ホラー映画史Vol.6
AIP篇1
「金欠ホラー製造工場」

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海底1万リーグからの妖怪
The Phantom from 10,000 Leagues
1955年 ARC

 科学者が放射能の海洋生物に対する影響をしていました。その放射能の影響で怪物が生まれてしまいますが、この怪物を殺そうとした教授は自分もダイナマイトの爆発に巻き込まれておしまい。悪いことはできないという教訓ですな。

金星人地球を征服
It Conquered the World
1958年 AIP
ロジャー・コーマン/ポール・ブレイズデル

 金星との交信に成功したアンダーソン博士、文明の発達した金星人は地球に発展をもたらすと信じて、金星人を呼び寄せます。ところが、やってきたのは見るからに凶悪な怪獣が一匹だけ。おまけに地球を征服しようと攻撃を仕掛けてきます。それも、コウモリみたいな生き物を飛ばし、これにかまれた人間は金星人の支配下に置かれるというもの。

 軍隊が出動するも、銃弾もバズーガ砲もこの巨大なカニのような、イカのような、カブのような、きゅうりの出来損ないのような、ソフトクリームのコーンが牙を生やしたような金星人には通用しません。

 私がなんとかするしかないと金星人の前に立ちはだかったのは、アンダーソン博士の友達のネルソン博士、軍隊すら歯が立たなかった金星人にどう対抗するのか! なんと博士が手にしたのはガスバーナー。隙だらけの金星人に隙をついて走り寄った博士、ガスバーナーの炎を金星人の目に押し当てます。しかし金星人もその強力なハサミで博士を締め上げまして、相打ちとなって両者果てておしまい。

 さてさて、この金星人もポール・ブレイズデルがデザインしたもので、やっぱり自ら中に入っていました。ちなみに、最初に作った金星人、高重力の星にいたからとちっちゃいのを作ったら、呆れた女優に蹴飛ばされちゃったんだそうで。で、ロジャー・コーマンは怪獣はでっかく作ろうという教訓を得たんだそうな。ちなみに、あのリー・ヴァン・クリフおじさんがアンダーソン博士を演じていました。

 ちっともためにならない余談ですが、後の「トランシルヴァニア・ツイスト」なんて作品で山よりも巨大な金星人が悪魔として出てきます。もちろん、ロジャー・コーマンが絡んだ作品。小さく作った時の怨みでもあったんでしょうかねぇ。ちなみに、金星ガニとは故大伴昌司氏の命名。

暗闇の悪魔/大頭人の来襲
Invasion of Saucermen
1957年 AIP 
ポール・ブレイズデル

 でっかいキャベツ頭がユニークな、暗闇には強いけど光に弱かった宇宙人の、ズッコケ地球来襲失敗のお話し。プロデューサーのロバート・カーニーがモンスターはでかくしろと命令したものの、なぜか頭だけでかくなったのでした。

心霊移植人間
I was a Teenage Werewolf
1957年 AIP
ハーマン・コーエン

 後に「大草原の小さな家」でお父さんを演じるマイケル・ランドン演じる高校生のトニー、すぐにカッとなる粗暴な性格を直そうと病院にやってきます。そこに待っていた精神科医が、これまた「怪人フランケンシュタイン」でフランケンシュタイン博士を演じていた役者。というわけで、トニー君は妙な薬を打たれちゃいます。で、ふだんは落ちついた優等生、成績もぐーんとアップするんですが、その反動のように狼男に変身するようになります。

 さて、この困った体になったトニー君、ある時体育館で女生徒のレオタードを見たらムラムラと欲情して、狼男に大変身。女の子を食い殺して逃げ出したところを警官に追われ、精神科医のもとへ助けを求めてやって来ます。が、結局警官に打ち殺されておしまい。

X星から来た吸血獣
Night of the Blood Beast
1958年 AIP
ロジャー・コーマン

 宇宙生物に寄生された宇宙飛行士、レントゲンでお腹を見るとエイリアンの子供が! というわけで「エイリアン」の元ネタ的作品。食べた人間の知識を取り込んでいくこのエイリアン、宇宙飛行士に寄生して地球に乗り込もうとします。しかし、宇宙飛行士は自殺して、エイリアンは飛行士の友人たちによって焼き殺されちゃっておしまい。ところで、このエイリアンの着ぐるみは「恐怖の獣人」に使いまわされています。

恐怖の獣人
Teenage Cave Man / Prehistoric World
1958年 AIP
ロジャー・コーマン

 ハーマン・コーエンのティーンエイジ怪物二作ががヒットしたおかげで、Prehistoric WorldからTeenage Cavemanに改題された作品。これにはさすがのコーマンも怒りまして、その逆鱗に触れたのか仲違いしたのか、コーエンはもう一作ほど作ってイギリスに渡りました。原始時代かと思ったら核戦争後の地球だったという、猿の惑星の先駆け的な作品。でも、X星から来た吸血獣の着ぐるみ、こちらでは本当の着ぐるみとして使われていまして、中には長老が入っていましたとさ。

吸血怪獣ヒルゴンの猛襲
Attack of the Giant Leeches
1959年 AIP
ロジャー・コーマン

 フロリダはエバーグレース、妻の浮気を知ったダンナが、現場の沼へライフルをもってやって来ます。ところが、妻と浮気相手は行方不明になっちゃいまして、ダンナは駆けつけた警官に逮捕されます。しかし、妻と相手は放射能で巨大化した二匹のヒル怪獣にさらわれていて、血を吸われていました、というお話し。もろ着ぐるみなヒルですが、結構がんばって動いています。

巨人獣
War if the Colosall Beast
1958年 AIP
バート・I・ゴードン

 1957年の「戦慄!プルトニウム人間」の続編。 前作のラスト、軍隊の攻撃を受けてダムの底に消えた巨人マニング大佐、顔の右半分を破壊されてより怪物らしくなり、メキシコで食料輸送トラックを襲っては生き延びていました。まあいろいろあってスクールバスの子供を人質に公園にたてこもったマニングくん、わずかに残っていた人間らしさに妹の声が届き、高圧電線にふれて自殺します。「サイクロプス」と前作に続く、巨大モンスター監督バート・I・ゴードンの名作。映像はすっとこどっこいですが、モンスターとはいえ被爆者の苦悩を描いた結構ハードな脚本なんですね。

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