09/15 特効野郎8チーム「閉ざされた森」を観てくる。

 パナマ運河にほど近い米軍基地。嵐の夜、鬼と怖れられるウエスト軍曹率いる7名のレンジャーが、訓練に出た森の中で消息を絶った。しかし、救援隊が発見したのは味方同士で撃ち合う3名のレンジャー。黙秘を続ける保護されたダンバーとケンドルの口を開かせるため、基地の責任者スタイルズ大佐は、元レンジャーで尋問のスペシャリスト、トム・ハーディを呼び寄せる。彼は見事に二人の口から何が起こったのかを聞き出すのだが、話の内容が食い違っていた。しかし、ウエスト軍曹と麻薬取引、そして「8」という謎の数字を手がかりに、捜査線上に意外な人物が浮き上がってくる。

 憎まれることはあっても決して慕われることのないウエスト軍曹の死の真相を、彼の過酷な訓練から生還した二人の隊員の証言の中に探っていくうちに、軍内の麻薬密売が浮き上がって来るという推理サスペンス。ハーディの尋問が上手いというよりも、ダンバーもケンドルも口が軽いといった印象を受けるのはどうかと思いますが、この二人をはじめとする数々の証言の相違点から事件の真相を推理するのは、なかなか楽しいものです。物的証拠のないダンバーとケンドルの証言から、いかに物的証拠に結びつけるか、この二人の証言以外におかしなところはないか。8は何を示すのかは意外に早く語られますが、とりあえずどの証言もつじつまは合っている気がするのです。ただし、いくつか無理のある設定があるのは残念。特に、初めて顔を合わせたわけじゃないのだから、隊員の名前を取り違えるのはあり得ないでしょう。

 まあ、そんなこともありつつ終盤まではワクワクなのですが、事件の解決はかなり力押し。過酷な訓練の雰囲気はなかなかのものだったのに、舞台の中心となる基地内の雰囲気があまりにもお気楽でお粗末です。現場に行かずして糸口を探るのだから、もっと緊張感があるべきでしょう。さらに、黒幕が簡単に口を滑らせすぎ。もっと意外な盲点をつついてこその推理サスペンスでしょう。そして事の真相、8の正体はもうどうしようもないくらい強引。いよいよ本当の黒幕出現かと思ったら・・・あらら台無し。推理小説がアクション漫画になっちゃったよ。明るく落としたかったらしいのはわかるけど、最後の最後でつじつまが合ってないんじゃないのかね。原題の「BASIC」は本能を意味しているようなのに、まったくもって関係なくなっちゃったよ。余談ながら、ヒロインのジュリーだけじゃなく、唯一の女性レンジャー、ニュネスにも、せっかくだからもっと見せ場を用意してあげなよ。汗くささを消すためのヒロインに色気が足りないんだからさ。

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