10/13 奇想天外サスペンス「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」を観てくる。

 1899年、ロンドンとドイツは、それぞれの国を装った何者かによる襲撃事件が相次いでいた。疑心暗鬼に駆られた両国は、一触即発の臨戦態勢に入ろうとする。しかし、戦争を未然に防ぐため、英国政府のMは、冒険家アラン・クオーターメインをアフリカから呼び寄せた。そして彼を中心に、ロドニー・スキナー、ネモ、ミナ・ハーカー、ドリアン・グレイ、ジキル博士に加え、たまたまアメリカから送り込まれたスパイトム・ソーヤと、何度目かの超人紳士同盟を結集させる。だが、事件の首謀者ファントムの陰には、意外な黒幕が潜んでいたのだった。

 時空を超えた戦いというサブタイトルから、タイムスリップの要素を想像していましたがさにあらず。誰もが19世紀末に存在しているという設定がユニーク。この設定により、超紳士同盟のメンバーが集結する序盤もテンポよく話は進み、さらには奇想天外な物語にリアリティーを与えています。また、どのキャストもすでに観客は知っているという前提のため、いちいち詳しく紹介されませんが、これもまた話を停滞させない要因になっていますね。もちろん、知らなくても十分楽しめるように作られていますのでご安心を。ドリアン・グレイの秘密なんかは、かえって知らない方が楽しめると思います。このあたりの話の作り方は、キャラクターの個性を生かして期待通りの活躍をさせつつも、展開も結末もキャラクターだけに頼らないように工夫されているのがお見事。英国政府でMといえば007を真っ先に思わせられますが、実はそんなパロディーではなかったことにもしてやられました。まあ、犯罪者ファントムといえば、オペラ座の怪人よりも危機一髪のファントマに考えがいきますけど、山賊の親分みたいな衣装はいまいちだと思うぞ。ジキル&ハイドはハルクだし。その分、ネモ艦長が原作どおりの設定と雰囲気ぷんぷんだったのは良かったね。ノーチラス号なんてでっかい船が、小さな桟橋やらベニスの水路なんて浅いところに入れるわけがなかろうなんてつっこみは、この際言いっこなしです。そのノーチラス号も、イギリスの水槽菱形タンクも、ドラム缶ロボットみたいな装甲服も、みんな妙にかっこよかったしね。そして何よりも、話そのものがただのアクションではなく、疑いや裏切りといったサスペンスになっていたのには、正直言って驚きました。これはもう、原作の妙、シナリオの妙、演出の妙が、上手く融合しています。惜しむらくは、アクションの映像が今時の作品そのままに、早くて細かいカット割りとアップの多用で何がどうなっているのかさっぱりわからないほどに見辛かったこと。CGの多用はまあ仕方ないとしても、古い舞台での見せ場のひとつなので、もう少し落ち着かせた方が雰囲気が良かったんじゃないかと思います。それでも、個性が強すぎて失策になりがちな主人公大集合、面白くまとめ上げてありましたよ。

 さて、パート2は作れない方向で終わると思ったら、なにやら面白そうな終わり方が気になりますね。アフリカはおまえを死なせない、どうなるんでしょう。あそこで手が突き出たら、ゾンビじゃねえかって笑ってやろうと待ちかまえていたんですが・・・。

戻る