11/30 苔の一念岩をも砕く「ファインディング・ニモ(吹き替え版)」を観てくる。

 カクレクマノミの夫婦マーリンとコーラルは、二日後にひかえた卵のふ化を待ちわびていた。しかし、そんな幸せも一匹のバラクーダーによって引き裂かれてしまう。マーリンはたったひとつ残された卵から産まれた息子ニモを大事すぎるほど大事に育てるのだが、そんな彼に反発したニモは珊瑚礁から離れたところを人間に捕まってしまった。ニモを連れ去ったボートを見失ったマーリンは、偶然通りかかったドリーを道連れに、ニモを探す冒険の旅に出る。

 子供を飽きさせないためか、近作独特の恐ろしく早い展開なのは致し方ないところでしょう。それにしても、マーリン夫婦を襲う悲劇が冒頭あまりにも早すぎるのには、唖然としてしまいます。しかし、そこからあとのマーリンの冒険は、極端な心配性の彼に、極端に楽観的なドリーを組み合わせ、この極端な個性のぶつかり合いも相まって盛り上げる盛り上げる。さらに、ニモに科せられた運命もまた、ただじっと待っているだけではなくニモを冒険に導いています。そんなニモを取り巻く仲間たちもまた個性的で愉快な連中ばかり。個性といえば、群れをなす大量の魚たちにも、その群れそのものを個性的に描いているあたりがユニーク。もっとも、本来なら天敵になるものを味方につけ、立ち向かうのが物言わぬものや自然がほとんどというのは、北米の子供向けということからわからないでもないが少々気になるところでもありますが。

 もちろん、CGIながら存在感とリアリティーは満点。ユニークなエンドロールには、「モンスターズインク」のあいつも登場するのでお見逃しなく。ちなみに、クマノミはブーのオモチャとしても登場していたりしました。子離れできないマーリン、自立してゆくニモ、性格が正反対であるがゆえにお互いに何かを得ていくドリーとマーリン、さらに大切なものを教えてくれるサメやカメたち。使い古されたフレーズながら、素晴らしい愛と冒険のファミリードラマとなっています。いつもながら日本公開が大幅に遅れるのもくやしいですし、北米公開どおり夏向けかなと思っていましたが、クリスマスに観るのも悪くはないですね。そして、逢いたいな・・・と。

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