アバン


日時と場所はあまり深く追究しないで。
突発的にバレンタインデーイベントの小説を書きたいなんて筆者も無謀よね

まぁヒマしてる私達にはイベントも必要かも

今日は2月13日
明日は恋する乙女の聖なる日

張り切る皆さん、意中の人にちゃんとチョコレートを渡せるのやら

ああ、これって外伝なので黒プリ本編とは何の関係もありませんのでそのつもりで。



物語の始まり


明日はうれしはずかしバレンタインデー
今年はいくつ貰えるか戦々恐々としている男性諸氏よりも
主人公は本命、義理チョコを誰にあげようか悩んでる乙女の方々だったりします。

もちろん、ナデシコなのでただで済むわけもなく・・・・

さて皆さんがバレンタインデー前夜をどう過ごしているのか見ていきましょう(笑)



ナデシコ プリンセス オブ ダークネス
外伝 第9.5話 バレンタイン狂想曲



ミスマル・ユリカの場合


「やっぱりチョコレートは手作りよね♪」
とルンルンでナデシコ食堂厨房の一角を占拠しているのは本艦艦長のミスマル・ユリカ嬢である。

「でもよぉ、キッチンハザードの異名をとる艦長に厨房を使わせるなんて、ウチの食堂も度胸があるというか、学習能力がないというか・・・」
ウリバタケがその様子を野次馬してて呟く。
「そんなことないんですよ、ほら」
注文の品を持ってきたエリが指さす。

「艦長〜〜ボールは直接火にかけちゃダメです〜〜」
「えぇ〜〜だってすぐに溶け出して便利だよ〜〜」
「そんなことしたら焦げ付いちゃって、焦げ臭くて食べられなくなります!
 ちゃんと湯煎をして・・・」
「湯煎?ああ、お湯で溶かすのね♪
 えい♪♪♪」
「あああああああ!!!
 チョコに直接お湯をかけてどうするんですかぁぁぁぁぁ!!!!」
とまぁ、ユリカの実技指導をしてるのはテラサキ・サユリ嬢だったりする。

理由はなんてことないのだが、
サユリがアキト用の手作りチョコを食堂の厨房で作っていたところ、それを見つけたユリカが、
「やっぱり、本命チョコは手作りだよね♪」
とか感動して、目をキラキラ輝かせながらサユリににじり寄ってきたのである。

その先はたぶん詳しく説明しなくてもわかっていただけると思うが、
どうしても「厨房を使わせて下さい!」と駄々をこね、
「代わりに私が作りますから、それだけは勘弁して」とサユリが訴えても
「手作りにこそ意味があるんじゃないですか!」と力説し、
ホウメイガールズ達の無言の圧力によりサユリが生け贄としてユリカの指導&監視役としてつきっきりでコーチすることになったのだ(笑)

『神様、私が何か悪いことをしましたか?
 アキトさんへの手作り本命チョコを作ることがそれほど罪深いことなのですか!?』
と心の中で滝のような涙を流すサユリであった。

「じゃぁ、隠し味にお塩を入れましょう」
「入れちゃダメ!!!!」
「なんで?甘みを引き立てるには辛いものを入れれば・・・」
「それはスイカを食べるときの話です!!!」
「じゃ唐辛子ならいいよね♪」
「それもダメです!!!」
さぁ、サユリちゃんはユリカの暴走を無事止められるでしょうか(笑)



メグミ・レイナードの場合


「ひいふうみぃ・・・・えっと全部で100個。
 まずはウリバタケさん
 『奥さんを泣かしちゃダメですよ』っと」
メグミは目の前に積まれたチョコレートの包みを前に悪戦苦闘していた。

ん?
何をしてるかって?

もちろん義理チョコ用のメッセージ書きである(笑)
彼女はマメもマメ、ほとんどのクルーに義理チョコを渡すつもりである。
普通の人なら
『メグミちゃんって恵まれない男性の女神様だな♪』
とか、
『メグミちゃんって気遣いが細かいなぁ♪』
とか思うだろう。

だが・・・

「ウリバタケさんは来月ピンチだから100円の奴で十分かな♪」
と、コンソールを叩いてチェックリストになにやら書き込んでいく。
それは今回チョコをあげるクルー全員分の表である。
名前の他にあげた「チョコの値段」や「現在の好感度」「あげた後の好感度」「ホワイトデーのお返し(推測)」、それに「お返しの有無」などなどが書かれていた。

「メグちゃんもマメねぇ」
「そんなことないですよ。みんなに夢を与えるすてきなお仕事ですよ」
ヒカルのツッコミにメグミは悪びれずにに言う。

が、そういうヒカルだって人のことは言えない。

「それよりもヒカルさん、そっち集計できました?」
「うん、メグちゃんの方が多いねぇ・・・
 あ、イズミのが欲しい物好きがいた(笑)」
「野茂が好き、のもずき・・・ククク」

ヒカルの目の前にはウインドウで開いたメールの一覧があり、件名が全て『バレンタインチョコ配達サービス(XXさん希望)』というものだったりする。
大体はメグミかヒカルだったりするがたまにイズミの名前も混じっていたりする。
それを見ながらヒカルとイズミもせっせとメッセージを書いていた。
後でリクエスト通り当日プレゼントするためである。

見返りを求める善意の義理チョコプレゼントと
プライドを維持するために女の子からの義理チョコ購入と
どちらがより健全か筆者にもよくわからなかった・・・

「そういえばメグちゃん、本命は?」
「モチ♪用意してますよ」
「へぇ、ウイスキーボンボンなんだ」
「ちょっぴり辛くて大人の味なんですよ♪」
「それでアキト君を酔わせて正体を失ったところで押し倒す・・・」
「もう、ヒカルさんったら、そんな嬉しいことする訳ないじゃないですか♪♪♪」

自称『夢と愛の配達人』達はせっせと副業に励むのであった。



ラピス・ラズリの場合


ラピスはミナトが奇麗にラッピングするものを不思議そうに見ていた。
「ふんふんふん♪」
「・・・・それなに?ミナト」
「ああこれ?
 これはバレンタイン用のチョコよ」
「チョコ?」
「そうよ」
「チョコ美味しそう。食べてもいい?」
「これはダメ♪」
物欲しそうに口に指を当てるラピスだが、ミナトはやんわり制止する。

「なんで?
 チョコは食べるもの」
「これは人にあげるからラッピングしてるのよ。
 だから食べちゃダメなのよ♪」
「・・・誰にあげるの?」
「好きな人よ♪」
「好きな人に・・・?」
「明日はそういう日なの♪」
「あげて・・・楽しいの?」
「楽しいわよ。チョコを相手にあげるという事はその人を好きって言うことと同じだから。
 ラピラピも好きな人から好きって言われたら嬉しいでしょ?」
ミナトにバレンタインデーの事を説明されてもイマイチ理解出来ないラピス

チョコに未練があったみたいだが、さすがに『好きな人にチョコをあげる』という所だけはなんとなく理解した。

「ラピラピも誰かにあげたい?」
「・・・・コク」
「じゃぁ私の一個あげるわ。
 誰にあげるの?」
「・・・アキにあげたい」
「・・・・・・まぁいいわ(汗)」
一般的にはバレンタインは女性から男性にチョコを贈るモノだが・・・まぁ女性でも敬愛の意味であげるなら別に問題なかろう。(恋愛感情があればいろんな意味でヤバいが)

「はい、これにメッセージを書いた後、この中に入れてリボンを結ぶのよ」
「・・・うん」
ラピスはメッセージカードと小さなチョコが入った小さな可愛い包み、それに可愛いリボンを手渡した。
ラピスは包みを受け取ると必死にアキへの気持ちを綴った。

『アキへ、
 いつもお風呂に入れてくれてありがとう
 もっともっといっぱい添い寝をして欲しいです。
 アキの作ってくれるご飯美味しいです。
 それからそれから・・・』
と筆を進めていくラピスであるが、ふと包みの中のチョコを見てしまった。

・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・

美味しそうである
とっても美味しそうである。
小さくって思わず手が出ちゃいそうである。

『でもこれはアキにあげるもの。
 勝手に食べてはダメ!
 でもたくさんあるし、一つぐらい減っても・・・
 ダメダメ、アキにあげるんだから・・・・』

頭の中で天使と悪魔の言い争いが続くが・・・

ヒョイ
パク

悪魔が勝った(笑)

美味しい♪
甘くてとろけるような食感が何ともいえない!




しばし後・・・・・・・・・・・


「どう?ラピラピ書き終わった?」
ミナトが自分の分をラップし終わって振り返るとそこには・・・
「ミナト〜〜グズ・・・」
口の周りをチョコレートでベタベタにしながらグシグシ泣いているラピスの姿があった。

「ふぇぇぇぇ〜〜ん
 アキにチョコあげられなくなっちゃった〜〜(泣)」
ついつい止められず、つまみ食いしすぎてとうとう包みの中のチョコを全部食べ尽くしてしまったのだ。

「よしよし、もう一個あげるから泣かないの(汗)」
そういって頭を撫でながらラピスを慰めるミナトであった。

ただし、このあと「ラピラピ、これが最後の一個だからもうつまみ食いしちゃダメだよ!」と念押しするまで同じ事が繰り返されることになるとは、さすがのミナトもこの段階では知る由もなかった(笑)



スバル・リョーコの場合


「クーーーーー」
ベットの中で熟睡中・・・

「ムニャムニャ・・・」
机の上やどこにもチョコレートらしき包みは存在しない。

「もうそんなにチョコ食えねぇって」
幸せそうに寝言を漏らすリョーコ。

今までの彼女ならチョコをあげる側にいたというよりは、チョコを貰う側にいたのかもしれない(笑)



エリナ・キンジョウ・ウォンの場合


「う〜〜ん・・・・」
エリナは机の前で真面目に悩んでいた。
目の前にあるのは二つの包み

右の包みは某超有名デパートから取り寄せた最高級品のチョコレート
左の包みは今若者に人気の洋菓子店から取り寄せたバレンタインデー向けチョコレート

なにを悩んでるかって?
どちらをあげればよいかで悩んでいるのである(笑)

「右の方は高級感あふれてて良いと思うんだけど、高級すぎて引け目を感じちゃうかしら、
 でも左の方はいかにも『告白します♪』って感じで媚びてるみたいだし、
 そうすると右の方は恩を売るって感じでなかなかいいかもしれないわね、
 でもいかにも『札束でほっぺたを張る』みたいな雰囲気で下品かもしれないし、
 そうすると左側がギリギリ拝金主義に見えない程度に特別なチョコっぽいわよねぇ、
 でもでも・・・・」
とかなんとか、エリナは一人であーでもない、こーでもないと唸っていた。

と、その時・・・

「別にどちらでもいいんじゃない?」
「ひゃ!!!!!!!」
「どうしたんだい?エリナ君」
「あ、アカツキ君!?」
そう、背後からこっそりツッコミを入れたのはアカツキ・ナガレであった。

「あんた!!!
 一体いつの間に入ってきたのよ!!!!」
「『札束でほっぺたを張る』ってあたりから♪」
「き、聞いてたのね!!!」
「聞こえるよ。あんなに大きい声でブツブツ言ってれば。」
「って、どこから入ってきたの!!!」
「ドアから」
「そんなことはわかってるわよ!!!
 鍵かけてたのにどうやって入ってきたかって言ってるのよ!!!」
「マスターキー使って♪」
悪びれずにいうアカツキ。

ちなみにアカツキがネルガル会長だっていうことはここだけの話だよ(笑)

「そんなことより、何を悩んでるんだい?エリナ君」
「どっちをあげようか・・・」
「心配入らないよ。
 僕はどっちのチョコを貰っても嬉しいから」
「あんたにあげるんじゃないわ!!!!!!」
アカツキのボケに真面目にツッこむエリナ。

だが、わかってて言うアカツキの意地悪なのはここからだった。

「んじゃ、誰にあげるんだい?
 その本命チョコ」
「え?」
「だから誰にあげるの?」
「そ、それは・・・・・」
なぜか途端に答えに窮するエリナ(笑)

「あ、アキト君よ!!!」
「ほう、またなんで?
 あんなアマアマな坊や、好みじゃないかと思ってたんだけど?」
「こ、好みじゃないわよ。
 でもアカツキ君も見たでしょ?彼がボソンジャンプの鍵を握ってるって・・・」
どもるエリナを面白がるアカツキはさらに追い打ちをかける。

「ふぅ〜〜ん。でも別にテンカワ君じゃなくったっていいんじゃない?」
「え?」
「艦長でもイネス博士でも、それに・・・
 アマガワ・アキさんでも♪」
「#$&?!@+*!!!!!」

一気にゆでだこエリナに変身(笑)

「ば、バカな事いってるんじゃないわよ!!!!」
「まぁいいんじゃない?
 余った方はテンカワ君にでもあげれば」
「違うって言ってるでしょうが!!!」
「んじゃ、僕が貰おう♪」
「誰がやるかぁぁぁぁ!!!!」

いい様に弄ばれるエリナであった(笑)



イネス・フレサンジュの場合


「う〜〜〜〜〜ん、うまくいかないわねぇ」
ぐつぐつ煮ている鍋に指を突っ込んで舐めてみるイネス。

不味い・・・

「やっぱり、この酸味がいけないのかしら?
 甘みは合うと思うんだけど・・・」
鍋の前であーでもない、こーでもないとブツブツ言っている。
端から見てるとマッド・サイエンティストの雰囲気丸出しである。

「でもここで諦めてはダメよ。
 世紀の大発明なんだから!!」
ともすれば困難な研究にくじけそうになるが、勇気を奮い起こすようにグッと手を握るイネス。

「そうよ、きっとチョコレートの分量が少なかったのよ!
 今度はチョコの量を増やしてみましょう!!!」
といい、気を取り直して新しい鍋を用意するイネス。

チョコを溶かして、それから・・・

「このミカンの分量が難しいのよね♪」
と剥いたばかりのミカンを何も考えずに入れるイネス(爆)

「う〜〜ん、やっぱり筋をとった方が良かったかしら?
 それとも薄皮をとった方が?
 でもツブツブ感も捨てがたいし・・・
 果汁で入れた方がいいのかしら?」
と真剣に悩んでるイネス。

・・・それ以前にミカン入りチョコっていうのはおいしくないと思うぞ、イネスさん?



ホシノ・ルリの場合


「オモイカネ、バレンタインデーの分析結果をお願い」
『分析結果出ました。
 バレンタインデー
 元々は聖バレンタイン司教のエピソードに由来するが、今日のようなスタイルになったのは菓子メーカーがチョコレートの販売促進を狙ったのが事の始まり。
 2月14日に女性が好意を寄せる男性にチョコレートをプレゼントをする事を指す。
 通常は好意以上の恋愛感情を表現する場合に贈り、これを一般には本命チョコと呼ぶ。
 ただし、現在は好意がなくても贈ることが多く、半ば慣習化あるいは義務化している。
 これを一般には義理チョコと呼び、特に職場では円滑な人間関係を形成するために必須となっている。
 貰えて当たり前の面があるが、貰えなければ男性にとって致命傷と言っていい精神的ダメージを受けるので注意が必要である。
 ちなみに、このお返しの行事としてホワイトデーと呼ばれるものが存在し、男性から女性にマシュマロを送るという慣習となっている。
 現在のホワイトデーはマシュマロにこだわらずキャンディーやアクセサリーなどを贈るが、たとえ義理であろうと貰ったチョコレートより高いものをお返しするのが半ば義務となっており、ケチって何も返さない場合は来年から義理チョコすら貰えなくなるという悲惨な現実に直面することになる・・・
 こんな所だけど、これでいい、ルリさん?』
「よくわかりました。」
ルリはオモイカネの説明を受けて溜息をつく。

今、ルリの頭の中では
『ガーーーーーン』
という擬音が響いていた。

まさか明日がそんな大事な日だとは知らなかった。
それでユリカあたりがはしゃいでいたのか・・・

「全く見落としでした。
 不覚です。
 ホシノ・ルリともあろうものがリサーチ不足でした。」
後悔の色をにじませていうルリ。
「そうですか・・・
 チョコレートを貰えない男性は精神的ダメージを被り、再起不能になるのですね?」
『再起不能とまでは言ってないよ・・・』
「ということはアキトさんも精神的ダメージを受ける可能性があるわけですか・・・」
『なぜ?』
ルリの発言に冷汗(?)をかきながらツッコミを入れるオモイカネ

「だってアキトさん、誰からも貰えなかったら・・・」
『いや・・・テンカワさんはたぶん一番たくさん貰えると・・・』
「・・・・・・」
『・・・・・・』
気まずい雰囲気が一瞬流れる

「そうです。アキトさんがセイヤさんみたいにモテないわけじゃないんでした」
『いや、ウリバタケさんはあれでも妻子持ち・・・』
「・・・・・・」
『・・・・・・』
また気まずい雰囲気が流れる

「ジュンさんみたいにモテないわけじゃないですし・・・」
『それは艦長を追いかけているからで、多分それがなければモテると思うけど・・・』
「・・・・・・さすが私のアキトさんです!」
『・・・・・・』
またまた気まずい雰囲気が流れる

「でも、まともなチョコは多分ないはずです」
『そんなことないと思うけど』
「何を言ってるんですか。
 ユリカさんのチョコレートを食べたら精神障害を起こしますよ」
『それは否定しないけど・・・』
「それにメグミさんなんて酔わせて押し倒すに決まってます!」
『押し倒すなんてどこでそんな言葉を・・・』
「エリナさんは札束でアキトさんの顔を叩くに決まってます!」
『ルリさん、それ考えすぎ(汗)』
「イネスさんなんてチョコレートにどんな怪しいクスリを入れているかわかりません!!!」
『イネスさんはそこまでマッドじゃないと思うけど・・・』
「私以外にまともなチョコを贈れる人はいません!」
『・・・・って、ルリさんのチョコが一番心配かも・・・・』
「・・・・・・」
『・・・・・・』
またまたまた気まずい雰囲気が流れる

「不毛な会話でした・・・」
『そこだけには激しく同意します・・・』
「会話が堂々巡りになるのでさっさと話を進めましょう。」
『でも・・・ルリさん、テンカワさんに贈るチョコを用意してないんじゃ・・・』
「大丈夫です!こんな事もあろうかと」

とルリはコンソールを滑るように叩く。
するとリストアップされたのは洋菓子店のホームページである。
「ここに載っているのは全国どこでも翌日配達可能なお店ばかりです。
 しかもメッセージカードと花束も一緒に配達してくれます。
 完璧です!」
少し自慢げに答えるルリである。
確かにそれらのページには小粋でシャレたチョコレートがいっぱい並んでいた。
それを贈ることができればみんなに一歩リード出来そうだ。

だがしかし・・・・・

『ルリさん、多分それ失敗すると思う・・・』
「何でですか?時間指定の翌日午前中配達ですよ!
 飛脚じゃないんです、ク○ネコなんですよ!
 10時頃には到着するはずです!」
『いや、そうじゃなくって・・・・
 今ナデシコは海の上・・・』
「え?」
『だから、海の上まで配達に来れないよ、宅急便屋さん・・・』
「・・・・・・・・・・・ガーーーーーン」

ルリ、チョコ通販計画失敗(笑)

「そ、そんな・・・・・・」
『・・・・取りあえず部屋の中にチョコレートはないですか?ルリさん』
落ち込むルリを必死に慰めようとするオモイカネ。

ゴソゴソ・・・・

「キノ○の山」
「ポ○キー」
「コ○ラのマーチ」
「パラ○ルチョコ」
「チ○ルチョコ」
『ルリさん・・・あまりジャンクフードばかり食べているとテンカワさんやアキさんに怒られますよ?』
「だって・・・」

まさかチ○ルチョコを包んでプレゼントをするわけにもいかず、さめざめと泣くルリであった。

ミナトさん辺りに貰いにいけばいいのに・・・・

『変に自分の恋愛感情を悟られたくないので行くに行けないんですよ』
大変だねぇ、オモイカネ
『ええ・・・・』

筆者と愚痴をこぼし合うAIであった(笑)



アマガワ・アキの場合


「うぅぅぅ〜〜・・・・・」
食堂ではバカが一人担架で運ばれていった。
「ジュン君大丈夫?」
もちろん、ジュンである(笑)
「だ、大丈夫だよ・・・ユリカ・・・」
「おまえもいい加減学習しろよ・・・」
ユリカに無理矢理笑顔を向けるジュンであるが、運ばされるウリバタケの方はウンザリしたように呟いた。

いい加減、ユリカの作った物を食べればどうなるか、考えろよジュン。

「まぁいいんじゃない?純情の為せる技ということで」
と筆者のモノローグにツッこむアキ。

一応キッチンハザードユリカが去ってくれたおかげで平穏が戻る食堂。
アキがユリカの惨状の後を片づけていると、キョロキョロと中を窺いながら食堂に入ってきた男がいた。

「・・・ユリカいませんよね?」
「いないよ、アキト君(笑)」
入ってきたのはアキトである。
ジュンと違って毒味役になるのは真っ平ご免のようである。

「まったく・・・ユリカのやつも味見ぐらいしてくれよなぁ」
「それは否定しないけど・・・」
「明日、俺って生きてるかなぁ〜〜」
「まぁまぁ(苦笑)」
カウンターに座って脱力するアキトを慰めるアキ。

憂鬱な気分にカウンターに突っ伏すアキトだが、ふとあることを思いつく。

『アキさんは誰かにチョコレートを贈るのだろうか?』
アキが男性に告白するなんて想像出来ないし、義理チョコを贈るような人にも見えない。変に男っ気がないというか、
ないというよりも孤高の獅子みたいな人だからバレンタインデーに相応しくないように思える。
貰う方なら似合いそうだが。

でも本当に誰かにチョコレートを上げたりするのだろうか?
ちょっとそういう想像をしてモヤモヤするアキトであった。

それを察したのか、はたまた単にふさぎ込んでるのを見たからなのか・・・

「そうそう、何か飲む?」
「・・・・ええ、お願いします」
アキの問いに力無く答えるアキト。よっぽど憂鬱らしい。
「アキト君、甘いのでもいい?」
「?・・・ええかまいませんけど」
と答えるのを聞くや、アキは厨房の奥に籠もってなにやらゴソゴソし出す。

不思議に思いながらしばらく待っていると
アキは湯気のでているマグカップを持ってきた。

「はい、お待たせ」
「・・・・ココアですか?」
「そう、今味の調整してるの。よかったら感想聞かせて」
「いいですよ」
アキは『お願い!』ってな感じで手を合わせる。
別に甘いものが嫌いなわけではないのでアキトは了承する。

ゴク・・・・

「おいしいですよ♪」
「本当?」
「ええ、甘ったるいこともないし」
「よかった。」
「でも食堂がわざわざなんでココアを?」
アキトは不審に思う。
普通ドリンクは自販機とかで買うので食堂のメニューに飲み物はないのだ。

「明日バレンタインデーでしょ?
 だから食堂も普段のご愛好の感謝を込めて何かサービスしようってことでミカコちゃん達から相談されてね。
 んで、希望のクルーにココアをサービスするってことになって、私が味を決めることになったの」
「へぇ〜〜」
アキトは感心する。

「アキさんが淹れたココアならクルーのみんなも喜ぶんだろうな・・・」
『男性クルーだけでなく、女性クルー(特にラピスあたり)も喜ぶだろう』とぼんやり考えていたアキトだが、アキはくすくす笑う。

「明日は私がココアを淹れる訳じゃないわよ」
「え?」
「あくまでもミカコちゃん達がクルーのみんなに贈るからって。
 だから私はただの味付け役♪」

あれ?
ということはアキさんの淹れたココアって・・・

「ひょっとしてアキさんの淹れたココアを飲むのって・・・俺だけッスか?」
「そうかもね。
 明日、誰かがわざわざ私の淹れたやつを飲みたいって言えば別だけど(笑)」
そう言いながら仕事の続きをするために厨房の奥に引っ込むアキ。

『一日早いバレンタインデー
 この一杯がひょっとしたら自分にだけ贈られたココア改めホットチョコレートだったら・・・
 うれしいな』
というそんな気分に浸りながらアキトは温かいココアをおいしそうに飲むのであった。



おまけ


と、少し幸せ気分のアキトであったが、
幸運を前日に使い果たしたらしく、バレンタインデー当日には数多の乙女達から暴走気味なアタックを受けてボロボロになったのは言うまでもなかった。

「アキ、上げる♪」
「お姉様、私達の気持ちです♪」
「あ、ありがとう・・・・(苦笑)」
まぁ、アキもラピスやミカコ達から貰って困惑していたが(笑)



ポストスプリクト


ということでバレンタインデー用のSSをお届けしてみました。
バカ騒ぎなのが好きな方にはちょっとパンチが弱いかも。
でもその分ほのぼの感を出してみましたが・・・
どんなもんでしょう?(笑)

ラストのアキパートの元ネタはわかる人にはわかるかもしれないですねぇ
オレンジロードからネタを拝借しました。
ふむ、何人の人が元ネタを覚えてるんでしょう?(笑)

それ以外では結構ラピスとルリのパートは個人的に気に入ってます。
馬鹿馬鹿しさ加減ではイネスのパートも(笑)

とりあえず突発的に書き殴りましたがなんとかいい感じに仕上がってほっとしてます。

ってことでおもしろかったなら感想をいただけると幸いです。

では!

Special Thanks!
・カバのウィリアム 様
・SINN 様