08/18 デキレース反面教師「10日で男を上手にフル方法」を観てくる。

 10日間でどうしたら男からふられるかを記事にしたい女と、10日間で本当の恋を手に入れて広告プロジェクトを任されたい男の茶番劇。

 プロットも脚本も演出もキャスティングもシチュエーションも雰囲気も、セオリーどおりながら問題ないはずなのに、肝心な「どうすれば男に嫌われて別れの言葉を引き出すことが出来るのか」というコメディーの部分が失笑気味。もちろん、一発で成功しては元も子もないので、手を変え品を換えてだんだんエスカレートするわけですが、そこまでやるか、それでも許すかまでぶっ飛んでいないんですね。嫌がらせの数々がどうにも許容範囲に収まってしまい、まるで痴話喧嘩、お互い仕事のために無理しているという雰囲気が薄れてしまいました。そのため、ネタがばれてからの騒動からエンディングまでも小さくまとまりすぎ。映画というフィクションなんだから、全体的にもっと羽目を外してくれた方が、コメディーもロマンスもぐっと突き抜けてくれたんじゃないかな。もっとも、もともとお互いに悪意があるわけじゃないのですから、これはなかなか難しいところ。でも、極端な無茶をさせるための説得力として、仕事を取るか恋を取るかと追いつめられるぐらいでもよかったんじゃないかな。さらに、男の上司と女の上司が顔見知りだったりするのですから、この二人が騒動なり和解なりに一役買ってもよかったと思うよ。そうでなくても意外性に乏しいんだからさ。男の同僚の女性二人が、パーティーで失敗するように仕向けたのは巧かったけどね。

 まあ、男の家族と会って人のぬくもりを確認するくだりはなかなかよかったのですが、ところが、なのですよ。この手のジャンルは得意なはずの戸田奈津子女史、このぐぐっと来るシーンで「お母さんがハグしてくれた」などというとんでもない字幕をつけてくれたんですよ。字幕にチルダ(〜)を使うのはまあセリフの雰囲気と合っているからいいとしても、これはいかんだろう。ハグハグするという言葉自体が、僕の受け取る限りは男女間の抱擁を表現する、決して一般的ではない表現なのだから、「抱きしめてくれた時のぬくもり」とするべきじゃないのか。多少なりとも社会派を目指す大人の女性の大まじめなセリフなのだから、砕けすぎた表現は避けるべきだと思う僕の頭が古いのかね? それともう一つ、「戦争と恋愛はフェアに」ってどこがいい言葉なの? これってどっちもフェアかアンフェアかなんて割り切れないはずだと思うがね。※英語でhug(ハグ)は確かに抱擁を意味するのだが・・・。「戦争と恋愛はなんでもあり」って言葉があるらしい、それならうなずける。

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