ホラー映画史Vol.7
番外編
「大蔵貢に乾杯!」

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 新東宝から大蔵映画時代にエログロ怪談映画を量産しました大蔵貢、今回のライブは彼の作った作品ではなく、輸入配給した海外の作品紹介でございます。

吸血原子蜘蛛

1958年 アメリカ バート・I・ゴードン

 町外れの洞窟に巣食う巨大な蜘蛛、これを殺虫剤で殺し、高校の講堂に展示します。さて、これを記念したかどうか、唐突に始まりましたダンスパーティー。しかし、ゴーゴーのリズムに乗っているのは人間ばかりではありませんで、なんと殺したつもりの蜘蛛は実は生きていて、動きだしたから学園大パニック。数学できんで何が悪い〜とライフルを乱射する生徒を腹に納め・・・などというシーンなどはありませんが、巨大蜘蛛はさらに巨大化して街へ繰り出します。逃げ惑う人々、悲鳴を上げ恐怖におののくお嬢さん、ビルの向こうを闊歩する巨大蜘蛛、逃げ惑う人々・・・が延々繰り返されてすっかり日も落ちたころ、一組のバカップルがあの洞窟へとやってきます。巨大な蜘蛛の巣をハンモックにしていちゃついていますと、やってきました巨大蜘蛛。タランチュラは巣を張らないんじゃないのかというつっこみはさておき、巨大蜘蛛バスターズもやってきまして人間対巨大蜘蛛の壮絶な決戦の火蓋が切って落とされます。しかしそこは巨大蜘蛛バスターズ、放電バチバチの秘密兵器の前に、恐怖の吸血原子蜘蛛はあえなく屈するのでした。

 

怪談パリの化け猫

1946年 アメリカ レスリー・セランダー

 町を闊歩する巨大な黒猫のイメージフィルムを交えつつ、パリの町を恐怖のどん底に陥れたらしい、猫男の惨劇のようなものを描いた映画です。禁断の「原稿」を手に入れた作家がどうこうするらしいんですが、この歯切れの悪さはストーリーが今ひとつ把握できなかったからであります。ヒロインがいくら銃弾を打ち込んでもびくともしない猫男、なぜか背後から打ち殺されてしまうんですが、ヒロインの拳銃には空砲が詰められていたのでした。西部劇を得意とするこの監督、パリの酒場にも派手なケンカシーンを入れてありまして、ここだけ雰囲気がちがいましたねぇ。

 

怪談生娘吸血魔

1960年 イタリア アントン・ジュリオ・マジャーノ

 皮膚の研究をしているレヴィン医師が新薬を開発しまして、事故で顔にひどい傷をおった女性セレーに投与します。彼女は一時的に回復しますが、薬の効き目が切れると以前よりも悪化しちゃいます。傷さえなければ美しいセレーにレヴィンが心を奪われ、恋人の看護婦に嫉妬されるなんてお約束はさておき、移植用の皮膚を求めて夜な夜な殺人に手を染めるようになったレヴィン医師は、妙な薬を服用してジキル&ハイドのような怪人になってしまいます。なんで薬の改良に精を出さないのかな?というのはさておき、連続する奇怪な事件の犯人がレヴィン医師だと突き止めた警察は、医師の家に乗り込みますが、博士は下男に殺されて幕を閉じるのでした。マリオ・バーヴァの作品として紹介されることが多いようですが、これはマリオ・フーヴァという名義を使ったエリオ・イッポリート・メリーノなる、全然別人の作品なのでした。

 

幽霊屋敷の蛇淫

1964年 イタリア アンソニー・ドーソン

 幽霊が出るという屋敷で無事一晩過ごせるかどうかってかけをして、幽霊たちが生前の姿を演じる恐怖の夜をバーバラ・スティール演じる優しい幽霊に助けられて過ごし、夜明け間近に屋敷を抜けだすことができたんだけども屋敷の門に挟まれて絶命しちゃしまして、かけの相手が死体の懐から財布を抜き取っていく話しです。

 ビバ!バーバラ!というわけで、バーバラ・スティール出演の「たたり」みたいな作品ですが、優しくて報われない幽霊というごく普通の役所なのがぱっとしませんねぇ。幽霊だからこの屋敷から離れられないといって消え去るシーンは印象的です。縁起担ぎから蛇を使うことの多かった大蔵貢、きっとこの作品の蛇もお気に入りだったんじゃないかな。

 

太陽の怪物

1959年 アメリカ ロバート・クラーク

 放射能の影響で、太陽の光にあたると怪物になってしまう博士のお話。似たような怪物がつづいちゃって、あんまり印象に残ってないのでした。

 

美人島の巨獣

1952年 アメリカ W・マール・コンネル

 「紀元前100万年」のフィルムを多用したアマゾネスタッチの作品でした。いつも不思議に思うんだけど、動物虐待恐竜をやたら使いまわされる紀元前100万年、著作権ってどうなってたんでしょうねぇ。とても全部がストックフィルムだとは思えないんですが。

 

花嫁吸血鬼

1960年 日本 並木鏡太郎

 映画のヒロインをめぐる争いから自害した女優が、怪物となって友人たちに復讐する話。これは大蔵貢製作で、純情派の池内淳子がナマハゲのようなメイクで演じる怪物がぶっとびなのでした。

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