アバン


運命に抗う事
それは徒労に終わるかもしれない
あるいは挫折し舞台から姿を消すかもしれない

しかし、抗うことでしか運命を変えられないのなら彼女は何度でも立ち向かうだろう。

なぜなら彼女は運命を変えるために過去へやってきたのだから・・・

ああ、これってSecond Revengeのラストとは何の関係もありませんのでそのつもりで。



ナデシコ・食堂


アキは人生最大のピンチに陥っていた。
あの木星蜥蜴達に囲まれた時だってこんなにピンチではなかった。

「おとなしく捕まって下さい♪」
ユリカがやたら朗らかな顔で承伏できない台詞を平然と言う。

「だから・・・・なにもそこまで・・・」
「アキさんは前科がありますから」
メグミが沈痛な面もちだが、声は嬉しくて仕方ない様に聞こえる。

「もうしないから、ね?」
「私、何度もお願いしましたよね?無茶しないでって。
 アキさんもちゃんと無茶しないって答えてくれましたよね?
 でも約束を守ってくれましたか?
 ねぇ?」
「うぐぅ」
ルリがいつものクールな表情に冷気を纏ってそう言う。

「ラピスちゃんはやめてくれるよね?」
「アキ、もうどこにもいっちゃイヤ!」
ラピスはきっぱりとそういった。いかなアキの頼みでも喪失の痛みには勝てなかった。

「アキト君からもなんとか・・・・」
「アキさん、お似合いですよ(ポッ)」
『この裏切り者がぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!』
真っ赤になってモジモジするアキトを心の底で罵倒するアキ。

ガチャリ

その音ともにアキの首には首輪が付けられた。
しかも大型犬に付ける真っ赤でかわいい首輪が。

この前、囮が必要とはいえ、一人で木星蜥蜴の大軍に立ち向かうという無茶をやらかしたアキはみんなから心配されて、変な行動をとらないようにと首輪をはめられることになったのだ(爆)

「アキ、かわいい♪」
首輪のひもを握ったラピスは至極ご満悦であった。

「次、私が持ちたい!!」
「私が持ちます」
「いえ、わたしが・・・」
みんな我先にひもを持ちたがったそうな・・・

「私は犬じゃないぃぃぃぃ!!!!!!!!」
アキがそう叫んだが、運の悪い時は重なるもので

「んじゃ、お姉さんをやってみる?」
「へ?」
「じゃ行きましょう。あなた達も一緒に出演する?」
「はーい」
やってきたイネスに引きずられてアキを含む一同は別の部屋に移動するのであった。



ナデシコ プリンセス オブ ダークネス
第7話 いつか僕らが「歌う詩」<前編>



なぜなにナデシコ


「3!」
「2!」
「1!」
「ドカーン!!!」
「「わーい♪」」
「なぜなにナデシコ」

ユリカ「おーい、良い子のみんな、集まれ!!」
アキ「集まれ・・・(ボソ)」
ユリカ「ナデシコの秘密の時間だよ」
アキ「だよ・・・(ボソ)」

まるで某国営放送のお子さま向け番組のような背景セットの中、お姉さん姿のアキ(首輪付き)と、ウサギの着ぐるみを着たユリカが立っていた。
やたら嬉しそうなユリカをよそに、アキは真っ赤になりながら俯いて台詞を棒読みしていた。

これがナデシコ艦内に放送されたから、さぁ大変。

どういう状況になったかというと・・・



ナデシコ・食堂


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ミカコ、ジュンコ、ハルミは皿洗いの手をしばし止めて見入る。

「きゃ♪お姉さま、かわいい♪」
「短パン姿がかわいい♪」
「あの首輪がたまりませんわ!!」
黄色い歓声がたちまち上がる!!

アキの姿と言えば首輪はもちろんの事、幼稚園児がかぶる帽子に半袖、お腹にポッケ付きの短パンがショタコンをいたく刺激したらしい。(実際には黒のインナースーツを着ていたが、これが素肌なら卒倒していたであろう)
真っ赤になって恥ずかしがる光景など
「この手でベストショットを納めなければなりませんわ♪」
ってな状態であった。



なぜなにナデシコ・ユリカ編


アキ「今日はナデシコを動かしている相転移エンジンについて説明しちゃいましょう」
ユリカ「わくわく」
アキ「・・・・・・・・
 ええっと、相転移エンジンの仕組みを説明するにはまず相転移について理解する必要があります。
 相転移ってなにか知ってますか?」
ユリカ「えっと・・・わかんないや。だって僕ウサギだし・・・」

ルリ「ウサギさんならわからなくても仕方ありませんね。
 じゃぁ、次は私の出番ですね♪」
ユリカ「る、ルリちゃん?」
ルリ「はい、チェンジ!チェンジ!」
ユリカ「ええ、まだ開始1分もたって・・・」
ルリ「後が支えてるんです。早く!」
ユリカ「うぇぇぇぇぇぇ〜〜ん」

ユリカ退場
代わりにルリがアシスタント役にチェンジ。
ルリの姿はホウメイのネコスーツを着込んだスタイルであった。

ルリ「相転移って氷が溶けるって、あれですかニャ?」
アキ「・・・・・・・・・そうです。」(←既にげんなり状態)



ナデシコ・ブリッジ


「ユリカ・・・・かわいいのにもう出番が終わりなんてなんでだぁぁぁぁ!!!」
ジュンが滝のような涙を流した。

「あらやだ、ルリルリかわいい♪
 アキさんもなかなか・・・」
ミナトはうっとりして画面に見入る。

「な、何をやってるんだ、あいつら!!!」
ゴートは脱兎のごとくブリッジを飛び出していった。

「こういうのはよくわからん・・・・」
お茶を飲んでたフクベは茶飲み友達を捜しにブリッジを出ていった。



ナデシコ・格納庫


「アキさん!!!!!!!!
 ラブリー!!!!!!!!!」
格納庫では整備班の自称「アマガワ・アキ私設ファンクラブ」の面々が狂喜乱舞であった。

「誰かスケッチブックよこせ!!!」
ウリバタケは必死にその光景を模写した。
今度のワンフェスにフィギュアとして出品するらしい・・・。



ナデシコ・三人娘の部屋


「ほらほらリョーコ、おもしろいのやってるよ♪」
「んだよ、大騒ぎして・・・・」
寝起きをたたき起こされたリョーコはしぶしぶながらも艦内放送に目を向けた。

キュイーン!!!!!!!!!!

「・・・・・・・・・・・」
真っ赤になった、真っ赤になった。
心臓がなぜか早鐘のように鼓動した。
リョーコは心の底から沸き上がる気持ちを抑えられないでいた。

元々姉御肌のリョーコ、お山の大将にならないと気がすまないタイプであったので、似たタイプのアキにライバル心を燃やして少し素直になれなかった。

しかし、先日の木星蜥蜴の大軍を前に阿修羅のごとく戦った様はリョーコをして『かっこいい!』と思わせた。
トドメが、憎いと思っていた相手のラブリーな一面を目の当たりにしてリョーコが思ったことは・・・

『お姉さま!!!』
アキさん、とうとうリョーコちゃんもゲットです♪(嘘)



なぜなにナデシコ・ルリ編


アキ「水には三つの形態があります。何かわかりますか?」
ルリ「はい、水蒸気、水、氷ですかニャ?」
アキ「その通りです。これらは元は同じ物質なのですが、与えられたエネルギーによって状態が変わってしまいます。これら各状態を『相』と呼び、水から氷へと『相』が転移することを『相転移』と言います。
 ではルリネコちゃん、水は液体なのになぜ冷やすと氷のような固体になるかわかりますか?」
ルリ「ええ、それは相を構成するエネルギーが少なくなったからですニャ?」
アキ「そうです。水の分子は熱エネルギーが与えられると振動するの。
 振動すると分子そのものは自由に動けるので液体状になる。
 でも、冷やされることにより熱エネルギーを奪われると、分子運動が出来なくなるから大人しくなり、固体状に形状を変えるの。」
ルリ「つまり、水を氷に変えた相手からすれば、水という『相』が持っていたエネルギーを奪い取ることにより氷という『相』に転移させた?っていうことですニャ?」
アキ「まぁ、そういうこと。
 つまりは『相』が転移するときは何らかのエネルギー交換が行われるという事ね。」
ルリ「それがナデシコの相転移エンジンの仕組みと・・・」

イネス「カット!!!!」
監督ルックのイネスがカチンコをならしてルリの前に近づいて来た。

ルリ「なんですか?イネスさん」
イネス「ルリちゃん、チェンジ」
ルリ「な、なぜですか!?
 この完璧なネコのアシスタントぶりを!!!」
イネス「完璧過ぎです。お姉さんの台詞を奪って先に解説してどうするの!」
ルリ「がーーーーーん」

メグミ「次は私の番です♪」
そこに登場したのはメグミであった。

ルリ「・・・・・ってメグミさん、その格好は(汗)」
メグミ「なにって、ウサギさんよ?」
ルリ「それはウサギはウサギでもいわゆる『バニーガール』と言いませんか?」

言います。
頭にはウサギの耳のヘアバンド、黒いレオタードに網タイツ。
お尻には白いボンボン
結構セクシー♪
大きなお友達なら大喜びの服装である。

イネス「・・・・・・却下」
メグミ「なぜです!?ナデシコの大きなお友達にアピールする絶好の・・・」
イネス「胸(ボソ)」
メグミ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかりました(泣)」

なぜ、『胸』の一言でメグミを撃沈できたのかは不明である(爆)

『よし、今のうちに・・・』
自分から注意のそれたうちに逃げだそうとしたアキであったが・・・

ガクン!!!
「ぐえぇえ!!!」
「アキ、逃げちゃダメ」
アキさん、首輪で繋がれていることをすっかり忘れておりました(笑)



なぜなにナデシコ・メグミ編


「ってことでメグミウサギで〜す♪
 みんな元気かな?」
耳に手を当てるメグミ。
某番組よろしく、画面の向こうで『元気で〜〜す!!!』って言うだけの時間を待ってから
「うん、元気でメグミうれしい♪」
と答えた。さすが一時期同様な番組に出演していただけのことはある。

ちなみにメグミの格好は残念ながら先ほどのセクシーな姿ではなく、ユリカが先ほど着てたような着ぐるみである。
ちなみにこのウサギの着ぐるみは自前。
「なんでそんなもの自前で持ってるんですか?コスプレ好きですか?」
とルリに聞かれて
「ずっと前に同じ様な番組に出ていて餞別に相手役のウサギの着ぐるみを貰ったの♪」
と答えたそうだ。

余談はともかく、話を元に戻すと・・・

メグミ「ってことは、相転移エンジンって水を氷にして動いてるって事ですか?」
アキ「いいえ、水の代わりに真空を使ってます。」
メグミ「真空?真空ってなにもないあれですよね?」
アキ「その真空です。」
メグミ「なにもないのにどうやって?」
アキ「確かに何もないところからエネルギーが取り出せるって不思議に思うかもしれませんね。ではなぜ真空からエネルギーを取り出せるか説明しましょう。
 でもそれには超対称性とインフレーション理論という難しい理論を説明しないといけませんが、分かり易く解説するのでしっかりついてきてね。」
メグミ「は〜い♪」

アキ「まず、我々の認識は『真空には何もない』って事ですよね?」
メグミ「はい。何もないから真空なんですよね?」
アキ「そうともいえます。でもそれを数字で表わしたらどうなります?」
メグミ「何もないんですから・・・0ですか?」
アキ「そうです。でも、0は別の表現が出来ます。」
メグミ「???」
アキ「1−1=0ですね。」
メグミ「・・・へ?」
アキ「ある物質と同じエネルギーの対になる物質があればプラスマイナスゼロ・・・つまりエネルギー的にゼロの状態が出来てしまう。これが私達の見ている真空です。
 じゃ、真空の空間に何があるかというとボソン、あるいはフェルミオンと呼ばれる素粒子で、超対称性はそれらがそれぞれ対となる物質が存在しているという理論なのです。」
メグミ「あの・・・・お姉さん、難しくてわかりません」
アキはさっさとこの仕事を終わらせたいのか、早口にまくしたて核心部を説明しようとする。もちろん、アシスタントのメグミを無視して・・・。

アキ「んで真空をボソンとフェルミオンが満たされた空間と考えると、その密度が一定とは限らないの。これがインフレーション理論。
 ビッグバンって知ってるでしょう?
 ビックバン直後の宇宙はボソンとフェルミオンが非常に高圧縮された状態で温度も数万度という・・・」
イネス「はい、カット!!!!!!!!」

イネスがダメだしをした。

イネス「ほら、そこ!勝手に説明を暴走させない!!」
アキ「いや、でも・・・・」
イネス「ナデシコの良い子が見ているのよ。
 もっと分かり易く!笑顔で!!!いいわね、お姉さん?」
カメラを回しながら現場を仕切るイネスの演出は厳しかった。

アキ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
メグミ「どんまいですよ、アキさん(汗)」
イネス「さぁ、続きを」
ゴート「行く必要はない!」

ゴート乱入。かなり怒っている。

ゴート「この馬鹿騒ぎの意味はなんだ?フレサンジュ。
 本艦は木星蜥蜴の攻撃でボロボロ、大気圏脱出もままならず、とてもパロディーに出来る状況ではないと思うが?」
イネス「私達を帰るに帰れなくしちゃったのは誰?」
ゴート「ギロリ!」
イネス「ギロリ!」

睨み合う二人
緊迫した空気が流れる中・・・・

ラピス「ゴート、持つ?」
ゴート「・・・・なにをだ?」
ラピスはゴートに話しかけ、手に持っていたひもを見せた。当然その先はアキに繋がっている。
ラピス「私、これからアキのアシスタントする。代わりに持ちたい?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(←ゴート考え中)

しばし後、真っ赤になってアキのひもを持つゴートと諦め顔のアキ、それに犬の着ぐるみを着たラピスが並んで立ってたりする(笑)

メグミ「まだ私の番ですよ〜(泣)」
イネス「・・・・・あきらめなさい」
号泣するメグミを慰めるイネスであった。



ナデシコ・アキトの部屋


ずずずずずーーーーー

「うまいかね?」
「ええ・・・」
アキトはなぜかフクベとお茶をすすっていた。
理由は先程廊下でフクベとぶつかったからだ。少し腰を打ちつけているので申し訳なく思い、アキトの部屋で休ませた。
んでその流れでなぜかフクベが手に持っていたポットの紅茶でお茶を飲んでいるらしい。

「これにブランデーを滴らすともっとおいしくなる。」
「お酒は怒られますよ」
「固い事は言わんでくれ。隠れて飲むのがなかなか難しい」
「あははは・・・・」
フクベが何をしに来たのかよくわからなかったが、アキトもそろそろ老人とお茶を飲むこの雰囲気に堪え切れなくなっていた。

そんな時、フクベはふとあることを思い出した。
「そういえば、君は火星出身だったそうだな」
「ええ、それがなにか?」
不審がりながら答えたアキトだが・・・

「くおらぁ!!!テンカワ!!!
 俺の超合金ゲキガンガーをどこにやった!!!!」
ダイゴウジ・ガイ、乱入(笑)
彼はアキトの胸ぐらを掴んだ。

アキト「し、知らねえよ!!」
ガイ「嘘つけ!こんな汚い字を書くのはお前しかいない!!」
ガイは部屋に残されたメモ書きをアキトに見せる。

『超合金ゲキガンガーをお借りします。すぐお返ししますのでご安心を』
あいにく差出人の名前はない。

アキト「これ、ユリカの字だ・・・・」
ガイ「なに?艦長か?」
フクベ「そういえば艦長達はなにやらおかしな扮装をして艦内放送に出ていたが?」
アキト、ガイ「え?」

二人は慌ててコミュニケを開く。



なぜなにナデシコ・ラピス編


アキ「宇宙が膨張するにしたがってエネルギー順位の高い真空からエネルギー順位の低い真空に変化するわけです。これがインフレーション理論ね。わかる?」
ラピス「うん」
アキ「さて、この水槽を例にとると一番上の水槽がビッグバン直後の宇宙。
 そしてまん中が現在の私達の宇宙。
 そして一番下の水槽がさらに膨張後の宇宙となるの。
 んでどれが一番エネルギー順位が高いかわかる?」
ラピス「一番上」
アキ「そう、もし一番上の水槽からまん中の水槽に相転移するとき、ちょうど高さ分だけのエネルギーが得られる事になる。これが相転移エンジンの理論。
 相転移エンジンは私達の周りの真空をよりエネルギー順位の低い真空へと強制的に相転移させて、その際に発生する変換エネルギーを得ているわけね」
ラピス「なるほど・・・」
納得するラピス・・・本当か?

うずうず!!
そこで今まで監督に甘んじてきたイネスが堪え切れずに乱入(爆)

イネス「そう、つまりこれだけ莫大なエネルギー保証があるから重力制御も艦全体に行えるわけ。んでグラビティーブラストも撃ち放題♪」
グラビティーブラストの代わりにゲキガンガーの超合金で例示するイネス。
その顔は恍惚に歪んでいて
『わたしはなんて分かり易い解説をするのかしら♪』
と酔いしれるのであった。

だが、そこに・・・・

「俺のゲキガンガーを返せ!!!!!!!!!!!!」
「なんで俺まで連れてくる〜〜!!!」
ガイとなぜかアキトが部屋に乱入してきた(笑)

『チャンス♪』
と千載一遇のチャンスと喜ぶアキ。

手には何やら不思議なバトンがいつの間に!
「あ!!!!あそこにゲキガンガー!!!」
「「「「「え?」」」」」
アキの指差した先を一同は思わず見つめる。その隙にアキは不思議な呪文を唱え始めた!!
『ライチ♪ライチェル♪ライチェル♪ライチ♪♪♪♪』
と呪文や回すバトンにあまり関係ないのだが、アキはどこからともなく亜麻色のカツラと普段自分がつけている黒いバイザーの予備を取り出した。

0.1秒経過・・・アキトにカツラをかぶせる
0.2秒経過・・・アキトにバイザーをかける
0.3秒経過・・・自分の首輪をアキトに付け替える
0.4秒経過・・・脱兎のごとく逃げ出す(笑)

そして、1秒後には部屋の外への脱出に成功するアキであった。

「どこにもいねえじゃないか!!」
と、一同が辺りを見回した時、そこでみんなが見たものはアキ似にコスプレさせられていたアキトの姿であった。
数秒間、みんな硬直した後・・・

ユリカ「アキさん・・・・・・・・ってこんなに胸が無かったっけ?」
ルリ「何言ってるんですが、アキさんがこんなにみすぼらしいわけないじゃないですか」
メグミ「・・・・・・・・ひょっとしてアキトさんですか?」
アキト「?????」

いまだに自分がどんな姿をしているか気がつかないアキト。

でもその姿を見つめる三人の瞳は・・・・

ユリカ「ポッ♪こういうアキトもいいかも♪」
ルリ「・・・・・・・意外にヒットです♪」
メグミ「アキトさん、かわいい♪」
アキト「って何だよ、おい!!!」

アキトに抱きつき、嬉々としてアキト(アキ風女装)を盛んに弄ぶ三人。
だが、ここにそんな小手先の萌えに騙されない人物がいた。

「アキがいない!」
そう、犬の着ぐるみを着たラピスである。

「オモイカネ、逃げたアキをロックオン!」
『りょ、了解』
あまりの形相にAIすら押し切るラピス。
そしてその矛先は隣にいる大男にも向けられた。

「ゴート」
「な、なんだ?」
「アキを追跡する。私の出番がまだ終わってない!!」
「・・・・・・・で、俺にどうしろと」
「肩車!!」
「はぁ?」

聞き返すゴートをよそに合体完成予想図(バ○ル2世のポ○イドンの図)を見せるラピス。
当然、ゴートも承伏できるはずはない。
はずはないのだが・・・

「なぜ、俺がそんなことを・・・」
「アキの首輪、もっと握っていたくないの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

次の瞬間、

「いけ、ポセ○ドン!!」
「誰がポセイ○ンだ!!!」
仲良くアキを追いかけてたりしていた(笑)

ちなみにガイは・・・・・・・

「俺のゲキガンパンチ(右手)はどこだ!!!!」
と床を這いつくばって探しているところを
「邪魔だ!!!!!!!」
「え?」

ゲシ!!!!

ゴートに踏まれたのであった。合掌(笑)

ルリ「真空を相転移するなんてすごい発明、誰がしたの?あなた?」
イネス「誰も発明なんかしてないわよ」
ルリ「え?」
イネス「見つけたの。私達はそれをただ訳も分からず使ってるだけ」
ルリ「それって・・・」
ガイ「ど、どうでもいいから足どけて・・・」

止めとばかりにガイを踏みつけながらシリアスな会話をするルリとイネスであった。



ナデシコ・通路


さてさて、なんとか放送室から逃げおおせたアキだが、既に追っ手の第一団に見つかっていた。

ラピス「アキ、待て!!!」
ゴート「待て」(←赤面しながらボソっと)
アキ「お願い、見逃して〜〜」

それだけではない。
その後ろからはさらに・・・・

リョーコ「隊長、待て!!!!!!!!」
ヒカル「そういえば私達、何でアキさんを追いかけてるの?」
イズミ「さぁ、誰かさんが愛の告白でもするんじゃないの?」
リョーコ「ち、違うわ!!!!」(←でも真っ赤)
アキ「違うなら追いかけないで〜〜」

さらにもっと後ろには・・・

ミカコ「アキさん♪私達も首輪を着けてみたんですよ♪」
ジュンコ「この首輪、かわいい鈴付きなんです。着けてみませんか♪」
ハルミ「私達のひもを持って下さい♪」
アキ「つけませんし、持ちません〜〜」

ひどいのになると・・・

ウリバタケ「てめえら、絶対ベストショットを納めるんだ!!」
整備班一同「おう!!!!!!!!!」
アキ「誰が写真に撮っていいって言ったのよぉぉぉ!!!!」

などなど、いつの間にか大群を引き連れて逃げ回るアキであった。

と、ちょうどそこへ・・・
「ユリカ・・・なんであんな一瞬なんだ・・・」
ととぼとぼ歩きながら女装させたらナデシコNo1のアオイ・ジュンがやってきた。
アキは『ラッキー♪』とほくそ笑むとまたバトンを取り出した。

「ああ、ナチュラルライチが飛んでる!!!」
「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」
一同、また律儀にアキの指さす先を見つめる。その隙にアキはまた呪文を唱えながら・・・何で呪文を唱える必要があるのか不明だが・・・ジュンを女装させていくのであった。
その間、わずか0.2秒!
先ほどよりちょっと早い!!!(笑)

「え?」
アキ女装風アオイ・ジュン完成!
でも、今度はさっきのように行かなかった。

ラピス「アキ、あんな情けなくない」
リョーコ「んな女々しくないし」
ミカコ「お姉さまはこんなに影薄くないですぅ!!!!!!」
ウリバタケ「ああああ、フィルムを無駄遣いした!!!!!」

ゲシ!!!!!!!
「僕が何をしたぁぁぁぁぁ!!!」
ジュンは哀れ、空のお星様となった。合掌

・・・・囮作戦に失敗したアキはその数分後、追跡者集団に捕まってしまうのであった(笑)



???


Snow White「アキトラブリー♪」
Blue fairy「首輪・・・・盲点でした!」
Pink fairy「私も持ちたい」
Actress「私はアキトさんとお揃いの首輪を着けたいな♪」
Secretary「実は私、前々からアキト君には首輪が似合うと思って集めてたのよ。ほら♪」
一同「本当だ!可愛い♪♪♪」

奥さん's、あんたら盗聴なんかしてないで早く未来に帰れよ・・・



ナデシコ・食堂


「貰っちまって良いのかい?」
「ええ、フクベ提督のプレゼントらしいっすけど、ポットって使わないから」
アキ女装騒ぎが一段落して、アキト達は食堂で一休みしていた。(←なぜなにナデシコでアキを追いかけなかった面々)
部屋に戻ったらフクベは居らず、なぜかポットだけが部屋に残されていた。
食堂の備品かな?と思って食堂に持ってきたらどうも違ってたようだ。

「それにしても不思議ね」
「え?」
イネスはアキトのそばに座って、アキトの顔をまじまじと眺めた。
「なんか、あなた懐かしい気がするの」
「新手の告白かなんかっすか?」
「そんなんじゃないわよ。っていうか私、あまり他人のことに興味が湧かないの」
「?」
「8歳以前の記憶が無くてね。それぐらいの時に火星の砂漠でネルガルの人達に拾われたらしいんだけど・・・
 だからかな?
 この世界が私の住むべき場所じゃないような気がするの。」
「そ、それは・・・・なんというか」
そこで、アキトの顔をぐっと覗き込むイネス。

「でもあなただけは違って懐かしいの。ホッとするような、遠い昔に逢ったような・・・」
「いや、俺は特に・・・」
眼前3センチのドアップに焦るアキト。
それを他の乙女達が黙っているはずもなかった。

「アキトとイネスさん、近づき過ぎです!」
「そうです!」
「そうです!」
ユリカ、ルリ、メグミが口々に文句を言うが・・・・

『取り込み中すまんが、艦長にルリくんにメグミくん』
「あ、提督」
ウインドウが開いて、フクベが話しかけてきた。
『至急ブリッジまで上がってきて欲しいのだが・・・』
「今大事な所なんですけど・・・あとじゃダメですか?」
『大事な用かね?』
「・・・・・・いえ、すぐ行きます」
有無を言わせぬフクベの顔。
渋々、3人は従った。

『そうそう、パイロットも念の為に招集だ。わかったかね、テンカワ君』
「あ、はい。わかりました。すぐ行きます」
そう言って立ち去ろうとするアキト。

だがフクベのウインドウを見て苦笑するイネスはアキトは尋ねてみたいことがあった。
「アキト君もよくこの艦に乗るつもりになったね。」
「え?どういう事ですか?」
「なに、君は知らずに乗っていたの?
 この艦の提督であるフクベ提督は・・・」

イネスのその言葉を聞いたアキトは烈火の如く怒った。

火星、それは全ての始まりにして、全ての終わるところ
この時から一人の男の詩が終わり、そして僕たちの詩が始まったのを知るのはもう少し後のことであった・・・。

ってことで後編に続きます。



ポストスプリクト


取り敢えず前編ですので前回と同様にポストスプリクトは女アキトことアマガワ・アキさんへのインタビューという形式に変えさせていただきます。

アキ「今回の↑って何?」

−何って・・・お姉さま+首輪属性のお友達へのサービス

アキ「サービスじゃないでしょうがぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

−そんなこと言ったって今回ずっと首輪でつながれて出番なしですから、こういうところで目立っておかないと

アキ「いらんお世話よぉぉぉぉ!!!」

−で、今回は誰が好みですか?

アキ「はぁ?」

−ウサギのユリカに、ネコのルリに、イヌのラピスに、おまけでバニーガールのメグミ

アキ「いや、どれが良いといわれても・・・・」

−これでエリナさんがいれば奥さん's過去verが誕生だったのに惜しかったですね

アキ「お、惜しいって何が?」

−今からでもキツネの着ぐるみを着たエリナさんを入れてなぜなにナデシコをやり直すというのは・・・

アキ「いい加減にストーリーを先に進めなさいよぉぉぉぉ!!!!(木連式柔炸裂!!)」

−・・・・・・というわけで後編をどうぞ。

Special Thanks!
・闇影 様
・士心 様
・導 様
・G-177式 様
・take4様
・劉季周様