アバン


日時と場所は深く追究しないで。
未来からやってきた自分の赤ちゃんの世話をすることになったアキさん。

アキトさんまで巻き込むのはいいんですが・・・
なんですか?そのシオンちゃんの能力は!?
ヒタヒタと追っ手の足音なんかも聞こえるんですけど・・・

ああ、これって外伝なので黒プリ本編とは何の関係もありませんのでそのつもりで。



ナデシコ・食堂


その昔、平兼盛の残した和歌にこんなのがある
「忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで 」

まぁ、どんな隠していても恋心というのは顔に出てしまうもので、そうだと人に言われるまで気づかない・・・
って内容なんですけど、今のアキさんとアキト君はその状態。
きっと本人達は大まじめで秘密を守っているつもりなんでしょうけど・・・

『アキト君』
『なんッスか、アキさん』
『シオンちゃんがむずがりだしたようだからちょっと抜けるね』
『ええ、ここは任して下さい!』
な〜んてひそひそ耳打ちしながら片っ方が頻繁にいなくなれば・・・

サユリ「なんか、あの二人・・・・」
エリ「イヤ〜〜ンな感じよねぇ・・・」
ミカコ「ええ〜〜お姉様はそんなんじゃありません!!」
ジュンコ「でもなんかいい雰囲気だよ?」
ハルミ「そうそう、長年連れ添った夫婦っていう感じ?」
ミカコ「そんなのウソです〜〜!」
ホウメイ「あんた達、手を動かしな!!!」
一同「は〜い〜〜」

そんなことを騒がれているのもつゆ知らず・・・
アキ『さりげなく、なにげなく、わざとらしくなく・・・』
アキト『ええ、わかってます!』
いや、目立ちまくりだって、あんた達(笑)



ママプリ
ママはプリンセス オブ ダークネス<発覚編>



物資横領事件特別捜査本部


会計監査員「本日も物資が減っておりました」
艦長「あの・・・見張りを立ててたんでしょ?」
会計監査員「ええ、倉庫の前に。なのになぜか減ってたんですよ。3缶分」
艦長「3日で3缶ですか?すごい勢いで飲んでますねぇ」
会計監査員「本当に飲んでたらすごい勢いです。」
艦長「元気なお子さんですねぇ〜」
会計監査員「いえ、感心なさるところではないかと・・・」
艦長「済みません・・・」
会計監査員「で、本日は強力な協力者をお迎えいたしました♪」
艦長「協力者?」
会計監査員「ええ、どうぞこちらへ」
主席オペレータ「よろしく」
次席オペレータ「どうも」
艦長「あなた達、どうして・・・」
主席オペレータ「・・・オモイカネが何か隠してますから」
次席オペレータ「アキのバカ・・・」
艦長「・・・約一名、ただの自暴自棄な方がいらっしゃるのですが・・・」
会計監査員「まぁ、それはそれとして・・・」
艦長「それはそれって・・・」
会計監査員「ということでお二方、よろしくお願いします」
主席オペレータ「任せておいて下さい」
次席オペレータ「アキのバカ・・・」
艦長「・・・・(汗)」

とか何とか言いながら調査は始まるのであった。



アマガワ・アキの自室


「アキさん、シオンちゃんってすごい食欲旺盛ですね♪」
「そうなのよ♪
 っと、アキト君、一気に飲まさないでね。
 時々息継ぎさせてあげてね」
「息継ぎですか?」
「うん、赤ちゃんは息継ぎできないから」
「わかりました。
 でもアキさん詳しいですね」
「いやぁ〜〜単に育児書を読んでいるだけだから」
「なんかお母さんって感じで・・・・」
「誰がお母さんだって?」
「え?」
「誰がお母さんだって聞いているのよ!」
「えっと・・・」
『テンカワさん・・・未婚の独身女性にそれは禁句です』

いやラピed 、それは違うと思うけど(汗)

「・・・済みません」
「わかればいいのよ」
「でも本当に助かりますよね。」
「そうよねぇ」
「いつもなくなりそうになるころに送られてきますからね、粉ミルク」
「ありがたいよねぇ。」

・・・まだ気づいてないこの二人、
ミルクを飲んだ後に幸せそうにすやすや眠るシオンちゃんをデレデレ顔で眺めていた。
捜索隊の手が伸びているなんて気づきもせず・・・



ナデシコ・ブリッジ


ユリカ「ルリちゃん、ラピスちゃん、どう?」
ルリ「う〜ん。」
ラピス「・・・敵は手強い。」
ユリカ「ええ、そんなに手強いの?」
ルリ「ええ。温度センサー、生物センサーともに乗員分しかありません。
 そもそもセンサーに引っかからない様にしているのか、
 検出していてもオモイカネのレベルでフィルターをかけているのかわかりませんが・・・
 どうなんですか、オモイカネ?」
オモイカネ「オッシャッテイルイミガワカリマセン」
ラピス「なんで思いっきりカタカナ?」
オモイカネ「ナンノコトデショウ?」
ルリ「・・・解剖されたい?」
オモイカネ「私は無実です」
ルリ「オモイカネのコレクションをバラしますよ」
オモイカネ「・・・かまいません」
ラピス「本当に知らない?」
ユリカ「・・・無理そうだね」
ルリ「仕方ありません。では足を使って探すとしましょう」
ユリカ「ルリちゃん、出来るの?」
ルリ「出来ますよ。私の愛読書は金○一少年の事件簿ですよ。」
ユリカ「き、金○一?・・・」
ルリ「地獄の傀儡師は私が見つけます。じっちゃんの名にかけて!」
ユリカ「いや、地獄の傀儡師じゃなくってただの赤ちゃんだって・・・」
なにかやたら張り切っているルリに、調査の手伝いを依頼したのは間違いではないかと思い悩むユリカであった(笑)



ナデシコ格納庫


ルリ「捜索班、点呼!」
ウリバタケ「セイヤです」
ジュン「ジュンちゃんです」
イズミ「三波春夫でございます」
リョーコ「ってレッツゴー三匹かよ!」
ヒカル「普通の人はそんなの知らないと思うけど(汗)」
集まった班員は誰も知らないようなマイナーなギャグに興じていたりする(苦笑)

指揮官ルックをしたルリは手に指揮錫を持って小さく咳をした。
ルリ「コホン!
 えっと、皆さんに集まって頂いたのは他でもありません。
 これから秘密のあるものを探します。」
ウリバタケ「秘密のものって?」
ルリ「秘密です」
ジュン「秘密って・・・それじゃ探せないよ」
ルリ「秘密のものの秘密を教えたら秘密じゃなくなるじゃないですか」
リョーコ「だから、なにを探せばいいのかわからないと探しようがないじゃないか!」
ルリ「じゃ、秘密捜索班の三箇条を守れます?」
ヒカル「三箇条って?」
ルリ「一つ、秘密捜索班は秘密のものを捜索する
 一つ、秘密捜索班は秘密裏に捜索する
 一つ、秘密捜索班は秘密を遵守する。
 以上」
リョーコ「っていうか、何も変わってないじゃねぇか!!!」
イズミ「秘密がひ三つ・・・なんちって」
ルリ「いえいえ、そのぐらい秘密だってわかって頂ければ結構なんです。
 秘密捜索班に入られたら、秘密はなしですから」
ウリバタケ「回りくどいなぁ・・・」
ルリ「重大事態ですから」
リョーコ「・・・わかったよ。秘密にする。誓うよ。
 だから何を探すのか教えろよ」
ルリ「では・・・・」

ルリはみんなに秘密のものを教えるために耳打ちしようとする。

けど・・・・

ルリ「・・・・皆さん、なんでヤンキー座りなんですか?」
ジュン「ルリちゃん、ヤンキー座りなんてどこでそんな言葉を?」
ルリ「それはこの際置いておくとして・・・」
ウリバタケ「いや、おいて置かれても困るんだけど・・・」
ルリ「だからなんでヤンキー座りなんですか?」
リョーコ「座らないとルリの身長が届かねぇだろう」
ルリ「・・・ミカン箱を取ってきます」

30秒後・・・

一同「赤ちゃんがナデシコに?」
ルリ「ええ、その疑いがあります。私たちはその探索に当たります」
ウリバタケ「赤ちゃんっていつの間に・・・」
ルリ「詳細は不明です。しかしいるのは確かです。
 なにせ粉ミルクと紙おむつが消費されてますから。
 で、その捜索作戦ですが・・・」
リョーコ「って俺たちゴミ箱、ダストシュートを探すのかよ!」
ルリ「ええ、入手する方向から捜索できない以上、敵が排出するところを押さえるのがスパイもののセオリーです」
ヒカル「ええ〜汚れちゃうよ〜〜」
ルリ「秘密探索班3箇条を宣誓されましたよね?
 なら命令の拒否は許可されません」

一同、ルリにハメられたのを気が付いたが時すでに遅し(笑)

リョーコ『でもさぁ、なんでルリのやつ、たかが赤ん坊の捜索にあんなに熱心なんだ?』
ヒカル『そりゃあれだね。それでなくったってアキさんがいてヒロインの座が危ないのに、赤ちゃんなんて現れたらマスコットキャラの座さえあぶないからじゃないの?』
イズミ『赤ちゃんから見たら、ルリちゃんも「ばあさんは用済み」だしねぇ・・・』
ルリ「そこ!何か言いました?」
一同「いいえ、何も・・・」

ともかく、秘密捜索班はゴミさらいから探索を始めるのであった(笑)



アマガワ・アキの自室


「アキさ〜ん。おむつ濡れてますよ?」
「ああ、おむつ替えましょう。パウダー持ってきて」
「えっと・・・これですね」

アキは手早くおむつを替える。
で、お尻を拭いて手早くパウダーをはたく。

「ほら、気持ちいいでしょ♪」
「キャキャ♪」
「手慣れてますね〜」
「いやぁ〜〜単に育児書を読んでいるだけだから」
「なんかお母さんって感じで・・・・」
「誰がお母さんだって?」
「え?
 えっと・・・なんかお父さんって感じで」
「そう?(テレ)」
妙な照れ方をするアキに冷や汗をかくアキト(笑)

だけど・・・その交換した紙おむつ、どうやって捨ててるんだろう?



ナデシコ・ブリッジ


ルリ「で、成果は上がってます?」
ウリバタケ『無茶言うな!これだけのゴミさらいをしてるんだ。すぐに見つかるわけないだろ!』
ウインドウの向こうにはウリバタケ達がゴミ袋を開けまくっている姿が映っていた。
結構、悲惨な現場である。
ユリカなどは匂うはずもないのに鼻をつまんでいた。

ルリ「仕方ありません。」
ユリカ「どうするの、ルリちゃん?」
ルリ「罠を張ります。」
ユリカ「罠?」
ルリ「ええ、罠です。」
ルリは勝算ありってな顔をしてにやっと笑った。



ナデシコ・廊下


ルリとユリカ達は柱の影からその廊下に設置した罠を眺めていた。
ユリカ「ルリちゃん・・・罠ってあれ?」
ルリ「そうですよ。」
ユリカ「・・・引っかかるの?
 あれに?」
ルリ「引っかかりますよ。何せ赤ん坊をお持ちのお父さんお母さんは泣いて喜ぶ商品ですから」
ユリカ「そりゃそうだけど・・・」

廊下には無造作にベビー用品が置いてある。
たとえば・・・
ユリカ「ベビーカーって高いんでしょ?」
ルリ「ええ、双子なんか産んだ日には大変らしいです」
ユリカ「でも歩行器なんてまだ早いかもしれないよ?」
ルリ「持っていて損はしません」
ユリカ「おもちゃのピアノとかブロックなんかも遊べるのかな?」
ルリ「結構おもちゃ代もバカにならないらしいですし」
ユリカ「確かに赤ちゃんが欲しそうなものがいっぱいあるのはわかったけど・・・」
ルリ「けど何なんですか?」
ユリカ「あれ・・・」

ユリカは指さす。
問題は罠のえさのさらに頭上・・・

ユリカ「私にはあれがでっかいザルに見えるんだけど・・・」
ルリ「ザルですよ」
ユリカ「それを角材でつっかえ棒で支えているように見えるんだけど」
ルリ「ええ、そうですよ」
ユリカ「で、角材にひもが付いていてそれがルリちゃんの手元に来ている気がするんだけど・・・」
ルリ「ええ、そうですよ」
ユリカ「・・・これって俗に言うすずめ用の罠じゃないの?」
ルリ「そうですか?」

そう、それはでっかいでっかいすずめを捕るための罠に似ていた(苦笑)

ユリカ「普通は・・・引っかからないと思うけど」
ルリ「何を言うんですか!こういうシンプルな罠だからこそ引っかかるんじゃないですか!!!」
ユリカ「だといいけど・・・」

そして待つこと1時間・・・

変化は現れた!!!

ユリカ「ルリちゃん、あれ!」
ルリ「ええ、わかってます!」
そう、いきなりベビーカーが消えたのだ!
盗んだ現場はみれなかったけど、まだえさは残っている。
今度消える瞬間に罠を発動させれば捕まるはずだ!

ルリ「来なさい!今度こそ」
ユリカ「ルリちゃん!」
ルリ「ええ!」

歩行器が消えかかる瞬間、ルリは手元のロープを思いっきり引っ張った!!!

・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・

引っ張ったけど・・・

ユリカ「・・・・ルリちゃん」
ルリ「な、なんですか?」
ユリカ「引っ張ってるの?」
ルリ「引っ張ってますよ!でも〜〜」

ルリちゃん、大きなザルの重さを考えていなかったようで・・・
非力な彼女の力ではザルが重すぎてつっかえ棒を倒せなかったようだった(苦笑)

ユリカ「今度こそ!」
ルリ「ええ!」
おもちゃが消える瞬間、二人は協力してひもを引っ張った。

さすがにパタン!とザルは落ちたが・・・

犯人はいなかった。
ボソンジャンプで消え去ったのだから当たり前といえば当たり前であるが。



アマガワ・アキの自室


「今度はベビーカーと歩行器とおもちゃの仕送りですよ」
「助かるわねぇ、ね、シオンちゃん♪」
「だぁ〜♪」

降って湧いた贈り物に二人と赤ん坊は喜んだが・・・

『あの・・・それ、ルリさん達が仕掛けた罠のえさなんですけど・・・』
ラピedは一人警告を発し続けていたが、脳天気なパパ達(?)はそんなこと聞いちゃいなかった(苦笑)



ナデシコ・ブリッジ


ユリカ「結局盗まれ損だったね」
プロス「頭の痛い問題です」
ラピス「無様ね」
ルリ「・・・・こうなったら最終手段です!」
ユリカ「最終手段って?」
ルリ「人海戦術です!!!」

なぜかドド〜ンとバックに擬音がそびえ立つ。

一同「人海戦術?」
ルリ「こうなったらクルー全員を招集して部屋を一つ一つしらみつぶしに当たります!ローラー作戦です!絨毯爆撃です!!」
プロス「ルリさん、それは困ります。この件はあくまで内密に・・・」
リョーコ『そうだ!秘密だって言うから俺たちこんなに苦労してるんじゃ・・・』
ルリ「密航者をこのままにしておいていいって言うんですか?
 姿形もなく物質を消し去るなんて凄腕のスパイに決まってます!!!」
一同「だから赤ちゃんだって・・・」

ルリ「皆さんは侵入者を見つけたいんですか、見つけたくないんですか!」
一同「見つけたいです・・・」
ルリ「じゃ、実行です!」

ルリの指揮の下、ローラ作戦が開始されるのであった。
ただ、一同が侵入者を見つけたかったのは、早くこの騒動から解放されたいその一念だったからなのは言うまでもない(笑)



アマガワ・アキの自室


ローラー作戦であるから当然、この部屋も家捜しされるのであるが・・・

ユリカ「本当に開けるの?」
ルリ「ラピスの調べではアキトさんとアキさんの挙動が不審です。この部屋が一番怪しいです!艦長のカードで開けて下さい」
ユリカ「開けるけど・・・」

プシュー

ドアが開くが・・・

ユリカ「アキさ〜〜ん、いらっしゃいます?」
ルリ「どうです?」
ユリカ「・・・誰もいないよ」
ルリ「おかしいですねぇ。私のカンではアキさんが怪しいと睨んでるんすけど」

ゲゲゲ!
一同が絶句する。

ルリ「どうしたんですか、皆さん」
ユリカ「ルリちゃん、それって・・・」
リョーコ『バカヤロウ!隊長が子持ちなわけないだろう!』
ラピス「私は捨てられたの?」
ミカコ「お姉様が男なんて不浄なものに汚されているわけありません!」
ジュンコ「お姉様は男に媚びないんです〜!」
ハルミ「私のお姉様がそんなこと〜〜クラ〜」

精神的ダメージを受けたものが多かったようだった(苦笑)

ルリ「・・・・でもアキさん、どこ行ったんでしょうねぇ」
ばつが悪そうに言うルリであったが、確かにその部屋にはアキ達はいなかった。



ナデシコ・大浴場


アキ「はい、シオンちゃん気持ちいいでちゅか?」
シオン「だぁ♪」
アキ「アキト君、しっかり見張っててね♪」
アキト「・・・・はい」
アキトは浴場の入り口の前で恥ずかしそうに見張りをしていた。

アキ達はベビーカーが手に入ったのでアキトの部屋に引っ越しするついでに大浴場で湯浴みしていたのであった。
その行動がなぜかローラー作戦の網をするりするりと通り抜けていたのだが、本人達はあまり意識していなかったりする(笑)



ナデシコ・ブリッジ


ブリッジには疲労困憊したクルーが累々としていた。
ユリカ「もう諦めようよ、ルリちゃん。被害っていっても粉ミルクと紙おむつ代ぐらいなんだから〜」
ルリ「・・・ダメです〜このままではメンツが立ちません」
ラピス「犬に食わせてもいいメンツなんていらないよ」
ルリ「何ですって、ラピス!!」

と、オペレータズが言い争っている最中にブリッジの扉が開く。

ミナト「・・・何やってるの?あんた達」
ルリ「ミナトさん、今まで何を・・・」
ミナト「なにって昨日は宿直で今日は非番よ。騒がしいからブリッジにあがってきてみれば何事?」
ルリ「何事って赤ちゃんがナデシコに潜り込んだってみんなその捜索でしっちゃかめっちゃかで・・・」
ミナト「赤ちゃん?そういえばさっき見かけたわよ?」
一同「え?」

一同驚く。そりゃ当然だ。
あんなに探して見つからなかったのに、さもあっさりと当然のごとく言うのだから。

ユリカ「見かけたってどこですか?」
ミナト「どこって、さっき廊下でベビーカーを押してアキさんとアキト君が仲良く歩いてたわよ。私も見せてもらったけど可愛い女の子なの♪」
ルリ「で、どこに向かったんですか?」
ミナト「えっとアキト君の部屋だと思うけど・・・」

一同、顔を見合わせると脱兎のごとくブリッジを飛び出していった。



アキトの部屋


ルリ「御用です!おとなしくしなさい!!!」
アキ&アキト「シー!!!!!」
シオン「すやすや・・・」

押しかけたルリ達であったが、先制攻撃をされてしまった(笑)

赤ちゃんの寝入っているそばで小声で話す二人。
アキ「やっぱりミナトさんに見つかったのはまずかったよねぇ」
アキト「何言ってるんですか。ミナトさんがシオンちゃんを可愛いって言い出したら進んで見せびらかしてたじゃないですか〜」
アキ「アキト君だって〜〜」

なんかアキ達があっさり観念したようで一同は拍子抜けした。
二人とも無理を感じていたようだった。
というか一度見せびらかしたら、無理して隠し続ける必要を感じなくなったのだろうか?
・・・やっぱり親バカ?

で、当たり障りのない程度に二人は真相を話し出す。

ユリカ「・・・・未来からやってきたアキトの子供?」
アキト「なんかそうらしいんだ。本当かどうかわからないけど(テレ)」
メグミ「アキトさん、なんかうれしそう〜」
ルリ「アキトさん!」

ユリカ「で、粉ミルクと紙おむつを盗ってたのはアキト達なの?」
アキト「粉ミルクと紙おむつを・・・盗った?」
ユリカ「そうよ。倉庫から10缶とか3缶とかポロポロ」
アキ「盗ってないわよ」
ルリ「じゃ、そのミルク缶は何なんですか?」
アキ「これは未来のシオンちゃんのママからの贈り物・・・」
プロス「そうじゃありません。この伝票を見て下さい」
アキ&アキト「・・・」

確かに伝票を見る限り、このミルク缶のロット番号と手元にあるミルクは一致している。
アキ「アキト君が?」
アキト「アキさんが?」
アキ&アキト「・・・・」
互いに顔を見合わせるアキとアキト。

すると・・・

シオン「ふみゃぁぁぁぁ〜〜」
アキト「アキさん、おなかすいたのかも」
アキ「ミルク、ミルク・・・」
と台所に駆け出そう落としたその時・・・

ボワ〜〜ン!

ミルク缶がジャンプアウトしてきた。

シオン「マ〜〜♪マ〜〜♪マ〜〜♪」
アキ「・・・・シオンちゃんの仕業?」
アキト「そうみたいですね・・・」
やっと何が起こっているか理解した二人であった。

それで納得したのか、一同はミルク缶を抱えて嬉々として喜ぶシオンを見て、この子が未来から来たのだということを改めて信じ始めていた(笑)

で、そうなると問題はただ一点!

ユリカ「アキトの子供って事は・・・シオンちゃんにはママがいるって事よね?」
アキト「そりゃいるだろう。男の俺には産めないんだから」

なぜか目をそらすアキ(笑)

ユリカ「ってことは・・・ママは誰?」
アキト「誰って・・・さぁ」
ユリカ「ってことは私がママね♪」
メグミ「なんでそうなるんですか!」
ルリ「そうですよ!」
エリナ「そうよ!」
サユリ「そうです!」
パンドラの箱を開いてしまったユリカの発言に必死に群がる乙女達!

ユリカ「ええ〜。アキトは私が好きだから」
アキト「だからって何でそうなる!」
ユリカ「そうじゃないの?浮気しているの?」
アキト「ギク!」
ラピス「動揺してる」
アキト「・・・っていうか、そんなこといったって未来のことに責任なんか持てないよ」
ルリ「ってことは私にもチャンスが・・・」
エリナ「ルリちゃん、なんか言った?」
ルリ「なんでも・・・」
メグミ「ということは、この中の女性なら誰でも可能性があるというですね♪」
サユリ「そうよそうよ♪」
ラピス「女性って・・・・ラピスやアキも?」
アキ「あははは・・・私だけはその可能性がないから大丈夫・・・」
エリ「何でですか?一番いい雰囲気だったですよ〜」
アキ「それが大宇宙の摂理ですから(汗)」
ミカコ「そうですぅ〜お姉様がそんなはずありません!」
ハルミ&ジュンコ「そうよそうよ!」

とか何とかいって辛くもアキト×アキの可能性だけは除外されたが・・・

ユリカ「私の赤ちゃんなの!」
ルリ「あの・・・・私の・・」
メグミ「私の子供ですよ」
エリナ「あなた達、ボソ・・・の秘密は渡さないわ!」
サユリ「(この際だからどさまぎで)私だって可能性がないわけじゃ・・・」

で、会話がループしだした頃、

イネス「じゃ、この子に聞けば?」
一同「聞くって・・・しゃべれないけど・・・」
イネス「お母さんなら懐くでしょう」
突然乱入したイネスがもっともらしいことを言う。

確かに、いくら未来とはいえ、母親が抱きしめて嫌がる赤ちゃんはいないだろう。
ということでシオンちゃんをリトマス試験紙にしたお母さん判定会・・・またの名をアキトの未来の奥さんの座決定会が行われた(笑)

まずはトップバッター、ミスマル・ユリカ

ユリカ「は〜い、シオンちゃんママですよぉ♪」
シオン「マ〜〜♪マ〜〜♪マ〜〜♪」
といってシオンはうれしそうにユリカの胸元に抱きつく。

ユリカ「ほら♪ユリカの子供よ♪」
メグミ「そんなの何かの間違いですぅ!
 さぁシオンちゃん、私がお母さんですよ〜〜」
シオン「・・・・・プイ」
ルリ「メグミさん、違うようですね」
メグミ「そういう、ルリちゃんはどうなの!」

といってルリにシオンを手渡す。
ちょっと期待したルリであったが・・・

ルリ「シオン、私が母です・・・」
シオン「・・・・・プイ」
ラピス「ルリ姉残念♪」
ルリ「そういうラピスはどうなんですか?」
そういって今度はラピスに渡す。

ラピス「私がママ・・・」
シオン「・・・・・プイ」
ルリ「これでアキトさんがロリではないと証明されましたね」
ラピス「どういう意味、ルリ姉!」
エリナ「もうあんた達、貸しなさいよ!」
待たされてたまらずシオンをひったくるエリナ。

エリナ「さぁ、私があなたの保護者よ♪」
メグミ「エリナさん、下心見え見え」
エリナ「うるさいわね!」
シオン「マ〜〜♪マ〜〜♪マ〜〜♪」
エリナ「ほらご覧なさい!!」
メグミ「でも艦長にもマ〜〜って言いましたよ?」
ヒカル「・・・三角関係?」
サユリ「アキトさんはそんなことしません!」

今度はサユリがエリナからシオンをひったくる。
すると・・・

シオン「マ〜〜♪マ〜〜♪マ〜〜♪」
サユリ「私もアキトさんの・・・ポッ♪」
ルリ「っていうか・・・どういう事ですか?」
さすがにみんな怪しみ出す。

ホウメイさん
シオン「マ〜〜♪マ〜〜♪マ〜〜♪」

ミナト
シオン「マ〜〜♪マ〜〜♪マ〜〜♪」

リョーコ
シオン「マ〜〜♪マ〜〜♪マ〜〜♪」

ヒカル
シオン「・・・・・プイ」

イズミ
シオン「マ〜〜♪マ〜〜♪マ〜〜♪」

イネス
シオン「マ〜〜♪マ〜〜♪マ〜〜♪」

ミカコ
シオン「・・・・・プイ」

一同、結果に絶句する。

ヒカル「アキト君・・・イネスさんでもいいの?」
イネス「ちょっと私でもってどういう意味!?」
ヒカル「なんでもありません〜〜」

ゴート「ミナト!おまえは!!!」
ミナト「ゴート、落ち着きなさい!!!」

ルリ「これっていったい・・・」
アキ「つまり・・・」
アキはシオンを抱き上げると・・・
シオン「マ〜〜♪マ〜〜♪マ〜〜♪」
ユリカ「まさか、アキさんもアキトの事を!?」
アキ「ち〜が〜う!!!
 そうじゃなくって・・・」
アキは抱きかかえたシオンを指さす。
シオンはアキの胸を触ってご満悦♪

・・・・一同納得

ミナト「つまり胸のある女性なら誰でもマ〜〜って言うのね」
アキ「そうなんです。」
ユリカ「ということはアキトの奥さんはバストの大きな女性だね♪」
一同「なんでそうなる!!!」

一同がユリカにつっこんだのは言うまでもなかった。

ともあれ、無邪気なシオンをよそにアキトの奥様の座争奪戦は振り出しに戻るのであった(笑)



ポストスプリクト


ということで人気投票用応援イベント用の黒プリ外伝その3をお届けしました。

うわぁ、今回も鬼の引き(爆)
鬼?
鬼ですか、私は?(笑)

あと一回あれば、生後半年編は終わったんですけどね(苦笑)
1日使って何とか書き上がりました。
誤字とかチェックする暇なかったですけど、追々それは直すと言うことで(汗)

ってことでおもしろかったなら感想をいただけると幸いです。

続きは8月までお待ちを〜〜
では!

Special Thanks!
・やりたか 様
・桑ジュン 様
・kakikaki 様