Column - 結婚までの2週間 -------------------------------------->

July 16, 2001 Sat.  - 結婚14日前
新居は決まっているが、引っ越しが完了しておらず自宅から通い。先日発注した冷蔵庫が納品されるということで新居に出向き設置してもらう。妙に眠くってそのままキッチンのフローリングでウトウト居眠りをしたら、変な姿勢で寝ていたせいか右肩が上がらなくなってしまった。鎮痛剤を飲んでも治らず、式を挙げる教会の非洗礼者に行われる勉強会も欠席。だらしがない。

夕方になっても痛みが引かないが時間もないので、新居用の電気製品を買いそろえるためヨドバシカメラと近所の電気屋をヨメとめぐる。以前にもめたガスレンジのみならず、アイロンやオーブントースターなどでも両家の生活習慣の違いを痛感。おもに使うのは彼女なので最終的には彼女の意見を尊重しなんとか決定。

購入した電気製品をクルマに積んで新居に運び込み、母親が買っておいてくれた弁当をヨメとふたりで食べた。テーブルもないので段ボールのうえにタオルを引いて簡易食卓のできあがり。わびしいといえばわびしいが、なんとなく楽しくもある。食べ終わったらふたりとも眠くなってしまいそのまま和室で仮眠。気付いたときにはすでに時計の針は12時を回っており、翌日のことがあるのであわてて解散した。当然のことながら、疲れているのは私だけではない。自分の都合もあるとはいえ、結婚準備の慌ただしさの中で相手を思いやる余裕をなくしていたことを反省しつつ就寝。おやすみ。


July 17, 2001 Sun.  - 結婚13日前
昼過ぎに婚礼家具が届く。覚悟はしていたが想像以上に立派で大きい。間取りや各部屋の大きさもあり、当初は婚礼家具は買わないということで話をしていたのだが。娘を思いやる先方のご両親の気持ちもわかるだけに複雑な心境。

その後、近所のホームセンターに新居で使用する生活用品の買い出しに行く。リビングにひくラグマットやトイレの便座カバー、風呂桶などを購入するが、ここでも趣味があわない。ヨメは私が機嫌を損ねるのを案じて最初に好みをはっきりいわないのでよけいにイライラする。最後に結局自分の好みのものに換えたいというのであれば、はじめからはっきり主張してほしい。

買ってきたものをもって新居に戻り、包装を解いて各場所に設置する。リビングに白いラグを広げたら明るくなったが、買い物のたびに同じことの繰り返しなので私の心は晴れない。作業が一段落付いたら8時近くになってしまったので「今日はもうあがりにしよう」といったところ、彼女は「ひと休みしていく」と。私は新居での居心地が悪かったのでそのまま自宅へ引き上げてしまった。家族にもたしなめられ、1時間ほど後に様子を見に行ったがすでに彼女の姿はなかった。

深夜、彼女から電話がかかってきた。新生活のことで私ともめたほか、親からも「感謝の気持ちが足りない」と叱責されたという。親と彼女の間でどのようなやりとりがあってそういうことになったのかはわからないが、何かしら親の機嫌を損ねるような言動か行動があったのだろう。前後関係もなく、怒られたと言うことだけ涙ながらに話されてもこちらとしてはどうしていいのかわからなくて困る。すでに時計の針は3時近くをさしていたので、今夜は寝るように諭して受話器を置いた。


July 18, 2001 Mon.  - 結婚12日前
昼過ぎに彼女から電話があり、風邪で仕事を休んだとのこと。昨日きつく接しすぎたか。しかし、結婚後も同じことが続くと疲れてしまうので、彼女にはこの「クセ」について真剣に考えてほしいと思っている。

和室に設置するエアコンの申し込みに件の電気屋へ。和室とダイニングキッチンを冷やすことを考え、当初考えていたものよりワンランク大型のものにすることにした。その方が冷却効率も良く電気代も安く抑えられそうだ。このところよく通っているので通常よりも安くしてくれた。工事日の相談もしてスムーズに終了。

続いて、電話加入権を買いに行く。これも近所で名義変更料を含み45,000円。ネットで調べたところもっと安いところもあるが、マイラインを指定のものから選ばなければならなかったり、キャッチホンなどの付加サービスへの加入が必須になっていたりする。また加入権を買ったことがないので、万一トラブルがあった場合、近場の方が交渉に行きやすいということもあって少々値段は高いが近所の店で購入することにした。

店主1人、客1人入ったらいっぱいになるような狭い店内にはいり、いわれるがままに「電話加入権名義変更依頼書」のようなものに住所、氏名を記入し、認印を2カ所に押すと、店主があげNTTに電話し慣れた口調で電話回線の開通の依頼と名義変更に必要な情報を伝える。そして上記代金を支払って手続き終了。明後日には使えるようになるという。気抜けするほどあっけない。

気になるフレッツADSLの申し込みについて訪ねたところ、名義変更が完了するのは21日なのでフレッツADSLの申し込みはそれよりあとにする方がいいと言われる。ただでさえ、申し込みから開通まで時間がかかるフレッツADSLだけに1日も早く申し込みたいが、仕方がない。

ひさしぶりに本屋に立ち寄ると、夢枕獏の「陰陽師」が目に付く。普段はあまり読むことのない作家であるが、つい手に取ってしまう。昨日の「知ってるつもり」を見たからだ。影響されやすい自分に苦笑しながらもそのままレジへ。近くの喫茶店で1時間半ほど読みふけり帰宅。


July 19, 2001 Tue.  - 結婚11日前
午前中、冷蔵庫と電子レンジ、ガステーブルが納品され、だいぶ人の住処らしくなってきた。午後からは、遅まきながら今のテーブル、ダイニングボードを買いに近所の家具店をめぐる。やはり平日は人が少なく見やすい。どちらもほぼ希望通りの品が買えたのでよかった。まだすこし時間があったのでさらにホームセンターに行き、生活に必要なこまごまとしたものを購入。ついでに念願の中華鍋も買い物カゴへ。テレビ番組などで中華の料理人がこれで手際よくチャーハンなどを作る姿に憧れていたのである。明日にでもさっそく挑戦してみよう。明日は、ようやく布団が納品されるので試しにヨメとふたりで泊まってみようと思う。足りないものだらけで深夜にコンビニに走る目になりそうだけれど。

ひさしぶりにスムーズに準備が進んだ1日だった。これからずっとこの調子で行くことを祈りつつ。


July 20, 2001 Wed.  - 結婚10日前
オーディオラック、布団などが続々と届く。残りはエアコンと食器棚ぐらい。何もないと広く見えた部屋も、いろいろ家財道具を置くと決して十分な広さはないことに気付く。そうこうしているうちに今度は大家さんから連絡があり、鍵を交換してくれた。ピッキングが心配だったので、ディンプル錠に交換してもらってひと安心。

気付けばすでに夕方。今日はヨメも来ることになっているので、夕食を作っておくことにする。ちょっと凝ったものにしようかと思ったが、時間がないのですぐできるカレーにする。近所のスーパーでひととおり材料を買い、カレーを煮込みメシを炊く。ちょうどできあがった頃にヨメが帰ってくる。さらに彼女がサラダとスープを作ってくれたので少しはまともな夕食になった気がする。

2週間ほど前に応募した会社から「ご希望には添えない云々」というメールが。今に始まったことではないが、世間の風は冷たい。がんばらねば。


July 21, 2001 Thur.  - 結婚9日前
せっかく昨日がんばって夕食を作っておいたのに、朝食は作ってもらえず。みそ汁は面倒だからだそうな。ま、そういやそうだけどなんとなく悲しいものが漂う。

昼過ぎに電気屋さんがエアコンを設置に来る。今日は涼しかったので何か温かい飲み物でもと思い、湯を沸かし、コーヒーカップを温めてから気が付いた。ミルクも砂糖もこの家にはなかったのである。自分はいつもブラックなので不要だが、まさか他に人にブラックを強要するわけにもいかないので、申し訳ないと思いながらも冷たい麦茶を出す。こんなことではお客さんも呼ぶことができない。忘れずに買っておかなければ。30を過ぎてこんなこともその場にならなければ気が付かない自分が情けない。本当に生活に必要なものをもう一度洗い出してしっかり準備しなければと反省。


July 22, 2001 Fri.  - 結婚8日前
今朝の目覚めは強烈だった。新居で環境が変わったせいか寝付かれずに朝を迎えたところ、どこからか女性の艶っぽい声が。最初は「朝っぱらからビデオなんて」と思っていたが、どうもクリヤー過ぎる。窓を開けて外を見ると、場所はわからないが確かに近所からの生声.。知ってか知らずか、窓を開けたままであるらしい。途中で目を覚ましたヨメは不気味だといって怖がるが、この辺の人たち全員がそういう趣向を持っているわけではあるまい。静かになったかなと思うと、また聞こえてきたりして途中から男性の声も混じり結局1時間程立ってから終了した模様。浜ちゃんならここで盛り上がって「合体」となる場面かもしれないが、今の疲れ切ったふたりには単なる騒音でしかない。

人間だから不用意な時間に欲望を感じることもあるだろう。しかし、普通の人が寝ている時間にはきちんと窓を閉めてください。お願いします。

早朝に静かなまちに「声」がガンガン響きわたる中を新聞配達のバイクやタクシー、トラックが何事もないかのように走り過ぎていくさまは、都市生活における他人への無関心を象徴しているようでおもしろくもあり、恐ろしくもあった。


July 23, 2001 Sat.  - 結婚7日前
彼女とともに最終の打ち合わせのため、結婚式会場のホテルへ。親戚だけのこぢんまりとした式であるため、特に問題もなく終了。いつになくひっそりとした館内の様子に「今日はあまり結婚式は入っていないんですか」とホテルの担当氏に何の気なしに問いかけたところ、「そうなんですよ。でも、午後からかなり大きな式が入っているんですよ」と。この担当氏、年の頃ならおそらく40歳前半の非常によくできた人で、今までおよそ他のお客の悪口などを口にしているのを聞いたことがなくサービス業の覧(かがみ)として尊敬していた。しかし、そちらの式のお客の相手はよほど大変だったらしく、準備に苦労したとこぼしていた(氏の名誉のために断っておくが、それでも、あくまで「苦労話」。決して「悪口」は言わなかった)。会社がらみの結婚式ということで私たちのような親戚だけの結婚式とはまったく次元の違う苦労があるのであろう。

私もホテルではないが、接客業に携わっていたことがあるので法人がらみの仕事がいかに気を遣うかわかるだけに氏の苦労がしのばれた。それでも、さわやかな笑顔でカラッと語る担当氏のプロ根性にはまさに感服。私も見習わなければ。


July 24, 2001 Sun.  - 結婚6日前
新居の整理をすこしした後、2次会用の小道具を買いに100円ショップへ。ゲームに使うスケッチブックやマジックなどをどさどさと買い物かごへ投げ込む。2次会の幹事は友人に頼んでいたのだが、私はどこぞの役人のように「丸投げ」を期待していたのに対し、彼の考える幹事のあり方は違ったらしく自分でいろいろと用意するハメに。最初に「幹事のありよう」をはっきりさせなかった私の責任だが、披露宴と新居、2次会の準備に仕事探しの4件同時進行はさすがに辛い。何がどこまで進んでいるのか自分でもよくわからなくなってくる。その場になればなんとかなるとは思うものの、「大丈夫かな」と思いながら毎日を過ごすのは精神衛生上あまりよくない。


July 25, 2001 Mon.  - 結婚5日前
すこしずつ新居に生活の重心を移しはじめて気が付いたこまごまとしたものを買い物に行こうと思っていたのだが、披露宴の席次表やら2次会のタイムテーブル作成をしていたらすっかり夜になってしまった。結婚式直前とはだいたいこんなものなのか、自分の仕込みが悪いのか。

結婚式の式次第や席次表を自分で作って印刷しようと思ったときは考えもしなかったが、実際にやってみるとインクジェットのプリンターでは時間がかかる。席次表は枚数が少ないのでちょっと色を付けたら、A4を1部印刷するのに2分近くかかっている。枚数が多いものは、さみしいけれどモノクロであまり飾り気もださない方がよさそうだ。いまさらになって、高くても結婚式場に頼んでおけばよかったかななどと後悔してみたり。でも、いつかこの経験は役に立つ、と気を取り直してひたすら印刷。夜明け前までには何とかけりを付けたいなぁ。


July 26, 2001 Tue.  - 結婚4日前
2次会の司会と打ち合わせ。新郎側友人から男性司会者、新婦側友人から女性司会者を選出し男女のペアで司会をやってもらう。男性司会者、つまり私の友人は、大学時代からの付き合いだがもともと企画好きで現在も放送作家をしているということもあり、打ち合わせをしているうちに、素人の私が作ったタイムテーブルがあっという間に朱に染まっていく。

おまけに司会登場後、新郎新婦入場前の「マエセツ」までかけあい漫才風にアレンジしたものまで準備してきてくれた。女性司会者と簡単に読み合わせするのを聞かせてもらったが微妙に笑いのツボをついていて私の好みである。さすがはプロと感心。新郎でなければ、私が相方をやりたいくらいである。

しかしそこで問題が。かけあい漫才の台本を前にして、女性司会者が自信をなくしてしまったのである。嫁を通じた私の依頼の仕方が「何もしなくてよい」というものであったし、またもともと人前で「芸」をする機会にもいままでなかったとのこと。私の説明不足でもあるし、人前で何かを演じるのが苦手な人がいてもそれも当然。急遽、嫁の別の友人をあたって彼女から快い返事をもらい一件落着。自分のような変人を基準にしてはいけないとは今日の反省点。


July 27, 2001 Wed.  - 結婚3日前
夕方までかかってなんとか印刷を完了。一軒家では気が付かなかったが、やはりマンションでは夜中に印刷をするのは隣近所への騒音がはばかられたので、昼間にのみ印刷していたら水曜日になってしまった。夕方からヨメも来て、印刷が上がった式次第や披露宴の席次表を二つ折りにしたり、台紙に組み合わせたり。結局、すべての作業が終了したころには時計の針は夜の8時半を過ぎていた。

ふたりで夕食をとりながら、お世話になった人々へのお礼やらの確認。飯は旨かったが、そんなことをしていて落ち着かなかったせいかいつもより味わっている余裕がなかった(Voiceと矛盾?)。

新居に戻るとヨメが体調の不良を訴え、そのまま横になってしまう。結婚前最後の1週間だから実家で過ごしたいとのことだったので、終電に間に合うように起こそうと思ったがあまりにもよく寝ているのでそのままにしてすでに深夜0時。明日は朝から友人が2次会で放映するビデオを撮影に来てくれるので早めに休むことにする。このままの顔では目の下がクマだらけなのでとても幸福そうな家庭をこれから築こうとする夫婦には見えないだろう。

スチルもビデオも人にレンズを向けることはあっても自分が映されるということはほとんど経験がないのでリラックスした表情でいられるかどうかすこし不安であるががんばりたい。


July 28, 2001 Thur.  - 結婚2日前
徹夜明けにもかかわらず午前9時に友人がビデオの撮影に来てくれた。蒸し暑いものの、天気は良く絶好の撮影日和となったのが幸い。彼も朝食はまだということなので、打ち合わせがてら近所のファミレスでヨメと彼と3人で入る。平日朝のファミレスは人もまばらでせわしなく行き交うクルマや人たちが見える窓の外とは対照的な雰囲気。こんな私でも緊張したのか昨日の夜は寝付かれなかったので腹にやさしい中国粥をかき込むように食べながらビデオの内容を確認しファミレスを出てさっそく撮影を開始する。

撮影者もまだ不慣れなため、われわれ俳優にうまく指示を出せないところもあるがそれは長い付き合いなので適当に彼の思考趣向を推察し、勝手にセリフをならべポーズを取る。すれ違う人々の視線が少々痛いが人生一回のことだし、わざわざビデオを撮りに来てくれた友人のためしょぼしょぼした目をめいっぱい開いて名優を気取った。

新居に戻って40分ほどの「作品」を3人で鑑賞。自分の演技が必要以上にわざとらしいことに鳥肌を立てつつも、司会に突っ込んでもらえればそれなりに盛り上がるネタになるかなと勝手に解釈してヨシする。自分では胸を張って堂々たる姿勢で話をしているつもりでも鼻の下をいじるクセが目に付いてしまう。せっかく気付いたのだから明後日の本番では気を付けよう。

夕方からヨメと新宿で買い物をしたあと、2次会の新女性司会者と会い打ち合わせ。直前のお願いにもかかわらず快く引き受けてくれた彼女に感謝しつつこれでひととおりすべての準備が済んだことにほっと胸をなで下ろして帰宅。そう思ったら急に疲れが出た気がする。日付が変わる直前に連絡が付かなかった古い友人にもやっと電話でき、2次会に来てもらえることがわかって安心した。誘いきれなかった他の友人にも声をかけてくれるとのことでなんとなく気分も晴れ晴れしたところで、そろそろ夜型の生活を改めるべく今日は早めに床につくことにする。おやすみなさい。


July 29, 2001 Fri.  - 結婚式前日
6月最後の平日ということで、今月の国民健保や年金等の支払い、ついでに買い物をしたら行く先々で「おめでとうございます」と祝ってもらえた。その前になじみの床屋で「結婚式向けに」とカットをお願いしたら、とても善良な市民の髪型にしてもらった効能なのかもしれない。

独身最後の日は、感慨にふけるまもなく、あっという間に過ぎていきました。行ってまいります。