03/02,03 鉄人マラソン「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔(字幕&吹き替え)」を観てくる。

 ウルク・ハイとの戦いの中、あるものは自分の意志で、あるものは運命によって、あるものは成り行きで、離ればなれになってしまった“旅の仲間たち”。フロドとサムはゴラムと、メリーとピピンはエントと、アラゴルン、レゴラス、そしてギムリは、白の魔法使いとして復活したガンダルフと共にローハンの民と出会い、指輪をめぐる壮大な戦乱に足を踏み入れていくのだった。

 映像はいきなりマウント・クックです。「旅の仲間たち」で味を占めたのかどうかはわかりませんが、前作以上に環境映像が多用され、ドキュメンタリー色が強くなっていました。とにかく遠景にこだわった屋外ロケのカメラアングルにフレーミング、ぐるぐる回りまくる空撮にクレーンカム、物語や舞台の広大さをアピールしたいのはわかりますが、遠くから眺めているだけでは旅の仲間には入れないよ。さらに、相変わらずの細かいカット割りに加え、落ち着きのないハンディーの多用がちょっと気になりました。

 そんなこんなで、ニュージーランドのロケーションもCGIも確かに素晴らしい映像なのですが、その見せ方や編集の荒さには納得しかねる部分が多々あったのは少々残念。とはいえ、鼻につかない程度のロマンスにドラマ、変態ピーター・ジャクソンらしいB級テイストあふれる茶目っ気が盛り込まれ、面白いのなんの。善だからきれい、悪だから汚いといった基本的な部分は払拭出来ないものの、妙に生活感のあるオーク&ウルク=ハイや、一万の兵を前に感涙を流すグリマには、思わず唸ってしまいます。ウルク=ハイの聖火ランナー、彼の最期には心ならずも感動しました。そうそう、エントに攻撃されて為すすべもなくオロオロしていたサルマン、あれはきっとハマードラキュラシリーズの2作目以降へのオマージュなんですよ、というのは冗談。

 それはさておき、何といっても今作の主役、モーション・キャプチャー&CGIが生み出したゴラムは秀逸。CG独特のヌメッとした感触は拭うことが出来ませんし、一見どこぞの貧乏神妖精や緑の超人チビ爺と同一視しそうになりますが、指輪に取り憑かれたがゆえのむき出しの感情や多重人格といった演出が素晴らしく、いつしか感情移入してしまいました。

 今回は立て続けに字幕版と吹き替え版を観てきたのですが、文学の香り漂うのが字幕版、いまいちしっくり来ないものの映像に集中出来る吹き替え版といったところ。字幕問題に首をつっこむ気はさらさら無いので字幕版はさておき、吹き替え版は年少向けのためか訳そのものが軽く、声質が全体に高めのため、作品そのもののイメージもまた軽く仕上がっています。オークはともかく、ウルク=ハイまでもが狡猾で神経質な高い声というのには納得しかねますね。その外見通り、もっと低音質で重厚なはずです。さらに、ほぼ全ての少年に当てられたのが、少女の声だったことには愕然としました。そこそこの年齢に見えるハレスですら、年端もいかない女の声を当ててしまう感性には違う趣味でもあるのかと疑いたくなります。ちなみに、ゴラムは字幕も吹き替えもほとんど印象が変わらず二重丸。

 さて、今回も長いとはいえあっという間の3時間でしたが、やはり慌ただしい展開であることは否めません。ですから、是非とも拡大版DVDを出して欲しいものですね。余談ながら、砦に駆けつけた白馬のガンダルフ、TRISTARのトレードマークににてるなんてこれっぽっちも思ってないよ。

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