06/29 ザッツ・エンジェルズ・ショウ「チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル」を観てくる。

 シベリアとの国境も近いモンゴルの奥地、チャーリーズ・エンジェルの3人、ナタリー、ディラン、レックスは、テロリストに捕らわれたアメリカ警察機構の要人、カーターを救出する。彼は肋骨骨折と指輪をとられた程度で済んだのだが、その指輪には組織犯罪の重要証人リストが隠されていた。チャーリーの指示で指輪奪還に動き出したエンジェルたちは、危機を乗り切り指輪に王手をかける。しかし、彼女たちの前に現れたのは、かつて伝説のエンジェルといわれたチャーリーズの一人、マディソン・リーだった。

 冒頭から破天荒なほどにおバカ爆発のエンジェルたちの大活躍。無茶苦茶なシチュエーションを力と技で見事に描ききり、そんなアホなと思わせつつもノリノリで突き進む姿はまさにジェットコースター・ムービー。これは、ほとんどをCGIによって手を加えられたリアルではないけどとにかく面白くて迫力のあるアクションシーンのみならず、これでもかと振りまかれるセクシーな色気に、あちこちにちりばめられたミュージカルシーンにまで及んでいます。また、パロディー満載ながら、これが真似をしようなんて低俗な志ではなく、そのまま盛り込んでしまおうという大胆さには爆笑と拍手と賛辞を送らざるをえません。何しろ、音楽までそのまま使ってしまうのですから、驚くやらあきれるやら懐かしいやら。

 それに加えて、今回はエンジェルたちのドラマを盛り込み、彼女たちがチャーリーズである由縁というか必然性を描くことによって、実に深みが出されました。ことに、自分の過去によって仲間を危険にさらしてしまい、自信を失って一人去ろうとしていたディラン。それはまあいいとして、メキシコの場末のバーで彼女を励ますとある女性のセリフ、「エンジェルはダイヤモンドと同じ。作ることはできないから、見つけ出すしかないの」には思わず涙してしまいましたね。ちなみにセリフはこういう内容ってことで、この通りかどうかは曖昧。また、その女性が誰であるかは、テレビシリーズのファンのお楽しみ。こんなカメオも含めて、テレビシリーズを感じさせる雰囲気が多々あります。いやもう、爆笑したりジーンとしたり喜んだりイスからずり落ちたりと、観客もなかなか忙しいのですね。

 正直なところ、前作はバカばっかりでさほど面白いと思えなかったのですが、フルスロットルは傑作。ちょっと下品なスラングやシーンも、キュートでおバカなエンジェルたちならつい許してしまいます。唯一残念だったのは、チャーリーとエンジェルの間に立つジョン・ボスレー役のビル・マーレーが降板してしまい、代わって登板した弟のジミー・ボスレー役のバーニー・マックがコメディーリリーフだったこと。こういう立場のキャラクターが、エンジェルたちと一緒になってギャグをとばしちゃダメでしょう。僕の見間違いでなければ、ビル・マーレーの写真がギャグとして使われていたんですが、ここはついつい吹き出しちゃいましたけどね。まあ、キャスティングを変更しても同じキャラってのを嫌ったんでしょうかね。

 セクシー・アクション・コメディーとして、ついでにパロディーとして、まれに見る傑作であることは太鼓判を押しましょう。これだけ盛り込んで100分ちょいっ、編集もお見事です。ここだけの話、エンジェルたちはどの娘も好みではないんですが、それでもとってもキュートだと思わせられるんですよ。これぞまさにムービーマジック、というか演出の手腕なんでしょうねぇ。あ、それから、暗号の謎にはエンジェルたちよりも早く気が付いてしまったのも内緒だけど、予想どおりの「アステア」の演出にはひっくり返ってしまいましたとさ。ついでに、エンドロールの後にちょっとおまけがあるので、ネタにしたい向きは最後まで席を立たないように。というかこれほど面白いのに余韻に浸れないほど楽しめないヤツが多いのか、せっかちさんが多いのか。客層を選ぶけど、「8Mile」では明かりがつくまで誰も席を立たなかったぞ。

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