10/20 豪快ソウルフルコメディー「女神が家にやってきた」を観てくる。

 真面目一筋のピーター・サンダーソンは、仕事のために家庭を顧みず、妻と子供に家を出られた弁護士。彼はその寂しさを紛らわすため、チャットにのめり込み、金髪スレンダーの美人女性弁護士シャーリーンと知り合った。しかし彼女との初デートの日、彼の家に訪れたのは大柄な黒人女性。すったもんだの末、行きがかりからシャーリーンを家におくことにする。豪放なシャーリーンのおかげで、ピーターと元妻の元から預かった子供たちとも上手くいきかけたのだが、テレビニュースでシャーリーンが脱獄囚であることを知ってしまう・・・。

 プロローグの雰囲気からして、ベタベタなネタのクラシックスタイル・ラブコメディーかと思いきや、さにあらず。おまけに、キャットファイトまで見せるクイーン・ラティファ全開かと思いきや、スティーブ・マーチンも負けじと暴走。この二人のファッションショーとしても楽しめますが、スティーブ・マーチンのヒップホップダンスにはぶったまげてしまいました。しかも、ファミリードラマをメインに据えながらも、人種、仕事、家庭、子供、夫婦、事件といったストーリーを上手く絡めたストーリーは、すべて投げっぱなしにはしていません。そつなく、悪く言えば小さくまとめながらも、きちんと問題定義と解決をしているこの脚本が秀逸ですね。いくらコメディーでもそれはちょっとやりすぎじゃないかと思うスラップスティックなパーツも、しっかりとフォローされているのがユニーク。このおかげで、ちょっと引いちゃうようなシーンでも、ホッと一安心。シャーリーンが実は事件の黒幕の一人ではないかという展開も、想像は付くものの無理なく騙してくれます。事件解決のクライマックスも、コメディータッチでありながらしっかりアクション&サスペンスしているので、ドキドキしながらもゲラゲラ。そして、ピーターの同僚でちょっと変わり者のハウイーに、ピーターが仕事の依頼人として獲得しようとする億万長者のアーネス夫人がまた、脇役としていい味を出しているんですよ。とりあえず、無意味なキャスティングはまったくありません。ハートウォーミングでありながら、無理に泣かせようとしない展開も好印象です。場面に合わせた劇判の選択も、スタンダード、ブラック・コンテンポラリー、ソウル、ヒップホップと雰囲気を盛り上げてくれています。

 とまあべた褒めしてみたんですが、全体的にはTVホームドラマの長尺版と言えないこともありません。スケール感はちょっと小さいかなという雰囲気は否めませんが、説得力のあるクイーン・ラティファに説得されちゃいましょう。あ、彼女が劇中で歌わなかったのはちょっと残念かな、アレサ・フランクリンっぽい雰囲気があっただけにね。そうそう、アメリカでは携帯電話も頑丈なんだな。少なくとも、無傷じゃいられないと思うぞ。

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