DVDタイトル |
BELLEVILLE RENDEZ-VOUS |
ジャンル |
コメディー・アドベンチャー・アニメーション |
原題 |
BELLEVILLE RENDEZ-VOUS |
制作国 |
フランス |
邦題(意訳) |
ベルヴィル・ランデブー |
出演 |
|
制作年 |
2003年 |
||
制作社 |
TARTAN FILMS |
||
監督 |
シルヴァイン・コメット |
||
制作・総指揮 |
ディディエ・ブルナー |
||
原作・原案 |
|||
脚本 |
シルヴァイン・コメット |
||
映像情報 |
カラー/78分 |
||
DVD情報 |
TARTAN VIDEO/リージョンコード2(PAL)/メイキング他収録 |
||
フランスのとある町はずれに住むおばあちゃんと孫の少年、そして犬のブルーノ。両親の写真を見ては寂しそうにしている少年に、おばあちゃんは三輪車をプレゼントした。すっかり自転車好きになった少年は、やがて自転車ロードレーサーとなる。やがておとずれたツール・ド・フランスの日、マイペースで黙々と走る少年と、彼をサポートするおばあちゃんだったが、そのあとをひそかにつけねらうマフィアの車がいた。レースも終盤にさしかかって脱落者が出始めた頃、少年は脱落者と共にマフィアに誘拐されてしまう。おばあちゃんはブルーノと共にマフィアの後を追い、貸しボートで荒波を乗り越えてアメリカに渡るのだが、行方を見失なったうえにお金もなくなり、路頭に迷ってしまった。途方に暮れるおばあちゃんが路地裏で自転車のリムを叩いてリズムをとっていると、そこへすっかり年老いてかつての華々しさも失われた3人組の歌手トリプレッツが現れ、4人のおばあちゃんと一匹の奇妙な生活が始まる。そしてある日、おばあちゃんずの出演するレストランに、孫を誘拐したマフィアのボスがやってきた。おばあちゃんずが彼らのあとをつけていくと、そこでは賭博バーチャル競輪が行われていて、誘拐されたレーサーたちがフラフラになりながらペダルをこいでいるのだった…。 BELLEVILLEとは架空の町の名前だそうですが、belle villeと間を切ると美しい町という意味になるのがちょっと洒落ています。というわけでタイトルは「BELLEVILLEへ行こう」ぐらいの意味になるようですね。なんてのはさておき、いかにもフランスらしい独特の手書きのタッチが生み出す暖かさを活かした、よく動くアニメーション。もちろん近作のならいにそってCGIも多用されていますが、それは決して前面に押し出されることなく、それでいてきちんと迫力が出されているという、バランスのとれた使われ方になっています。さらに、いかにもヨーロッパの作品らしくセリフがぎりぎりまで削られていますが、その分をきちんと映像によって状況描写されているため、フランス語がまったくダメな僕でもこの作品のおもしろさは十分に堪能できました。このような作風は今となっては古典的なものなのでしょうが、最新技術を駆使しつつも作風を引き継いでいるのは、お国柄という言葉では片づけられないものを感じます。日本の機械的な緻密さとは異なる、絵画的な緻密さにはイマジネーションをかき立てられるものがありますが、それでもやはり、独特のデフォルメされたタッチと、遅めのテンポになじめなければ退屈してしまうかもしれません。 そんな懐かしい雰囲気で描かれるストーリーは、やはりというべきかやや盛り上がりに欠けて冗長気味なものの、奇想天外という言葉がぴったりのおばあちゃんのアドベンチャー。巨大な貨物船を追いかけて外洋へこぎ出すおばあちゃんの手こぎボートも発想としてはあり得るのですが、本気で、しかも迫力満点に真面目に描かれてしまうと、いかに無茶でも思わず納得させられてしまいます。マフィアとのドタバタがメインとなるはずの後半に置いても、普通なら削ってしまうようなおばあちゃんずの生活がきちんと描かれていることに作り手の愛情が感じられますね。もっとも、トリプレッツのお食事の準備がカエル漁というのは、ちょっとグロテスクなんですけど。まあ、全編にわたってミュージカルな演出がなされているので、気になるところはリズムに乗ってさらっと流してしまうのがいいでしょう。クライマックスのカーチェイスは、パワフルなおばあちゃんずの大活躍にそんなバカなと思いつつもしっかり笑わされますよ。 2004年3月10日現在、日本での公開、発売は未定。 |