4/17 「クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ ブリブリ 3分ポッキリ大進撃」を観てくる。

 突如出現した巨大怪獣尻まるだしは、都心を火の海にしながら埼玉県春日部方面にその足を向けていた…ではなくて、野原一日の慌ただしい朝の風景を、昔懐かしい早回しサイレントで描いたほのぼのとした作品、でもなくて、エネルギー生命体「ミライマン」に、時空のひずみから生じる怪獣退治を行きがかり上まかされた野原一家の、3分間の戦いをひたすら積み重ねた話。

 「大人帝国」と「戦国大合戦」という大作以降、迷走を続けるクレしんシリーズ、本作においていよいよ投げやりになってしまったかと思わせられる仕上がり。ネタもと「ウルトラマン」同様、3分間しか変身していられないため、短いシチュエーションの積み重ねとたたみかけで進行するのですが、そのシチュエーションも怪獣の作画も徐々に投げやりになっていくようで、疲れ果てていく野原一家と同様、観ているこちらまで疲れてしまいました。そのため、肝心なクライマックスで気が逸れてしまったのか、クライマックスに吸引力がなかったのか、偽ウルトラマンの言動に説得力が感じられなかったのが残念。家族の未来という「大人帝国」で打ちだしたテーマを叫ばせていても、パラレルワールドとリアルワールドの窓口が野原一家だけでしかないため、空回り気味。肝心なヒーロー、ヒロインへのあこがれと変身願望がギャグの一つでしかなく、今ひとつ熱意が感じられませんでした。またもや正面から絡まないゲストキャラですが、今回ばかりは子供たちの興味をひくことができたようで何より。

 まあ、笑えることは笑えるのですが、その面白さが刹那的というかはかないというか、あとに残るものがない脆さを隠しえないような気がしてなりません。子供むけならばこれでも及第点ですし、翌日の学校の休み時間の話題に上っているようなら成功なのですが、劇場版第8作「嵐を呼ぶジャングル」までの純粋なおバカさを取り戻すことも、もはや不可能なのでしょうか。そもそも、劇場版だからといって、TV版のお茶の間の楽しさを大きく逸脱する必要はないと思うのですが。これが、先にあげた「迷走」であって、パワーダウンの一途を辿っていないことを望むばかりであります。

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