アバン


お話は少し飛んで大晦日。
アキトさんが月に飛んで数日後、我々はアキトさんを迎えに月への航路に出かけることになりました。
それはいいんですが、月で悩めるアキトさんとは裏腹に、こちらはなんかしょうもないことで盛り上がっちゃったりするのですが・・・大丈夫なんですか、この船?

ああ、これってお正月特別企画の投稿作品ですので、黒プリ(プリンセス オブ ダークネスの通称)本編とは何の関係もありませんからそのつもりで。



ナデシコ・ブリッジ


その騒動は彼女のこんな一言から始まった。
「も〜いくつ寝るとお正月♪」
調子外れな歌声で鼻歌を口ずさむのは艦長のミスマル・ユリカだった。
「ユリカ〜、いくらテンカワ君を迎えに行くからってピクニックに行くんじゃないんだから・・・」
そんな一同の意見を代弁するジュンであったが、ユリカにはどこ吹く風であった。

「お正月には餅焼いて〜お雑煮作って食べましょう♪
 早〜く来〜い来〜い お正月♪」
「艦長、お正月が待ちきれないって感じですね」
「うん!」
苦笑して尋ねるメグミにユリカは元気よく答えた。

「だって、アキさんのお料理っておいしいんですもの!」
「確かに」
ユリカの発言に一同は納得する。

「本当にクリスマスのパーティー料理はおいしかったよね」
ミナトはしみじみ言う。ホウメイとアキが作ったパーティー料理はどれもおいしいものであったが、特に腕によりをかけたアキのデザートはまさに絶品だった。

ユリカは想像しただけでよだれを垂らした。
ミナトもメグミもルリもラピスも、エリナもリョーコもヒカルもイズミも、女性陣のみならず男性陣も心の中でよだれを垂らしていた。

「そう考えると今年の年末年始はごちそうだらけだよね」
「そうそう、年越しそばも旨そうだし!」
ヒカルとリョーコも話題に乗ってきた。
「でねでね、おせち料理がまた期待がもてるんだ!」
ユリカははしゃぐように言う。
「なになに?」
「これがアキさんからの予算申請書!」
ユリカがみんなの前に示した予算の表であった。そこにはおせちにすると、さもおいしそうな材料がずらりと書かれてあった。
カズノコ、栗きんとん、黒豆、伊勢海老、エトセトラエトセトラ・・・

「う、食べたい・・・」
「でしょでしょ?もう、艦長権限で一発承認を・・・」
「だめですよ!」
ユリカが今にも承認印を押しそうな勢いのところをプロスペクターが制止した。
「はい?何でです?」
「残念ですが、予算がありません。」
「予算・・・ですか?」
ユリカが聞き返しす。
「年末の予算はこの前のクリスマスのパーティー代で使っちゃいました。
 しかも今アキトさんを迎えに行くために予定外の出費が入っておりますので予算が残っておりません。
 しかもアキさんが要求されている素材はすべて超一級品の品ばかり!
 それをクルー全員の分を用意いたしますと・・・」
プロスは素早く電卓をたたくとユリカに数字を見せた。
「ゲェ!」
「という値段になるのですよ」
プロスはため息をついた。
「確かにこの材料なら超高級ホテルのおせちセット松コースが頼めるな」
ゴートが唸るように言う。

でもそういわれると食べたくなるのが人情である。
アマガワ・アキ特製の超豪華お節料理・・・
なまじ普段の彼女の料理の味を知っているだけに、その味が空前絶後であることは容易に想像できた。
「食べたい!食べたい!」
「気持ちは分かるけど、予算が・・・」
ジュンがユリカをなだめているそばで誰かがボソッとつぶやいた。

「全員には無理だけど、一人分なら作れると思いますよ?」
「え?」
先ほどのアキの予算申請書がもう一枚あるのに気がついたのはルリであった。
「材料費は近所のスーパーのおせちセット梅コース並ですむケースも書かれてありますね。
 それで試算しますと・・・・今の予算でも全員に行き渡ることになります。」
「確かにアキさんの料理ならそれでもおいしいと思うけど・・・」
ユリカの意見はみんなの意見だ。確かに一度最上級のものを見せられた後に並のものを見せられても承伏しがたい。
「ですから、全員分の並おせちを作った後でも一人分の特製おせちなら作れる予算が残るんですよ。」
ルリがみんなにわかるように解説を加える。みんなもその意味が分かったようだ。

・・・誰か一人が特製おせちを食べられる・・・

ギン!!!!!

全員が他者を殺気のこもった視線で睨み付けたのは言うまでもなかった・・・



ナデシコ プリンセス オブ ダークネス
第13.5話 アキ特製おせち争奪戦大会



再びナデシコ・ブリッジ


「あの〜皆さん、なにもそんなに睨み合わなくても・・・」
事件の張本人であるアマガワ・アキはその険悪な雰囲気を何とか払拭しよう必死だったが事はどうにも収まりそうになかった。
とりあえず特製おせち料理を食する権利者は女性陣に絞られることとなった。
何故って?
ナデシコの男子クルーの中に女子クルーに抗することの出来る男が何人いるだろうか?

女性陣睨み合いの中、最初に手を挙げて発言したのはルリであった。
「あの〜〜」
「なに?ルリちゃん!!」
みんなの目がマジで怖かったが、そのぐらいで怯むようなルリではなかった。
「皆さん、体重は大丈夫なんですか?」
「「「「「え?」」」」」
「アキさんの料理をここのところ残さず食べているという事はですねぇ・・・」
ルリは試しにユリカの耳元で結果を囁いた。次の瞬間ユリカの顔がスーッと青ざめた。
「・・・うそ」
顔面蒼白になってるユリカを見せつけられて、女性陣は自分の胸に手を当ててみた。

・・・しばらくお待ち下さい・・・

心当たりのあるものはみんな青ざめていた。
「ちなみにご自分の理想体重からの差分を知りたい方はお教えしますが、いかがしますか?」
「「「「「遠慮します・・・」」」」」
彼女達にその悪魔の数字を聞くだけの勇気はなかった。

「ラピス、体重増えてるけど問題あるの?」
「私たちは育ち盛りの少女ですから体重が増えるのは当たり前ですよ」
ラピスが不思議そうに尋ねるのに、ルリは得意そうに答えた。育ち盛りをとっくに終えた大人の女性達が涙目で睨んだのは言うまでもない。

「よし!こうなったらユリカ、お正月までダイエットするもん!!
 なら文句ないでしょ!」
「できます?」
ユリカの宣言にルリは懐疑の眼差しを向けた。
「だってアキトと月で再会したとき『ユリカ、少し太った?』って言われないためにも頑張るもん!!」
その言葉に女性陣一同はわずかに反応する。
「じゃ、アキさん特製おせち料理はあきらめるんですか?」
「それもイヤ!
 食べても大丈夫なようにダイエットするの!」
「んな無茶な・・・」
ユリカの駄々にあきれたようにつぶやくルリ。だが、ミナトはふとあることを思いついた。

「それ、いいんじゃない?
 ダイエットして目標体重に一番近づいた人が食べれば。」
「おう!」
一同はその妙案に関心の声を上げた。



大会趣旨説明


「ということで始まりました、乙女達の祭典!『アマガワ・アキ特製おせち料理争奪戦大会』!!!
 乙女達はお正月にちなんだ競技を行っていただいてカロリーを消費し、大会が設定した目標体重にもっとも近づいた方が勝者となります!!
 優勝者にはアマガワ・アキさん特製おせち料理の食する権利が与えられます!
 司会は私ウリバタケ・セイヤ、解説はロン毛1号ことアカツキ・ナガレさんでお送りします。」
「誰がロン毛1号だ!」
「審査委員にはプロスペクターさん、ゴート・ホーリーさん
 審査委員長にはアマガワ・アキさんにお越しいただきました。」
「どうも・・・」
アキは既にやけっぱちだった。

「ルールですが、皆さんにはそれぞれ目標体重が設定されておりますので、競技がすべて終了した時点で一番目標体重に近づいていた方が優勝です。
 そして目標体重に近づけるために皆さんは自分自身にペナルティーを課して下さい。ペナルティーは重ければ重いほど早く痩せられるように設定されていますが、同時に競技の難易度が上昇することにつながります。
 競技の成績によっては目標体重を軽減されますのでこちらも手を抜かないで下さい。
 なお、目標体重は大会終了まで本人には秘密にさせていただきますので現在の体重との差を慎重に推理して下さい。なお、過度のダイエットを避ける為に医学的な理想体重を元に目標体重をもとめております。従いまして思いこみや自分の理想を当てはめて痩せすぎたりしないようにして下さい」

「質問」
「何ですか、ルリさん?」
ウリバタケの説明にルリが挙手をする。
「既に痩せてる人はどうするんですか?」
少し優越感に浸ってルリは言う。周りの悔し涙混じりの視線が痛いが、ルリは平然としていた。
「太って下さい。」
「はぁ?」
ウリバタケの言葉に意外そうに聞き直すルリ。周りも驚く。
「ですからあくまでも目標体重が基準ですから、痩せてる方は太って下さい。
 あちらのパーラーにアキさん特製のイチゴショートケーキがたくさんありますから。」
「マジ?」
「ええ、マジです」
乙女にとってはとんでもない大会ルールにルリは絶句した。



第一種目:ナデシコカルタ


「皆さんにはナデシコ整備班謹製のリストバンドを着けていただきます。外見からはわかりませんが軽いものは100gから重いもので50kgまで取りそろえております。
 ちなみに見た目はすべて同じ大きさですので気にせず重いものをご使用下さい」
「ウリピー、一言余計だよ。」
ウリバタケがみんなにボコられたのは言うまでもない。

「え・・・勝負は取ったカルタの枚数の多い人が優勝です」
なけなしの気力をはたいてウリバタケが言うと、乙女達の対抗意識は俄然盛り上がるのであった。
ちなみに札読みはアキであった。

競技開始・・・

「一歩二歩散歩〜」
「おほほほほ、いただき!」
「おっと、序盤戦からとばしております、イネスさん!」
「しかし、あれは何でしょうね?ウリバタケさん」
「そうですねぇ、アカツキさん」
そう、イネスはとっても変な機械を振り回していた。

「説明しましょう!これはマジックハンド『カル太くん』といって、手針にヒントを得た道具なの。音声センサーが札読みの声を認識して自動的に対応する札まで飛んでいってゲットするという画期的な・・・」
「イネスさん・・・失格です」
「え?」
得意絶頂のイネスの説明を遮るようにアキは言い渡した。

「何で!何でよ!機械を使っちゃいけないとは・・・」
「それをイカサマと思わないのはイネスさんだけです!」
自分の非常識さをアキに一蹴されてイネスはうなだれるだけであった。

「ということで頭脳戦最右翼のイネスさんが抜けたとあって闘いの行方は波乱含みとなりましたね?アカツキさん。」
「そうですね。ウリバタケさん。
 しかし頭脳戦といえばあの二人は・・・」
「こちらパーラー担当のアオイ・ジュンです。
 お探しの電子の妖精お二方はリョーコさんとともに飲食中です」
中央パネルにはルリとラピスとリョーコが共にケーキを頬張っているところが映し出された。

ジュン「ルリ選手、カルタの優勝候補と目されているあなたがなぜここでケーキを?」
ルリ「・・・体重が足りないんです!!」
ラピス「ケーキおいしい♪」
太らない体質のルリとラピスはこういうところで裏目に出た。

ジュン「ははは、それはご愁傷様・・・
 それはそうとリョーコさんは何故ここに?」
リョーコ「んな小難しいのやったってあたいの頭で勝てるわきゃないだろ?
 それよか次の試合を全部獲ればいいんだ!
 そのためには腹ごしらえしとかないとな!!」
ジュン「・・・・・・・・マイクをお返しします」
既に目的と手段が逆転しているリョーコであった・・・。

「はい、こちらは闘いも既に佳境!!
 一歩抜け出しているのは意外にもお気楽艦長ミスマル・ユリカ嬢」
「意外なんて失礼です!プンプン!!」
ユリカは少しご立腹であった。

さすがに士官学校戦略シミュレーション主席の成績は伊達ではなく、天才的なひらめきと子細まで覚えている驚異的な記憶力を武器にぐいぐい札を奪取していた。
対抗馬はエリナ・キンジョウ・ウォン女史である。これでも会長秘書とばかりにエリートのプライドをかけてユリカに肉薄していた。

「意外にも3位につけているのはミナト・ハルカ嬢ですね。」
「意外はよけいだよ。こう見えても教員免状を持ってるのよん♪」
・・・あれ?数学の免状じゃなかったっけ?

そうこうしている間にもカルタは読まれ、ユリカとエリナの二人が我先に札を取っていく・・・はずなのだが

「ムネタケを集めてはやし最上川」

・・・・シーン・・・・

誰も取らない。
みんな『あなたが取りなさいよ』という顔で互いに目配せをする。
しかし誰も取らない。
仕方がないのでエリナが取る。

反対に、
「アキトのパンチはゲキガンフレア」
「はい!!」
恐ろしい勢いでユリカが札を奪取した。その所要時間0.01秒!!
アキトがらみの札はすべてユリカが総なめにしていたのである。

「ミスマル・ユリカ、そんな選り好みしていて私に勝てると思うの!」
「いいもん、勝てなくてもアキトのカードさえあれば」
アキト君カードに頬ずりするユリカにエリナは本気で腹を立てた・・・。

そして競技終了・・・

「エリナ嬢の追い上げは凄かったですね、アカツキさん?」
「そうですね、カルタの獲得枚数はほぼ互角と見ましたが?ウリバタケさん」
「結果発表です」
プロスが結果を書いた紙を読み上げる。

プロス「ユリカ選手25枚、エリナ選手27枚」
エリナ「よっしゃ!」
プロス「ですが・・・」
エリナ「ですが?」
エリナは喜びの声を上げるが、プロスはそれを遮った。

プロス「アキト君カードを10コンボ集めたユリカ選手に3枚相当のボーナスが加わりますので・・・」
エリナ「げ、うそ!?」
プロス「ミスマル・ユリカ選手の勝利です」
嫌いなムネタケのカードを取ってまで勝ちを狙いに来たエリナが哀れだった。



第二種目以降・・・


アキ「え?省略するんですか?」

アキ「・・・時間がなかった?ネタが思いつかなかった?」

アキ「もし良かったら皆さんもお正月らしい競技を考えてみてください・・・ですか?」

アキ「イベントの掲示板で募集します?・・・他力本願ですねぇ」

アキ「再掲載時には美味しいネタを採用させていただきますから?」

アキ「・・・・まぁ、こんなんですけど後半をどうぞ。」



最終種目:羽子板


「さて最終決戦ですが、皆さんにはナデシコ整備班謹製の特製羽子板で羽根突きを楽しんでいただきます。羽子板の重さですが下は500gの超軽量から上は10キロの超弩級のものを取りそろえております。勝負は勝ち抜き戦です。
 ちなみに見た目はすべて同じ大きさですので気にせず重いものをご使用下さい」
「ウリピー、何度も同じネタはまずいよ。」
ウリバタケが再びボコられたのは言うまでもない。

競技開始・・・

「うぉら!!!」
バキュン!!!!!
「キャァ〜〜」
リョーコの弾丸スマッシュが決まった。

「えーん、真っ黒ですぅ〜〜」
「勝者スバル・リョーコ選手です!」
「よっしゃ!」
顔に墨汁でいっぱい書かれたミカコをあっさり下してリョーコは吠えた。さすがに体育会系だけのことはある。怒濤の快進撃であった。

「しかし凄いですね、アカツキさん」
「そうですね、ウリバタケさん」
「しかし・・・あれは既に羽根突きというよりはテニスではないですか?」
思わずつっこむアキさん。
確かに初速150km/h出ていれば十分驚異である。
「しかしルールブックには一定以上の高さを打ち上げていれば問題ないようでして・・・」
プロスがルールブック片手にコメントした。羽の最高打点でアタックしていれば何の問題もない。彼女のジャンプ力故の勝利であった。

その後、リョーコは順当に勝ち進んでいった。ミナト、ユリカ、サユリ、ジュンコを順当に下していって、闘いはいよいよ佳境へと向かった・・・。

「そういえば、ルリちゃんとラピスちゃんは?」
「こちらパーラー担当のアオイ・ジュンです。
 お探しのお二方は現在もパーラーで飲食中です」
中央パネルには再びルリとラピスが共にケーキを頬張っているところが映し出された。

ジュン「ルリ選手・・・まだ体重が足りないんですか?」
ルリ「・・・美少女はいくら食べても太らないというのがお約束ですから・・・」
ラピス「どうせ体育会系は出ても勝てないし・・・」
ルリ「ラピス、一言余計です」
ルリとラピスはひたすら必死の形相でケーキを貪っていた。

ラピス「・・・ルリ・・・もう食べられないよぉ」
ルリ「頑張るんですよ、ラピス!!」

さてお話しは競技に戻って、闘いはいよいよ佳境へ
ストップ・ザ・リョーコ!!!を合言葉に乙女達が立ち向かった。

イネス「説明しましょう!この自動追尾機能付羽子板『スマッシュ君2号』は・・・」
アキ「イネスさん・・・反則負けです」
イネス「ガーン」

メグミ「来なさい、リョーコさん!!
 これでも私はお蝶婦人のアテレコをやった事があるんだから!」
リョーコ「うぉら!!!!!」
メグミ「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
アキ「メグミちゃん・・・形から入ったって・・・」

エリ「私にも出番を・・・」
リョーコ「うぉら!!!!!」
ジュンコ「私にも・・・」
リョーコ「うぉら!!!!!」
ハルミ「私・・・」
リョーコ「うぉら!!!!!」
エリ、ジュンコ、ハルミ「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
アキ「三人がかりでもダメでしたか・・・」

ということでいつの間にか決勝戦。
大本命リョーコの対戦相手は意外にもマキ・イズミであった。

イズミ「校長が絶好調・・・なんちって」
エリナ「・・・・・」
イズミ「ほい・・・」
エリナ「あう!」
「・・・という調子でイズミ選手は相手をギャグの寒さで硬直させた隙にスマッシュを決めております!!」
ウリバタケが脱力した様子でつぶやいた。

「言っとくけど、オレにはダジャレは効かないからな!」
「誰じゃ、ダジャレを言うのは」
「リョーコ選手、イズミ選手の間によくわからない火花が飛び散っておりますが、両者の勝負をどう見ますか?アカツキさん。」
「順当に行けばリョーコ選手ですが・・・イズミ選手の意外性がどこまで発揮されるかですね、ウリバタケさん?」

戦闘開始・・・

リョーコ「うぉりゃあああああああああ!!!」
イズミ「甘い!!」
リョーコ「何!?」
イズミはリョーコのスマッシュを打ち返した。

イズミ「甘いわね。このレシーブ小町と呼ばれたマキ・イズミにその程度のアタックで勝てると思ってるの?」
レシーブ小町なるものが存在するかどうかは疑わしいが、既にシリアスイズミにチェンジした彼女の戦闘能力はリョーコに匹敵するものがあった。

だが、しかし・・・・

「スマッシュ!」
「レシーブ!!」
「スマッシュ!」
「レシーブ!!」
「スマッシュ!」
「レシーブ!!」
「スマッシュ!」
「レシーブ!!」
「スマッシュ!」
「レシーブ!!」

「既に30分以上のラリーの応酬が続いておりますが・・・アカツキさん?」
「そろそろみんなダレてくる頃ですが・・・ウリバタケさん」
リョーコのスマッシュをイズミがレシーブで拾ってあげ、それをまたリョーコが打ち・・・という繰り返しを延々としていたのであった。
さっきから両者1ポイントも取っていない。

「イズミ・・・やるじゃないか・・・」
「リョーコこそ・・・」
「「・・・・・グフ!!!!」」
パタリと両者同時に倒れてしまった・・・。

ゴート「ワン!ツー!スリー!」
ゴートがレフリーの格好をして競技場にのぼり、カウントを開始し始めた。
アキ「・・・これってボクシングですか?」
プロス「しかし、羽根突きは選手ダウンのことを考慮に入れておりませんでしたので・・・」
ゴート「ナイン!テン!!!」
カンカンカンカン!!!(どこかでゴングの音)

ウリバタケ「両者ノックアウトにつき、この試合は没収試合となります!!」
アキ「で、優勝者は?」
ウリバタケ「現在3位の位置につけておりましたエリナさんの勝利となります」
エリナ「ラッキー!!」
エリナは棚ボタ勝利に喜んだ。



で、最終結果は?


プロス「ということで結果を発表させていただきます。
 最多得点は・・・なんとミスマル・ユリカさん!」
ユリカ「ブイ♪」
プロス「次は・・・追い上げ惜しかったですねぇ、エリナさんです」
エリナ「く!」
プロス「以降はまとめて・・・メグミさん、リョーコさん、ミナトさんetc.・・・」
一同「まとめるな!!!」

ユリカ「特製おせち♪特製おせち♪特製おせち♪」
プロス「ということでユリカさんにはボーナスとして目標値を+5kgしてください。」
ユリカ「はい?」

一同、皆きょとんとした顔をする。
特にユリカなどは特製おせちを食べれると思っていただけに余計だった。

プロス「あれ、皆さんお忘れですか?この大会は如何に目標体重に近づけるかが勝負ですよ?
 そのために競技で汗をかいていただいたわけですし。
 で、皆さん痩せましたか?」
一同「えーっと・・・・・・・・」
プロス「ささ、こちらで体重測定してください。」
一同「サー・・・・・(青ざめる)」
勝敗に夢中になって結局当初の目的をすっかり忘れていたようであった・・・

「ユリカさん、惜しかったですねぇ。ボーナスポイントを利用してもまだ足りなかったですね。
エリナさん、勝ちを狙ったのは良いですが、体重に全然影響がありませんでしたよ?
メグミさん、競技とダイエットの両方をバランスよくやっていたのは狙いが良かったですね。でも残念ですがニアピン賞です。」
リョーコさん、一番カロリーを消費されていたようですが・・・途中のケーキの食べ過ぎが響いてますね。元の木阿弥ですよ?
他は・・・」
プロスによって結果を次々と読み上げられる乙女達。赤面したり青くなったりしきりである。

ウリバタケ「おおっと、とうとう結果がまとまったようです!!」
彼の手元に結果が書かれた紙が回って来た。
ウリバタケ「栄えあるアマガワ・アキ特製おせち料理の権利者は!」
一同「権利者は!?」
ウリバタケ「ホシノ・ルリ選手です!!」
一同「えええええ!?????」

ルリ「ビクトリーです・・・・ゲップ」
ショートケーキ50個を平らげて、最後には口の中に2、3個を無理矢理詰め込んで体重計に乗ったルリ・・・それでようやく目標体重に達したようだ。

ウリバタケ「ルリ選手、アキさん特製おせち料理をゲットしたご感想をどうぞ!!」
ルリ「・・・・・当分何も食べたくありません・・・」
ウリバタケ「はい?」

それを聞いた乙女達がその直後第2回『アマガワ・アキ特製おせち料理争奪戦大会』を実行したのは言うまでもなかった・・・。

ちゃんちゃん!



ポストスプリクト


というわけで暴走しまくりの作品でしたが、いかがでしたでしょうか?
取り敢えず、ガイと新人さんの生死に関して言及してません(爆)

まぁ、よろしければ中略したお正月らしい競技なんぞ考えてみていただけると助かります。

っていうことで感想なんぞありましたらよろしくお願いします。

・・・・それにしても私のSSってとことんアキトが活躍しないなぁ(笑)

では。

Special Thanks!
・闇影 様
・たた 様
・AKF-11 様