1/1 パイレーツ・オブ・オーロラ谷「劇場版とっとこハム太郎 ハムハムグランプリン オーロラ谷の奇跡 リボンちゃん危機一髪!」を観てくる。

 底冷えのする雪の積もった朝、公園を散歩していたリボンはオーロラ谷から来たという妖精に、ただ一匹雪を降らせることができるスノープリンセスとして、ハム太郎たちと共にオーロラ谷につれていかれてしまう。しかし、谷では海賊ハムクックたちが待ちうけており、寒さが苦手な海賊たちは雪を降らせられてはたまらないとリボンを連れ去ってしまった。すぐさま海賊のアジトに乗り込んだハム太郎たちは話し合いの末、オーロラグランプリンレースで決着を着ける事になる、というお祭り騒ぎ。

 映像のクオリティーも十分、プロットも設定も素晴らしい、何よりも海賊ハムクックの男気がたまりません。しかし、惜しい事に話のかんじんな部分をすっ飛ばしすぎて、あまりにも説明不足が目立ちすぎます。特に、オーロラグランプリンがどのようなレースであるのか、レースそのものが始まってしばらくしないとさっぱりわからないというのはお粗末すぎでしょう。何よりも、合間合間の非常に間の悪いところにはさみ込まれる歌や踊りがいただけません。これがまたレースが終わってさあほんとうのクライマックスというところに入ってしまうおかげで、緊張感が途切れてしまい、この手のお約束ではあるものの、リボンの涙が滑稽にすらみえてしまうのだからもったいない。お祭り騒ぎを減らして、雪がないというオーロラ谷の困惑とレースの状況描写にもっと力を注いだ構成にするべきでした。もともとがコメディーミュージカルなのですから、そういう描写をミュージカル仕立てにしてもよかったでしょうね。これ、子供向けだからいいだろうと思ったら大間違いです。そもそも対象となる年齢層には全く理解のできない単語を多用しているのだから、いったいだれに何を訴えたいのかというポイントがすっかり曇ってしまっているのです。いや、ただドンチャン騒ぎがやりたかったというのなら、これでもいいでしょうけど、せっかくいいプロットを用意しているのだから本筋をもっとしっかりと描いていれば、小さな子供たちの心に訴える力が倍増していたと思います。ところで、話に絡んでこないミニハムズはどうでもいいとして、ハムスターの妖精であるプリンがときどき人間の姿になるのには何か意味があるのか? あれか、大きなお友達へのサービスのつもりか? それもまあいいかもしれないけど、ゲッツは無駄にうるさいからいらない。こういう無意味なゲスト起用、いい加減なんとかならないものでしょうか。劇場でノッていた子供は一人もいなかったように見受けられましたぞ。まあ、ハムクックの生い立ちや男気が全てをチャラにしてくれる、ユニークな作品なのだ。

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