12/31 地方制覇「犬夜叉/天下覇道の剣」を観てくる。

 日暮神社に伝わる叢雲の剣が突然宙を舞い、下校中のかごめと犬夜叉の前に突き立った。その瞬間、二人は世界の破滅を垣間見る。その剣が父の持っていた叢雲牙だと知った犬夜叉は剣を鞘に戻そうとするが、剣の力に取り憑かれてしまった。犬夜叉は剣を壊すために骨食いの井戸をくぐるのだが、そこには叢雲牙の力に導かれた兄、殺生丸が待ちうけていた。そして叢雲牙は、この兄弟に意外でおそろしい道を歩ませる…。

 テレビ版の数話をまとめて劇場で観ているといった感じの、思ったほどスケールの大きくない作品。というのも、テレビ版のほうがストーリー、映像ともにクオリティーが高く、この劇場版は妙にピントが甘いというか、絵の輪郭がボケてしまい、全体に薄暗くなっているのです。作画も結構荒れていましたし。こんな状態で回想シーンをさらにぼかしてあるのですから、目が疲れてたまりません。これ、まさか最後にデジタル処理でやっつけたわけじゃないですよね。モブシーンのいくつかは、まんまPCゲームでしたし、テレビで見たほうがきれいにみえるんじゃないかな。まあ、画質に関しては劇場の設定に原因があったのかもしれませんが、強大な力を持つ剣をめぐるにしては、物足りないストーリーですね。村を襲ったときの黒龍波の威力が、犬夜叉、殺生丸の兄弟が持つ剣を相手に半減してしまうという設定がいけません。天下を取るほどの剣なのですから、もっと甚大な被害を描かないと迫力を出すことができないでしょう。さらに、犬夜叉の出生、鉄砕牙と天生牙が意味するもの、それぞれを兄弟に持たせたわけなど、いくらなんでもそれなりにシリーズを見ていればわかってしまうことを、ことさら謎扱いされても面白くもなんともありませんって。これで本当に想像どおりのオチが付いたら、がっかりしますよ。まあこれはシリーズのテーマなのでいいとして、犬夜叉が切り落とした殺生丸の左腕って、簡単にみつかるところに干からびもせず転がっていたのね。これじゃギャグでしょう。そうでなくても、クライマックスにあってさえ小さなギャグをちりばめてあるのですから、もう少しシリアスでリアリティのある本編を追究するべきじゃないでしょうか。傷ついたヒーローがラストで力を振り絞る、そうでなくてもパターンなんですから、かんじんなところではあんまり笑わさないほうがいいと思いますよ。いや、コメディーリリーフも頑張っているんですが、今ひとつめりはりが感じられませんでした。

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