アバン

やらなきゃならないことは解っている。
今更後戻り出来ないことも解る。

でも人ってそんなに割り切れないのよね。

ああ、この話はEXZSさんの「黒プリ」の、私が勝手に書いた外伝ですのでそのつもりで。


ナデシコ プリンセス オブ ダークネス
勝手に0.9話「女らしく」で行かなきゃならないのか・・・・・・



サセボシティ某ホテル


フロントA「いや、すっげえ美人だったよなあ。」

フロントB「あの格好はちょっとアレだけど、それを差し引いて余りあるよなぁ。」

 

ちょうど客の見えない時間となったフロントロビーで、気を抜いて2人のホテルマンが先程チェックインした女性のことを噂していた。

 

フロントB「なんか言葉遣いとかぎこちなかったけど、しゃべる度に赤くなって、そこがなんか可愛いというか・・・・・・」

フロントA「田舎から出てきたばかりなのかもな。」

 

2人とももう萌え萌えであった。

 

 

その噂の対象である女性は、・・・・・・借りた部屋のベッドの上で突っ伏していた。

「ああ、なんで俺が・・・・・・」

美しい妙齢の女性とは思えない汚い言葉遣い。
しかし当の本人は嫌悪感にそれどころではなかった。

「畜生!
あのフロントども、人のこと舐め回すように見やがって!!」

未だに鳥肌が収まらない。
好色そうな男の視線に晒されたとき、本能的に相手を撲殺したくなる衝動に駆られ、必死にそれを押さえ込んだ。

 

 

10分ほどそうしていただろうか。

 

 

彼女はやっと起きあがり、トランクを開け。
1通の封筒を取り出した。
封筒には可愛らしい字で『向こうに着いたら読んでね♪』と書かれている。
封を切り、中の手紙を読み始め。

そして彼女はまたも突っ伏した。

 

 

 

その手紙に書かれていた内容は以下の通りだったという。

 

『アキトさん、無事に着いたようですね。
メグミです。
こちらではたった数日しか演技指導できなかったので、そっちでの練習プログラムを書いていきますね。

予定ではそちらの世界のアキトさんは10日後に雪谷食堂をクビになりますので、そちらの準備と平行して練習してください。
いきなり実践で私は反対したんですけど、他のみんなが「せっぱ詰まった状態の方が良い」って言うんですよ〜酷いですよね。

さて、アキトさんはこれからアキトさんじゃなくアキさんなんですから、そのことにまず慣れなければなりません。
そこで毎日次のことをしてください。
・・・・・・』

 

 


「アキ」の為に・その1

 

『毎日10分以上の時間をかけて鏡に向かって髪をとかし、ついでにニコッと笑顔の練習!』

 

しゃ、しゃ、しゃ、・・・・・・・・・・

ニコ

しゃ、しゃ、しゃ、・・・・・・・・・・

ニコ

 

・・・・・・

 

 

「嫌だ〜〜!!!(泣)」

 

 


「アキ」の為に・その2


『女の子は身だしなみが肝心!
時間があるときは何度でもお風呂やシャワーに入りましょう♪』

 

服を脱いでシャワーを浴び、そしてまた服を着る。
こう書くと別段なんともない話だが・・・・・・

上着を脱ぎ、『女性物の下着』を脱いでシャワーを浴び、また『女性物の』下着を身につける。

ブラジャーやショーツを脱いだり身につけたりするとき、自分が「男として」なにか大切な物を失っていく実感があって・・・・・・

 

シャワーから出る度アキはベットの隅で膝を抱えた・・・・・

 

 

またある日、ブラジャーを着けるのが妙にうまくなってきた自分に気が付き。

 

 

その時は涙が止まらなかったという。



「アキ」の為に・その3


『言葉遣いは慣れるのが一番♪
テレビを見ながら、出てくる女の子の言葉を真似ましょう♪』

 

TV「ふぇぇぇ〜ん、浩之さん、どこですかぁ〜〜?」

アキ「・・・・・・ふぇぇぇ〜ん、浩之さん、どこですかぁ〜〜?」

 

TV「おーほっほっほっほっほ!
甘いわね!リナ・インバース!」

アキ「・・・・・・おーほっほっほっほっほ!
甘いわね!リナ・インバース!」

 

なんだか少し楽しくなってきたアキだった。

 

 


「アキ」の為に・その4


『部屋に閉じこもってばかりじゃダメダメ!
実践あるのみ、外の世界へGO!』

 

アキ「ねえ、このTシャツ3枚買うから、全部で4000円にまからない?」

男性店員「勘弁してくださいよ、お客さん(苦笑)」

アキ「そんなこと言わないで、オ・ネ・ガ・イ♪」

男性店員「まいったなぁ・・・・・・他のお客さんには内緒ですよ。
・・・・・・って、どうしました?お客さん?」

アキ「・・・・・・いえ、なんでも・・・・・・」

 

特訓の成果か急速に女言葉がうまくなり女性化している自分に気が付き、なんだか悲しくなったアキだった。

 


そして数日後

そうやって数日が過ぎた。

前ほど女のしての自分の行動に違和感も感じなくなってきた。
さあ、これからは多忙だ。
ルリにメールを出し終わったアキは、雪谷食堂へと歩いていった。
その後はエリナとの対面、『手紙』も忘れず持った。

 

「私は絶対に男に戻るんだから!!」

 

以前より確実に女性としての魅力を増した自分にホテルのフロントが見ほれているのにも気付かず、アキは力強く歩いていった。



ポストスクリプト


というわけでお送りしましたアキ支援SS。
いかがだったでしょうか?
3次小説って難しいですね〜。

狙いとしては、いわゆる『バチ物』です。
EXZSさんの作品がマスターグレード・ガンダムとしたら、この作品はモビルフォース・ガンガル的な位置付けでしょうか?

「うわ、間違って買っちゃったよ!!(涙)」

的な読者の苦情が最大の賛辞でしょう(おい)
バッタもんらしく背景画像・タイトル画像を似せて用意し、CSSファイルはほぼ流用させていただいた根性を笑ってやって下さい。

Special Thanks!!
・これを書く許可を下さったEXZS様