01/12 陳腐化する普遍のテーマ「ピーター・パン2/ネバーランドの秘密」を観てくる。

 かつてピーター・パンたちとともにネバーランドを旅してきたウェンディーも二児の母になっていた。そして第二次大戦の戦火は、ウェンディー親子の住むロンドンにも降りかかってしまう。やがて、ネバーランドを夢見ていたウェンディーの娘ジェーンも、戦争という厳しい現実の中でいつしか夢を信じなくなってしまい、幼い弟ダニーと喧嘩をしてしまう。しかしその夜、ピーター・パンへの復讐に燃えるフック船長が現れ、ウェンディーに間違えられたジェーンがネバーランドへ連れ去られてしまった。ジェーンは危ういところをピーター・パンに助けられるが、夢を信じない彼女の心は、妖精ティンカーベルを危機に陥れるのだった・・・。

 戦時下にあるジェーンたちの苦境が演出不足気味でメッセージが空回りしていますが、お子様アニメとしてならまずまず。年端もいかないジェーンがどう見ても従軍しているのは気になりましたが、良くも悪くもコメディーリリーフの犬によって救われています。しかし、大人になりたくないはずのピーター・パンが妙に大人びていたのが残念。前作の記憶も薄れてしまいましたが、もっと純粋に子供らしかったような気がします。もっとも、私の視点が当時とはがらっと変わってしまっているからかもしれませんが。さらに、シナリオに穴の少ないディズニーですが、戦争のさなかに家族を残してきているジェーンにとって、ネバーランドで夢を見ろというのは少々酷なような気がします。まあ、終戦を感じさせるラストに胸をなで下ろすのですが。余談ながら、僕が観たかったのは海賊船対スピットファイア(引き込み脚じゃないけど多分そうでしょう)だったんですが、さすがにそれはありませんでした。

 見終えてから気になったのですが、ネバーランドの秘密なんてこれっぽっちも出てきません。ティンカーベルの存在に関わるところが秘密だったのかなとも思うけど、彼女の存在がネバーランドの存在と何かしら関わりがあるとは描かれていませんから、それでは単純にティンカーベルの秘密ですね。実は何を隠そう昔からティンカーベルのファンだったことはさておき、邦題には日本語版スタッフも悩んだろうけど、原題は「RETURN TO NEVERLAND」、ネバーランドへの帰還です。余談ながら、ピーター・パン2という音の踏み方には苦笑を隠せません。ツーは要らんでしょう。

 すっかりおなじみになった本職外のアフレコ起用ですが、上戸彩の吹き替えは程良く下手なところが意外に合っていました。かえってピーター・パンの林勇に妙な違和感を感じてしまい、これは妙に大人びたハイティーンの雰囲気を助長していたような感じもします。また、フックがピーター・パンのことを「パン」と呼んでるのがどうにも間が抜けてしまい、気になって仕方がありませんでしたが、これは原語版でもそう呼んでいるんでしょう。

 ところで、どうしても前作と比較してしまいますが、CGIの多用は奥行き感を出しているものの、手書きのパートと合わさるとどうしても柔らかさに欠けて違和感を感じてしまいます。特に海賊船の帆がまったく揺れていなかったことにはがっかり、まるでプラモデルのようでした。このような細かいところに配慮するのがディズニーアニメの真骨頂だったはずですが、これも時代の流れなのでしょうか。さらに、劇場の関係もあるのでしょうが、MOVIX清水にしては全体に暗い感じです。本編前にプルートの短編がかかるのですが、これからご覧になる方はちょっと注意して比較してみると良いでしょう。

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