04/26 海にゴミを捨ててはいけない「ボイス」を観てくる。

 援助交際摘発記事を書いたことから、ストーカーにつきまとわれるようになったジウォンは、携帯電話の番号を変更し、友人ホジュンの手助けを得て郊外の邸宅に隠れ住むことになった。しかし、ストーカーの魔手から逃れたのもほんのつかの間、ジウォンの携帯にかかってきた電話を、偶然とってしまったホジュンの一人娘ヨンジュが、不可解な行動をとるようになってしまう。ヨンジュの変ぼうと、執拗にかかってくる不気味な電話の謎を解くため、ジウォンは携帯電話の番号を手かがりに調査を進めるのだが、その先には思いもよらぬ真相が待っているのだった・・・。

 正直な話、一世を風靡した「リング」のビデオを携帯電話に変えただけの都市伝説には違いないのですが、さにあらず。一見平和な家庭や友人関係の隠れたしがらみや確執を生かし、ミステリーとしてもうまくまとめられています。伏線のつもりで広げた枝葉末節がそのまま消え去っていたり、期待通りにお約束のびっくり箱をなんのひねりもなく開いてしまう部分が多々あるものの、ひとつひとつの小さなエピソードをきちんと描くことによって、最終的にはまとまっているといえるでしょう。まあ、韓国映画独特の恨み節の悲劇ではあるのですが、ベースに近代和製ホラーを持ってきていることを考えればそれもまたそつのないところ。序盤はこのまま進めて大丈夫なのかなと少々不安なところはあるのですが、終盤のジニパワー(リングでいえば貞子パワー)と、ちょっと意外な展開で見事にたたみ込んでいます。

 シナリオ上の難をいえば、せっかくの援助交際とストーカーをもっと別の部分に持ってくれば、更に深みが出たのではないかと思われます。これをどこに持ってくるかを言ってしまうとネタが割れてしまうので割愛しますが、このストーリーのままなら援助交際もストーカーも不要であることは否めません。また、雰囲気作りのためとはいえ、やたら雨ばかり降っているのもかえって興ざめ。何か起こりそうだとまざまざと示唆して、その通りになってしまうのも面白味に欠けてしまいます。青天の霹靂である方が、よりショッキングだと思いますけどね。しかも、土砂降りの雨の中、誰も傘をさしていないのが不可解です。あれか、韓国では雨に濡れて歩くのが当たり前なのか? 風邪ひくぞ。

 さて、最近のホラー映画で子役に言及するものさすがに飽きてきましたが、一見可愛いようで実はあんまり可愛くないヨンジュ(ウン・ソウ)の狂ったような演技には脱帽。子供らしい感情の起伏と、取り憑かれたときの感情の起伏が見事にマッチし、容赦のない演出には違う意味で空恐ろしいものがあります。それだけに、クライマックス直前まではうまく織り交ぜられていたヨンジュとジニの関係が、最後まで生かされていなかったのが残念。話の根幹がジニにあるとはいえ、顛末はヨンジュを追っていた方がよかったんじゃないかな。

 余談ながら、茶髪が一人もいなかった(気が付かなかったのかも)のが妙に新鮮。携帯電話依存症候群が大差ないだけに、似て非なるお国柄を感じますね。さすが、世界を市場にしている韓国映画界といったところでしょうか、というのは関係ないか。とにもかくにも、不審な電話とメールは出たり開いたりはしないのが賢明なのだな。それと、援助交際と不倫は家庭崩壊への序曲なのだなぁ。男ってのはほんとに下半身の生き物なのか? やれやれ。

 追伸。比較するのもたたくのも簡単なので、少しひねってみました。話半分ということで。

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