ファンタジ−王国
PART1

戻る

バグダッドの盗賊(1940年/イギリス)

 大臣の陰謀によって投獄されたバグダッドの王は、その牢で出会った少年と脱獄する。しかし、大臣にとっつかまってしまい、少年は魔法で犬にされてしまった。というわけで王様が主役と思いきや、タイトル通りこの盗賊の少年が主人公の物語は、少年のドアップがやけに印象的な作品でした。さらに、コンラッド・ファイトが悪役を好演、ちょっとぽっちゃりしたファイトはチェザーレというよりもヴィンセント・プライス似。そして何よりもモノクロ全盛期にあって美しいテクニカラーは見ごたえあり。ちなみに1924年のダグラス・フェアバンクス版を紹介する予定でしたが、LDが見つからなかったそうな。

ジャックと悪魔の国(1962年/アメリカ)

 魔法使いにさらわれたお姫様を助ける冒険の旅に出たジャック、そうは見えないけど実は一介の農夫がソード&マジックの世界で大活躍。モンスターのモデルアニメは「シンドバッド七回目の冒険」にそっくり。それもそのはず、制作のエドワード・スモールが「シンドバッド〜」のヒットに便乗して集めたスタッフが、監督は同じネイザン・ジュラン、主演も同じくカーウィン・マシューズなのでした。ジム・ダンフォースの所属するプロジェクト・アンリミテッドによるモデルアニメのクオリティーはさすがにハリーハウゼンの比ではなく、ジム自身も「ひどい」と酷評していますが、まあ表情豊かな巨人などはよく動いています。さらに赤褌姿の巨人が出てくるんですが、これがバート・I・ゴードンタッチなのが印象的でした。(訂正:この赤褌巨人は前期「バグダッドの盗賊」の魔人でした)ところで、国内版のビデオは勘違いでした、出ていませんですすいません。輸入版ならDVDもあるでよ。

シンドバッド七回目の冒険(1958年/アメリカ)

 バグダッドの王子シンドバッドは、婚約者パリサ姫にかけられた魔法を解くため、その張本人魔術師ソクラと共に魔術師の島へとおもむく。ちっちゃくされたパリサ姫とランプの精ジニーも大活躍だ。1957年の「地球へ二千万マイル」まで主に怪獣映画を手がけていたレイ・ハリーハウゼン、そのダイナメーションをよりふんだんに盛り込んだファンタジー第一弾がこの作品。特に骸骨戦士のシーケンスはレイのお気に入りで、後の作品にも必ずといっていいほど登場します。他にもサイクロプスやドラゴン、小人化されたパリサ姫などなど言葉では伝えられない魅力満載。今後のトークライブでハリーハウゼン特集も予定されているので楽しみですね。レイの作品のほとんどは、国内版ビデオが現在でも流通しています。

ドラゴン・スレイヤー(1981年/アメリカ)

 時間の都合で未紹介。ちなみにこれが予定されていた時間帯には今をときめく丹野忍画伯が・・・!?

ラオ博士の七つの顔(1964年/アメリカ)

 アメリカの片田舎にやってきた謎の東洋人ラオ博士の見世物小屋は、小さな町の人々を不思議な世界へ誘い、ちょっとだけ幸せにしてあげましたとさ。というわけで見るからに胡散臭いラオ博士の七変化は、パペトゥーンで有名な、というより「宇宙戦争」で有名なジョージ・パル制作、ジム・ダンフォースの人形アニメをふんだんに盛り込んだ東洋の神秘。ちなみに、テントを建てていた雪男に入っていたのはラオ博士役のトニー・ランドールではなく、ジョージ・パルの息子でしたが、なんでテントを建てるのに雪男の姿をとらなきゃならないのかは謎。私の記憶が確かなら、ラオ博士一人が全てを演じているはずなんですが。まあ、あんまりストーリーのある作品ではありませんが、オムニバスタッチのエピソードはそれぞれユニーク、牧羊神パーンが女性の心を開かせるなんざぁ粋じゃねぇですかい。

 さてさて、この手のローテク特撮の仕組みや舞台裏を知りたいならば、こんな本あんな本がお薦め。

戻る