09/30 破壊神ララ・クロフト「トゥームレイダー2」を観てくる。

 世界征服を企む悪女ララ・クロフトが、イギリス諜報部MI-6を利用して古代の細菌兵器パンドラの箱を見つけ出し、厄災を解き放って世界を恐怖のどん底に叩き込もうとするが、細菌研究の世界的権威と中国のひみつ結社がそれを阻止しようとする話。え? 違うの?

 ギリシャの小村サントリーニ島で行われるのどかな結婚式。しかし、フォークダンスが終わると唐突に鳴り響くロックのリズム。雰囲気というものをまるで考えていないオープニングからして、製作者の志の低さと、作品の厚みのなさを如実に物語っています。その後に続く、サメを殴り倒すララ・クロフトに至っては、この作品はギャグであり、真面目に観ちゃいかんのよと言わんばかり。というわけでストーリーなんて二の次、とにかく迫力を出すためだけに、それが価値の高い発掘物であろうとも全編破壊の限りを尽くします。人物相関や状況描写をセリフに頼り、悪いことにくだらないセリフをダラダラと並べ立てているので、キャストそのものにも深みがありません。そのくせ、出発地から目的地までがあっという間、宝探しの醍醐味である道行きの険しさがまるでありません。予告編で期待を持たせたバイクアクションなんて、まったく必然性がありません。そんな近くなら歩いていけ。マフィアの本拠地が山奥にあるなんてまるで山賊じゃねぇかなんてのはさておき、その深山幽谷が上海の街からほんの小一時間、75キロというのもどうかと思うぞ。そんなこんななので、クライマックスではアフリカ原住民の戦士は全くの犬死にだし、パンドラの箱が隠されている山の頂上へはヘリでひとっ飛びだし、地下迷宮は50年代の粗製濫造SFなみだし、もう好きにしてください。まあ、だまし絵みたいな地下迷宮はちょっと好みかな。ラストの元恋人とのドラマを盛り上げたいなら、ベタベタなセリフに頼らず、もっと人物の描写に厚みを持たせなさきゃだめだよ。それから、はったりをかますなら、もっともらしいマシな嘘を付くこと。そんなバカなと思われた時点で、ギャグになるぞ。いやぁ、期待通りのバカ映画でした。

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