05/31 アンチシンデレラ「トゥー・ウィークス・ノーティス」を観てくる。

 慈善活動に熱を燃やす女性弁護士ルーシー・ケルソンは、今日も取り壊されようとしている劇場の前に座り込んで抗議活動をしていた。そんなある日、彼女が親しんだ公民館が取り壊されるというという決定を聞き、都市開発の大本であるウェイド社に乗り込む。しかし、顧問弁護士を捜していたウェイド社のトップ、ジョージ・ウェイドに気に入られてしまい、「敵は身近におけ」という両親の教訓から、顧問弁護士を引き受けてしまった。順調な滑り出しを見せるルーシーとジョージの関係だったが、公私を混同し、些細なことすらルーシーに尋ね要求するジョージに耐えかね、ルーシーは公民館の存続と最後の仕事が終了する2週間後に辞職することを決意する。しかし、後任の顧問弁護士に若い女性が面接に来たことから、二人の関係は思わぬ展開を見せるのだった。

 相変わらず「怪奇幻想シアター」の名にそぐわぬ作品レビューですが、まあこれも一興かということでご容赦を。さてさて、金持ちのボンボンの心を入れ替えて恋が成就するシンデレラ・ストーリーかと思いきや、さにあらず。ここを訪れる奇特な皆様には、愛のために王位を棄てたエドワード8世のことはご存じかと思われますが、それをもうちょっと身近にした、まあそんなストーリー。正直なところあまり見栄えのしない俳優陣なのですが、それがかえって親近感を感じさせ、実にコミカルで切なく味のある雰囲気に仕上がっています。

 惜しむらくは、私の感じ方では70年代前後のテイストが強く、現代のニューヨークで繰り広げられる新しいラブコメディーとは感じられませんでした。田舎臭い景観も減点。エンディングに映し出される「なんとかコーストからこんにちは」なんてテレビドラマみたいなアイキャッチャーには、開いた口がふさがりません。また、やたらセックスにこだわるセリフが多いのには少々がっかりですが、それらのセリフは単なる強がりでしかなく、ベッドシーンもいっさいなく、プラトニックなシチュエーションが多くてよかったですね。

 新鮮なものは何も得られませんでしたが、なんかほのぼのというかしみじみというか、そんな気分にさせてくれる作品です。何となく見えた顛末にもかかわらず、ルーシーがおばちゃん二人に励まされるラストでは、ついホロリと涙を流してしまいました。最近、涙腺がゆるんでるのかな、くやしいねぇ。

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