アバン


楽勝だと思ったのが運の尽き
ナデシコは落っこちるわ、空からは攻められないわで、
結局危険な地上からの進軍でナナフシを倒すことに

でも友情やら信じることやらを考えさせられたとしてもそう簡単に行かないのが人間の心だったりします。
アキトさん無茶しなければいいのですが・・・

それはともかく、アキさんの保険って一体なんですか?

ああ、これってSecond Revengeのラストとほんのちょっぴり関係があったりしますのでそのつもりで〜



クルスク・川辺


旧世界の遺物、戦車の大軍に襲われてからしばらくの後、
そこには累々と破壊された戦車の群が横たわっていた。
その多くはアキトの砲戦フレームからの砲弾によるものだった。

アキト「はぁはぁ・・・」
イネス『どう、気が済んだ?テンカワ君
 悪い知らせよ』
ようやく落ち着いたアキトに冷水を浴びせるようなウインドウ越しのイネスの説明が始まった。



ナデシコ・ブリッジ


イネス『どうも計算が甘かったみたい。ナナフシがマイクロブラックホールの充填を開始したわ。この先、いつ発射されるか見当がつかない。』
ユリカ「どうして・・・」
イネス『さぁ、大出力で打ち出すより、小さくても連射するつもりかもしれない。
 でも確実に言えることがあるわ』
ユリカ「なんですか?」
イネス『次の発射でこの一帯は間違いなく地上から消え去る』
エリナ「消え去るって・・・」
イネス『この前のナデシコを打ち抜いた砲撃は幸い大気圏を抜けて宇宙で蒸発したから被害は最小限に抑えられたけど、今度は大気中で炸裂するわ』
メグミ「なぜです?」
イネス『だって、ナデシコがここにあるから。』
ユリカ「じゃ、アキさんが言ってたのってやっぱり・・・」
イネス『彼女はこうなることがわかっていたのね』
みんなはなぜアキがあんな作戦を申し出たのか理由がわかった気がした。



クルスク・川辺


イネスの悪い知らせを聞いて興奮が後ろめたさに変わった後、アカツキはそんなアキトに追い打ちをかけるかのように冷水を浴びせる。

アカツキ「それにしても派手にやったねぇ」
アキト「・・・」
アカツキ「よく倒した・・・って言ってやりたいけど、残念だが僕達のすべき仕事じゃない。かえって事態を悪化させたと考えていいねぇ」
アキト「なんだと!」
アカツキ「不要な戦闘における補充バッテリーの消耗と破損。
 これでテンカワ君の砲戦フレームはナナフシまでたどり着けなくなってしまった。」
アキト「え?」
アカツキ「だが、ナナフシ攻略の切り札たる砲戦フレームはナナフシの元へ向かうことが必須となっている。となると誰かのバッテリーをわけてもらうしかない。
 もちろん、同じ砲戦の僕からじゃない」
アキト「それって・・・」

アキトは三人娘のエステを見る。
そう、アカツキは彼女達陸戦フレームのエステからバッテリーを引っこ抜くと言っているのだ。それは彼女達の誰かに丸裸になれと言っているのだ。

アカツキ「もっとも、これだけ派手に戦闘を行ったんだ。敵さんも道中応戦してくるだろう。そう考えると『誰か』のとは言わず、『みんな』のバッテリーを全て貰って行かざるを得ないだろうねぇ」
アキト「そ、そんな・・・」
アカツキの指示に愕然とするアキト。
彼女達をここで無防備に放り出せと言っているに等しい。

アキト「ダメだ!そんなことをしたら・・・」
アカツキ「だが、そんなことをしなかったら僕らはナナフシにたどり着けない。結果マイクロブラックホール砲がナデシコを襲い、辺り一帯は蒸発・・・」
アキト「ぐぅ・・・」
アカツキ「友情や仲間もいいけど、それはやるべき事をやれた人間だけが口にしていい台詞だ。そして僕たちの任務はナナフシを倒すこと。
 確かにみんな一緒にナナフシに行くことはナナフシの破壊の可能性を高めるが、絶対条件じゃない。
 学校のクラブ活動じゃないんだ。我々は結果を出す事を求められているし、そうしなければ味方に相応の被害が出る。
 友情は作戦を上手くやるための一つの手段にすぎない。
 だが、手段を守るために目的を捨てていいわけがない。
 そりゃ本末転倒っていうもんだよ。
 違うかい?」
アキト「その通りだよ・・・」

アキトはようやくわかった。
なぜ仲間と言ってげらげらと笑われたのか。
だが、感傷に浸る暇はなかった。
彼にはまだするべき事が残っていた。



同刻・某ミサイルサイロ


サリナ「終わった?」
アキ「今終わったわ♪」
サリナ「しかしあんた・・・手加減なしねぇ」
アキ「そう?」
表でアキセカンドのセッティングを終えたサリナが施設内に入ってくると、アキがにこやかに出迎えた。
サリナはその惨状を見て溜息をつく。

そこには屈強そうだった施設の衛兵達が累々と横たわっていた。
全て急所を付かれて悶絶している。これだけの警備兵がいればまず侵入は困難と思われるのだが、この女性はまるで準備運動でもしていたかのようにケロッとしていた。

アキ「これでも手加減したのよ」
サリナ「手加減でこれ?」
アキ「数日すれば復隊出来るわ」
サリナ「それって本気でやったらまず再起不能になるって言ってない?」
アキ「気のせい気のせい♪」
サリナ「それでこいつら作戦指示書はちゃんと受理したの?
 いきなり軍法会議なんてゴメンよ。
 ・・・私は一応民間人だけど」
アキ「絶対見たくないって頑ななだったけど、懇切丁寧に説明して説得したから♪」
サリナ「それって目の玉にこすりつけんばかりに押しつけた・・・って言わない?」
アキ「気のせい気のせい♪」
どこまで本気なのか、アキの真意を測りかねてちょっぴり敵に回すのを止めようと思うサリナであった。

ともかく、招かれざる客ではあるが、アキ達は施設内部を進む。

サリナ「本当にやるの?」
アキ「もちろん♪あくまでも保険ですけどね」
サリナ「いくらセクショナリズムの権化が無用の長物とわかって改良を続けたからといってもペイロード重量はそんなに増えてないのよ?」
アキ「大丈夫ですよ。誰かさんの設計がいいからエステバリスは十分に軽いし」
サリナ「そりゃ、私のおかげだけど(テレ)
 いや、そうじゃなくって、もっと制動の良いミサイルなんていっぱいあるでしょう。
 なんでまたこのまま博物館に収められても不思議じゃない旧式のミサイルにするかねぇ」
アキ「だって、現在の用兵じゃ機動兵器を乗せて飛ばせそうなミサイルなんてないでしょ?」
サリナ「いや、ぶつかるしか能のないものに乗りたがるパイロットもいないけどねぇ」
アキ「ここにいます♪」
サリナ「それにしても・・・」

サリナは終点に辿り着き、『それ』を見上げる。

旧世界の遺物
一時は世界を震撼させた。
地球を何回破壊できるかわからないほど製造され、核の抑止力というものを作り上げた。
その抑止力が本当に有効であったかは議論を置いておくとして、抑止力は結局抑止力のままに終わり、使われることはなかった。
まぁ一度は誤報により本当に発射されかけたこともあり、世間から非難囂々の嵐を受けたがこうして生き残っているのは不思議である。
使われない兵器で廃棄されたものもあったが、これはそれまでの兵器開発費の巨大さと、威力という名の虚構、なにより官僚化したセクショナリズムにより営々と2世紀にも渡って改良されながら生き続けた。

誰もが使うことすら忘れた兵器・・・
それをアキは本来の使い方とは違う方法で役立てようというのだ。

サリナ「でもなんで『ICBM』なの?」
アキ「戦車だって出て来るんですからこれもありでしょう♪」
なによりもお約束に忠実なアキに呆れるサリナであった。



ナデシコ プリンセス オブ ダークネス
第11話 気が向けば「お約束」<後編>



ナデシコ・ブリッジ


メグミ「アキさんから入電です。
 『我、目標物の接収に成功セリ』・・・だそうです」
ユリカ「わかりました」
メグミの報告に頷くユリカ。

ミナト「でもいいんですか?アキさんにそんなことさせて」
ユリカ「まぁ詰め腹は提督が背負ってくれますから類は及ばないでしょう」
ミナト「そうじゃなくって〜」
ユリカの言葉にミナトは心配げな声を上げる。
ミナトはアキが何をしようとしているか知っているだけにユリカほど安穏とする事は出来なかった。

そしてそれはブリッジ全員の心情を代弁していた。



クルスク・川辺


「行ってらっしゃい♪
 早く迎えに来てね〜♪」
ヒラヒラ手を振るヒカルを振り返りもせず、二機の砲戦フレームは街道を沿って北上していった。

ヒカル「でも私達のエステちゃんが動かないっていうのもなんか心許ないよねぇ」
イズミ「ひゅ〜〜どろどろどろ。おばんでやんす〜」
ヒカル「だから、お化けじゃなくって蜥蜴が出たんだってば〜(笑)」
リョーコ「言うなよ。気にしないようにしてるんだから!」

いま全てのバッテリーと弾薬をアキト達に手渡して、リョーコ達のエステバリスは『電気なければ箱』状態である。
敵に攻められたら一発でアウトである。
そんな中で平常心でいる方が難しい。

だが、言霊というものはあるものだ。

キラリ!

イズミ「・・・出たみたい、おばけ」
ヒカル「え?なに?」
リョーコ「ち、まだ残っていやがったか!」

そう、林の向こうにはアキトが撃ち漏らしたのか、一台の戦車が現れてきた。
エステが動きさえすればなんて事はない敵だ。
でも今の彼女達にとってその頼れる鎧は張り子のトラだ。

彼女たちの身にヒタヒタと危機が迫っていた・・・



同刻・某ミサイルサイロ


サリナ「ほら、そこ!早く燃料を抜く!
 抜きすぎるんじゃないわよ!
 そっちは核弾頭は外すの!
 んな重いもん、邪魔よ。
 ノロノロしない!それでもあんたらここのエンジニアか!!!」
さっそくアキ達は現地の人間を顎でこき使いながら発射準備に取りかかっていた。
しかし作業の手を止めてサリナはふと質問をする。

サリナ「あのさぁ、本当に取っ手をつけるだけでいいの?」
アキ「いいですよ。
 頑張ってしがみつきますから♪」
サリナ「いや、そういう意味じゃなくって・・・
 いくらペイロードが小さいっていっても中に入れば空気整流がだいぶマシよ。
 んな外にへばりついていたら空気整流が乱れまくってミサイルの機動計算が恐ろしく難しくなるわよ」
アキ「大丈夫。うちのオペレータは優秀だから♪」
ラピス「よろしく」

アキの台詞にラピスはブイサインをする。

ラピスは持ち込んだハンディーターミナルを軽々と操作している。
ただしそのターミナルの先にはいくつもの中継器が並んでいた。

アキ「なに?この間にいっぱいあるのって」
サリナ「インターフェイスのインターフェイスよ。大体IFSと200年前の大昔のコンピューターでいきなりインターフェイス出来るわけないでしょ?
 変換器に変換器を繋げてようやく連結できたわ。
 ラボの物置から大急ぎで引っ張ってきたけどよくも動いたって感心しているところよ。」
アキ「ひぇぇ〜」
サリナ「しかしここのコンピュータって第何世代?
 まだシリコン系のプロセッサーを使っている時代じゃないのよ。
 んな200年前の制御コンピュータがよく保っているわねぇ」
アキ「まぁここを守るものにとってはそれが自分たちの利権の源泉ですから、必死にメンテをするでしょう。
 もっとも、木星蜥蜴との戦闘で地球連合に修練されつつあるから存在意義を失いもうすぐ破棄決定になるでしょうけど」
サリナ「それ以前にあんたが現存するミサイルを使い切ってジ・エンドだろうけど(苦笑)」
アキ「あはは♪」

あはは・・・じゃないだろうとサリナなどは思うのだが、アキはそんなものは意に介さないようだ。

サリナを軽くあしらおうと、アキは頑張ってなにやら計算しているラピスの様子を伺った。
アキ「どう、ラピスちゃん。なんかいろいろゴチャゴチャとつながって大変そうだけど・・・」
ラピス「うん、ちょっと考え込んでる時間は長いけど、素直でいい子達だよ。
 ちょっと直してくれって言うからちょっとデバッグしてあげた」
アキ「で、デバッグ?」
ラピス「うん、簡単に管理者権限乗っ取られてご主人様以外の人からの命令を受け付けるようにされちゃうからって」
アキ「・・・よく200年間無事に済んだなぁ」
アキはラピスの報告に冷や汗をかく(苦笑)

アキ「で、制御は出来そう?」
ラピス「任せといて。制御アルゴリズムを書き換えて精度1m以内にしてみせる!」
アキ「期待してるわよ♪」
ラピス「うん♪」

彼女達はにっこり笑うと大急ぎで保険の準備を始めた。



クルスク・川辺


バンバンバン!!
じりじり迫り来る戦車相手にリョーコ達は拳銃一本で応戦していたが、対して効果はないようだ。

リョーコ「ち!効きゃしない!」
イズミ「リョーコ、無駄弾撃ちすぎ」
リョーコ「わぁってるよ。でも戦車の装甲相手に拳銃一丁でどうしろって言うんだ?」
ウリバタケ『だから、エステに吸着地雷があるだろう!』
ヒカル「いまやってる〜〜」

ウリバタケが必死にあれこれ指示しているが、大半は戦車のうんちくだ。
今の彼女達にそんなことを悠長に聞いている暇はなかった。
ヒカルがエステによじ登り、吸着地雷が格納されている辺りに辿り着こうと必死だった。
そしてそれが終わるまでヒカルが攻撃されないようにリョーコ達が敵を引きつけていたのだが、敵はそんなことお構いなしに近づいてくる。

リョーコ「ヒカル、地雷まだか?」
ヒカル「もうちょっと・・・っとっと、取れたよ♪
 ほい、リョーコ!」
ヒカルはエステに足だけでへばりついて地雷を取ったためにバランスを崩して落っこちそうになったが、器用にも地雷をリョーコに放り投げた。

リョーコ「ヒカル、早くエステから離れろ!
 戦車がそっちに行ったぞ!」
ヒカル「ひぇぇぇぇ」
ヒカルがエステを飛び降りた瞬間、戦車はヒカルのエステに突っ込んで横倒しにした。

ヒカル「あ〜ん、私のエステちゃんに傷が〜〜」
リョーコ「心配すんな、敵をとってやる」
ウリバタケ『だから、ハルを狙えばいいんだ。ハルっていうのは戦車の土手っ腹のことで、そこの装甲が一番薄いんだ。だから対戦車地雷なんかのほうが実は有効だったりするんだが・・・』
リョーコ「わかったよ、腹を狙えばいいんだな!」
そう叫ぶとリョーコはエステの上に乗り上げた戦車の下部に素早く滑り込み吸着地雷をセットした。

ボン!

地雷の爆発と共に戦車は動きを停止する!

戦車が停止したのと同時にリョーコとイズミは素早く戦車に乗り込む

バンバンバン!
中で戦車を制御していた蜥蜴を見事打ち抜いた。

イズミ「姪は中学生、めいちゅう・・・」
リョーコ「キメるシーンで言うギャグがそれかよ・・・」
銃を撃ったイズミはそのギャグさえなければまるでスパイ映画のヒロインみたいに決まっていたのだが、くだらないダジャレが全てをぶち壊していた。
こんな事ならハッチを開ける側にまわるんじゃなかったと後悔するリョーコであった。



クルスク・街道


二台の砲戦フレームはナナフシの元に続く街道をローラーダッシュで駆け抜けていた。
リョーコ達のエステから引っこ抜いたバッテリーのおかげでなんとかぎりぎり保つ計算だ。

アカツキ「このまま何事もなくたどり着ければいいが・・・」
アキト「・・・」
アカツキ「なんだい、まだうじうじしてるのかい?」
アキト「そんなんじゃ・・・」
全然うじうじしているアキトに溜息をつくアカツキ。

アカツキ「彼女達もプロさ。心配しなくても大丈夫」
アキト「でも戦車とかに襲われたら・・・」
アカツキ「・・・それで心配しすぎてまた失敗かい?
 で、失敗した理由を今度はリョーコ君達のせいにするんだ。」
アキト「ち、ちが・・・」
アカツキ「言い訳の理由にされるなんて、リョーコ君達にとっちゃ侮辱だろうねぇ。」
アキト「そうじゃない・・・そうじゃ」

アキトはアカツキのいちいちもっともな指摘を聞かされる度に落ち込む。
アカツキは人をいじめて楽しむサディストでもなかったが、どうにもうじうじ悩むアキトがイライラして仕方なかった。
もう少しいじめてやろうか・・・とも思ったが異常に気づいてすぐに思考を切り替えた。

アカツキ「もっと言ってやりたいことはあるんだが、そうも行かなくなったようだ」
アキト「え?」

ぐうぉぉぉぉぉ!!!

林の中から戦車が現れた!!!
通常の戦車の数倍の大きさで、どことなく木星蜥蜴に似ている!

アキト「なに!?」
アカツキ「やれやれ、すんなり行かしてくれないか・・・」

それを見たアカツキはやけにさばさばした様子でエステを反転させた。

アキト「おい、アカツキ。何を・・・」
アカツキ「もちろんここに残って戦車を食い止めるのさ。
 テンカワ君はそのままナナフシへGo!」
アキト「バカ!俺がのこ・・・」
アカツキ「リーダーは僕。
 で、君はリーダーの指示に従うのがお仕事」
アキト「でも・・・」
アカツキ「君みたいな勘違い野郎に味方を守って戦死なんて名誉を与えてやんない。
 任務を果たすか、ナデシコのクルー全員爆死かの重荷を最後まで背負って貰う。」
アキト「・・・」
アカツキ「で、ナナフシを破壊するまでさっき僕が言ったことをよく考えるんだ。
 それが君への宿題だ」
アキト「・・・わかった」

アキトは振り返らずにナナフシへと突っ走った。

「やれやれ、世話の焼ける奴・・・ってひとごとじゃないけど」
アカツキは溜息をつくと目の前に迫ってくる戦車の効率的な倒し方を考えていた。

アカツキはなにもアキトに意地悪をしたくて先に行かせたのではない。
彼にはこの戦車を倒してとって返してナナフシにたどり着く意志があった。
だが、アキトにはそれが出来るだろうか?
良心の呵責に苛まれ、注意力は散漫になり、そして自己犠牲の精神を発揮して敵戦車と相打ちをも辞さないかもしれない。
でもそれでは切り札たる砲戦フレームを失う。
その判断がアカツキを残させたのだ。

「さぁ、とっとと戦車を倒してテンカワ君の所に向かいますか!!」
彼は敵の砲弾をかわしながら素早く懐に潜り込もうとする。
だが・・・
バシュゥゥ!!!

足を撃ち抜かれて膝を折るアカツキ機であったが、彼はそのまま戦車の体当たりを受け止めてハルに銃口を押しつけることに成功した。
「戦車はここを叩けってか!!!」
バンバンバン!!!

敵の戦車は2、3回痙攣したかのように震えるとそのままアカツキの砲戦フレームにのし掛かるように倒れ込んだ・・・



ナデシコ・ブリッジ


事態が刻々と悪くなる中、当然この男は錯乱寸前に慌てだした。
ムネタケ「どうするよの、あんた!
 ナナフシを壊せなかったらこの一帯消滅しちゃうのよ〜
 軍のお偉方にどう言い訳したらいいのよ!!!」
ユリカ「提督、お静かに。」

うろたえるムネタケをユリカは有無を言わせぬ自信に満ちた瞳で押さえつけた。

ミナト「信じてるから?」
ユリカ「そうです。」
ユリカは揺るぎない眼差しで答える。

ユリカ「アキトが、それにアキさんがやってくれます。」
メグミ「そうです。アキトさんがやってくれます」
ルリ「ええ、やってくれます」
それは彼女たちの根拠のない思いこみ・・・と切り捨ててよいのだろうか?

いや違う。
それは仲間を信じるということ
出撃前、アキトが同じ言葉を用いながら、結局払拭できなかったもの
そしてそれがどのような意味を持つのか、彼女たちは無意識ながら知っているからかもしれない・・・。



同刻・某ミサイルサイロ


サリナ「最終セーフティー解除。
 アマガワ・アキ、もうすぐ発射準備完了だけど、そっちは準備いいの?」
アキ『大丈夫。アキセカンドもすこぶる順調よ。
 ウイングシステムも異常なし。
 ちゃんと取っ手にもしがみついているわ』

ICBMは数機が地上にリフトアウトさせられ、発射を待っている。
そのうちの一つにウイングユニットとレールカノンを装着したアキセカンドがさながら煙突に上るがごとくしがみついていた。

ラピス「アキ、大丈夫?」
アキ『大丈夫♪ラピスちゃんのナビゲートも信用しているし』
ラピス「うん、頑張る♪」
サリナ「でもさぁ・・・」
アキ『なに?』
サリナ「あんたがそっちに乗り込んだら、ここの筋肉脳みそバカたちが・・・」

そう、さっきこてんぱんにやられた軍人さん達が強敵アキがエステに乗り込んだことにより、か弱い自分たちを排除しようと動かないかと心配していたのだ。

だが・・・
アキ「大丈夫♪ちゃんと強面を用意しておいたから♪」
アキはにっこりウインクしていた。

扉の向こうではライフルやら警棒を持った兵士達がその場にサリナとラピスしか残っていない制御ルームに突入しようと息を堪えてタイミングを見計らっていた。
だが・・・・

『よし、突入開・・・』
『どこに突入するって?』
『え?』

ドスン!ドスン!ドスン!

ゴート「遅れて済まん」
サリナ「ゴート・ホーリー・・・あなた」
ラピス「ゴート、遅い!」
ゴート「アマガワに比べれば役不足かもしれないが、ナイトの代わりだ。
 我慢してくれ」
その後ろには再び再起不能にされた兵士達の姿があった。
ゴートにしてはにっこりウインクしたが、ラピスはともかくサリナにはちょっぴり不気味に思えた・・・。

ともあれ・・・・
発射準備は刻々と完了していった。

ラピス「ナデシコより状況報告。エステバリス部隊は木星蜥蜴の攻撃を受け、現状テンカワ機のみナナフシに向かっています。」
サリナ「ターゲット入力、敵木星蜥蜴ナナフシ。
 座標修正+1m
 自爆コードは『森の熊さん』
 言っておくけど、あんたが失敗しそうになったら全弾こちらで自爆させるからそのつもりで!」
アキ『それまでにカタを付けます♪』
サリナ「あと、レールカノンはナデシコの重力波ビーム圏内でないと使えない。で、リンクしてから射撃までのタイミングを考えるとまずナナフシから狙撃される。
 んで避けられたとしてもほんの数十秒でそのままナナフシに激突。
 そのあたりうまくできるの?」
アキ『出来なきゃ、こんな事志願しませんよ♪』
サリナ「・・・わかったわ。行ってらっしゃい。
 最終セーフティー解除。
 カウントダウン開始30秒前!!!」

厳かにカウントダウンが始まった。

ラピス「20・・・15・・・・10
 9
 8
 7
 6
 5
 4
 3」
アキ『アマガワ・アキ、行きます!』
サリナ「よい旅を!!」

サリナが発射のボタンを押す。

ゴゴゴゴゴ!!!!

すると炎の柱が8本も天空をめがけて飛び出した。



クルスク・ナナフシ周辺


「くそ!くそ!くそ!!!」
アキトは必死に砲戦フレームを駆ってナナフシに向かっていた。

ビービービー!

バッテリーの残量は残りわずか
ナナフシの元に・・・いや砲戦の射程ギリギリまでたどり着けるかわからなかった。

「急げ!もうちょっとなんだ!!!」
アキトは絞り出すように叫ぶ。
後悔が後から後からわき上がる。
あのとき無駄弾を使わなければ
バッテリーを守っていれば

そして自分がうまくやらなければナデシコが沈む!
ユリカが、メグミが、ルリが
大事な人たちがいなくなる

彼はそのプレッシャーに押しつぶしそうになっていた。
アキトは今までどこか甘かったのかもしれない。
自分が敵を倒さなくても誰かが倒してくれた。
リョーコが、アカツキが
そしてアキが
彼の力不足を誰かがカバーしていたのだ。
自分はそれに寄りかかっていただけなのだ。
それに気づかずになぜ「仲間」なんてものにこだわっていたのだろう?
仲間と言いながら、現実は自分の能力不足を誤魔化すためにその言葉に依存していただけなのだ。

そして最たるものがアキへの依存だ。
彼女が自分たちに一言も告げず別のオペレーションに向かったからといってなんで心配だったのだ?
自分が責任通りの仕事が出来ないとき、その失敗をフォローして貰えないから不安になっただけじゃないか!

何も話してくれないって?
自分が自立できていないのに何も話してくれるはずないじゃないか!

俺はナナフシを倒さなければいけないんだ!
アキさんに頼ることなく!!

アキトはようやく踏ん切りがついた。
そしてもうすぐ射程距離内に入る!
そうしたら引き金を引けばいい。
相手は外しようのない的だ。
大丈夫、出来る!!!

そう思った瞬間・・・

ガバ!!!

近くから一匹の木星蜥蜴が現れた。
「くそ!!」
アキトはそれでもスピードを落とさない。左手を振りかざして蜥蜴をたたき落として破壊した。だが・・・

『バッテリー急速低下、減速します』
最後の蜥蜴が余計だった。
砲戦フレームはスピードを落とし、やがて停止した。

「あと10mで射程距離内だったのに!!!」
だが、アキトは絶望しなかった。
今できることをフルスピードで考える。
折しもナナフシはすでに発射態勢に入っている。
もうすぐ発射するだろう。
だが、少しでも発射を遅らせる。そうすればアカツキが後から追いついてくるかもしれない。だからなんとしても時間を稼ぐ。
バッテリー警告の出ている今、残りのバッテリーで何が出来るのか・・・

「砲弾自動発射!!!」
アキトは照準を固定すると120インチ砲をフルオートで連射するように設定した。
そしてその状態でそれ以外の制御系の電源を切るとアキトはコックピットから抜け出し、肩のミサイルランチャーのところに急いだ。

「確か手動でミサイルランチャーが・・・」
アキトはうろ覚えの記憶を手繰りながら手動発射用のコンソールを引っ張り出してスイッチを押した。

ダダダダダダダダ!!!
ドンドンドン!!!

そうやってアキトは砲戦フレームの武装を手動で発射できるものは全て手動で発射した。
これでギリギリ全弾発射できるはずだ。
それが今アキトが出来る精一杯のことだった。

だが・・・

ナナフシのレールカノン用加速器が止まる事はなかった!!
そしてアキトのエステの動作は無情にも停止した。

アキト「なんで止まらないんだよ!!!」
アカツキ『テンカワ君、落ち着け!』
アキト「アカツキ」
アキトのウインドウには戦車に乗ったアカツキの砲戦フレームが映っていた。

リョーコ『おいテンカワ、無事か!』
ヒカル『アキト君、無事ですか〜〜』
イズミ『死んでないよね?』
アキト「みんな!」
スクリーンの中には敵の戦車を乗っ取って操縦している三人娘の健在な様子が映っていた。

アカツキ『今そっちに向かっている!
 なんとか時間を稼げ!』
アキト「ダメなんだ!俺のエステはもう動かないんだ・・・」
静まりかえるエステのコックピット。
そして無情にもアキトの目の前でナナフシの砲身はナデシコに向けて水平に照準を合わせた。

「やめてくれ!!!」
その光景に絶望するアキト。

だが、突如ナナフシは一度合わせた照準を放棄して砲身を上空に向けた。
「なに!?」
アキトは思わずその方向を見やる。

キラリ!

そう、何者かが飛来してきた・・・

「あ、あれは?」
『バカがICBMでやってくるってね!!!
 アマガワ・アキ参上♪』

そう、飛来したのは先ほど発射されたICBMに掴まってやってきたアキセカンドであった。



回想:ナデシコ・ブリッジ


ユリカ達はその光景を見て、アキが保険と呼んだ作戦の説明をしたときのことを思い出していた。

ユリカ「無茶すぎます。上空からエステで攻撃するのは危ないってさっきナデシコで証明して見せたじゃないですか」
アキ「でも、次の発射では不時着しているナデシコを襲うでしょう。
 そうなったらどうなると思う?」
ユリカ「どうなるって・・・」
アキ「小さいとはいえ相手はブラックホール。
 一帯が蒸発した後、ガンマー線やらが飛び交い、辺り一帯は死の大地になるわ。
 少なくとも上空から攻めれば大気中で炸裂する可能性はなくなる・・・」
ユリカ「それはそうですけど・・・」
アキ「それに最大の武器は最大の弱点となり得るの」
ユリカ「弱点って?」
アキ「あの手の自動兵器はほぼ条件反射的に射程範囲内に迫り来る敵機を排除するようにプログラムされている。ということは例え脅威の大きいナデシコが近くにあっても、さらに別の兵器が近づいてくればそちらの方を応戦してしまう。
 だから最悪破壊できなくても敵のマイクロブラックホールを全弾消費させてしまえば次の12時間分余裕が出来るの」
ユリカ「それなら別にエステで攻撃しなくったってICBMだけでも・・・」
アキ「核弾頭ならともかく、通常のミサイルでは撃ち抜かれて終わり。よしんば到着出来たとしてもディストーションフィールドで防がれる。唯一レールカノンならディストーションフィールド上からでも破壊が可能よ。
 ICBMにて肉薄し、至近でレールカノンをぶち込む。
 これしかないでしょう♪」

アキはしれっと笑う。
レールカノンが使える装備となるとアキセカンドしかない。
そしてそれを扱えるパイロットとなればアキしかいないではない。
アキは最悪自分一人が犠牲になればナデシコ全員の命を助けられると言っているに等しい。

ユリカ「アキさん・・・」
アキ「大丈夫、あくまでも保険だし♪」
そう言ってにっこり笑うアキの顔がユリカ達の心を捕らえて離さなかった・・・



ナナフシ上空


「さて、行くわよ♪」
『アキさん、やめて下さい!』
アキセカンドのコックピットに通信を送ってきたのはアキトであった。

「やめるって何を?」
『ナナフシに上空からつっこむなんて自殺行為です!!!』
「大丈夫よ♪見事にキメて見せるから」
『無茶です!』
「なによぅ、私がこんな事も出来ないとでも思ってるの?」
『思ってるのって・・・』
「ああ、もうすぐ向こうの射程範囲に入るから通信切るわね」
『あ、アキさん・・・』

一方的に通信を切るとアキはコンソールを軽くなぞる。
「火器管制AI『レイ』起動!」
『イエス、マスター』
「おはよう、レイ。さて、もうすぐナデシコの重力波ビーム圏内に入るわ。
 リンクお願い」
『イエス、マスター。あと30秒後を予定』
「これから派手な回避が始まるけど、レールカノンの照準は常にナナフシへセットしておいて。難しいけどお願い♪」
『お任せ下さい、マスター』

アキの指示にレールカノン管制専用AIが合成音声によって答える。

「さて、いっちょう派手に始めますか!!!」
アキの叫びと同時にナナフシからマイクロブラックホール砲が発射した!!!



ナデシコ・ブリッジ


ゴウ!!!!

「アキさん!!!」
誰かの叫び声が響く。
アキのICBMを直撃した!!!
直撃の影響でナデシコのスクリーンが乱れた。

ユリカ「メグちゃん、アキセカンドの位置を確認して」
メグミ「でも・・・」
ユリカ「大丈夫です。アキさんは健在です。」
ムネタケ「何言ってるの、ものの見事に直撃したじゃないの」
ユリカ「提督、お静かに!我々はあの人を信じて・・・そして支えないといけないんです!
 ルリちゃん、重力波ビームのコンタクト準備お願い。最大出力で可能な限り早くリンクしてあげて。」
ルリ「了解!」
ミナト「そんなこといったって・・・」
メグミ「視界回復しました・・・アキセカンド健在です!」
メグミが弾けるような声で報告する。

アキセカンドは直撃したICBMから既に別のICBMに乗り移っていた。



ナナフシ上空


通常、これだけの速度で巡航するミサイルにとりつくのはかなり難しい作業だ。
なぜならエステバリスなどの人型兵器はそんな大気中を高速に移動して整流が乱れないように出来ていない。
ましてやアキセカンドはいまレールカノン装備のために巨大なウイングユニットを装備している。少しでも気を緩めればたちまち風圧に絡め取られて空中分解しかねない。

もし、マイクロブラックホールの直撃シーンをスロー再生でみれるとしたら、そこにはアキセカンドが風圧に逆らわず、逆に風圧を利用して華麗に後ろのICBMに乗り移る様子が見えたことであろう。

「ひゃっほ〜〜〜♪」
アキはICBMをまるでサーフボードのように扱っていた。

バシュー!!!!!

ナナフシは続いて威力の低いマイクロブラックホール砲を撃ち出す!
アキは撃ち出す瞬間を見極めて別のICBMに乗り移る。
一瞬のタイミングのミスも死につながるはずだが、アキはそれを軽々とこなした。

バシュー!!!!!
ひらり
バシュー!!!!!
ひらり

そんなことを何度も繰り返す。その光景を見ていたものは異口同音に同じ感想を持った。

ユリカ『ICBMで八艘跳びですか!』
メグミ『宮本武蔵ね』
ルリ『それをいうなら九郎判官義経です』

狙われるたびにヒョイヒョイミサイルを渡り歩き、ナナフシはワンテンポずれてさっきまでアキのいたミサイルを撃ち抜く。
まるでロシアンルーレットのようなハイリスクな賭にアキは次々と勝っていった。

そして・・・

レイ『マスター、重力波ビームコンタクト開始』
アキ「照準合わせ、最終セーフティー解除」
レイ『了解』
アキト『アキさん、ダメだ!発射のタイミングを狙われている!!!』
アキトが警告する。
ナナフシはアキがレールカノンを構えて照準をとるその瞬間を狙っているのだ!!!



ナナフシ直下


アカツキ「お待たせ!
 全弾発射!!!」
遅れて到着したアカツキの砲戦フレームがナナフシに目掛けて掃射を開始する。
だがナナフシの砲撃は収まりそうにない!

アキト「アキさん、逃げて!!!」
アキ「大丈夫!!!」
アキトの叫びにかまわず、アキセカンドはICBMの上でタイマンを張る姿勢を崩さなかった!!!

ゴゥゥゥゥゥゥ!!!!

ナナフシの撃ち出したマイクロブラックホール砲がアキの乗ったICBMを撃ち抜いた・・・



ナデシコ・ブリッジ


ICBMの爆発に巻き込まれたアキセカンドを見てクルーのみんなが思わず息を飲む!

メグミ「アキさん!!」
ルリ「大丈夫、まだ識別が出てる!」
ユリカ「ほら、あそこ♪」

煙が晴れた後、スクリーンに映ったのはレールカノンを構えて照準を合わせ終わったアキセカンドの姿であった!



ナナフシ上空


「さぁこれでおしまい!!!」
アキセカンドは落下しながらも照準を崩してはいなかった。
そして確実にレールカノンのトリガーを引き絞る!

バシュゥゥゥゥ!!!!

慌てて次のブラックホールを撃とうとするが、時既に遅し
アキが放ったレールカノンのブリッドはまるでナナフシの砲身に吸い込まれるように着弾した。

・・・・・・・・

数秒後、ナナフシは痙攣したかのように震え、各所からささやかな煙を吐き出しながらその機能を停止した。



ナナフシ・直下


バキ!!!!

アカツキは無言でアキトを一発殴った。
リョーコ「おい、アカツキ!アキトはちゃんとやったじゃないか!」
アキト「いいんだ、リョーコちゃん。
 俺がヘマをやらかしてアキさんに危険な役目をやらしたのは間違いないんだから・・・」
アカツキ「君はつくづく馬鹿だねぇ・・・」
庇ってくれるリョーコを押しのけて拳を黙って受け止めようとするアキトを、アカツキはやれやれといった様相で侮蔑した。

アキト「なんだよ、どういう意味だよ!」
アカツキ「教えてやらない。」
アキト「なんだと!」
アカツキ「アキさんのところに行けばきっとわかるさ。」
アキト「???」
アカツキ「ほら、我らが隊長のお帰りだ」

そう言うとアカツキはすたすたとその場を去っていった。
それと入れ替わるかのようにアキセカンドが上空から降りてきた。

着地したアキセカンドからアキが降りてくる。
アキはアキトの姿を見つけるとにこやかに駆け寄った。
だが失敗した情けなさからか、彼女に保険を使わせてしまった不甲斐なさからか、アキトは俯いてアキの顔を見れないでいた。

アキト「アキさん・・・・」
アキ「ん?どうしたの、アキト君」
アキト「えっと・・・・その・・・」
アキの顔をまっすぐ見れないまま、役目を果たせなかった事を詫びようとするのだが、うまく言葉が出てこない。

俺のせいで・・・

その一言が出てこなかった。

だが、アキはにっこり笑って
「アキト君、よくやったわ。ご苦労さん♪」
それだけ言ってアキトの手を取り、握手した。

アキは何も咎めなかった。
ただ自分一人で不安がって
意味もなく空回りをしていて
結局いろんな理由を言い訳にしてやるべき事をやらなかった自分がなんだか情けなかった。

いや、情けなかったのはそんな事じゃなくって・・・

「アキさん、ごめんなさい・・・」
アキトはアキの胸で泣き出した。

アキトはようやく自分の馬鹿さ加減に気づいた。
アキは何も変わっていない。
ただ、やるべき事をやっただけだ。
それなのに仲間だって言っておきながら、自分一人でアキのことを疑ったり信じていなかったのがたまらなく恥ずかしかったのだ・・・

「はいはい♪」
朝日があたりを照らす中、アキはただ優しくアキトの頭を撫でるのであった。



おまけ


ヒカル「わたし次の同人誌のネタ思いついちゃった♪」
イズミ「アキ×アキト?」
アカツキ「そ、それはやめた方がいいと思うんだけど・・・」

ユリカ『(怒)』
メグミ『(怒)』
ルリ『(怒)』
遠くのラピス『(怒)』
ドサクサ紛れでエリナ『(怒)』
ドサクサ紛れでホウメイガールズ達『(怒)』

勢い盛り上がる二人に怒髪天を衝いた乙女達のウインドウが後ろに飛び交っていることをさりげなく忠告するアカツキであった(笑)



ポストスプリクト


ということで黒プリ11話をお届けしました。
久々のシリアス&アキトの成長記でほろ苦い青春ドラマのようなそんな感じのお話でしたが、どんなもんでしょうか?

うう、もう少しラストのアキの活躍はかっこいい方がいいのでしょうが、頭に描いているシーンを文書にするのは難しゅうございます(汗)
つくづくメカ戦を書く才能がないのぅ〜〜

ちなみに、アキセカンドの火器管制AIの名前はEVAから採ったのではありません。
某蒼い流星です(笑)

あとICBMの情報を下さった皆様
データという形では生かせませんでしたが、皆様のおかげでアキのICBMのサーフシーンまで悪ノリ出来ましたので、改めてお礼を申します。

ということでおもしろかったなら感想をお願いします。

では!

Special Thanks!
・アキラ 様
・たた 様
・Vi 様
・Dahlia 様