12/02 小説は事実よりも奇なり「ショウタイム」を観てくる。

 地味で真面目な刑事ミッチと、俳優志望の派手で陽気な巡査トレイが、ひょんなことから視聴率挽回を目指すテレビ局にはめられて、警視庁24時みたいな番組「ショウタイム」の企画にのせられて、密造銃の摘発に成功する話。リアリティーなんぞどこ吹く風の作風には、はちゃめちゃな設定がよくあっています。そのため、全ての役者が自由にのびのびと演じているのが伝わってきて、観ているこっちまでリラックスできます。フィクションとノンフィクションをごっちゃにした展開もユニークですが、クライマックス間近で普通の設定を踏襲してしまったのはやや残念、トレイには、それが照れ隠しであろうともとことん陽気に振る舞ってほしかった。

 凸凹コンビの刑事物の設定にマンネリと中だるみは否めませんが、短くまとめたぶんそれなりに楽しめる仕上がりになっています。何より、冒頭から想像とは異なるシチュエーションへの展開が愉快、ここでずっこけたら「いつものエディー・マーフィー」のアクションコメディーに収まっていたでしょう。とは言っても、まあ「よくあるエディー・マーフィー」のアクションコメディーなんですが。「パトカー・アダム30」のウイリアム・シャトナーが本人役で出演、ロバート・デニーロ扮するミッチに演技指導するあたりはなかなかにユニーク。こういったパロディーが随所にちりばめられているのも、これはお遊びなんだと割り切ったこの作品に花を添えています。ただし、こういうやり口はわかる人にしかわからないのも難点。わからないと、ほんとに「ただのエディー・マーフィー」のコメディーでしかありません。

 ところで、たった一人のガン・スミスの手に負える代物なんでしょうかね、あの劣化ウラン弾を装填するトンデモミニ対戦車ライフルは。まあ、ライフル弾を使うハンドガンを作った人に会いましたから、やってやれないことはないでしょうが、いくら裏社会でも武器商人でもなければ量産は無理じゃないのかな。そういうむちゃくちゃなトリガーハッピーが実に爽快なんですが。いやぁ、「トリプルX」に続いて実に面白い作品でした。あ、さりげなくネタバレしちゃったのでちょっとおまけ。「ショウタイム」の目玉である「独白コーナー」、あれはいらん。トレイとミッチが懺悔の部屋みたいなところでたらたらとつまらん独り言を言い続けるだけ。あんなものを途中だらだら見せられるのは苦痛だよ。そのぶんを小さくてもいいから事件解決のエピソードにに裂くべきだね。こんなつまらないコーナーを目玉にしようなんて発想しか出てこないから、視聴率とれないんだよ。

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