11/10 エクストリームスパイ「トリプルX」を観てくる。

 非合法エクストリームスポーツに命を燃やすザンダー・ケイジ、今日も今日とてとんちんかんな提案をする上院議員の車を盗み、車もろとも谷底へとダイブするというスタントを敢行していた。しかし、元ロシア兵のテロリストグループの調査に手を焼いていた国家安全保障局に捕らえられ、刑務所送りを免除することと引き替えにテロ組織への潜入捜査を強制的に選択されてしまう。そしてザンダーが送り込まれたのはチェコに拠点を持つアナーキー99、彼らしい大胆な手段で見事組織のリーダー・ヨーギに近づくのだったが・・・。

 最初から最後まで見事なリズムで見せるスタント・アクション、しかも見せ方を心得たカメラワークと編集は迫力と臨場感満点。スタントそのものは取り立てて目新しいものではありませんが、ノリと勢いとこの見せ方のうまさによって、観るものを引き込んでしまいます。ほとんど全てのアクションが生の迫力なのですが、スノボのシーンに施されたCGIは実際のアクションを見事に引き立てていました。また、いかにもなエリートスパイではなく、かといって見るからに悪党でもない、自由奔放に見えながら意外なほど思慮深いマッチョなヒーロー、ヴァン・ディーゼル演じるザンダーが爽快なほどに魅力的。ちょっと怖そうに見えて実にファニーなんですね。惜しむらくは、ザンダーがあまりにも魅力的すぎて、ヒロインのエレーナが控えめに見えてしまったことでしょうか。肉体派か知性派、もっとどちらかに振られていればザンダーに負けない魅力が出せたと思うのですが、ちょっと中途半端でした。とはいえ、決してヴァン・ディーゼルの俺様映画ではなく、主要キャラからコメディーリリーフまでがんばっているので中だるみも飽きることもありません。

 さて、スパイアクションといえば欠かせない秘密兵器の数々、透視双眼鏡以外は意外とオーソドックス、古いポンティアックGTOに施された装備は壮観ではありますが、あまり使われなかったのはお約束かな。そんな中でもテロリストの最終兵器は別の意味で魅力的、太陽電池駆動という当てにならなそうな動力源を持つ、四半世紀前のプラモデルのような潜水艦のような水中翼船にはただただ唖然としてしまいます。毒ガスミサイルもそれに負けず劣らずちゃちさ爆発、とても大都市を壊滅させるほどのものには見えません。そんなおもちゃと格闘するザンダーですが、珍妙どころか手に汗握ってしまうのは、やはり彼の魅力と見せ方のうまさにあるのでしょう。とにもかくにも、大きなふろしきに広げられた破天荒は見事に畳み込まれてしまうのでした。そんな無茶なといわざるを得ない設定を、そんなバカなといわせないパワーで魅せてくれます。

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