04/20 インド人もびっくり「ドリーム・キャッチャー」を観てくる。

 目隠しをしたごつい男ときれいなねーちゃんが切り結ぶ変なオープニング・・・と思ったらこれは「アニマトリックス」の一節。これってワーナーのCMなのか? ドルビーとワーナーのオープニングの後に始まり、10分ぐらいとあまりに長いので、流すフィルムを間違えたのか、入る劇場を間違えたかと思ったぞ。これはMOVIX清水だけじゃなかろう。観客を不安に陥れるような手段はひかえるように。

 メーン州の片田舎、ジョンジーたち4人の少年は「学園祭の女王」の写真を見るためにとある廃屋にやってきた。彼らはそこで偶然、いじめられていた少年、ダディッツを助ける。ダディッツとつきあい始めたジョンジーたちは、ダディッツに奇妙な能力があることを知り、ささやかな事件の解決をすると共に、その能力を分け与えられた。それから20年、すでに大人になったジョンジーたちは、その能力ゆえに奇異な目で見られ続け、能力を重荷に感じるようになっていた。そんなある日、ジョンジーたちは雪深い山奥の小屋で毎年恒例のキャンプを行うのだが、地球を未曾有の危機に陥れる事件に遭遇してしまうのだった・・・。

 何といってもスティーブン・キング原作、もう何があってもどんな展開になっても少々のことでは驚かないという準備ができているのです。本編に関係なかろうとも、何の伏線になってなかろうとも、こうだと決めた設定は強引に貫かれてしまうのです。下世話で下品で笑えないギャグも健在。しかし、そこまでわかっていながら、本作には負けました。少年時代の秘密、インディアンのお守りドリーム・キャッチャーにそれを逃れた悪夢と来れば、キッズホラートラウマオカルト路線だろうと想像するのは容易なはず。ただひとつ、世界の破滅というコピーが引っかかっていましたが、それはまあいつものスケールの大きな小さな話のタネだろうと思っていたのが甘かった。本作のキーワードは、実はこちらだったのです。

 どこにでも顔を出すモーガン・フリーマン演じる気の振れた大佐率いる奇妙な軍隊が出てきたあたりでいやな予感がしたんですよ。このパターンはどこかで観たことがあるな、ああ、「ファントム(1998)」か、と。そして1970年代の最後を飾ったあの有名な映画と同じネタかなと思っていると、大佐の作戦名が「リプリー」ときたもんだ。ここまで来ればもう笑うしかないでしょう、SF映画ネタも随所にちりばめられているし。そして、「ヒドゥン」のような「エイリアン・ネイション」のような「エイリアン・コップ」のような「サンダ対ガイラ」のような怒濤のラストへと突き進んでゆくのです。クライマックスには、両手を挙げてともに叫ぼう。そうすれみんなヒーローだ。「アイム、ダディッツ!」

 「スタンド・バイ・ミー」風に始まる本作、珍しく大作の予感がしたのですが、ものの見事にうさんくささあふれるB級映画に転がっていくのでした。しかもこれがまた2時間を超える長尺、おまけになぜかSFXは見事に及第点。エンディングのタイトルロールでILMを見かけたような気がしますが、ILMが手がけたのかな。そんなこんなの見かけだけは大作といえるこの作品、バカ映画になれていなければ中盤から身の振り方に苦慮すること必至なのであります。なんじゃこりゃあ! と思っても温かい目で見てあげよう。少なくとも、「サイン」よりはずっと面白いよ。でも、ミスター・グレイはもううんざりだなぁ。シャマラン星人のほうがオリジナリティーがあったか。かくいう私は、もちろんこういうの大好きです。

追伸。「ドリーム・キャッチャー」というタイトルは内容に見合っていません。正しいタイトルを付けるとすれば、「恐怖の人喰い宇宙ウナギ地球大襲来」ですな。

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