06/07 おまけ付きキャラメル「マトリックス・リローデッド」を観てくる。

 いろいろあって“予言者”に会ったネオがマトリックスの核心に迫るまでの話。

 シチュエーションをいちいち説明したところで内容はこれだけ。これにいろんなおまけがたくさん付いていて、それが楽しみというキャラメルみたいな作品。そして、豪華なおまけを楽しんでいるうちに、キャラメルもしっかり食べきってしまうという手腕はお見事。まあ、かっこよくて面白ければいいというウォシャウスキーの信念をベースに、近未来的古代地下未開都市ザイオンのお祭り、ジョン・ウー風に鳩のかわりに鴉が飛ぶ予言者との会見、キーメーカーを探して現在のアメリカ(のどこだったかは忘れた)にやってきたネオたちとスミス100人隊のスラップスティックコメディじゃなくって大乱闘、マトリックスの設計者に会ってからザイオンに戻ってきた意識不明のネオ、とまあこんな構成。

 スタイル先行に合わせた脚本と構成にもかかわらず、意外に破綻していないストーリーはお見事。でも、やたら必然と運命を押しつけているのは減点かな。とはいえ、マトリックスのバーチャルワールドをなんでもありの設定にしてしまったのですから、破綻のしようがないともいえるのですが。何しろネオが空飛ぶんですから、無重力アクションを通り越してしまいました。もう、B級大作ここに極まれリですね。

 確かにそれぞれのシチュエーションと、それに盛り込まれたVFXアクションは見事なのですが、とにかく各シーンが長すぎてどれも同じ見せ方なので、飽きてしまいます。それにくわえて、簡単な話をややこしくするだけの無駄話という名の宗教哲学的議論がまた長すぎて、寝てしまいます。これは話のポイントが分散してしまったのもありますが、作り手が暴走してしまい、観客を置き去りにしている感が否めません。ポイントを絞って尺を切りつめるべきだと思いますが、とにかくおまけを盛り込んでいるからこそ大作の名を冠し、人気があるんでしょうね。まあ、いちいち取り上げないけど迫力ある映像は見応えありなので、一見の価値はあり。とはいえ、ザイオンのお祭りはいらんだろう。あ、日系オジサンのキーメーカーがなかなかいい味だしてたよ。

 さて、本作ではマトリックスの謎、バーチャルとリアルワールドの謎、ザイオンの謎、ネオの謎といったいろいろな謎にせまります。話としては確かにそれもありの謎解きになるのですが、しかしそれではリアルワールドの存在意義というか、リアルである必然性がなくなってしまうんじゃないかってあたりが、新たな謎なのか、はたまた脚本の穴なのか、次回作に期待できるところです。

 余談ながら、長い長いエンディングの後に「マトリックス・レボリューションズ」の予告があるので、話のネタにしたい向きは席を立たないようにって、「デア・デビル」と同じこと言ってるな。まあ予告編だけなのでどうでもいいのですが、次はスミス1000人隊みたいだぞ。同じギャグは2度も通用しないと思うがね。また、劇中のテレビで「ドラキュラの花嫁」のワンシーン、マインスター男爵の毒牙にかかったジーナが、葬儀屋でマリアンヌに襲いかかるあたりがかかっているので、こちらもネタにしたい向きは注意してみよう。

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