奇妙な犯罪者たち

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「透明人間と蠅男」(1957/日本)

 大戦に敗北し、自分一人を戦犯に仕立てて帰国した上官たちに復讐を誓った楠木博士は、蠅男薬を開発して男を雇って復讐をはじめた。そうこうしているうちに、早川博士が宇宙線の実験中に偶然透明化光線を発明したことを知り、蠅男はそれを奪おうと早川博士を殺害する。しかし、蠅男も水気に引かれるというその習性から煮えたぎった劇薬に飛び込むという「飛んで火に入る夏の虫」の情けない最期を遂げ、蠅男楠木博士と、早川博士の弟子、透明人間月岡博士はビルの屋上で人間同士の戦いを繰り広げる。蠅男が私怨ばかりをはらしていたり、元戦友が透明人間薬を作っていたり、蠅男と透明人間の直接対決がなかったり、大真面目な復讐劇のつもりがとんでもないコメディーになってしまった。余談ながら、ヴィンセント・プライスの「蠅男の恐怖」は1956年だが、日本未公開だった。この作品が「蠅男の恐怖」にインスパイアされたのかは不明だが、「The Fly」の邦題が「蠅男の恐怖」になったのは、本作中に使われた新聞の見出しが流用されたことが想像に難くない。さらに、「蠅男の恐怖」の物質転送装置が後述する「電送人間」に影響を与えたのではないかとも思うが、こちらもやはり根拠はない。余談ついでに、転送装置の真骨頂、「宇宙大作戦」が始まったのは1966年から。

「4Dマン」(1956/アメリカ)

 物質透過実験に成功したけど生命エネルギーの消費で老化が早くなってしまった博士が、若い女性を襲って生命力を奪う話。透過能力もろくなことに使っていない。

「顔のない眼」(1959/フランス)

 交通事故で顔に大けがを負った娘のために、若い女性をさらってきては皮膚の移植手術をする医者の話。白いマスクが不気味だけど、実は娘はとっても純真。

「電送人間」(1960/日本)

 軍資金横領に反対して生き埋めにされた仁木博士と須藤兵長が、物質転送装置を作って復讐する話。転送装置と同じ大きさの受信装置がないと物質転送できないとか、わざとらしい高笑いはどうかと思うけど、結構真面目なストーリー。

「ガス人間第1号」(1960/日本)

 宇宙旅行に耐えられる肉体改造という生体実験に失敗し、ガスになれるようになってしまった橋本が、自分のせいで疑いのかかった日舞の家元、藤千代をかばいつつも、藤千代の公演を成功させるため、資金稼ぎの強盗を繰り返す話。家元への愛のために強盗を繰り返して家元に嫌疑がかかるという、ゆがんだ愛のなせる本末転倒な悲恋。

「事件記者コルチャック・恐怖の切り裂きジャック」(1974/アメリカ)

 現代のシカゴに甦った切り裂きジャックと、どいうわけかいつも怪奇な事件に巻き込まれる記者コルチャックがたたかう話。

「スリーピー・ホロウ」(1999/アメリカ)

 殺された騎士が逆恨みして呪った村の殺人事件を、最初は科学力、しまいには力業で解決する話。雰囲気たっぷりのオカルト・スリラー。

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