07/05 めぐる因果は強引な糸車「デッドコースター」を観てくる。

 航空機事故の生存者が不可解な死を遂げた事件「ファイナル・ディスティネーション(2000)」から一年後。休暇を海で過ごそうと、キンバリーたち4人は車を走らせていた。しかし、ハイウェイの入り口にさしかかった時、キンバリーはそのハイウエイの先に大惨事が待ちかまえているという夢を見る。恐怖にかられた彼女はハイウエイへの入り口を車で塞ぎ、通りかかった警官に事情を説明していると、そこに夢で見た大型トレーラーが玉突き衝突の惨事を引き起こすのだが、助かるはずだった友人たちは事故に巻き込まれてしまった。しかしその後、キンバリーが夢で見た「死ぬはずだった」助かった人々を、不可解な死が連れ去っていくのだった・・・。

 久々の怪奇幻想シアターらしいショッキングホラーご紹介。というわけでこの作品、大きな伏線になりそうな事象や数字が、ちっとも意味を成していないというところがお見事なのかどうなのか。予知したものと順番が逆、悲劇は過去へさかのぼっているなんて実に意味深なことを言っておいて、何も結果に結びつけずにほったらかしにされてしまうのですよ。てっきり聖書かなにかに結びつけるのかと思ったんですけどね。ですから運命という名のもとに無茶苦茶なこじつけを繰り返し、ただ惨劇を並べ立てているだけで、ストーリーそのものには特に深い意味がありません。おまけに、前兆に気をつけろと強調しているのに、その前兆を活かしたのはたった一度だけ。もっとも、ラストの展開から考えれば、製作者たちがやりたかったのは宗教じみた説法などではなく、ただのショッキングテラーでしょう。何しろ、日常生活に潜む痛いものを、実に見事に何か起こりそうだと演出しているのですから、夢物語を作ろうなんてこれっぽっちも思っていないことは明白です。だからこそ、「そんなオチでいいのか?」と思うに違いない一部の観客の期待を決して裏切らない、三段重ねのラストになっているのでしょう。もっとも、僕としては大きな期待をしていた死神が出てこなかったのが残念。いやぁ、冗談でいいから、どこかで大鎌を振りかざした死神が笑っていてほしかったなぁ。もちろん、間違った方向でいいからさ。

 いかに悲惨な末路をたどらせるかによって、生き延びることへの執着がより強く描かれているのは見事な演出ですが、この作品そのものには「運命には逆らえないかもね」なんてありがちなテーマが秘められていない(と思う)ことの方がよっぽどユニークなのでした。それでこそ、どうだ、びっくりしたか、面白かっただろう、というドライブイン・シアター魂なのです・・・ほんとか? できれば、場末の小汚い劇場でゲラゲラ笑いながら観よう。

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