08/24 伽椰子転生「呪怨2」を観てくる。

 ホラー・クイーンの異名を持つ原瀬京子は、仕事が終わったある日の深夜、婚約者の将志の運転する車で帰途についた。しかし、彼らの車は猫をひき殺してしまい、そのまま走り去った直後に事故を起こしてしまう。意識不明の重体となった将志とは裏腹に、京子自身は軽傷で済んだのだが、身ごもっていた子供を流産してしまった。だが、数日後、産婦人科を訪れた京子は、お腹の子が順調に育っていることを告げられる。やがて、この事故は多くの怪事件のひとつに過ぎず、「呪われた家」の取材に関わった人々に、信じられないほどの恐怖が降りかかっていることを知る・・・。

 時系列を前後させてエピソードが進むごとに解けていく謎、冒頭から出ずっぱりの伽椰子さんと俊雄君で出し惜しみしないショックシーン、無差別かつ脈絡のない呪いの蔓延等々、シリーズの骨格はそのままに、ちょっとストーリー性を加味した劇場版第2作。ただし、心の闇はまったく描かれず、ちょっといい話にして落とすことにも失敗しているのが残念。迷走する勢いはシリーズを重ねるごとにその力を失っていますが、伽椰子さんの嫌みな怖さは健在。これだけ画面に出ずっぱりで、鮮明なアップまで映し出すというサービス満点なのに、その怖さは衰えるところを知らないのがまた凄い。もちろん、作品そのものは笑いをこらえるのに苦労する恐怖演出の数々なのですが、それでもこの伽椰子さんにはお手上げなのでした。それに引き替え、猫語を話さなかった俊雄君が残念。もともと根本的な事件の解決をするつもりが無いのはわかっていましたが、俊雄君は猫と合わせてこそその威力を発揮するのですよ。もう、画面のあちこちに顔を出すもんだから、ショックどころか、あ、俊雄くんめーっけってなもんでしたよ。それでもまあ、結末にはぶったまげました。てっきり猫がこんにちわかと思ったらとんでもねぇものが生まれやがるし、そりゃなかろうの酒井法子のかわいい最後も嫌すぎるぞ。ただし、酒井法子が抱き上げたのが動くゴミ袋みたいなものだったのはいかんな。誰がアレを袋に入れたのかなんて疑問を抱かせるわけだし、本物を用意できないのなら背を向けるなどして“見せない演出”をするべきだったね。でもまあ、あー面白怖かった。

 キャラクターに頼っているのでどれだけ保つかはわかりませんが、おそらくじっくりと練り込まないシナリオだからこそ、ノリと勢いで見せられるのでしょう。これでショックシーンを出し惜しみして話をこねくり回したりしたら、きっとつまらなくなってしまいます。ビデオ版の2とは異なり、意図的と思われるコメディーが全くなかったのもいいですね。こういう実話タッチな物は、真面目にやればやるほど、怖く面白くなるってもんです。まさに恐怖と笑いは紙一重といいたいところですが、キャストの誰も狂気に陥らなかったのは減点だな。一人ぐらい、気が振れた哄笑をあげてくれなきゃ。深夜のテレビ映画で観るのがベストマッチな作品ですが、劇場で観るのもまた趣があるというものです。

戻る