闇のビデオライブラリ

 

ビデオタイトル

HAMMER HOUSE OF HORROR

ジャンル

ホラー・アンソロジー

原題

HAMMER HOUSE OF HORROR

制作国

イギリス

邦題(意訳)

ハマー・恐怖の館

出演

制作年

1980年

制作社

ハマー・プロ

監督

トム・クレッグ
アラン・ギブソン他

制作・総指揮

ブライアン・ローレンス
デヴィッド・リード
ロイ・スケッグス

原作・原案

脚本

備考

カラー/全13話676分

DVD情報

A&E/リージョンコード1/4枚セット

【Witching Time】

 映像音楽作家の男のもとにタイムスリップしてきた魔女が引き起こす、奥さんだか恋人とその浮気相手を巻き込んでちょっとエッチで結構ダークな物語。これはまあハッピーエンドなんだけど、魔女はいかにも淫乱で可愛げがないし、浮気の奥さんもごめんなさいだし、旦那もなんだかなぁだしで、感情移入ができませんでした。強いて言えば、馬と犬がかわいかったかな。

【The Thirteenth Reunion】

 取材のはずのダイエットクラブで女性記者が巻き込まれる、贅沢グルメの裏側。奇怪なグルメと相次ぐ怪死の原因といえば、おぞましいですねぇ。しかも肉切り包丁を振りかざされてのバッドエンドですが、「死美人の復讐」みたいに女性に振り上げてもらいたかったな。全編にわたって、全くもって救いがないってのもいやはやです。

【Rude Awakening】

 妻殺しやら秘書との浮気などの奇怪な夢に悩まされ、夢と現実の区別がつかなくなりつつある不動産屋の男は、極度のストレスからかいびきをかいて眠る妻を手にかける。喜び勇んで出社した男は秘書にダイヤのネックレスをもって迫るが、お縄になってしまいましたとさ。晩期のハマーらしい、ちょっぴりエッチでまあまあ愉快な作品。恐ろしい夢が繰り返されるわりには、なんかまともな終わり方があっけなかったかな。ま、結局ネックレスはちゃっかりいただいちゃう秘書も、なんとなく当たり前のオチだしね。

【Growing Pain】

 生物学者の父の実験の犠牲になったらしい子供が、養子に迎えられた少年と飼犬を操っての復讐譚は、かなりオーメンタッチ。研究用ラビットが結構キワモノ扱いなんで、動物好きにはちょっと厳しいかな。しかし、生体実験の成果がヒトデの化け物みたいなのが、とってもチープなのでした。

【The House That Bled to Death】

 とある家族が越してきた家は、かつて老夫婦の夫が妻を殺害した忌まわしい家だった。やがて次々と巻き起こる怪事件を締めくくるのは、その家族の幼い娘でした。というわけでバッドエンドのホラーハウス物なんですが、向かいに住む夫婦や不動産屋、果ては旦那も何か含むところがあるみたいです。英語力がないのでなんともいえませんが、どうも不動産屋が実は作家で、ホラー小説を書くために仕組まれたようにも見受けられます。少女に幽霊がとりついたなんてオチよりも、実は全部人の思惑が引き起こした惨劇のほうが怖いですね。

【Charlie Boy】

 気晴らしのつもりで使っていた呪いの人形、実は本物の呪術人形で、もののはずみで呪いをかけた相手の写っている写真には自分も写っていたのでした。まあ、呪いの人形に自分も破滅するというよくあるパターンですが、そのおかげでなんとなく安心できる一作です。

【The Silent Scream】

 ペットショップの老主人、裏では猛獣を飼っているんですが、実は人間を飼ってみたいと思っていました。そして一組のカップルを陥れるんですが、ちょっとしたミスで立場が逆転。やっとの思いで我が家に帰った夫婦でしたが、その家には老主人が猛獣の檻と同じ仕掛けをしてありまして、結局みんな閉じ込められちゃいましたといったお話。ハマーというよりも出来の良いアミカスっぽい雰囲気ですが、これは傑作。おまけに、老主人を演じるのがピーター・カッシングで、女優もここまでの作品の中では及第点の容姿とくれば言う事なし。このシリーズ、実はあんまりかわいい女優が出てないんですねぇ。

【Children of The Full Moon】

 満月の子供たちといえば、人狼。というわけで郊外に住む人狼の一家がカップルを誘い込み、自分の子供を産ませるというものです。狼に変身するのは旦那だけで、奥さんはいたって普通のおばさん、子供たちは「光る眼」のような美形ぞろいなんですね。子供の髪の色なんかがかなりまちまちなんで不思議だなと思ったら、なんと人狼の子供を生んだ女性は亡くなってしまうのでした。物静かな子供たちが怖いですね。「The Silent Scream」にひきつづき秀作です。

【Carpathian Eagle】

 たらし込んだ男を次々に血祭りにあげる女連続殺人鬼ものかなと思ったら、その陰には若さを保つ秘密が隠されているという結末らしいです。どうやらエリザベート・バートリーをベースにしたもののようですね。このことは、ラスト近くになって殺人鬼が古い肖像画と同じドレスで出てくることから想像がつくんですが、映像での説明が不足しすぎで面白みに欠けてしまいます。映像はひたすらナイフでぐさりの殺害シーンばかりで、その後のフォローがないのが残念ですね。セリフで説明されているんだろうとは思いますが、英語力のなさも手伝って、登場人物の背景や繋がりもピンと来ませんでした。

【Guardian of The Abyss】

 オークションで鏡を競り落としたその日、男は何者かに追われている美女を助けます。しかしそれらは全て悪魔崇拝教団によって仕組まれたことで、黒ミサの生贄となった男は悪魔となって甦るのでした。バッドエンドなんですが、悪魔になるってどんでん返しがユニークですね。教団の手先の女性が、まさしく雪のような色白の北欧系の美人なんですが、ちょっとフォークロア、はっきりいって田舎娘ですな。まあ、脱ぎそうで脱がないのもなかなかエロティックでよろしいかと。

【Visitor From The Grave】

 一人留守をしていた奥さんが何者かに襲われるんですが、旦那の散弾銃で返り討ちにしてしまいます。そこへ帰ってきた旦那、警察に届けるどころか死体を穴掘って埋めちゃうんですね。この展開から怪しいんですがそれはさておき、殺した男の幻覚に苛まれる奥さん、高い金だして霊能者におはらいを頼むんですが、そこに現われた犯人の幽霊にパニクって自殺しちゃいます。さあ、喜んだのは旦那とその一味、殺したと思った男もちゃんと生きていて、実はみんな奥さんの財さんを狙っていたんですね。と札束を前に喜んだのもつかの間、今度は奥さんが本物の幽霊になって出てきて札束に火を放ち、復讐を誓うのでした。あ〜すっきりした。

【The Two Faces of Evil】

 とある家族がドライブ中に乗せたヒッチハイカーに襲われますが、旦那はひどい怪我をおうものの全員助かり、ハイカーだけが死んでしまいます。ところが、旦那の挙動がおかしいうえに、なんと旦那とハイカーは瓜二つ。恐ろしくなった奥さんは病院に戻って死体を確認しますが、乱杭歯の歯並びからそれが旦那ではないことを確認するんですね。ほっと安心して家に帰ってみると、なんと自宅の旦那も乱杭歯に。奥さんは子供を連れて逃げ出しますが、離れ離れになってしまい、逃げ込んだ納屋で再会した時にはなんと子供が二人に。しかも生きているほうは乱杭歯。さて、旦那もどきにもとっつかまって気が遠くなった奥さん、運ばれる救急車の中から運転席を見ると、そこには自分と瓜二つの女がいましたとさ。ハイカーだけが怪しいのかなと思わせつつ、病院ぐるみかなと発展させ、実は村ぐるみなんじゃないかと思わせる、なかなか先の読めないサスペンスは謎を残したまま終わっちゃいます。まあ、ドッペルゲンガーの村みたいなものでしょうか。作品自体も奇っ怪な傑作ですが、家族が借りる家がかやぶきっぽい屋根のかわいい家で、この片田舎の雰囲気が素敵です。こういう小さな傑作は、やっぱりハマーというよりもアミカスっぽいなぁ。まあ、ハマーのほうがゴージャスってイメージがあるからかもしれないんだけどね。なんか後の作品にいくにつれて面白さが増してきたぞ、このシリーズ。

【The Mark of Satan】

 病院で助手かなんかをつとめる男が、頭の中から聞こえる悪魔の声で狂っていくという、今で言う電波系の物語。こじつけのように悪魔の数字が多用されるんですが、5+4=9だとか、6×3=9+9だとか、四則演算を駆使して強引に9にしてしまうのはいかがなものかと。アパートと赤ちゃんというシチュエーションからローズマリーっぽいのかなとか、神父が出てきたり野犬のうなり声が使われたりするんでオーメンかエクソシストっぽくなるのかなと思わせるんですが、まったくそういう方向にはいきませんでした。ラストでは自分で頭の中から悪魔を取り出そうとするらしいんですが、どうにも電波系はわけがわからんですわ。

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