昨日からの今日の延長を望む者たちであった。
だが、正直諦めきれない者もいた。

ユリカ「アキト行かないで!」
アキト「うるさいなぁ。俺はこの艦にはいらないって言われたんだぞ!」
ユリカ「心配いらないから。私がもう一度提督達にアキトの必要性を説得するから。
 ね?」
アキト「そうじゃない!軍人になるってことは、どんな命令も拒否できないんだぞ?
 たとえそれが火星の人達を見捨てろって命令でも!」
ユリカ「そんなことないよ・・・」
アキト「ムネタケがそんなこと言わないって断言できるか?」
ユリカ「それは・・・思いっきり断言できないけど・・・」
アキト「そらみろ!」
ユリカ「でもでもアキトは愛する私を置いていくの!?」
アキト「愛してなんかい・・・・」

『いないよ』と言おうとしたアキトであるが、その言葉を察したユリカの顔が見る見る惨めに歪む。そこに追い打ちをかけるがごとく・・・

メグミ「アキトさ〜ん。お待たせしました♪」
大きな手荷物を持ったメグミが駆け寄ってきた。
奇麗なドレスに可愛い帽子
今日のクリスマスディナーの為に用意した服装であるが、図らずもナデシコを去る服装になった。見る者が見ればまるで新婚旅行に行く新婦のように見えたであろう。
そしてそう見えるかのようにメグミは振る舞った。

駆け寄るとまるで恋人のように、自分の所有物かのようにアキトの腕を組んだ。
そして目で合図をした。
『結局ユリカさんは恋人よりも仕事を選ぶんですね。
 私は仕事よりもアキトさんを選ぶんですから』
恋愛において全てを投げ捨てることが出来た者と出来なかった者の優劣を思い知らせるかの様に侮蔑の表情をユリカに投げつけた。

メグミ「行きましょう、アキトさん!
 私はアキトさんとどこまでも一緒に行きますから」
アキト「あ、ああ・・・」
ユリカ「アキト・・・私は・・・」
言いよどむユリカを後目にアキト達はナデシコを降りていった。

アキトにもわかっている。
ユリカが艦をほったらかしにして自分に着いてきたらそれこそ軽蔑していたであろう。
ユリカはお気楽だったとしてもこの艦の艦長だ。
艦長はクルーに命令できる権限を与えられている代わりにクルーの命を背負う責任を負っている。

その責任を負うべき艦を見捨てて男の元に走るのはラブロマンスとしては美しいかもしれないが、現実としてはそんな人間に命を預けてくれるほど周りは優しくない。

女性である前に、ユリカは人間である。
それも大勢の人間の命と生活を預かる人間である。
お気楽艦長でもその自覚が彼女をナデシコに留まらせたのだ。

アキトもそれはわかっている。
でもナデシコに居場所がなくなった以上、アキトはユリカの思いを知っていてもナデシコを降りるしか仕方がなかった・・・。



ナデシコ・食堂


ミカコ「お姉さま・・・」
エリ「ちょっとがっかり。アキさんはとっとと私達を見捨てて逃げちゃうし」
ジュンコ「そんな言い方ないでしょ!」
エリ「でもみんなそう思ってるんでしょ?」
ジュンコ「そ、それは・・・・」
ホウメイガールズ達はそれぞれ思いの外ショックを引きずっていて言い争い寸前になっていた。

そりゃ、今まで食堂で働いていた二人が辞めてしまったのである。
しかもアキに至ってはやけにあっさりと辞めてしまった。
ちょっぴり裏切られた気分である。

みんなが主義主張を持っているわけじゃない。
この職場を愛している者もいる
愛着のあるこの職場を離れがたい者もいる。
それが単に軍属になろうとやることが変わらないのであればなおさらだ。

その彼女達にとってこの職場に対する愛着もなしに迷わず辞めていける者がいたら、やはり裏切られたと感じるかもしれない。

サユリ「そんなことよりパーティーに繰り出しましょ♪」
ハルミ「そうそう、どんなおめかししようかな♪」
努めて明るくして忘れようとする者たちもいた。
考えがまとまらない内は何も考えずに遊んだ方がいい。
彼女達はそうしようとした。

そんな彼女達をホウメイは複雑な気持ちで見つめていた。
手のひらにある連合軍の襟章。
彼女達は何のためらいもなくそれをつけたが、ホウメイは素直につけるつもりにはなれなかった。
もちろん、昨日のナデシコと今日からのナデシコでやることにどれほどの差があるかと聞かれるとほとんどないと答えるだろう。

でもテンカワ・アキト一人許容できないナデシコ食堂を私はやりたかったのだろうか?

その想いがホウメイに自問自答をさせていた。



ナデシコ・パーティー会場


たった3人がいなくなっただけだ。
だからパーティーはつつがなく行われた。
でもどことなしに意気消沈しているのは気のせいではない。
軍属になってしまったとか、アキやアキトらが下船したとかショックなことが色々重なった事は否めない。

でもパーティーが始まればそれなりに盛り上がる。
空元気も元気
なるべくみんな楽しもうと努力する。
『明日からどうなるんだろう?』という不安を閉じこめて。
だって、パーティーだから。
ここで楽しまなければいつ楽しむというのだ?
これが終わったら否が応でも重苦しい雰囲気に向き合わなければいけないというのに・・・

ミカコ「アカツキさんのパーティーと合同になって良かったです〜」
アカツキ「まぁみんなで楽しまないとね♪」
結局はパーティーは分断せず、予算たっぷりのコスプレパーティーになったようである(笑)

で、それぞれ皆さんのコスプレはというと・・・

ルリ「やってられるかってんだ、ちくしょうめぇ〜〜」
ラピス「せんぱい、のみすぎですよ」
ルリ「なに台詞棒読みしてるんだよぉ〜〜」
ラピス「ルリ姉・・・マジで酔ってる?」

そこはまるでドラマに出て来るみたいな屋台のおでん屋のセット
ルリは頭にネクタイハチマキをしたサラリーマン風の酔っぱらい
ラピスはその酔っぱらいの面倒を見る後輩サラリーマンのコスプレらしい。
(ってそれってコスプレか?)
ついでにおでん屋のコスプレをしたウリバタケがやれやれってな顔をして苦笑した。

ウリバタケ「普通はコーラで酔えんぞ?
 っていうか、ルリルリってそういう台詞を言うキャラじゃないだろう・・・」
ルリ「私のCVを担当されている南央美さんが最近は関西弁の元気な女の子キャラをされているので少しマネをしてみました」
ウリバタケ「マネって・・・」
訳の分からない演技をしてふてくされているルリをウリバタケは冷汗で見ていた。

お酒を飲んでくだを巻く・・・そういう設定で無言・・・いや愚痴をこぼすから無言じゃないか・・・の抗議をしているようであった。

ウリバタケ「ルリルリも珍しく荒れてるねぇ。」
ラピス「アキトに置いて行かれたからね」
ルリ「ギロリ!」
ウリバタケ「くわばらくわばら。
 っと、ラピラピは平気なのか、アキちゃんに置いて行かれて?」
ラピス「大丈夫。アキはいい子にしていたら迎えに来てくれるって言ってた」
ウリバタケ「でもなぁ・・・」
ラピス「火星の時も帰ってきてくれた。だから待つ」
子供の根拠のない自信・・・と切り捨てていいのだろうか?
少女の期待を少し信じてみたい気もするウリバタケであった。

キョンシーとお岩さんのコスプレをしたヒカル達がブルース・リーのコスプレをしている物憂げなリョーコに話しかけた。

ヒカル「どうしたの?隊長」
イズミ「隊長になったにしては浮かない顔だねぇ」
リョーコ「俺は隊長じゃねえよ」
ヒカル「え?アキさんから隊長を直々に譲られたんじゃ・・・」
否定したリョーコに驚くヒカル達。
でもリョーコはこう切り返した。

リョーコ「俺は隊長代理だよ。」
イズミ「代理?」
リョーコ「そう。隊長だってそう言ってた。」
ヒカル「代理っていっても・・・」
ヒカル達の戸惑いもわかる。
隊長代理はあくまでも隊長の代理だ。
その隊長がいなくなったんだから代理は代理ではなくなる。
でもリョーコは・・・

リョーコ「隊長は帰ってくるよ」
ヒカル「帰ってくるって?」
イズミ「希望は持たない方が・・・」
リョーコ「帰ってこない人間がわざわざ代理を頼むなんて言うかよ!」
ヒカル「まぁ・・・そう言われれば・・・」
リョーコ「帰ってくるさ。それまではあくまでも代理だよ」
リョーコはやけに確信めいた顔でそう言った・・・

壁の花になっていたのはミナトとゴートであった。
花といっても、片っ方はサンタクロース、もう片っ方はトナカイであった。
まぁゴートのサンタクロースってのも恰幅からすれば似合っていたのかもしれないが、残念、逆でした(笑)

ミナトは懐から封筒を取り出すとゴートの目の前でビリビリと破り始めた。
ゴートにはそれが何かわかっていた。
さっきゴートがミナトに渡したネルガルの辞令である。

ゴート「ミナト・・・」
ミナト「私、ナデシコを降りないわよ」
ゴート「しかし・・・」
ミナト「今までだって危険だったでしょ。私はもうあの停滞した日々に戻りたくないから。
 それに・・・」
ゴート「それに?」
ミナトはちょっぴりウインクして答える。

ミナト「私もおチビちゃん達と一緒に待ってみようかな?って思うの」
ゴート「待つって・・・誰をだ?」
ミナト「決まってるでしょ、アキさんよ♪」
ゴート「だがしかし・・・」

『ナデシコは火星に行かない。だからここにアマガワ・アキが戻ってくることもない』
そうゴートは言おうとした。
でもミナトは彼の唇に手を当ててその続きを遮る。
そしてにっこり笑ってこう言った。

ミナト「あの人なら逆転満塁ホームランを決めてくれそうじゃない?
 ルリルリやラピラピを迎えに来るって言った以上、なにか考えてるわよ。
 あの人は他人からどういう風に見えていてもそういうことをする人よ♪」
ミナトも信じている。
ルリやラピスに接した時の彼女の優しさは決してウソではないと思うから・・・

ゴート「ミナト・・・」
ミナト「なに?」
ゴート「実はお前、アマガワの料理が食べたいだけだからじゃないのか?」
ミナト「そ、そんなことないわよ!」
ゴート「でも最近おも・・・」
ミナト「うるわいわねぇ!ほっといてよ!!!」
そんな痴話喧嘩が壁際で花咲いていたりした(笑)

そしてエステバリスにコスプレした落ち込むユリカをナチュラルライチのコスプレをしたジュンが慰めていた。

・・・・ジュンくん、なにゆえナチュラルライチ?
ジュン「衣装がこれしかなかったんです!!!
 それよりも・・・」
モノローグにツッコミを入れ終わった後、ジュンは改めてユリカを慰めにかかる。

ジュン「ユリカ、あんな男の事は気にするなよ」
ユリカ「でもでもこの寒空だし、路頭に迷っていたとしたら・・・」
ジュン「メグミちゃんだっているんだし、なにも無一文じゃないんだ。
 なんとかやっていけるよ」
ユリカ「そう、メグちゃんと一緒なんだよね・・・」
ジュン「え?」
ユリカ「そうよね、メグちゃんと一緒なのよ」
ジュン「そりゃそうだけど・・・」
なにやらユリカの様子が怪しくなってきたのでヤバイと思うジュンであるが・・・
少し遅すぎたようだ。

ユリカ「そうよね。このままアキトとメグちゃんを二人っきりにしてちゃダメなんだわ!!!」
ジュン「あの・・・ユリカ?」
ユリカ「やっぱりここはアキトがナデシコに必要なんだって上の人達にわからせないと!
 そのためには・・・コックの腕もパイロットの腕もすばらしいって思い知らさないと!!!」
ジュン「あの・・・だから・・・」
ユリカ「お料理・・・そうナデシコお料理コンテストを開いてアキトに見事優勝してもらうの!そうすれば提督達もアキトのお料理にメロメロよ。
 そうなったら構成よねぇ。
 やっぱり最後は鉄人と勝負よ!
 相手はホウメイさん?アキさん?
 いやいや最後は意表を突いて恋人である私と勝負っていうのが美しいわよね♪」
ジュン「いやそれはまずいと思うよ・・・」
ユリカ「ジュン君はアキトの料理がまずいっていうの!?」
ジュン「いや、テンカワの料理がまずいってわけじゃなくって、どちらかというとユリカの・・・」
ユリカ「アキトの料理が美味しいのかまずいのかどっち?
 はっきり言って!!!」
ジュン「そりゃどちらかといえば美味しい・・・」
ユリカ「んじゃ成功間違いなしね♪
 提督達に相談してくる〜〜♪」
ジュン「ゆ、ユリカ〜〜」
自分の思いつきを実現させるためにパーティー会場を飛び出していったユリカを泣いて見送るジュンであった。
君には『恋人を失って失意にくれる幼なじみを慰める主人公』って役回りは永遠に来ないんだよ(笑)



ヨコスカ・繁華街


その頃、アキトとメグミは繁華街をトボトボ歩いていた。
まぁ駆け落ち直後の恋人達なんて目的は皆無なのだから、こうやってさまよい歩くのは当然なのだが。

メグミ「アキトさん、これからどうします?」
アキト「まぁどこかの料理店で働かせてもらおうかと思ってるけど」
メグミ「アキトさんはやっぱりコックさんなんですね♪」
メグミはにっこり笑う。
やっぱり戦っているよりそれがアキトらしいと思うから。

「でもなぁ、これがあるし・・・」
アキトは溜息をついて右拳のタトゥを眺める。
IFSの紋章、パイロットである証・・・

メグミ「アキトさん・・・」
アキト「パイロット崩れの料理人って特に嫌われるんだよ。
 それに・・・」

『それに・・・』の後をアキトは続けない。
パイロットになりきれなかった自分
ナデシコを守ろうと頑張ってパイロットをやった自分
それをちゃんと果たせぬまま放り出された自分に『今度は頑張ってコックになりま〜す♪』と軽々しく言えるだろうか?
もちろんナデシコに乗ってコックを辞めたつもりもないのだが・・・
燻りつつけた半身を見捨てたまま、自分はコックに専念できるのだろうか?

「アキトさん・・・」
「プップー!!!」
アキトにそう声をかけようとしたメグミの声を後ろから車のクラクションが遮る。

「なんですか〜もう・・・」
「あら、ご挨拶ねぇ」
「え?その声は・・・」
メグミ達がその声に気づいて振り返る。

驚くのも無理はない。
声の主はエリナ・キンジョウ・ウォンだったからだ。

エリナ「路頭に迷ってるってかんじね。就職口を世話してあげようか?」
エリナは悪びれずそう言う。
訳知り顔でにやにや笑っているのが意地悪い。

メグミ「いくらオープンカーでも社用車はキマってないですよ・・・」
エリナ「ほっときなさい!」
アキト「それよりエリナさん・・・」
エリナ「なに?」
アキト「どうして隣の座席にその人が座ってるんですか?」
エリナ「なぜって・・・監視らしいわ」
アキトの疑問にエリナはこめかみに手を当てながら答えた。

「心外ねぇ。交渉するため・・・って言ってくれる?」
エリナの隣でウインクをかましたのはアキト達ですら想像していなかった人物・・・

「おひさ〜〜3時間ぶり〜〜♪」
「あ、アキさん・・・」
そこにいた人物、それはアマガワ・アキその人であった(笑)

ってことで中編に続きます。



ポストスプリクト


取り敢えず前編ですので前回と同様にポストスプリクトは女アキトことアマガワ・アキさんへのインタビューという形式に変えさせていただきます。

アキ「いきなり中編に続くんですか・・・・」

−本当はもっと先に進むはずだったんですけど、オーバーしちゃいました。テヘ♪

アキ「てへ・・・じゃないでしょうけど・・・どうするの、この後」

−どうもしませんよ。ほぼTV版のように進みます

アキ「進むって・・・私がエリナさんと一緒のオープンカーに乗ってて?」

−そこはそれ、色々萌える展開を・・・

アキ「萌える?」

−もとい、燃える展開を!

アキ「マジ?」

−マジです。

アキ「本当に?」

−別にイヤならエリナさんとかイネスさんとのラブロマンスを・・・

アキ「だから何でそうなる!!!!(木連式柔炸裂!!)」

−・・・・・・というわけで中編をどうぞ。

ちなみに中編、後編の内容とは全然違うので予めご了承下さい(笑)

Special Thanks!
・MASA 様
・AKF-11 様
・三平 様
・kakikaki 様