04/17 親の背を見て子は育つ「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」を観てくる。

 離散した家庭を取り戻すため、詐欺を働いて金を稼ぎまくる寂しいハイティーンの話。

 それなりに面白く、2時間20分あまりの長尺にもかかわらず決して飽きさせることのない、そつなくまとめられた犯罪コメディー。ただし、そのそつのなさに加えて、実話という看板を掲げてしまったこともあり、今ひとつ盛り上がりに欠けてしまったのが残念。犯罪もコメディーも、もっと粋で軽妙に仕上げていれば、悲しみや友情がより印象的になっていたのではないでしょうか。もしかして、実話再現ドラマをいう枠にとらわれてしまったのかな。ストーリーも構成も実にいいものなのですが、おとなしい演出が足をひっぱってしまったといったところでしょう。不要と思われるシーンもあったので、思い切っていくつかのシーンをカットし、2時間以内に収めていたらもう少しスピード感と軽妙さが出たかな。

 不要といえば、導入の「本物は誰だ!」みたいなクイズ番組、デュカプリオの髪型が変だというのはさておき、いきなりネタばらしはどうかと思うぞ。まあ、どんな内容なのかは予告だけでも十分わかっていますし、謎解き映画ではないのでかまわないといえばかまわないのですが、だったら同じクイズ番組でラストを締めくくるのがセオリーでしょう。そういうセオリーを打ち破るのならば、もっとあっと言わせるオチをつけてほしかったな。

 ディカプリオは本当に身長180センチあるのかという話はさておき、役者としての粒の小ささは相変わらず。しかし、実年齢とのギャップはあるものの、本作の青臭いハイティーンを演じるには、その粒の小ささがそれなりにマッチしています。劇中の、父親譲りの二番煎じのあの手この手、アホかこいつはと思いながらもデュカプリオだからしょうがねぇかと変に納得してしまいました。独特のお祈りポーズもあったしね。これでセリフ抜きでの感情表現がうまくなれば、それなりに役を演じられると思うのですが。もっとも、そんなデュカプリオをフォローするためだろうというのは邪推ですが、本作は表情の乏しい男優ばかりを集めていると思えなくもありません。

 何はともあれ、オープニングの古くさいアニメーションは一見の価値あり。こちらもそつなくまとめられたスタンダードナンバーも耳に心地よいもの。テレビの再現ドラマとしてなら実に贅沢、劇場映画としてはやや物足りないものでした。でも、面白いよ。

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