07/13 宇宙海賊宝島「トレジャー・プラネット」を観てくる。

 惑星モントレッサに暮らすジム・ホーキンスは、たぐいまれな素質をもちながらも、父親が家族を捨てて宇宙へ旅立ってしまったことから、トラブルメーカーとして育ってしまった。食堂ベンボウ亭を切り盛りする彼の母サラは、そんなジムに手を焼く毎日。そんなある日、ベンボウ亭のそばに宇宙船が不時着した。ジムは船内から男を助け出すのだが、不思議な球体と「サイボーグに気をつけろ」と謎の言葉を残して、その男、ビリー・ボーンズは息を引き取ってしまう。そしてその直後、ベンボウ亭は謎の集団に襲われ、焼き払われてしまった。ベンとサラの親子は、店の常連ドップラー博士と共に博士の家に逃れるのだが、球体が海賊フリントの財宝が隠されているトレジャー・プラネットへの地図だとわかり、ジムと博士は女船長アメリアの船を雇って冒険の旅に乗り出す。しかし、船員として乗り込んでいたのは海賊ジョン・シルバーとその一味。シルバーはジムを鍛えるうちに心を通わせ始めるのだが、シルバーの目的もまた海賊の宝なのだった・・・。

 スティーブンソンの「宝島」をベースにした宇宙冒険は、少年の成長と海賊アドベンチャーのポイントをきちんと押さえ、脚本、演出共にディズニーらしいそつのない仕上がり。宇宙人や擬人化した動物といったキャラクターも、思いのほか違和感はありません。懸念された3DCGによる造形も、プラモデルっぽさは残るものの、帆船の帆や旗が揺らめくなどといった柔らかさが表現されていて違和感はなくなりました。しかし、最初のうちは新造船のような輝きを放つレガシー号が途中でやけにボロく見えるとか、終盤から登場するロボットのベンが「21エモン」のいもほりロボットゴンスケそっくりだとかはまあいいとして、そのベンが無駄にコメディーリリーフでうるさいのが残念。シルバーのつれているなんにでも姿を変えられる小動物モーフがすでにコメディーリリーフの役を担っているので、ベンはその立場上もっとシュールな方がよかったはず。ベンが一人で大騒ぎしているおかげで、クライマックスの冒険が軽くなってしまいました。

 もう一つ気になったのは、最初と最後でサラの作画が違って見えたこと。ラストの登場ではやけに若くて、とてもベンの母親には見えなかったけど、どうでしょう。いっそベンの恋人をキャスティングしておいた方がよかったかな。でもそれだと、もう一つのラブストーリーのじゃまになるかな。まあ、肝心な冒険の部分は、オーソドックスな展開ではあるけどその分安心してワクワクできたので及第点としましょう。ことにシルバーのラスト、といっても命を落とすわけじゃないんですが、そこでジムと語り合っちゃダメだよ、ちょいといい話でホロリとしちゃうじゃないか。もっと小粋に、黙って姿を消してほしかったぞ。

 さて、最近アニメ映画のたびに繰り返し書いている上に、これは制作サイドも気づいているはずなのですが、声優には不向きな俳優を起用するのはやめよう。そういうことはつまらない映画の話題作りぐらいにしなさいって。加藤晴彦(ジム)も小林聡美(アメリア船長)も、どうにも感情表現ができていなかったぞ。まあ、小林聡美はそのまんまでユニークではあったけど。それでも、字幕の読めない小さな子にはかわいそうだけど、挿入歌が吹き替えられていなかったのは高く評価しよう。結構いい歌だったしね。できれば原語で観たいなぁ、かといって輸入するほどのもんでもないしなぁ。

 追記:結局DVDを輸入して観ました。日本語吹き替え版よりはましですが、声の雰囲気は思ったほどかわりません。海賊シルバーに限っては、若山弦蔵の勝ち。

戻る