09/14 日はまた昇る「28日後…」を観てくる。

 大学の霊長類研究所から、動物愛護家によってチンパンジーが解き放たれた。しかしチンパンジーは凶暴性を発するウイルスに感染しており、逆に襲われた活動家たちもまた感染してしまう。そして28日後、交通事故で昏睡状態にあったジムは、ロンドン市内の病院で目を覚ました。しかし、病院はおろかロンドンの市街にもまったく人の気配がない。救いを求めるように教会に立ち寄ったジムであったが、そこで彼を待ち受けていたものは死体の山。そして、彼の呼びかけに応えたのは、神父と、死体の山に紛れていた狂ったような人々。逃げまどうジムはセリーナに助けられ、ロンドンは凶暴性を発するウイルスによる感染者の街となってしまったことを知る。さらにフランクとハナの親子と出会ったジムたちは、唯一ラジオに入る軍の放送を頼りにマンチェスター郊外に車を走らせるのだが・・・。

 バイオハザードによる人類の凶暴化と滅亡を描いた、ゾンビ風の作品。ゾンビと異なるのは、甦った死者によるカニバリズムではありません。この作品でいう感染者はただ凶暴なだけで普通に命を落とし、しっかりと餓死します。毎度ながら感染者同士は争わないというゾンビのセオリーが守られてしまいましたが、これをやったら収拾がつかないので仕方のないところでしょう。また、あまり血なまぐさくせず、ゴーストタウンと化したロンドンを瓦礫の山にすることもなく、恐怖よりも虚無感を強く押し出しています。さらに、トーンを落とした映像にときおり牧歌的で美しい風景を挟み込むことにより、極限状態が引き立てられていますね。冒頭の生活音の途絶えたロンドン市街地や、子供といえども感染者には容赦をしてはいけないといったあたり、視覚的なグロテスクさよりも精神的に訴える作り方は秀逸です。その静かで末世的な雰囲気がいいだけに、後半の軍人たち、感染者ではない人間同士の争いから普通の色に戻ってしまったのが少々残念。まあ、ゾンビファンへのサービスとしておきましょうか。鎖につながれて観察の対象となった感染者が、ちょっぴりコメディーリリーフでユニークでした。

 最近のハリウッドスタイルのように派手派手にはしなかったあたり、さすが雨と霧のイギリス流といったところでしょう。ロンドンなのに雨が・・・なんてシーンはインパクトがあったよ。それと、地球の時間から見れば人間の歴史なんてごくわずか、人類が滅亡したってほんのちょっと元に戻るだけってセリフは妙に説得力がありました。自然を破壊する人類は、地球から見ればそれこそウイルスみたいなもの、なんて改めて言うこともないでしょうかね。もっとも、悲劇の舞台は島国だけだったみたいだけど。まあ、中盤以降の各種設定はどうしようもなくすっとこどっこいなので、覚悟してかかるように。

 さて、最近すっかりおなじみとなったエンドロール後の映像ですが、本作には別バージョンのラストが用意されています。といっても、これを冒頭でお断りしちゃいかんでしょう。何も知らずに最後まで観たものだけのお楽しみにしてくれなくちゃ。まあ、本編のラストと結果としては大差のない内容ではありますが、明るい未来と暗い未来、本編の設定からすればおまけはいらなかったんじゃないかな。どうせなら3度目の28日後を描いて欲しかったぞ。それよりも、ジムが目を覚ますシーン、オールヌードで股間の逸物が隠されていなかったのには驚いたぞ。性的刺激を目的としていなければ、隠さなくても良くなったのかな。そういえば、いかにもサービスカットらしいカットはなかったな。素っ裸の女性感染者も出てきますが、よく見えなかったし。まあ、強気な設定なのでさほど色気のないセリーナですが、わずかにみせるキュートな表情は良かったね。

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